2016.12.15.
住友林業株式会社 代表取締役社長 市川 晃 氏が講演

市川 晃 氏

市川 晃 氏

2016年12月9日(金)に開催された第73回国際学部連続講演会では、本学の卒業生である住友林業株式会社代表取締役社長 市川晃氏にお越しいただき、「日本の森林資源はいま。~資源活用の新たな認識と木造建築の今後~」と題してご講演いただきました。この講演会は関西学院大学産業研究所の協力を得て実施し、会場の図書館ホールには約130名の学生・一般の方々が集まりました。(司会:国際学部 渥美裕之教授)

まず、会社概要として、銅精錬用木材の確保を発端とする社史、「営業は信用を重んじ、確実を旨とし」「浮利に趨り、軽進すべからず」、「自他利他公私一如」といった理念、国内・海外の事業展開エリアや業績などを紹介されました。

次に、日本の森林の現状について、国土の3分の2が森林という資源の豊かさに反して国産木材の利用率は低く、需要拡大を目指して国レベルでの取り組みがあることや、森林には自然林と人工林があり、里山のような人工林では人が手を入れ続ければ未来に資源を残すことができ、必ずしも「木を切る=自然破壊」ではないことなどを説明されました。また、材としての木の特長には、環境にやさしいこと、特性を理解し正しく使用すれば地震・熱に強いこと、α波・β波を誘発するなど人の日常生活にもプラスの効果があることを挙げられ、これらの説明の中で、思い込みの枠を外して正しい知識を得ることの大切さを説かれました。そして、住友林業による木材利用促進活動の具体例として、mocca(木化。非住宅建築物の構造の木造化、内外装の木質化)、古民家の再生、森林資源活用方法のコンサルタント事業などを紹介されました。

最後にお話しになったのは、ご自身の信条についてです。オランダ駐在時代、知人はおらず駐在員は自分一人という状況にも関わらず、仕事や生活を円滑に進められたのは、自分の努力だけによるものではなく、先達に負うところが大きいと実感され、このご経験を機に後進のために何ができるか常に自問されるようになったことや、モットーとしてJ・F・ケネディの「Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.」や本学の「Mastery for service」を挙げられました。

ご講演後には多くの手が挙がり、寄せられた質問には、自然林に人の手が及んでしまった場合の修復方法とは、古民家再生時はどのような事に配慮しているのか、地域活性化にどのように関わっているのか等がありました。周囲に流されず自分を持って生きるにはどうすればよいかという質問に対して、人と自分は違うことを認識し「自分の人生は自分で作る」という意識を持って、人との意見交換を繰り返すことが大切であり、議論は勝ち負けの場ではなく、より良いものを生み出すための場であるとアドバイスされ、学生達は真剣な表情で聞き入っていました。

【ポスター】国際学部連続講演会20161209_住友林業株式会社代表取締役社長 PDFファイル   [ 78.95KB ]PDFリンク

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