2016.12.07.
ドイツノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州 経済省次官 ギュンター・ホーゼツキー 氏が講演

ギュンター・ホーゼツキー 氏

ギュンター・ホーゼツキー 氏

2016年10月28日(金)に開催された第71回国際学部連続講演会では、ドイツノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州 経済省次官 ギュンター・ホーゼツキー氏を講師に迎え、「英国のEU離脱決定がドイツおよびEUに及ぼす影響」と題してご講演いただきました。この講演会は関西学院大学産業研究所とEUインスティテュート関西(EUIJ関西)の協力を得て実施し、会場の図書館ホールには約70名の学生・一般の方々が集まりました。(司会:国際学部 ホルガー・ブングシェ教授)

ホーゼツキー氏はまず、ご自身の目から見たEU史からお話を始められました。EEC(欧州経済共同体)加盟国が一丸となって進めた政策の例としてCAP(共通農業政策)を取り上げ、その成果として農産物の価格保護や農家の労働条件の大幅な改善があったことを紹介されました。また、第二次世界大戦後のヨーロッパ各国が、戦争の記憶も真新しい中、様々な問題の解決に向けて共に具体策を模索したことが、現在の平和に繋がっていることを指摘されました。その後1973年のイギリス等のEC加盟を皮切りに、EU加盟国数は28にまで拡大し、現在は各国それぞれに問題を抱えてはいるが、EU加盟によって単一市場へのアクセスと労働者等の移動の自由といった大きな利益を得てきた点を強調されました。

そのようなメリットがあるにもかかわらず今回イギリスがEU離脱を決定した背景には、主権が失われることへの危惧や、移民の増加への反発といった国民感情があると解説されました。その後、本題であるイギリス離脱によるEUへの影響として、投資、貿易、労働市場の縮小、在留資格の変更、再配分システムへの影響などを挙げられました。また、ドイツとNRW州への影響についても述べられました。一方、英国離脱の影響を受けてはならないものとしては、研究開発や文化交流面での協力を挙げられました。パートナーシップを守り、強化していくことにより、英国離脱の悪影響を最低限に抑えられるだろうと締め括られました。

ご講演後の質疑応答では数多くの手が挙がり、このテーマへの関心の高さがうかがわれました。学生だけでなく教授からの質問やコメントもあり、質問は難民問題、EU加盟国間の連帯、中国・ロシア・アフリカへの影響、ドイツ銀行の行方など多岐に渡り、ホーゼツキー氏はそれぞれの質問に丁寧にお答えになりました。

最後に、株式会社エヌ・アール・ダブリュージャパン(ドイツNRW州経済振興公社)代表取締役社長ゲオルグ・K・ロエル氏から学生に向けて、英国離脱問題や欧州について学ぶだけでなく、ぜひヨーロッパ大陸へ足を運び、その実際を感じて欲しいというメッセージが送られました。

【ポスター】国際学部連続講演会20161028_ドイツNRW州経済省次官 PDFファイル   [ 83.66KB ]PDFリンク

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