2015.12.22.
インドネシア、タイ、ベトナムの在大阪総領事3氏が講演

ベトナム、タイ、インドネシアの在大阪総領事3氏

ベトナム、タイ、インドネシアの在大阪総領事3氏

2015年12月1日(火)、「ASEAN 経済共同体正式発足に向けて-ASEAN Economic Community, Challenges and Opportunities-」と題し、インドネシア、タイ、ベトナムの在大阪総領事3氏を講師としてお迎えし、第69回国際学部連続講演会を開催しました。会場の関西学院会館には約200名もの学生・一般の方々が詰め掛けました。なお、この講演会は、グローバル人材育成推進事業の一環として、関西学院大学産業研究所の協力を得て実施しました。(司会:国際学部 鷲尾友春教授)

講演会は二部構成で、第一部に3氏に連続でご講演いただき、第二部に学生との質疑応答の場が設けられました。第一部では3氏ともASEAN 経済共同体(AEC)のキーワードを取り上げながら、自国とASEANのつながりやASEANの展望と関係付けてお話を進められました。キーワードには、GDP・人口ともに巨大な市場の誕生、コネクティビティ(連結性)、競争力の強化、加盟国間の発展格差解消、ASEANと多国間の経済連携や自由貿易協定などがありました。

ご講演のトップバッターを務められたのは、在大阪インドネシア共和国総領事ウィスヌ・エディ・プラティグニョ氏です。まずAEC設立に至る歩みを振り返り、ASEANとASEAN共同体の概略を説明されました。続いて、今回の講演のテーマであるAECの設立実施計画に盛り込まれた4つの柱(①単一市場と生産基地②競争力ある経済地域③公平な経済発展④グローバル経済への統合)の内容をスライドで具体的に説明されました。また、11月に行われた東アジアサミットでのインドネシアの優先課題(海運開発や海洋経済の持続可能な発展等)をご紹介くださり、島国としてASEANとの窓口である海をより積極的に利用していく方針であることを教えてくださいました。最後に2025年に向けたAECの展望と直近の日ASEANサミットの内容紹介の中で、日本からの災害マネジメント知識の提供や交換留学等を評価し、このつながりによって、日本とASEANの協力関係はより強固になると述べられました。


次に、在大阪タイ王国総領事デュシット・メナパン氏は、外国企業にとってのASEANの魅力を、世界第7位のGDPや6億2500万の人口といった数値を挙げて説明されました。また、ASEANの課題を地域レベル・国レベルで整理され、両レベルの戦略・利益バランスが大切だとされました。課題のひとつである「競争力」について、地域レベルでは域内の人々に対してASEAN共同体の存在を周知して競争力を付け、発展格差解消につなげる取り組みが必要であること、国レベルではASEAN加盟国がそれぞれの強み・弱みを知ることで他のASEAN加盟国に対する競争力が強化されること、また集団の持つ力について国民への教育が重要であることを指摘されました。最後に、物理的・制度的・人的なコネクティビティがASEANにとって重要であることを強調されました。物流を例にとり、タイには地理的強み(ASEAN隣国と地続きかつ域内中央部に位置)があり、アジアの物流拠点となり得ること、またその強みを活かして中国―タイ-インドをつなぐ交通インフラ整備のイニシアチブを取る計画があることを述べられ、ASEANの交通網がつながれば物流コストの削減につながるとの展望を示されました。

最後に、在大阪ベトナム社会主義共和国総領事のチャン・ドゥック・ビン氏は、加盟国には共通してインフラ整備等の課題があるが、協力してその解決に取り組むことで、チャンスを生み出せると述べられました。特に、コネクティビティについては、AEC発足で10カ国に渡る広大な市場に共通のルールが適用されるという状況は、ベトナムにとって貿易のし易さや、域内で旅行者や熟練技術者の移動の容易化につながると同時に、世界各国からの投資を呼び込むチャンスであると期待を示されました。日本の自動車産業を例にとり、活動拠点はベトナム、エンジン工場はタイやインドネシアに設置、とASEAN内で国をまたいだ製造ラインの設立が容易になると説明され、ASEAN各国が競争してビジネス環境の改善や競争力の向上に取り組めば、日本企業にとって進出先を選びやすい状況が生まれ、そのように日本とASEANが協働することで両者の友好と繁栄につながると締めくくられました。

第二部の学生との質疑応答の中で「将来ASEANを舞台に活躍したいが、大学生の内に身につけるべき能力は何か」との問いに対し、大切なのは今大学でできる自分のベストをつくすこと、ASEANの共通言語である英語力をつけること、そして実際に興味のある国を訪れて文化や伝統を学ぶことだというメッセージがありました。その他には、インドネシアでの新幹線導入計画についてやASEAN加盟国間の発展格差は解消できるかといった質問があり、総領事達は熱意を込めてお答えになりました。

ASEAN_集合写真

【Poster】SIS Lecture Series 69 ASEAN ECONOMIC COMMUNITY PDFファイル   [ 256.85KB ]PDFリンク

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