2015.10.20.
駐日ドイツ連邦共和国大使 ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン 氏が講演

ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン 氏

ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン 氏

10月13日(火)、駐日ドイツ連邦共和国大使 ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン氏を講師としてお迎えし、第68回国際学部連続講演会を開催しました。約180名もの学生・一般の方々が参加し、図書館ホールは通路にまで人があふれました。なお、この講演会は、グローバル人材育成推進事業の一環として、関西学院大学産業研究所の協力を得て実施しました。(司会:国際学部 鷲尾友春教授)

演題は「ドイツ再統一から25年 – ドイツと欧州の立ち位置とは」。本題に先駆けて大使は学生に対し「自分の頭で考えながら聞き、活発に質問をしてほしい」とメッセージを伝えられました。

ご講演はまず、ご自身の体験を交えたベルリンの壁崩壊当時のお話から始まり、再統一はドイツ近代史における最も喜ばしい出来事であるとし、ドイツを信頼し統一を支えた周辺国への感謝を示されました。また、自由を求めて立ち上がった東ドイツ人を称え、平和的革命であった点を評価されました。

次に、ドイツ再統一の現状について、失業率や1人当たりのGDP、人口移動数といった具体的な数値を挙げて東西を比較し、真の統一は道半ばであるとしながらも、旧共産圏の国々と東ドイツとの比較では、東ドイツの成長は目覚しいことを説明されました。さらに、かつてベルリンでは住民が東西どちらの出身者であるか一目瞭然であったが、現在は判別が付かないほどその差は小さくなっていると述べられました。

最後に、ドイツと欧州の関係について、ドイツ再統一は欧州の統合と歴史的に密接な関係にあることを説明され、ECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)の設立を例に、欧州の統合によって生まれた現在の平和を強調されました。また、財政危機や難民といった新たな問題にも触れられ、特に難民受け入れについては、第二次世界大戦後にドイツが国際社会から受けた恩に報いる機会と捉えていること、ドイツ国内でも受け入れ態勢や方法について活発な議論があることを教えてくださいました。

ご講演後は、パネリストの学生やフロアーとの質疑応答が行われました。いくつかの質問への答えの中でドイツのリーダーシップについて触れられ、国際的な問題の解決にあたりドイツがリーダーシップを発揮しすぎるのは問題だが、全く発揮しないのはさらに問題だという声があることを紹介されました。財政危機解決の采配を振ったドイツというイメージとは逆に、実際は周辺国の声に耳を傾け、意見を押し付けることなく実務役に徹してきたことを説明し、今後もうまくバランスをとっていくことが大切だ、とされました。

寄せられた質問は、戦争謝罪の姿勢、歴史教科書の作り方、周辺国との友好関係の築き方、難民の受け入れや教育、フォルクスワーゲンの不正問題と多岐にわたり、それぞれの質問に対して、大使はユーモアを交えつつ丁寧にお答えになり、学生たちの顔には笑顔と真剣な表情が交互に浮かんでいました。

【ポスター】国際学部連続講演会20151013_駐日ドイツ連邦共和国大使 PDFファイル   [ 268.40KB ]PDFリンク

【Poster】SIS Lecture Series 68 Ambassador of Germany to Japan PDFファイル   [ 279.86KB ]PDFリンク

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