2015.06.19.
駐日アイルランド特命全権大使 アン・バリントン 氏が講演

アン・バリントン 氏

アン・バリントン 氏

第63回国際学部連続講演会は、駐日アイルランド特命全権大使 アン・バリントン氏を講師としてお迎えし、5月26日(火)に開催されました。この講演会は、グローバル人材育成推進事業の一環として、関西学院大学産業研究所の協力を得て実施され、約80名の学生・一般の方々が参加しました。(司会:国際学部教授 鷲尾友春)

講演テーマは、「日本とアイルランド:相違点より多い類似点」でした。バリントン大使は、アイルランドの歴史や文化、経済、政治、自然に至るまで幅広い内容をパワーポイントで大変わかりやすくご説明されました。

「英国、米国、そしてEUが、とりわけアイルランドの発展に大きな影響を与えてきました。約460万人のうち、14歳以下が20%、3分の2が15歳から65歳、65歳以上は12%、人口増加率2%以上と、若い国です。学校で古代ヨーロッパのケルト語をルーツとするアイルランド語を教えますが、皆が英語を話します。シャムロック(クローバー)は、セント・パトリックがアイルランドにキリスト教を布教した三位一体を表す平和のシンボル。気候は、ブラジルからの暖流でめったに雪積もなく穏やかです。日本よりずっと小国ですが、同じぐらいのツーリストが来る世界的観光国。緑の田舎と豊かな観光資源に恵まれ、西海岸は世界で最も美しく、謎と神話にあふれています。」

「農業国でしたが、25年前から金融、医薬、ITなどハイテク産業分野で大きく発展しました。2008年のリーマンショックで銀行への巨額な財政支援が必要となり、EUやIMFからの金融システム規制が導入されましたが、昨年その改革が完了し、結果、これも昨年、EU域内国で最高の5%の成長率を記録しました。今年も成長が期待されています。製薬、化学、生命科学やITなどの分野で海外から多くの投資を呼び込むことに成功し、それら外資の多くの欧州本部がアイルランドに置かれています。」

「日本とアイルランドにはとても古くからの文化があり、ケルト神話には日本とよく似た話が数多くあります。ケルト文化といっても、伝統音楽、美術、文学、詩など多様です。国際ダンスフェスティバルも開かれ、スイフトなどのノーベル賞作家もアイルランドから出ています。多彩な海産物、牛肉、乳製品は日本にも輸出されています。2013年6月に安倍首相の来訪があり、交流が深まり、日本企業も多く進出してきています。両国は似たところが多く、違うところも多いですが、かつて同国出身のラフカディオ・ハーンが日本を愛し、西洋に日本を紹介したように、今後ともアイルランド大使として相互理解を深めたい。」とお話されました。

講演会後半は、いつものように学生とフロアーからの質疑応答が行われました。国民投票で認められた同性婚について、アイルランドの高度経済成長の理由の1つとしてEUに加盟したことがあげられるが、EUとの今後の関係性とEUの未来についてどう思われるか、現在の英国との関係について、EU内の人の移動についてどう思われるか、かつて世界に流出したアイルランド系の人々を自国に帰国促進する政策(人材誘致)について等々、アイルランドの経済成長やEUの将来や課題に関する質問が寄せられました。

講演終了後、バリントン大使は、ご多忙中にもかかわらず、国際政治・国際関係に関する研究に取り組んでいる学生研究会のディスカッションにも快く参加してくださり、学生との学びの一時を楽しんでおられました。

【ポスター】国際学部連続講演会20150526_駐日アイルランド特命全権大使 PDFファイル   [ 290.44KB ]PDFリンク

【Poster】SIS Lecture Series 63 Ambassador of Ireland to Japan PDFファイル   [ 285.38KB ]PDFリンク

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