2014.11.04.
駐日ウガンダ大使 ベティ・グレイス アケチ=オクロ 氏が講演

ベティ・グレイス アケチ=オクロ氏

ベティ・グレイス アケチ=オクロ氏

第57回国際学部連続講演会は、ベティ・グレイス アケチ=オクロ駐日ウガンダ大使にお越しいただき、10月27日(月)に開催されました。アケチ=オクロ大使は、国際学部がアフリカからお招きする初めてのゲストです。この講演会は、グローバル人材育成推進事業特別講演会、高等学部商科開設100周年記念講演会として、経済学部・商学部・国際学部が共催し、関西学院大学産業研究所の協力により実施されました。ご講演と質疑は英語で行われ、約130名が参加しました。(司会:国際学部教授 鷲尾友春)

ご講演は “Africa-Japan Relations with special reference to Uganda” と題され、アフリカ全体についての背景知識から、アフリカと日本の結びつき、ウガンダの歴史・経済・文化・自然の紹介まで、大使は幅広くお話しくださいました。

「広大なアフリカ大陸には、現在54か国、10億を超える人々が住んでいます。言語は2,000以上、歴史的にも文化的にも非常に多様性に富んだ地域です。アフリカは紛争、戦争、病気、奴隷貿易、植民地主義に苦しみ続けましたが、1960年代半ば頃までに、ほとんどの国が独立を果たしました。日本とアフリカの関係は歴史が長く、17世紀にまでさかのぼることができます。第2次世界大戦後に経済を立て直した日本は、独立を獲得したアフリカ各国と1960年代に外交関係を築き、その後、アフリカ地域における国連平和維持活動への参加や、政府開発援助を通した技術・資金援助を行うようになります。現在は、アフリカ開発会議/TICADの枠組みを中心に、日本とアフリカ諸国との関係はさらに強まっています」

「私の国ウガンダは『アフリカの真珠』と呼ばれ、豊かな自然に恵まれた美しい国です。現在の人口はおよそ3,700万人で、国民1人当たりのGDPは1,500米ドルと依然低いですが、肥沃な土壌が育む農産物の輸出や観光産業などが国を支えています。天然資源も豊富で、銅やコバルトなどの鉱物資源に加え、近年原油が発見されました。ウガンダでの投資機会は拡大していますし、分野も農業、情報通信、観光、エネルギー、建設など、多岐にわたっています。また、その地理的位置、温暖な気候、市場規模、潤沢な若い労働力など、投資環境としてもウガンダは優れています。あまり知られていませんが、ナイル川の源流はウガンダにあります。そのためウガンダは水資源にも恵まれており、今後、太陽光や風力に加え、水力発電の可能性も拡大するでしょう。文化的にも舞台芸術から文化遺産まで様々あり、魅力に溢れています。ウガンダはマウンテンゴリラが生息する3ヵ国の1つですが、野生動物が住む国立公園、ウォータースポーツ、バンジージャンプなど、アドベンチャーや観光資源も多彩です。日本のみなさんには、ぜひウガンダに来てほしいと願っています」

ご講演後は、ウガンダから本学への留学生を含む学生パネリストおよび会場から、日本がウガンダを支援する上で重要な点、将来のリーダーである若者に求めること、ウガンダ国内の汚職問題への取り組み、長年続いた内戦の傷跡から立ち直るための手当て、TICADがもたらした具体的効果、ジェンダーの平等を促進するための方策、天然資源の活用方法など、多くの質問が寄せられました。

「海外からの貿易、投資を奨励しています。道路やエネルギー面でのインフラ整備を加速し、産業の発展と雇用創出につなげたいと思います。TICADの取り組みは保健や農業、教育など様々な分野にその効果を見ることができますが、沿岸部と内陸を結ぶ広域輸送回廊の発達により、物資の輸送も格段に向上しました。女性の活躍を促すためにも、今後は家事を助ける技術やインフラの拡充を目指します。例えば調理に必要な水や燃料の調達にかかる時間を減らすことができれば、女性たちはその時間を他の活動に使うことができるようになります。国・地域の政府機関には一定の女性の登用が求められますが、これが民間部門にも拡大するよう働きかけを行っています。ウガンダを出て留学中の若者には、卒業後に国に戻りなさいと声をかけたいと思います。学びを持ち帰り、地域コミュニティや国の成長を支える人材としてウガンダで活躍してほしいからです。汚職問題についてはオンブズマン制度を導入し、その一掃に努めています。今後さらに改善していくことでしょう。内戦の影響を受けた子供たちには、反政府勢力の兵士としての活動を罪に問わない法律の整備を行ったり、教育や職業訓練を提供することで彼らが社会に戻れるよう支援をしています。アフリカの天然資源については、それに投資するビジネスがアフリカの国々、人々に可能な限り利益をもたらすような法的枠組みの整備を進めています」

「アフリカを1つの国・地域と認識している人は少なくありません。しかし、アフリカは大陸であり、そこには54の国々がそれぞれに多様な特性を持っています。アフリカは決して1つの国ではありません。TICADを通してウガンダと日本は結びつきをさらに強めています。日本のみなさん、『アフリカの真珠』ウガンダへようこそ!ご訪問をお待ちしています」

【ポスター】国際学部連続講演会_20141027_ベティ・グレイス アケチ=オクロ氏 PDFファイル   [ 306.48KB ]PDFリンク

【Poster】SIS Lecture Series_20141027_Mrs. Betty Grace AKECH-OKULLO PDFファイル   [ 275.46KB ]PDFリンク

国際学部 連続講演会関連ページへのリンク