2014.07.30.
外務省国際文化交流審議官 齋木 尚子 氏が講演

齋木尚子氏

齋木尚子氏

外務省 国際文化交流審議官 齋木 尚子 氏(現在:外務省 経済局長)をお迎えし、第54回国際学部連続講演会を6月30日(月)に開催しました。この講演会は、グローバル人材育成推進事業の特別講演会、高等学部商科開設100周年記念講演会として、経済学部・商学部・国際学部の共催により実施されました。グルーベル院長はじめ約200名の参加者があり、大盛況の講演会となりました。(司会:国際学部教授 鷲尾友春)

演題は、「パブリック・ディプロマシー」。パブリック・ディプロマシーとは、伝統な外交~国と国の直接交渉~を補完するものとして、近年、非常に重要と認識されており、外国の国民・世論に直接働きかけていく外交のこと。世界における日本のプレゼンスを高め、日本の国益を守るために、より良い環境を醸成し、親日派・知日派を増やし、世界に日本への理解を深めていく。齋木氏は、そのためにこそ、パブリック・ディプロマシーが重要であると論じられました。

講演中、齋木氏は、米国の対日世論調査の結果を引用し、日本が最も信頼できる国となっていると強調されました。また、齋木氏は、ASEAN7か国の調査でも、日本は最も信頼できる国とみられており、且つ、最も重要なパートナーと位置付けられていると指摘されました。さらに、英国のBBCの調査でも、世界に良い影響を与えている国として日本が長い間1位を占めていたが、現在は日本の経済の低迷もあって4位に後退している、と紹介されました。

日本が何故好意的に見られているかの理由として、齋木氏は、東北大震災で、被災者が他人を思いやり、秩序を失わなかったことに世界が魂を揺さぶられたことや、古典・伝統文化、マンガ、J-POPなどのクールジャパンの影響、無形文化遺産となった和食などが世界に受け入れられていることなども挙げられました。また、世界無形文化遺産の保護に関しても、人間国宝の指定などの重要性を主張し、各国がこうした分野の必要性を認識するよう日本が世界をリードしてきたと紹介され、おもてなしの心が評価されて誘致した2020年のオリンピックでは、スポーツを通じて世界の平和の実現に向けて、日本が大きな役割を果たすことが期待されている、と付け加えられました。齋木氏は、加えて、日本政府が、知的・人的交流、草の根交流の促進のため、留学生を双方向で倍増させようとしていることを強調されました。安全保障・経済などのハード・パワーが外交には不可欠ではあるが、双方向の文化交流を中心とするソフトパワーも、これからの日本外交にますます重要となると述べられました。

ご講演後には、学生代表・会場参加者とのディスカッションが行われ、「外交官を目指されたきっかけは何か。」、「ASEAN各国の人々が日本を最も重要なパートナーとみている理由はなにか。」、「将来、例えば2020年のパブリック・ディプロマシーはどのようなものになっていると思われるか。」、「中小企業の技術力も日本の力と考えるが、文化の他には何が強みと考えておられるか。」、「日本人自身が日本の文化を理解していないように思うが、その状況を打破するにはどうすればよいか。」、「様々な国際機関に多くの資金を拠出しているが、日本はそれに見合ったポジションをとれていないのではないか。また訪日外客数が少ない原因に何があるとお考えか。」など、多数の質問が寄せられました。齋木氏は、これら多岐にわたる質問に対して、様々な視点を交え、理路整然と解説して下さいました。

【ポスター】国際学部連続講演会_20140630_齋木尚子氏 PDFファイル   [ 315.99KB ]PDFリンク

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