2014.07.15.
在マリ日本国特命全権大使 松原 昭 氏が講演

松原昭氏

松原昭氏

駐マリ共和国日本国特命全権大使 松原 昭氏をお迎えし、第53回国際学部連続講演会を6月27日(金)に開催しました。この講演会は、グローバル人材育成推進事業の特別講演会、高等学部商科開設100周年記念講演会として、経済学部・商学部・国際学部の共催により実施されました。(司会:国際学部教授 鷲尾友春)

「変貌するアフリカと日本」という演題で、将来の巨大な市場として注目される一方、イスラム過激派の武装集団に翻弄されるアフリカがテーマ。本学出身の松原大使のご講演とあって、図書館ホールに約150名が集まりました。

大使は、「社会に出ると大学に来る機会がない。4年間、いろいろと考える時間は大事だったと思う。」と語られたあと、会場にアフリカのイメージを問いかけられました。貧困、資源開発、海賊・・・と声は上がりましたが、「日本人にはアフリカは遠いが、ヨーロッパからは庭先。関わりはとても大きい。日本企業も有望な市場と考えはじめている。ナイジェリアでは鉄腕アトムが生まれ変わって人気。開発途上のイメージが強いアフリカでも、かつて少数民族が大量虐殺されたルアンダが、今、IT・ハイテクの豊かな国に変貌している。アジアは人口減少を迎えるが、アフリカの人口急増、中間層の拡大が続き、巨大な市場へ成長すると期待されている。一国一票の国連では、54か国の大票田のアフリカが発言力を増している。豊富な天然資源と将来の巨大市場を確保すべく、欧米各国に加えて、中国、韓国の進出も急。一方で、イスラム過激派に翻弄されてフランス軍に治安をゆだねなければならないマリのような国もある。格差拡大、人材不足、世界のエイズ感染者の67%がサブサハラ以南に集中し、人種、女性差別も深刻。多くの難題に苦しむ現実がある。こうした中で、5年ごとに日本で開催されるTICAD(アフリカ開発東京会議)は昨年で5回目。日本政府がサブサハラ地域に今後5年間で10億ドルの支援を表明するなど、その役割、成果にアフリカ各国からの期待が高まっている。日本も、アフリカ各国への関わりは急速に大きくなっていく」と述べられました。

会場から「日本がアフリカのために何ができるか?」との質問があり、「アフリカ各国は、支援よりも投資を求めるようになっている。日本の経済界からはアフリカへのODA関心が高くなっている。しかし、武力紛争やテロが頻発する地域への直接支援は難しい。国際機関などを通じた支援にならざるを得ない。インフラ整備、人材育成、格差是正などに貢献が期待されるが、とりわけ深刻な女性差別の解消のために職業訓練に貢献していきたいと考えている。」、「部族、宗教対立で生まれた恨みや憎しみの克服は容易ではないが、外国の支援に頼るのではなく、自分たちの問題は自分たちで解決していく姿勢が重要。」、「アフリカでも中国の反日キャンペーンが展開されているが、戦後から日本が世界に果たしてきた貢献をアピールし、日本理解の促進に努めている。」と述べられました。

また、外交官となったのは、「東大闘争などで社会と大学が断絶していたとき、ヨーロッパに行き、とくにフランス文化にあこがれ、3年間の民間勤務を経て入省した。」、「新卒者の採用は日本だけ。国際機関も大学院以上の学位と専門職務の経験者が採用される。専門性が必要だが、日本政府の派遣で国連に勤務し、その後、より高いポストに挑戦する方法もある。公募でも内部の人が採用されやすい。」、「関学生は表に出ようとしない、存在の影が薄い。どんどん活躍してほしい。続く人が出てくることを期待している。」と、学生へのエールで講演を締め括られました。

【ポスター】国際学部連続講演会_20140627_松原昭氏 PDFファイル   [ 318.97KB ]PDFリンク

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