野村ゼミ 研究演習Ⅰ 成田国際空港見学会
(2018年6月29日)

[ 編集者:経済学部・経済学研究科      2018年7月23日   更新  ]

 野村ゼミでは、交通インフラの基本施設である空港を見学するとともに、空港会社のスタッフと意見交換することを目的に成田国際空港見学会を行った。国際線に関してわが国の中で最大の空港能力を持つ成田国際空港は、2020年の東京オリンピックに向けて機能強化を図っている最中であり、3本目の滑走路建設が決まった点を調べることに主眼を置いていた。過去に建設をめぐって、地元住民と国の間で大きな摩擦を引き起こし、社会問題にまで発展した成田闘争は悲惨な歴史的事実として残っている。今回の見学会を通して、現役学生が「インフラ建設をめぐる合意形成」を学ぶ予定であった。

 現地集合・現地解散とすることによって、個々人が合理的と考える交通手段を選び、飛行機・鉄道・バスの料金設定に関心を寄せた。成田国際空港株式会社本社ビルに到着して最初のビデオ説明を受けた直後に、広報部のスタッフから、成田空港に到着した大韓航空機のタイヤの車軸が折れて、誘導路上で動けない緊急事態が発生しているので、見学会を続けることができないとの連絡を受けることになった。夕方のニュースで、国の運輸安全委員会が、「事故につながりかねない重大インシデント」に認定した上で、原因を調査することになったことがわかった。

成田国際空港株式会社本社ビルにて ビデオ説明を受ける

成田国際空港株式会社本社ビルにて ビデオ説明を受ける

 事後報告によると、当日は強風が吹いていたこともあり、大韓航空機が滑走路に着陸する際に、いわゆる「ハードランディング」とよばれる負荷のかかった着陸を行ったため、右側後輪部分の車軸が破損しパンクしたという事実を教えていただいた。航空機事故に該当することから、空港会社内で緊急体制が敷かれ、報道対応など広報部も慌ただしくなっていたとのことである。見学会を案内する予定だったスタッフが、報道対応はじめ陣頭指揮せねばならい立場にあり、人員を緊急体制に配備する必要があったため、バス移動による見学会はキャンセルとなってしまった。

 自発的に展望デッキのほか第2ターミナルビルとLCC専用の第3ターミナルビルを視察することにした。スタッフとの意見交換や「空と大地の歴史館」への訪問が実現しなかったのは残念だったが、まさに「安全がすべてにおいて最優先される」という空港経営の実態を学ぶことができた。夜は成田国際空港をベースに働いている航空貨物会社の卒業生2人の協力によって、現役生との交流会が開かれた。航空業界の基本的な知識のみならず、旅客業務と物流業務の特徴や課題などについて意見を聞けた。更に、就活に向けた心の準備や面接時の注意点など現実的なアドバイスをもらえたので、現役生にとっては意義深かった。

成田空港にて

成田空港にて

交流会の様子

交流会の様子