野村ゼミ 成田国際空港見学会

[ 編集者:経済学部・経済学研究科      2017年10月9日    更新  ]

 交通インフラの基本施設である空港を見学するとともに、空港会社のスタッフと意見交換することを目的に成田国際空港を訪れた。首都圏空港の1つである成田国際空港は、国際線に関してはわが国の中で最大の空港能力を持っている。2020年の東京オリンピックに向けて、どのような経営戦略がとられているのかを調べることが主眼であった。更に、大規模空港を内陸地に建設する点で、過去に地元と国の間で大きな摩擦を引き起こし、社会問題にまで発展した成田闘争を「インフラ建設をめぐる合意形成」という観点から学ぶことも意図していた。

毎年恒例、現地でテーマ発表

野村ゼミ(1)

空港スタッフからの説明

 現地集合、現地解散とすることによって、個々人が合理的と考える交通手段を使うことにした。この段階で、既に規制緩和の恩恵を受けられる点を実体験に基づき学ぶことができた。成田国際空港株式会社・広報部のスタッフから空港建設の歴史や経済成長と空港の役割などについて、最初にプレゼンをしてもらい、50年間の経緯と概要の知識を得た。LCC専用ターミナルビルの見学を通して、空港施設利用料をどのように抑制しているのかを理解した。また、商業施設の活性化と利用者の便益向上を図るための施策や、出発客と入込客との動線を区分しつつ、利益増加につながる戦略に関しても説明を受けた。

商品内容だけでなく、寸劇練習も

 空港内の旧管制塔内まで入らせてもらう機会を得たので、空港の敷地全体を鳥瞰図のように見ることができた。2本の滑走路やエプロン、格納庫など各種の施設の配置について、即座に把握できた。とりわけ印象的であったのは、一部の土地収用が完了していないので、個人所有の建物がまだ残っているところがあった点と、今後、新しい3本目の滑走路建設の用地買収候補地が、近接する地域のどのあたりになるのかが一目で分かった点である。オリンピック開催に伴うインバウンド増加に対応できるように、成田国際空港では「機能強化」がキーワードになっていた。

野村ゼミ(2)(修正版)
野村ゼミ(3)

ビデオで歴史を学ぶ

 空港からバスで15分ほど移動したところに、過去の闘争の歴史を展示物で伝える「空と大地の歴史館」があり、ここに多くの資料が残されていた。パンフレットの表紙には、「空港をめぐり、この地に刻まれた歴史を後世に伝えます。」と記されている。この歴史館を設立したのも、空港運営者である成田国際空港株式会社である。建設反対派と政府の間で流血事件が起きるほど、大きな摩擦が生じていた。開港の直前に管制塔の機器類が反対派によって破壊されたほどである。それらの背景にあった社会運動や政治動向に関して、ビデオや掲示物から理解を深め、インフラ建設をめぐる合意形成の難しさを学んだ。

 夜は成田国際空港をベースに働いている航空貨物会社の卒業生2人の協力によって、現役生との交流会を開くことができた。航空業界の基本的な知識のみならず、旅客業務と物流業務の相違点などについても教えてもらった。更に、就活に向けた心の準備や面接時の注意点など現実的な助言をもらうこともできた。

野村ゼミ(4)

参加者で記念撮影