「われら関学経済人」 三澤 肇 さん

[ 編集者:経済学部・経済学研究科       2016年6月6日   更新  ]

~関学経済学部生からのメッセージ~「われら関学経済人」

三澤 肇 さん

      
  【卒業年月】 1994年3月
  【名前】 三澤 肇 (ミサワ ハジメ)
  【年齢】 44歳
  【出身高校名】 大阪明星高校
  【基礎演習名】 花岡 秀ゼミ
  【研究演習名】 藤井和夫ゼミ
  【勤務先】 株式会社毎日放送

   ※ 本ページの内容は2015年6月現在のものです。

これまでどんな仕事をされてきましたか?

 入社1年目に阪神大震災があり、被災地で長期間取材しました。この原体験が、取材・報道の礎となっています。97年からローカルニュース番組のキャスターを務める傍ら、神戸の児童連続殺傷事件やカレー毒物混入事件、付属池田小学校の事件などを取材しました。多くの被害者遺族に接し、少年法や刑法などの問題点を掘り下げました。その後、ニュース23のキャスターも2年務めました。当時は、民主党が政権をとろうとしていた時期で、自民党が凋落の一途をたどっていました。政権交代にむけた政治のダイナミズムを肌で感じましたね。大阪に戻ってからは、橋下徹知事時代の大阪府政を取材し、国と地方の関係が変わっていく様を追いかけました。2014年までの3年間は、JNNベルリン支局長としてヨーロッパや中東の情勢を取材しました。「ドイツの脱原発」「ギリシャの経済危機」やアラブの春から続いた「シリア内戦」、最後は「ウクライナ情勢」・・・忙しい日々でした。今はMBS報道局でニュースデスクをしながら番組編集長もやっています。ニュース取材の指揮をしながら、後輩記者の育成にあたっていますが、最近、ちょっと現場が恋しくなってきました。やはり現場で取材するのが、記者としての醍醐味だとつくづく思います。

経済学部ではどんな学生でしたか?

 1年生の時は、中央芝生でほぼ「放牧」状態でした。大学生活を謳歌していたわけですが、これではダメだと思い、2年生の時、交換留学にチャレンジしました。結果は23人の募集枠に22番目の成績でギリギリ通過し、1年間、米テキサス州の「南メソジスト大学」で学びました。勉強しないと授業についていけないので、毎日夜中まで勉強する一方、週末は「パーティ三昧」。人生「メリハリ」だと実感しました。もうひとつ学んだのは「主張すること」。授業の一環で、ディベートやスピーチに熱中しました。その影響もあってか、帰国してからは、「対抗ゼミ」が最も記憶に残っています。一つのテーマを徹底的に論じあう・・・「世界大恐慌と平成景気」をテーマに議論が白熱した思い出があります。今では「バブル景気」として扱われていますが、当時は戦後最長の「景気拡大局面」になるのではないかと、言われていました。その後、バブルは崩壊し、日本は失われた10年と呼ばれる不況へと突き進んでいきます。ウォール街の大暴落とは異なりますが、当時の熱狂が何を招いたのかを考えると、対抗ゼミでの議論は決して無駄ではなかったと思います。

今の経済学部生にメッセージをお願いします!

 ベルリン支局に在任中、ギリシャの債務危機に端を発する、ヨーロッパの一連の経済危機が発生しました。ユーロ圏では単一の通貨を使っているにもかかわらず、財政政策は各国に任されているという矛盾、構造的な問題が表面化したのです。このような記事を書くとき、経済担当記者でなければ、誰もがたじろいでしまうものですが、関学時代に学んだ経済学の基本的な知識のおかげで、少なくとも「アレルギー」なく、事象に入っていくことができました。ECB=ヨーロッパ中央銀行総裁の会見などは、最初は「呪文」のようにしか聞こえないのですが、慣れてくると「政策金利」の上げ下げの判断は、日本銀行の「公定歩合」と同様で、関学で「公定歩合の決定は“伝家の宝刀”」と学んだ授業の内容がよみがえってくる・・・ということもありました。大学を出て、企業に就職すれば、何かしらの経済活動に密接なかかわりを持つことを意味しますから、経済学は、どこかで役に立つことは間違いありません。何の尺度で社会を見つめていくのか・・・数字やデータに裏づけされた視点ほど、説得力のある視点は、そうないと思います。

これから経済学部を目指す高校生にメッセージをお願いします!

 高校時代に、どの学部で何を学ぶのかを明確にすることは、ある意味“酷”かもしれません。私の場合は、在学中に段々とやりたいことが見えてきたので、いわば走りながら考えたパターンです。就職してからも、様々なニュースに翻弄されましたが、そこで取材を深めていったことで、より明確なビジョンを持てるようになったと思います。経済学は、人間の営みそのものですから、何にでも応用が可能なのが強みだと思います。私の卒業論文は「航空宇宙産業」=いわゆる「軍需産業」についての研究ですが、これは中学や高校時代に、核戦争の危険性について、いつもおぼろげながら考えていたことに由来しています。それを経済学的にみれば、どうなるのか・・・軍需産業は国と密接な関係がある産業ゆえに、国の予算として研究開発にお金をかけることができます。しかし、時として費用対効果が無視され「非合理性」が見て取れます。アメリカの場合は、軍需産業のロビー活動も活発で、政治と経済が深く関っています。例えば、アメリカが「イラクは大量破壊兵器を所持している(実際はなかった)」と強調するとき、その背後には一体なにがあるのか・・・危機をあおることで、誰が利益を得るのか?放送や新聞のニュースの裏や行間を読むには、やはり経済学的な考え方が必要になってきます。普段から疑問に思っていること・・・経済学はそのヒントをくれるかもしれませんね。