ゼミ担当教員・栗田匡相からのメッセージ

[ 編集者:経済学部・経済学研究科       2014年12月22日   更新  ]

マダガスカルを訪れた「理由」について

Message from Dr.Kurita

 2013年の8月に初めてマダガスカルに降り立ちました。今年の調査のちょうど1年前です。早稲田大学で教員をしていた頃に、私の授業を取ってくれていた高橋薫さんがJICAマダガスカル事務所で専門調査員として働いているというラッキーなご縁とご厚意もあって、滞在中はアロチャマングル県で農家調査を行うことが出来ました。
それから1年後に、長崎県立大学の和田一哉先生(大学院ゼミの後輩です)、3年ゼミの学生22名、栗田ゼミ卒業生2名(西村早織さん(東京大学大学院経済学研究科在籍)、島村益美さん(大阪大学大学院経済学研究科在籍))と一緒に540世帯もの調査をすることは、マダガスカルに向かう飛行機の中では思ってもいませんでした。でも、これまでのことを振り返ってみると、僕が早稲田大学で教員をして高橋さんに出会ったときに2014年8月にマダガスカル農村で調査をすることは決まっていたんだろうなぁ・・・・(遠い目)、いや、でも早稲田大学に就職できたのはその前にフィンランドでポスドク期間があったからなんだからその時期に決まってたんだよ、いやいや大学院在籍中に勉強したことが評価されたからフィンランド行けたんでしょ、そんなことをいうなら学部の時にインドへ旅行したときから・・・、でもそれをいうなら浪人中に国際関係論を勉強しようと志したときに(テレビで皇太子様ご成婚の映像を見て、雅子様綺麗だし、かっこいい、頭も良い!そうだ俺も外国のこと勉強しよう!と思っただけですが・・・)、高校の時に・・・・、あれ?いつ決まっていたんだろう??
と、普段自分がしてきたことを全然振り返りもしなければ、省みることもしない浅はかな人間のため、あらためて何故我々がマダガスカルに調査に行かなければならなかったのか?なんだかよくわからない気がします。もちろんマダガスカルは貧困者比率が80%の国で、学生や僕が研究対象として選択するに、ある意味ではとてもふさわしい国です(大変悲しいことではありますが)。でもよくわからない。そもそも訪れる理由が必要だという考え方もよくわからなくなってきました。「理由」をつけるって実はとっても難しいことなんだと改めて思います。
ただし、何故マダガスカルに行かなければならなかったのか?についてはよくわからないけれど、訪れてしまったマダガスカルのために、そこに住む人々のために何が出来るのか?そんなことをもやもやと考えてしまう理由はよくわかります。でもそれを語ることを控えておくことがエチケットだと思います。
 その代わりといっては語弊がある気もするのですが、感謝の言葉を述べたい人がたくさんいます。まず、JICA-PAPRIz事務所の羽原さん。羽原さんがいなかったら、我々はただの一歩も前に進めませんでした。この感謝の気持ちを表す言葉は私のつたない語彙力では見つからないのですが、この先も、僕も含めてゼミ生皆でマダガスカルのこと、PAPRIzのこと考えていこうと思っています。本当にありがとうございました。次にJICA事務所の高橋さん、早稲田で1年間ぐらいのおつきあいでしたが、高橋さん、優ちゃん、富田さんと一緒にがんばった開発経済学の授業は僕の早稲田で最も心に残る授業でした。これに懲りず高橋さんが世界中どこへ行っても末永くよろしくお願いしますね。JICA国際協力調整員の中村さん、あなたのエネルギッシュなパワーがあったからこそPAPRIzの名前はマダガスカル中に広まったし、それが日本に住む僕のところまで伝わってきたのだと思います。理想と現実の狭間を意志の力で開拓していく中村さんを僕はとても尊敬しています。これからも是非とも宜しくお願いいたします。IC Netの三浦さんと小川さんには、2013年調査時には本当にお世話になりました。マダガスカルコーヒーの味を初めて知ったのはお二人とお話をしているときでした。マダガスカルのサータアンダギー、またアロチャに食べに行きたいです。タナ大学のアンビニンツァさんには通訳の確保で本当にお世話になりました。みなさん、とてもよい学生で、今でもうちの学生とFacebookなどで連絡を取り合っているようですよ。日本とマダガスカルの架け橋はこういったところから始まるのかもしれませんね。まだまだたくさん感謝を述べたい人がいます。前JICAマダガスカル事務所所長の笹舘さん、現事務所長西本さん、事務所員の高橋歩さん、JICAという組織の偉大さを、去年のケニア調査、今年のマダガスカル調査を通じて強く感じています。日本人でよかったなって思うことがおかげさまでとっても増えました。JICA-PAPRIz事務所の吉井さん、椛木さん、お二人には今後、まだまだ教わらなければならないことがたくさんあると思っています。これまでのご厚情に感謝申し上げるとともに、これからも何とぞご協力のほど宜しくお願い申し上げます。お忙しい中、現地での学生との会食にいらしていただいたMALAZA SOCIETE GENERALEの久保さん、アリクスの黒川さん、住友商事の今井さん、異国の地で商いやお仕事をされている方々の魅力的なお話から、世界には学生達の知らない出来事がたくさん存在すること、だから世界はおもしろい、ということが皮膚感覚で伝わったと思います。すてきな出会いを本当にありがとうございました。それと忘れてはいけないのは、本学部事務室のみなさん、資料準備室のみなさん、教員の不手際のフォロー、あるいは無茶ぶりに立ち向かうために日々奮闘する学生達を温かい目で見守っていただきいつも感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございます。
 もちろん、調査に同行をしてくれたアンタナナリボ大学の学生さん達、調査地の案内をしてくれたジョセさん、エリソンさん、パラニーさん、には、私も含めたゼミ生一同、最大限の愛を送ります。
 マダガスカルの農村で出会ったたくさんの人々、自分の住む村からさえも出たことがないそんな人たちもいました。我々はみなさんを驚かせてしまったかもしれません。みなさんが平和に暮らしているのだから、来なくてもよかった人なのかもしれませんね。でもみなさんに語りかけることをやめてはいけないのかなと思います。この世界がまだまだ人間的なものとは言えない以上、時間やエネルギーがかかることは百も承知で、みなさんと語りあうことを続けることが、お互いの目を見つめ合うことが、大切だと思うんですよね。でもそうはいっても僕は結構ぐうたらな人間なので、僕が途中で嫌になったり、そっぽを向いていたら、遠慮なく尻をたたいてください。そしていつの日か(別にその場所に自分がいなくてもかまわないのですが)、世界がちゃんと人間的になった時に、そのときはまた一緒にサッカーでもしませんか。2014年の8月のとある日にマダガスカルのAnkazobeで41歳の僕がオーバーヘッド気味に決めたシュートには理由があると思っています。