経済学部に入学を志望する皆さんへ

[ 編集者:経済学部・経済学研究科       2015年12月3日   更新  ]

経済学部に入学を志望する皆さんへ -大学で経済学を学ぶために-

1.心構え

 「大学の学び」は「高校までの学び」とどこが違うのでしょうか。高校までは先生が問題を提示し、答えがわからなければ、先生がいろいろと教えくれました。しかし、大学では自分で問題を探し出し、その問題について調べ、考え、そして自分なりの答えを導き出すことになります。したがって、自ら積極的に学ぶ姿勢が必要となってきます。そして、社会に出てからも学ぶことはいろいろあります。当たり前のことですが、学びに終わりはありません。だからこそ、「学ぶ力」を大学4年間で鍛錬する必要があるのです。

 さて、「経済学部の学び」は、次の4つの項目にまとめられます。

①現実の社会で起こっているさまざまな出来事のなかから、何が重要な問題なのかを選び取る。
②情報手段を利用して、その問題を整理する。
③その問題について論理的に考え、結論を導き、データなどとつきあわせて、検証してみる。
④導き出した結論を正確に他人に伝え、納得してもらう。


 まず、①は問題意識を常に持っておくこと、②は情報処理能力を身につけ、具体的な問題を抽象化できること、③は演繹的な思考とデータに基づく帰納的な思考が必要なこと、そして④はコミュニケーション能力を鍛えることです。4年をかけて経済学部で卒業に必要な単位を修得し、この4つを身につけねばなりません。
 このように経済学を学ぶためには、高校で履修するすべての科目の基礎学力が不可欠ですが、以下に数学(および統計学)の基礎的な学力が必要であることを説明します。

2.入学前準備学習 -経済学と数学-

(1)一般に、経済学部は文系学部として位置づけられ、とりわけ私立大学の場合、入試方式によっては、数学を受験科目としなくても、その他の受験科目で合格すれば、入学することができます。また、経済学は高校の授業では『政治・経済』の一部になっており、勉強するにしても、「暗記科目」として教科書や参考書に書かれている内容をそのまま覚えることに終始してきたのではないでしょうか
 もちろん、現実の日本や世界の経済事情や金融・財政・社会保障などに関わるさまざまな制度の基本的な知識については覚えるしかありませんが、経済学は現実に生じているさまざまな経済問題(例えば、不況、貧困、失業、格差、財政危機、金融不安など)の原因やメカニズムを理論モデルや統計データによって論理的・実証的に分析し、そうした諸問題への解決策を考えるうえで重要な役割を果たしています。そのためには、数学的なツールや統計的な処理方法が必要となります。したがって、大学で初歩(入門)レベルの経済学を学ぶうえで数学の基礎的な知識が必要になります

※ 数学が経済学を学習するための基礎科目の一つであることを、岡田章氏(一橋大学教授)は『経済学・経営学のための数学』(東洋経済新報社、2001年)で、つぎのように説明しています。「(経験)科学としての経済学の目的は、経済、企業組織、そしてそれらを構成する人間の意思決定や行動を理解し、その理解に基づいて各人が幸せに生活できる社会の構築に貢献することである。このために、経済学の研究において人間行動、組織、経済の理論モデルを作り、それらを分析することによって得られた命題を経験と観察によってテストする科学的方法が用いられなければならない。その理論モデルの定式化と分析において、数学は必要不可欠である。」(以上、括弧内「はじめに」の要約)

(2)経済学部では1年生の専門基礎科目として、『経済と経済学の基礎A, B』(必修、各4単位)、『経済学のための数学入門A, B』(選択必修、各2単位)、『経済学のための統計学入門A, B』(選択必修、各2単位)、『経済情報処理入門Ⅰ,Ⅱ』(選択必修、各2単位)などがあります。これらは他の専門基礎科目に比べて数学(数Ⅰ、数A)や統計学の基礎的な知識が必要となります。
 そして、専門基礎科目の上に5つのコースがあり、各コースに共通する科目として、『ミクロ経済学Ⅰ,Ⅱ』(各2単位)、『マクロ経済学Ⅰ,Ⅱ』(各2単位)、『経済統計学A, B』(各2単位)、『計量経済学』(2単位)、『経済情報処理』(2単位)、などがあります。これらの科目を学ぶためには、高校2年生までの数学(数Ⅱ、数B)や統計学の知識が必要となる場合があります。そして、さらに上位の専門的な科目を学ぶ場合には、数Ⅲや数C程度の学力も身につけておくことが大切です。
 しかし、経済学の科目すべてを学習するために、数学や統計学が絶対必要と言うわけではありません。経済学の科目のなかには、歴史や思想、そして言語や文化などに関する科目もあります。しかし、そのような科目でも数学に代表されるような論理的な思考力が必要であることは言うまでもありません。逆にまた、理学部や工学部など理系学部では不可欠な高度な数学的知識は、学部レベルの経済学の科目を学習する場合には必要ありません。
 それでは、初歩(入門)レベルの経済学を学ぶために、具体的にどのような数学の基礎的な知識が必要なのでしょうか。ここでは、1年生の必修科目である『経済と経済学の基礎A, B』を例にいくつか示しておきましたので、以下の添付ファイル 【表】初歩(入門)の経済学と数学の基礎的な知識について を参照してください。

(3)さて、数学の知識をある程度身につけておくためには、最初に高校で使った数Ⅰや数A、そして数Ⅱや数Bの教科書や参考書を復習しておくことが必要です。また、経済学に関連する数学を勉強する場合、比較的やさしいテキストとして、西森晃著『これから経済学をまなぶ人のための数学基礎レッスン』(日本経済評論社、2012年)や尾山大輔・安田洋祐著『(改訂版)経済学で出る数学 高校数学からきちんと攻める』(日本評論社、2013年)などがあります。

(4)最後になりますが、高校生の皆さんにも親しみやすいような経済学や統計学に関する初歩(入門)レベルの内容、また、経済とは直接関係のないように思える事柄まで経済学的に分析している本を以下にご紹介します。難しそうというイメージを持たれるかもしれませんが、高校生の皆さんもぜひ挑戦してみてください。また、入学してから経済学の知識が深まり始めたら、あるいは経済学の勉強がつまらないと感じたら、ぜひこれらの本を手にとって読んでみてください。経済学の面白さがわかると思います。


①大竹文雄著『経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには』中公新書 2005年
②堤 未果著『社会の真実の見つけかた』 岩波ジュニア新書 2011年
③神野直彦著『財政のしくみがわかる本』 岩波ジュニア新書 2007年
④入江 昭著『歴史を学ぶということ』 講談社現代新書 2005年
⑤飯田泰之著『考える技術としての統計学』 NHKブックス 2007年
⑥小塩隆士著『高校生のための経済学入門』 ちくま新書 2002年
⑦吉本佳生著『高校生からの経済データ入門』 ちくま新書 2013年
⑧小島寛之著『使える! 確率的思考』 ちくま新書 2005年
⑨加藤久和著『世代間格差』 ちくま新書 2011年
⑩阿部 彩著『弱者の居場所がない社会』 講談社現代新書 2011年
⑪猪木武徳著『戦後世界経済史 自由と平等の視点から』 中公新書 2009年
⑫藻谷浩介著『里山資本主義-日本経済は「安心の原理」で動く-』角川oneテーマ21 2013年



以上