2014.12.18.
【栗田ゼミ】2014夏 農村フィールド調査 inマダガスカル(振り返り)
Looking Back on the Fieldwork
マダガスカルで感じたことは22人それぞれ異なりますが、これから先、一生忘れられない経験をさせていただきました。行く前と帰国後の自分の変化や、これから自分たちはマダガスカルとどう向き合っていくのかを考え、私たちとマダガスカルをつなぎ続けていくことが実際に目で見たからこそできる、そしてするべきことだと思っています。
事前事後 Overall
中島 謙太
「貧困問題を解決したい」
そんな気持ちで、マダガスカルをただ調査対象貧困地域と考えていました。しかし、現地調査で、たくさんマダガスカルの人と接し、帰国することで、
「マダガスカルで出会った人を幸せにしたい」と思うようになりました。本来の趣旨と違うのではないか、と思われるかもしれませんが、そうではありません。出会った人を幸せにする。それが貧困問題を解決する1番の近道だと私は信じています。この1年、私たちが勉強してきたすべてをマダガスカルへの政策に詰め込み私たちの思い、届け!!
松下 実加
いつも自分たちだけが頑張っているように思っていました。しかし実際マダガスカルに行くと、1人ではなにもできなくて、たくさんの人に支えられてこの研究ができているのだと感じました。調査の協力をしてくださったJICAをはじめ現地の方々、行くにあたって手続きをしてくださった事務室の方々。多くの人達の協力、支えがあったからマダガスカルで調査することができたことに行ってから気づかされました。日本で生活していたらあまり感じないけれど、いつも誰かに支えられながら生きていることを強く感じました。
加茂田 知沙
私にとってマダガスカルは初めての途上国でした。前日までは楽しみにしていたけれど、当日いざ家を出るとなると不安で行きたくないと思ったことをよく覚えています。マダガスカルに着いてみると、都市部ではお金をせがむたくさんの人々や、子どもがさらに小さい子どもをおんぶしている光景など、日本では絶対に見られないようなものを目にしました。しかし、農村では貧しいにも関わらず、毎日家族と幸せそうに暮らしているたくさんの人々と出会いました。なんでこの人たちの笑顔はこんなにキラキラしているのだろう、と思いました。そんな彼らと触れ合っていく中で、彼らは小さな幸せを十分に感じられているのだと思いました。私たちは毎日十分なご飯があり、綺麗な水が飲めて、安全な家があって不自由のない暮らしをしています。それは決して当たり前のことではないのに、当たり前だと思っていた自分に気づきました。彼らが厳しい生活の中でもキラキラして生きているのを直接見て、わたしは生きているだけでも幸せだと感じられるようになりました。言葉が通じなくても一緒に遊んで笑顔になれて、それがとても幸せでした。日本に帰ってきて違和感のようなものを感じることがあります。ニュースで平凡のようなことが報道されていること、街中で人々が自分の荷物や身に注意をしていないこと、毎日必死で生きてないこと、家族を大切にしていないこと、ご飯を残したり捨てたりすること、一人でも生きていけると思っていること。日本にいては気づけなかったことをマダガスカルが教えてくれたように思います。
マダガスカルで見たものと自分 Reflection on Experiences
中野 悟史
貧困率80%というマダガスカルの現状というのは絶望ともいえるものでした。それは貧困脱却を目的として、何か月も準備をして臨んだ調査の意味を疑ってしまうのに十分なほどで、そのようなどうしようもない無力感、その中で効率よくデータを収集しなくてはならないというもどかしさの中で揺れる20日間でした。しかし、マダガスカルで出会った人達は貴重なデータであるとともに、紛れもなく繫がりを持った人でもあることも事実です。今はテレビでマダガスカルのリゾート地をみても、電気も水道も無い農村を、字の読めない底抜けに明るい子供達を思い出します。今後、私たちはそれを人に伝えていかなくてはならないし、質の高い論文を書き、多くの人の目に入るようにしなくてはなりません。それが現状を見た者としての責任ではないでしょうか。
向井 志礼
実際に現地に行く前のマダガスカルのイメージは、出国前に先生から聞いた「世界最貧国」でした。私は課外活動で行っていたボランティア活動を通して、途上国を何国か(アジア圏)訪れていたために、ある程度のイメージはできていました。しかし、アフリカ圏のマダガスカルに実際に訪れ調査を行う中で、貧しさの度合いが、私の見てきたものをはるかに越えるものだと実感しました。生活インフラ、教育、食べ物と、実際に訪れないと私たち日本人には到底想像できない「貧しさ」がそこにはありました。滞在中、この現状を私たちが学ぶ学問で解決できないと絶望感を覚えました。しかし、たとえ解決できなくても、私たちが今、この現状をデータとして、そして論文として世に広めることで将来的に必ずマダガスカルの現状を変える大きな要素の一つになり得ると確信しています。だからこそ、これからもこの現状を私たちがあらゆる形で発信していく必要があると考えています。
照沼 あかり
マダガスカルに行く前の私は、日本に住んでいる私たちと、途上国と呼ばれる国で暮らす人々は「違う」と思っていました。実際に、私はマダガスカルで、お金がなくて学校にいけない、病気の治療が受けられない人々、都市でのたくさんの物乞いやスリなど、日本とは全く違う貧困の現実を目にしました。しかしその一方で、私たちが調査で出会った人たちの笑顔は本当に素敵で、家族が大事で、友達と遊ぶのが楽しくて、そういうところは日本に住んでいる私たちと何も変わりませんでした。「同じ」人間なのに、私たちとは全く違う貧困の中で生きている人たちを見て、私たちにできることは何だろうかと考えたとき、自分たちが今学んでいる開発経済学をいかして貧困削減のためのアプローチを行うことはもちろん、Book For Childrenの活動など、実際にマダガスカルを訪れた私たちにしかできないものをマダガスカルの人たちに届けることだと思います。そして今、マダガスカルで生きる人たちのことを忘れてはいけない、自分が今暮らしている環境、関わってくれている人たちに感謝しなくてはいけないと強く感じています。
高濱 翔平
車を運転しないのでわからないのですが、日本で車を6時間走らせれば西宮から名古屋くらいまでは行けると思います。それくらいの距離しか離れていないのに、調査地は首都と同じ国にあるとは思えないくらい発展が遅れていました。首都から来た現地学生たちも初見で驚いていたように見えました。
途上国に行くといつも自分のできることが限られていることを痛感します。今の自分には調査地の村のひとつでさえ変えることは難しいことです。自分が途上国に限らず必要とされる人間になるには専門性も技術も経験もすべてレベルアップさせなくてはいけません。加えて、それを形にする力がいります。大学での生活は1年と短くなってきてはいますが、できることから行動に移して自分を磨いていきたいです。