2014.12.10.
【栗田ゼミ】2014夏 農村フィールド調査 inマダガスカル(農村調査)

Fieldwork

 三週間の滞在の間に、13の村に訪れ、アンケート形式で農村調査を行いました。農村に暮らす方々は、突然の訪問でも快く調査を引き受けてくださり、人の温かさや笑顔の素敵さに気づかされた農村調査でした。この体験が、私たちが論文を書くときのモチベーションになり、帰国した今でも、そしてこれからもずっと忘れられない笑顔にたくさん出会うことができました。

川戸 翔吾

全ゼミ生にとって農村調査を行うのは初めての経験。どれほどの体力が必要なのかその時は検討もつきませんでした。先ず私たちは、農村調査をする前に現地の大学生でもある通訳の方々との打ち合わせを行いました。通訳の人たちは、とにかく名前を覚えてくれるのが早く、とても溶け込みやすい環境を作ってくれました。
調査序盤では、意思の疎通や考え方の違いにより上手くいかないこともありましたが、次第に彼らも要領をつかんでくれて、スムーズに楽しく調査を行うことができました。正直なところ、体育会の合宿のようなタフさを要する調査だったように思います。でも、いつも精力的に協力してくれる通訳を思うと、タフなものもそう感じなくさせてくれました。たまたま、私のパートナーは元々あまり体が強くない方で、昼食時に軽い失神を起こしてしまったことがありました。誰が見ても、午後からは一緒に行けないだろうと、私は違う班に同伴する準備をしていました。しかし、彼女が私と一緒に調査に同伴したいという強い意思のもと続行して調査を行っているとき、とても嬉しかったことを覚えています。
また尋ねる世帯からの力もとても大きいものでした。農村の人たちは、見ず知らずの国から来た私たちのインタビューを快く受け入れてくれました。そこで私たちが得たリターンが、想像以上であったことは間違いありません。実際に目で見て感じたことが言い表せないほどある中で、私たちの考える当たり前のことが、当たり前ではない環境が本当に存在すること。この経験が将来に役立つことは間違いないという確信の持てる夏休み農村調査でした。

川戸 翔吾さん

能登谷 俊紀

「笑顔」・「団結力」・「期待」。その先にあったものとは?
調査が始まると、私は快適な暮らしには必要だと感じるあらゆるモノが欠けていることを感じ、調査が進むにつれて貧困の深刻さをひしひしと感じていました。厳しい生活環境を見続けることに辛くなり、早く帰りたいと思ったこともありました。しかし、結果的に私は休むことなく調査し続けていました。ある3つの要素が私を支えていました。
調査のお礼として日本のお土産を渡したときや会話の途中で見せる「笑顔」。初めは帰りたがっていたが、栗田ゼミの真剣さから貧困脱却に向けた活動に理解を示した通訳との「団結力」。そして私たちが調査を通じて集めたデータが貧困脱却に貢献してくれるという農村の人々の「期待」。この3点は調査において私を全力疾走させる原動力でした。調査に全力で向き合う姿勢を感じてもらえたのか、ある世帯ではご飯を作っていただき、ある村では祭りに誘われ、お邪魔させていただきました。目の前のことに全力で向き合うことで新たな価値が誕生することを学びました。
「当たり前」が「当たり前ではない」環境へ実際に行くことで得られる多くの気づき。ここが栗田ゼミの強みであり、私たちが成長できる点だと感じます。

能登谷 俊紀さん

松尾 美由貴

「貧困率80%」 マダガスカルを訪れる前、この数値は未知の世界であり人々がどのような生活をしているのか全く想像がつきませんでした。
農村調査は現地の大学生に通訳を協力してもらい、3地域13村500以上の世帯を10日間ほどかけて行われました。精神的にも体力的にも本当に過酷な調査でした。訪れた村は、電気や水道などの公共サービスが未整備であったり食べ物を十分確保することができなかったりと非常に劣悪なものでした。これが私の見たマダガスカルの現状でした。しかし明日何が起こるか分からない状況であるにも関わらず、マダガスカルの人々の顔にはいつも笑みが広がっていました。その表情は、家族や友人と過ごせる時間が彼らにとってかけがえのない幸せであることを物語っているように感じました。
「このような貧困下で暮らす人々に自分は何が出来るのだろう」調査中ずっと問い続けてきた課題ですが、帰国後も未だ解決していません。「自分の目で見て感じたマダガスカルの実態を一人でも多くの人に知ってもらいたい」私たちの果たすべき役割はそこにあるのではないか、と農村調査を通じて強く感じました。

松尾 美由貴さん