2018.02.23.
【栗田ゼミ】2017夏 農村フィールド調査 in マダガスカル(論文作成)

Thesis Writing and Document Analysis

 帰国後はすぐに論文作成に取り掛かりました。調査で収集したデータを整理し、分析を行いましたが、各班上手くいかず息詰まることが多々ありました。しかし、そんな時に思い出したのは現地で出会った方たちの笑顔やみんなで夜眺めた満点の星空などの風景でした。多くの方たちの出会いと支えがあり、論文を作成することができているということを改めて感じ、少ない時間の中で最後まで全力で論文作成に取り組むことができました。

上村 光

「現地の人々の顔が見えているか」
 私はマダガスカルの稲作と村内ネットワークについて研究しました。研究テーマを決める前に、先人たちの研究を読み、どのような研究が未だなされていないのかを把握します。私はどの研究者の論文を読んでも、全く調査地域の人たちの顔が見えず、現地がどれほど深刻な状況なのかもわからないということに歯がゆい思いをしていました。「現地の人たちの顔が見える論文はほとんどない。そのような状況を書く目的では書かれていないから。けれども、そんな論文では共感は得られない。」と考えていました。
 調査では、現地の人々と話し、また日本では考えられなかった厳しい状況に出会うことがありました。日本では考えていなかった状況を目の前に、読み手にきちんと伝えなければいけないと思いました。
 帰国後、私たちは論文大会に参加するために、3週間で論文を作成しなければなりませんでした。調査で集めたデータを整理し、分析結果が出ず、またデータ整理の繰り返しを行いました。分析結果が出たのは5日前で、先生や他の班の人たちの助けによって、なんとか大会に提出することができました。
 私たちの論文は未だ完成したとは思っていません。論文大会で指摘された点や文章を現在も適宜修正しています。現地の人々の顔が見える論文を目指して。最後に、本研究で提言した政策が少しでもマダガスカルの農業の発展の一助になることを祈っています。

上村 光くん

黒石 健太朗

 私たちは帰国後、論文大会が控えていたこともあり、約3週間で論文を書き上げなければなりませんでした。しかしその過程では、マダガスカル農村で取得したデータを分析できるような形に整理するところから始まり、分析においても、分析手法の理解に時間がかかったり、思うような分析結果がなかなか出なかったりと、想像していた以上に大変な道のりが待っていました。また、今回の論文作成は1人での作成ではなく「健康班」という1つの研究チームとしての作成だったため、班の中で意見が割れ、うまく進まないことも度々ありました。それでも根気強く論文作成を進めた結果、最終的には完成が予定より遅れてしまったとはいえ、何とか論文を書き上げることができました。出国前から多くの時間をかけて準備してきたことが、やっと目に見える形の1つとして表現することができたのだと思うと、本当に嬉しかったです。そして願わくは、私たちの論文が、健康に苦しむ現地の貧困層の人たちを救うことができる手助けとなればと思います。
 しかしこうして私たちが論文を作成することができた背景には、サポートしてくれた数多くの人の存在があります。長期間の海外渡航の費用を負担してくれた両親、ゼミのみんな、先生、調査を引き受けていただいた方、現地の通訳学生などなど。彼らがいなければ、サポートしてくれることがなければ、論文のデータとなる調査もできなかったでしょうし、決して論文を完成することなどできなかったと思います。本当に彼らには感謝しかないです。ありがとうございました。今後、この素晴らしい経験と出会いを必ず生かしていきたいと思います。

黒石 健太朗さん

岩田 結

 私はマダガスカルの教育について研究を行いました。日本での事前準備を行う際に、約100本の論文を読み込み、発展途上国についての知識を叩き込みました。しかし、いざ現地を訪れ、調査を進める中で、日本で勉強したこととは異なることが多くあり、実際に自分の目で見て学ぶことの大切さを感じました。マダガスカルで研究の一環で小学校を訪ねることがあり、教師の方や子どもたちに話を聞く機会がありました。教育の現状として子どもたちの学習機会が少なく、教師や親がそれをカバーすることが難しいという現状がありました。私たちが作成した教材を渡すととても喜んでいただけて、そのときの教師の方々と子どもたちの笑顔は一生忘れません。
 日本に帰国後はすぐに論文作成に取り掛かりました。収集した調査データを分析する作業があるのですが、論文提出前日まで上手くいかず、半べそをかきながら取り組みました。また、論文執筆の時間が非常に短かったため、朝から夜中まで班のメンバーと集まって頬をつねりあいながら執筆を行いました。
 論文を執筆する中で学んだことがあります。論文は私たちがマダガスカルで感じた思いを感情的に書いてはいけません。しかし、現地で出会った人たちのことを考え、その人たちのことを想わなければ書けないものでもあるということを学びました。それに気づいてから、執筆中には自然と班のメンバーの中でそれぞれが感じた思いやエピソードを共有するようになりました。実際に現地を訪れたからわかったことを知らない人たちに伝えたい、そしてマダガスカルのお世話になった人たちに感謝の気持ちを論文で表したい、その一心で執筆を行いました。
 論文という一つのものを作り上げるのに仲間とのぶつかり合いだけでなく、多くの方たちとの出会いや支え、結びつきがあるということを心と体で知ることができました。この結びつきをここで終わらせず次へとつないでいくことが私たちのするべきことであると考えます。

岩田 結さん