2019.07.15.
【原田ゼミ】3年生の京都合宿の報告

はじめに

中山由梨

   1泊2日で、京都でゼミ合宿をした。京都大学の竹澤祐丈ゼミとの合同ゼミ・合同コンパと文化財・世界遺産の調査とが目的であった。1日め、初めての京都大学にドキドキしつつ京大のシンボルの「時計台」で現地集合し、その前で写真を撮った。その後、教室に移り、緊張しながら自己紹介をして、すぐに私達からプレゼンした。初めてのことで反省すべき点はあったが、何とか発表することができた。次は竹澤ゼミの発表で、私達にも分かりやすく、学ぶ点も多く、知識を自身のものにしている発表に感動した。合同ゼミのあと、両ゼミの合同コンパで広く話すことができ、親睦を深めた。2日めは、ふた手に分かれて、二条城と比叡山延暦寺を調査した。
 下は京大「時計台」前での記念撮影。

京大「時計台」前での記念撮影

I 京都大学での竹澤ゼミとの合同ゼミと合同コンパについて

1.合同ゼミ

李映真

合同セミナー案内

①原田ゼミの報告

 「フリードリヒ・リストの経済思想とその現代的意味」というテーマで報告した。
 後発資本主義国であったドイツが発展していくためにリストがどのような論理を主張したか、そして、その現代的な意味について考察するものである。リストの思想を明らかにするとともに、著作『政治経済学の国民的体系』、「農地制度論」との関連で当時のドイツがどう変化していったのかについても探っていく。
 構成は、「はじめに」、「スミス以降における保護貿易理論の確立とその意味」、「人的資本・知的資本および制度的な資本の概念の導入」、「広域での経済的統合から政治的統合への構想」、「まとめ」である。そして、現代のEUの成立過程やギリシャの経済危機にも注目し、リストの経済思想と現代的意味について考察した。

リストの経済思想とその現代的意味
原田ゼミの報告

②竹澤ゼミの報告

 竹澤ゼミからは、「アダム・スミスの同感論」というテーマで、スミス『道徳感情論』(初版、1759年)の研究として、以下の内容の報告がなされた。
 最初に、人々が他人から「同感」を得るための「適切性」の判断基準について、またそのプロセスで「想像力」が重要であることについて、説明された。つまり、「観察者」が当事者の境遇を知り、「想像力」によって生まれる感情が当事者と一致することが「同感」である。
 ただし、人々は、称賛を得るために、気付かれにくい「徳への道」より、財産や地位、富などの多くの人の目を引く「財産への道」を目指すようになり、そのために徳への道を放棄し、「道徳感情の腐敗」が起こる。こうした虚栄心にともなう道徳的腐敗の問題を抑制するためには「公平な観察者」(「公正な観察者」とも言う)による均衡のとれた自己評価が必要とされ、『道徳感情論』改版も視野に入れつつ、「公平な観察者」をめぐる「世間の声」「公平な観察者」「神の声」という下からの「階層化」がなされた、と考えられる。

竹澤ゼミの報告

 下は竹澤ゼミのプレゼン後の集合写真人々は、称賛を得るために、気付かれにくい「徳への道」より、財産や地位、富などの多くの人の目を引く「財産への道」を目指すようになり、そのために徳への道を放棄し、「道徳感情の腐敗」が起こる。こうした虚栄心にともなう道徳的腐敗の問題を抑制するためには「公平な観察者」(「公正な観察者」とも言う)による均衡のとれた自己評価が必要とされ、『道徳感情論』改版も視野に入れつつ、「公平な観察者」をめぐる「世間の声」「公平な観察者」「神の声」という下からの「階層化」がなされた、と考えられる。

竹澤ゼミのプレゼン後の集合写真

2.合同コンパ

関屋義登

   合同ゼミ後、京大周辺(百万遍)で竹澤ゼミと合同ゼミコンパを行った。鳥の全身食べ尽くしコースというコースらしく、焼き鳥の各部位が順番に運ばれた。料理も終盤になるにつれ、竹澤ゼミ生と原田ゼミ生との会話も盛り上がりを見せ、私自身も京都大学の留学生である女性と熱く話した。今回の合同ゼミで、私たち自身もたくさんの改善点を発見できたが、コンパを通じてまた討論とは違った空気でお互いの研究内容、プライベートの話などができ、本当に有意義な時間となった。今回の合同ゼミをこれからの論文に活かせるよう、日々の学習に取り組みたいと思う。

竹澤先生のご挨拶

竹澤先生のご挨拶

アジア映画のワンシーンか ^^?

アジア映画のワンシーンか ^^?

II 文化財・世界遺産の調査

1.二条城

苗木雄貴

   京都での文化財調査として、二条城に訪問した。二条城は全域が世界文化遺産及び史跡に指定されており、なかでも二の丸御殿は国宝に指定されている。二条城は徳川家康が京都御所の守護、将軍上洛の際の宿泊施設として築城した(1603年に完成)。幕末期に徳川慶喜によって、大政奉還が行われた場所として、非常に有名な場所である。日本が近代社会へと変化していく起点となった場所であるのにふさわしい威厳をもっていたように感じた。

二条城の門

二条城の門

雨に濡れる二条城(左下に注目^^)

雨に濡れる二条城(左下に注目^^)

2.比叡山延暦寺

李映真

   日本仏教の母山である比叡山延暦寺を訪ねた。比叡山延暦寺は日本仏教各宗派の祖師高僧を排出したところであり、そのため母山と呼ばれる。比叡山は東塔・西塔・横川地域に分けることができるが、今回は天候不順により東塔地域のみを巡った。東塔地域には日本国宝の根本中堂がある。この根本中堂は788年伝教大師により創建され、1571年に織田信長の焼き討ちにより焼失したが、1642年の徳川家光により再興された歴史がある。焼き討ちにされた理由としては、比叡山延暦寺は戦国時代に、数千人の僧兵をもったひとつの武装勢力として、織田信長と戦ったからである。そして、一向一揆(15~16世紀)を起こした浄土真宗とも関係があり、当時の社会に大きな影響力を与えたことも、特記すべきである。

比叡山延暦寺(東塔)の戒檀院

比叡山延暦寺(東塔)の戒檀院

比叡山延暦寺(東塔)の阿弥陀堂

比叡山延暦寺(東塔)の阿弥陀堂

まとめ

李映真

   今回、京都大学経済学部の「社会思想史」竹澤ゼミとの合同ゼミを通じて、次のステップに向かうために重要な刺激を得ることができた。また、コンパでは学術的および日常的な話などで盛り上がり両ゼミの絆を深めることができ、嬉しかった。その他、「文化と社会の経済学」の点でも、文化財の現地調査を通じて日本の文化・歴史を学ぶことができた。教室での勉強とは違う実際の文化財などを見て体を動かしながら学ぶのはとても新鮮であった。
 最後に、様々な準備をしてくださった竹澤祐丈先生と竹澤ゼミの皆さんに、お礼を申したい。
 以上、ご精読ありがとうございました。

フリードリヒ・リストのイラスト(猪熊日和)

フリードリヒ・リストのイラスト(猪熊日和)