2024.10.21.
「われら関学経済人」
今井 ちひろ さん

【卒業年月(学部)】2018年3月
【卒業年月(研究科)】 2020年3月
【名前】 今井 ちひろ(イマイ チヒロ)
【出身高校名】関西学院千里国際高等部
【研究演習名(研究科)】東田 啓作 ゼミ
【勤務先】 株式会社 ARISE analytics
【仕事内容】ARISE analyticsはKDDIとアクセンチュアのジョイントベンチャーで、私はデータサイエンティストとしてKDDIの事業に対するデータドリブン化及びDX化の推進を行っています。具体的にはQR決済サービスの利用促進や、通信サービスの解約抑止といったマーケティング支援に携わっており、チームを率いるマネージャー職も務めています。
※ 本ページの内容は2024年10月現在のものです。
学生時代について
どのようなことを目指して大学院進学を決めましたか?
自分の研究が社会課題の解決に繋がり社会を良くすることに貢献したいと考え、進学を決めました。
経済学研究科ではどんな大学院生でしたか?また大学院ではどのようなことを専門的に学びましたか?学部時代との違いを教えてください。
学会や研究会など研究発表ができる機会があれば率先してチャレンジしていました。また、応用ミクロ経済学・環境資源経済学が専門の研究室に所属していましたが、専門分野に限らず、幅広い分野の授業に参加しました。大学院は少人数制の授業が多いので、学部時代の授業のように受け身ではなく、先生と議論をしながら主体的に学ぶことができ、日々成長を実感しました。
これをやっていてよかった or もっとやっておけばよかったと思うことはありますか?
修士課程では多くの場合M2以降に論文を本格的に執筆するのですが、私はM1の内に研究方針を固めM2の春には大枠の論文を書き上げ、早い段階で一通りの研究を終えたことで自分が何に関心を持ちどんなことにチャレンジしたいのかという、その先のキャリアの軸になるものができていました。実際には先行研究調査や論文の下準備に加え、M1は授業の数が多いのでとても大変でしたが、キャリアを考える上で早くから努力していてよかったです。
指導教員の先生との思い出深いエピソードがあれば教えてください。
大学院に進学したいと相談した際、私は学部3年生になっても1年生の基礎科目(ミクロ経済学)を再履修しているような学生だったので、とても驚かれたことですね。しかし、進学して成し遂げたいことを伝えた後は入試対策など熱心に協力いただき、大変感謝しています。
就職活動について
どういった業界・企業・職種を目指して、就職活動をしていましたか?
データサイエンティスト職に限定して就職活動をしました。
就職活動では大学院でのどのような経験・研究活動をアピールしていましたか?
どうしてその研究に取り組んだのかという熱意と、研究する過程で何に苦労したのかをアピールしました。具体的なエピソードとしては、私は高齢化社会における交通事故の発生要因分析というテーマで、交通事故データと周辺の人口密度や商業施設の有無といった地理データを用いて、どのような場所で事故が起こりやすいのかを統計的手法で予測する研究をしていました。自分の祖父母が運転の必要な地域に暮らしていることもあり、自分の研究によって社会課題の解決に貢献したいと考え取り組みました。また、研究の過程ではデータを分析に使える形に加工し直す作業が途方もなく大変でしたが、成果のために泥臭い作業も乗り越えました。
現在、就職している企業に入社を決めた理由は何ですか?
ARISE analyticsはアナリティクスによってビジネスと社会を良くすることを掲げており、私が大学院で成し遂げたいと思っていた「自分の取り組みによって社会を良くすること」が実現できると思いました。また、データサイエンティストと一言で言っても、その仕事内容は企業によって様々です。ARISE analyticsは分析して終わりではなく分析結果をどのように活用して解決に繋げるか、クライアントに寄り添い解決まで伴走することを大切にしており、そこが良いと思いました。
データアナリストやデータサイエンティストに興味を抱いたのはなぜですか?
大学院生の頃に情報処理の授業補佐をしていた際、先生がその日の講義内容はデータサイエンティストという職業の仕事内容に近いという話をされていました。たしかExcelでデータ分析をして示唆出しをするという内容だったと思うのですが、その内容がおもしろく印象に残っていました。
データアナリストやデータサイエンティストを目指し始めたのは、いつ頃ですか?
自分の取り組みによって社会を良くしたいと考え研究に取り組んでいましたが、アカデミアではスピード感に限界があると感じM2の時に就職しようと考えました。研究ではデータを統計的に分析することで傾向が見えてきて、人間の勘や経験だけに頼らずデータドリブンに意思決定をすることで社会課題の解決に繋げられるのではないかと考え、それがまさにデータサイエンティストの仕事でした。そのため就職を考えたM2からデータサイエンティストを目指しました。
大学院生が就職活動を行うにあたってのアドバイスはありますか?
学部生の就活とは異なり、何を目的に大学院に進学し何を取り組んだのか?という点を問われ、主体性を強く求められます。一方で、大学院では必然的に自分で考えて進めることが求められるので、自然と主体的に考える力が身に付きます。他の人には負けない自分の強みになると思います。
修了後の社会人生活について
これまでどのような業務に携わってこられましたか?
入社から3年間はQR決済サービスの利用促進を目的としたプロジェクトに携わり、KPI設計とモニタリング環境構築、サービス利用ログや顧客属性データの分析による顧客理解と課題定義、キャンペーン/配信/アプリUIUX等の効果検証によるパーソナライズ化を行いました。その後はモバイルやWi-fiといった通信サービスの解約抑止プロジェクトで、顧客の解約やプラン変更を予測する機械学習モデルの開発や架電/DM施策の訴求最適化を行い、どちらのプロジェクトでも一貫してクライアントが業務をデータドリブンな意思決定に基づいて実行できるよう支援しました。担当業務としては、1~2年目はアナリストとしてコーディングを担当し3年目はサブリーダーとしてクライアント相対を担当、4年目以降はプロジェクトマネージャーとしてプロジェクト推進と拡大を担当しています。
就職してみて大学院を出ていたからこそ良かったことや活かせているスキル・専門性はありますか?
大学院では主体的に考えて課題解決に導く力が身に付いたのですが、就職してから特に役立ちました。仕事において、決められたことをやる、与えられたことをやる、というスタンスでは大きな成果は生まれません。自ら率先して考え抜くことで期待値以上の成果を出し、活躍することができたと思っています。
これから経済学研究科を目指す人へのメッセージ
大学院では想像以上にたくさん勉強することが求められます。しかし、思いっきり勉強してとことん研究に向き合うという経験は、何事にも代え難く、その後の人生においても飛躍する土台になります。困難を乗り越えても今見えない世界を見えるようになりたいと思う人は、ぜひ経済学研究科にチャレンジしてほしいと思います。