授業では、皆で選んだ本をじっくり読み進め、自分の考えを発表したり意見交換したりします。
最初に読む本は決まっていて、有江大介の『反・経済学入門：経済学は生き残れるか』（創風社、2019）です。この本はNくん曰く「聖書」で、久保ゼミの根っこの考えになっています。
その本から私の好きな文章を少し載せます。

“一言で言えば、経済学は役に立たないと思われるか、信用されていないのです。むしろ、アカデミズムの外側、世間一般では経済学は一貫して“金儲けの学問”と思われているのではないでしょうか。そして、それは市場システムによって構成されている資本主義(Capitalism) と呼ばれる社会の動きを分析する学問である経済学が、眼の前の社会を数式や理論によって分析しようとするとき前提としているのは、社会を構成する人間は、無限の欲望を持ち、最小の労力や費用でできる限り大きな成果や収入を得ようと"合理的"に行動する「経済人」（homo economics）です。言いかえれば、自分のことしか考えない"我利我利亡者”です。ですから、経済学はその出発点から“罰当たり”なわけです。”

私たちは、我利我利亡者ではありません。人のために、自分をなげうつ事だってあります。お金を稼ぐための労働で、喜びを感じることもあります。なんであんな事しちゃったんだろうって、自分でも自分がよく分からなくなるややこしい生き物です。では、経済学はやはり無意味な学問なのでしょうか？
そんな事を、深く考えられるゼミです。皆で意見を出し合って、新しい価値観に出会ったり、久保先生が事例を出してきたり、面白いですよ。