[ 生命環境学部 ]学部長メッセージ

藤原 伸介

藤原 伸介 (ふじわら しんすけ) 教授

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広島大学大学院生物圏科学研究科を修了。学術博士。
民間企業勤務後、イリノイ大学医学部研究員(免疫微生物学)などを経て、2002年に関西学院大学に奉職。
専門は微生物生化学、特殊環境微生物学、生物工学。

「まず探すものを見つけよう」

2021年4月私たちはついに第1期生の皆さんを迎えることができました。関西学院大学は130年近い歴史を持つ古い大学ですが、生命環境学部は生まれたての学部です。
みなさんは入学式の会場の風景を覚えているでしょうか。あの建物は総合体育館で、たくさんのパイプイスが並んでいたことや座席に緑色のシートがしかれていることは記憶にあると思いますが、壇上でお話をした方のお名前を憶えていますでしょうか。また、壇上には何名が座っていたでしょうか。
答えられる人は少ないと思います。なぜでしょうか?それは最初に探すものを意識していないからです。探すものを知っているとすぐに見つかります。皆さんも生命環境学部で何を探すかを考えてみてください。

大学生活における探しものは目標です。最初に目標が決まると、何をしなければならないかが具体的に見えてきます。反対に目標を決めないと、4年間過ごして何も得られなかったことになります。実現不可能な目標は意味がありません。例えば、どんなにがんばってもエヴァンゲリオンにはなれないでしょう。実現できそうな目標をたててみましょう。英検1級とか、大学の成績で学年の上位5%に入るとかいかがでしょう。大学院に進んで世界で活躍するウイルス研究者になるのも面白いかもしれません。
次に、その目標をどうやって達成するかも考えてみてください。4年間で達成するのに、2年生のときにどこまでできていないといけないのか考えてみてください。これを中期目標と言います。また、1年生の終わるときの達成目標も、具体的に考えてみましょう。

次に、周りのひとに宣言してみてください。大ボラをふいてみましょう。笑われても構いません。笑われることで後に引けなくなります。ただ、正しいやり方を行えば、大抵のことは実現できます。もうひとつ大事なことは、最初の一歩を踏み出すことです。「千里の行も足下から」という老子の言葉があります。最初の第一歩を踏み出さないといつまで経っても千里離れたところには行けないという意味です。

わたしも目標を立てようと思います。この4年間で、この学部を日本で最も評価される生命系の学部にします。この実現のためには皆さんの協力が必要です。私達は今日の学部開設を目指して4年前から準備を始めてきました。環境、食糧、健康問題の解決が目標です。特にこれからの持続可能な社会の実現に必要な知識とは何か?解決しなければならない課題は何か?生み出さなければならない新しい技術は何か?これらを意識して、体系的に学べるカリキュラムとは何か。かなり思い切った改革もしました。英語の先生はほとんどがネイティブです。英語の授業では英語を使わないと質問もできません。KSC分野横断プログラムも設けました。生命環境学部にいながら他学部、他学科の専門分野が体系的に学べます。大学の外で学ぶ科目、いわゆるProject Based Learning(PBL)科目も用意しています。コロナ禍ですが、オンラインの国際交流科目も開講し、来年の3月にはコロナ終息を想定して、バリ島での熱帯生物学や台湾での地層学習も準備しています。

一つの学部で3種類の学位(理学、工学、生命医科学)が取得できる大学は、関学の生命環境学部だけです。新しいカリキュラムには、少しぐらい不完全なところもあるかもしれません。
しかしながら、第3学年を終える頃には、皆さんは研究者、技術者、もしかすると経営者の卵になっていることを確信しています。皆さんは入学するために必死で受験勉強したと思います。その努力は、これから生命環境学部で学ぶうえでさっそく役立つはずです。大学の講義スタイルは高校までと大きく異なります。できるだけ先生の説明を自分の言葉でノートに書き留めてください。わからなかったことはすぐに調べて整理しておくと良いでしょう。このノートは自分の弱点が整理された宝物となるはずです。

みなさんが在学中に神戸三田キャンパスの風景も変わっていきます。2021年秋から新しい教室がはいる建物の建設も始まります。国際的な学生寮が建設も進んでいきます。私の願いは、皆さんが新しいカリキュラムや教育インフラを活かして10年後、20年後にリーダーになって世界中で活躍してくれることです。私達の生命環境学部の評価が問われるのは、入試偏差値や入試制度の形態ではなく、みなさんが社会に出てどのような活躍をするかだと思っています。生命環境学部には聖句があります。「探しなさい。そうすれば見つかる。」これはマタイの福音書の7節にある教えです。聖書の中では探すものはイエスであり、真理であると言われています。皆さんも自分の探すものを考えてみてください。その探すものが多くの人の幸せにつがるものであれば、日々の努力が「Mastery for Service」、つまり「奉仕のための練達」になります。一緒にがんばりましょう。皆さんならできます!