Bコース(榎本 庸男先生)講座紹介

ヨーロッパの哲学は歴史や社会をどうとらえてきたか

                  

【担当講師】 榎本 庸男関西学院大学名誉教授・元文学部教授

講義概要

歴史は過去の事実の単なる集積なのでしょうか、歴史には始まりや終わりはあるのでしょうか。またわれわれの社会は歴史的な変化を蒙っていますが、それはよい方向への変化なのでしょうか。

講義のポイント

歴史が過去の出来事によって成立するなら、わたしが昨日、鍵を忘れて散歩に出たことは歴史なので
しょうか。歴史というと過去から未来に向かって伸びる矢印のようなイメージを持ちますが、このイメージには根拠があるのでしょうか。国家や共同体は複数の人間から成り立ちます。それなら個人が先で共同体が後なのでしょうか。それとも共同体に属してこそ人間は人間であり、共同体が先で個人が後なのでしょうか。 

2025年度前期 K.G.ライフワークスクール パンフレット

受講料・定員

〇受講料/17,800円(卒業生16,400円) 〇定員/30名 

各回の講義予定

開催場所:大阪梅田キャンパス

日程      時間 講座内容
1 5/28(水)    15:10

16:40
古代の歴史観         

古代では恒常不変で普遍的なものが重んじられていました。それに対し歴史は時間の内で変化する人為を対象としており、ある意味で軽んじられていたと言えます。ではそこでヘロドトスやトゥキディデスはどのような意図を持って歴史を書いたのでしょうか。                         

2 6/04(水) 目的論的歴史観の発展 歴史を始まりから終わりに向かうプロセスと捉え、歴史に重い意味を与えたのはキリスト教です。ヘーゲルもそのような目的論的な歴史観を受け継ぎ、自らの哲学を精神の発展の内に位置づけます。また彼は、歴史を手がかりにカント哲学を克服しようとします。
3 6/11(水) ヘーゲルの歴史観に対する批判 歴史の始まりや終わりや目的は誰にも経験できないものであり、単なるフィクションであるとも言えます。そうだとすると、歴史は単なる事実の寄せ集めということになるのでしょうか。そうだとすると歴史には何の意味もないということになるのでしょうか。
4 6/18(水) 古代の人々にとってのポリス              古代の人々は、自分がポリス(アテネやスパルタといった都市国家)の成員であることに誇りを持ち、ポリスとの一体感を持っていたようです。哲学者の多くもまたその一体感に根ざした理論を展開します。ではなぜそれほどまでにポリスが重要だったのでしょう。
5 6/25(水) 近代の契約国家 ホッブスやロックやルソーは、個人が集まり何らかの契約を相互に結ぶことで国家が成立したと考えます。しかも三者三様の、それぞれ全く異なった国家像を提示します。彼らの違いは、時代背景やそれぞれの政治的社会的立場に由来するのでしょうか。
6 7/02(水) ヘーゲルの市民社会論 ヘーゲルは契約国家をまやかしと考えます。そのまやかしを端的に示すのが近代市民社会であり、そこで生じる問題です。近代市民社会は自由の進歩において重要な階梯ではあるものの、本質的な難点を抱えており、それを自律的に克服することはできないのです。
7 7/09(水) ヘーゲルの国家観 近代市民社会が内包する問題は契約国家によっては解決されません。ではヘーゲルが目指す国家はそれを解決できるのでしょうか。またヘーゲルの目指す国家が、単なる個人の寄せ集め以上のものだとすれば、それは古代のポリスとどこが違うのでしょう。

講師プロフィール

 もともとはカントやヘーゲルの実践哲学(道徳、歴史、社会や国家)をテーマにしていましたが、最近ではカントの『判断力批判』を中心として「美しいと善いとはどこが違うのか」(カントは両者を区別します)とか「善悪の判定をする際に美しいとか見苦しいとかの美的述語を用いるのはなぜなのか」(カントは両者を区別するわけですから、こういう判断はおかしいことになります)、というようなことを考えています。
 旅行が好きというわけではないのですが、じっとしているのがいやなので(座って勉強するのもあまり好きではないです)、コロナ前は毎年のようにイタリアに行ってました。なぜイタリアかというと、私が知ってる国の中では見るべきものが圧倒的に多いように思うからです(あくまで個人的見解です)。そろそろ普通に旅行できるようになってきたので、また行きたいなあと思っています。
 最近引っ越したので(68年ぶりの引っ越しです)、一年分の体力を使い果たしたような気になって、ねこのお世話がおろそかになり、ねこから非難される毎日です。 

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