2024.05.30.
【実施報告】第1回能登半島地震現地ボランティア(5/25~26)

活動実施までの経緯

2024 年 1 月 1 日に発生した能登半島地震が発生した直後から「被災地のために何かできないか」という声が多くの学生から上がったことを受けて、関西学院大学ではまず学生による募金活動を2023年度卒業式・2024年度入学式で行いました。
延べ19名の学生が呼びかけ、合計585,862円の温かいご支援が集まりました。
(募金活動): https://www.kwansei.ac.jp/c_volunteer/news/detail/239
 
募金活動だけでなく、「現地で活動がしたい」という学生の声を受け、有志の学生・教職員とともに5/25(土)~26(日)に第1回能登半島地震現地ボランティアを実施しました。
応募者多数のため抽選となり、12名の学生とともに現地での活動を行いました。

現地での活動内容

活動は、石川県七尾市中島地区の仮設住宅と、新町会館(自治会の集会所)で行いました。

1日目は仮設住宅で戸別訪問を行い、2日目に行う会館でのイベントのお知らせを兼ねて、日常のお困りごとなどをお聞きしました。
「腰が痛く、寝たり起きたりするのが大変。耳が遠いため、家にいてもインターホンの音が聞こえないことが多い」「腰が曲がってきていて、夫婦でリハビリをしているので大変」など生活上で大変なことを教えていただきました。
また、「明日のイベント、楽しみにしているよ」「遠くから来てくれて、ありがとうね」など温かいお言葉もいただきました。
しかし、イベントのお誘いや支援を受けることに疲れが見える方もいたため、1日目の夜の振り返りで学生たちは活動の意義について悩んでいました。
ヒューマン・サービス支援室長の関 嘉寛 先生(社会学部教授)からは「ボランティアは万能ではない。それを自覚することが大切で、だからこそ、一人ひとりが今できることをやろう。」というお話がありました。

  

  

2日目は新町会館で大人向けの茶話会と、子ども向けに「大学生と遊ぼう!」というイベントを行いました。
開始すぐに子どもたちがやってきて学生たちとフラフープやしゃぼん玉、的当てなどで元気に遊んでいました。
また、仮設住宅で1日目にお会いした方々が続々とやってきて、西宮で有名な高山堂の和菓子を食べたり、西宮市社会福祉協議会ボランティアセンターが提供してくださったたこせんを食べたりしながら学生たちと交流しました。
「今の生活は楽しいけれど、仮設住宅の入居期限になる2年後が心配。」「若い人と話せるのが楽しくて、来てくれて嬉しい!」など、色々なお話を伺うことができました。
学生たちは、自分から積極的に話しかけたり、子どもに遊びを提案するなどして、今できることに取り組んでいる様子でした。

  

   

2日間の活動を終え、振り返りで学生たちからは「雑談が今まで意味のあるものだと思っていなかったが、雑談を通して信頼関係が築けるということに気づくことができた」「会話の中で地震が起きた当日のことを話してくれる方がいた。自分は教育学部生で教員を目指しているので、災害や防災についてどのように伝えていくか、ということもテーマとして考えていきたい」などの思いが話されました。

ヒューマン・サービス支援室では6/22~23に第2回の現地ボランティアを予定しています。今後も継続して学生たちとできることを考えていきます。

活動を終えて

【参加者の感想】

庄司 蓮 さん(社会学部2年生)
「私が今回の活動に参加した経緯にはたくさんの偶然がありました。まず、なんとなく参加した能登半島地震の募金活動に始まり、その募金活動の振り返り会でお会いしたNPO法人日本災害救援ボランティアネットワークの寺本さんから、現地活動のお話をしていただきました。私は、自分のような大した苦労をしていない未熟者が現地に向かったところで迷惑だろうと参加には消極的でしたが、寺本さんのお話を聞くうちに、自分でも出来ることはあるかもしれないと思うようになり、思い切って今回の現地への活動に応募しました。そして運よく抽選に当選し、能登に行くことが出来ました。

現地で印象的だったことはまだまだ復興には程遠い実情です。バスの窓から見える多くの家々にはブルーシートが覆いかぶさっていました。
また、物質的な復興と同様に、被災された方々の心のケアも足りていないと思い知らされました。私達が訪問した仮設住宅では、将来の不安や苦しみを感じている方が多く住んでいました。
仮に家や道路が直ってもそのような不安や苦しみが解消されない限りは復興とはいえず、復興の難しさを感じさせられました。
二日間の活動の中で、自分にもできることがあったこと、その一方で至らない点も多くあったこと、一緒に参加した学生の皆の多様な意見に触れられたこと、この活動が多くの人の協力の下で成り立っていることなど、多くの学びがありました。それらが自分の成長につながっていくと思います。このような機会を与えてくれた関係者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!」


矢形 輝 さん(神学部3年生)
「今回私は同じ学部の大学院生に誘われたのと、父親が単身赴任でよく石川県に行くことがあったので、非常に馴染みある土地でもあったため参加させていただきました。
私自身ボランティアをした経験がなく、当初は非常に緊張していましたが、仲間と関わっていく中で緊張も無くなっていき、活動がしやすくなり、溶け込むことができました。
私の当初のイメージとしては被災者の方はネガティブになっているのではないか、震災に対してデリケートなのではないかと思っていましたが、実際にコミュニケーションを取ってみると、震災のことを話してくださる方もいたし、ポジティブな話もすることができたので、喋る際に余計なことを考える必要はなく、雑談の大切さを今回の経験で感じました。
高齢者の方に話しかける際、やはり緊張していましたが、雑談を入れることによって緊張がほぐれて、そこからお話を聞くことができ、色々なことが知ることができました。
このような機会をいただくことができて、良い経験をすることができました。本当にありがとうございました。」

【ヒューマン・サービス支援室長より】

関 嘉寛(社会学部教授)
今回は、石川県七尾市の中島第一仮設団地の入居者や周辺地域の方々との交流活動をおこなった。26日は、多くの参加者を得て、「成功」だったといえる。
ただ、私たちの活動の目的は、被災地に元気を届けることだけではなく、参加学生が活動を通して自分たちの専攻に関わる学びを得ることと、学内に関心を広げることを目的としている。参加学生たちは、ふり返りなどで、被災や被災者の「現実」を知り、自分が学ぶ学問と実践のつながりを考えるきっかけ述べていた。
さらに、多様な学部の学生が同じ対象について語る姿は、大いに刺激的なものであった。今回の活動の目的はさらに、少し関心が薄くなってきている能登半島地震の現状を彼らから伝えてもらうことで、一人でも多くの学生・教職員が被災地や被災者に思いをはせ、支援していく雰囲気を大学内で広げていきたいというものである。
これから、多くの方々が、彼らの声に触れられるよう、続けて活動していきたいと思う。

◎活動概要

日程:5月25日(土)~26日(日)
場所:石川県七尾市
   中島地区第1団地(仮設住宅)
   新町会館(自治会の集会所)
宿泊先:国立能登青少年交流の家
参加者数:学生12名・教員1名(応募者数32名)
内容:仮設住宅への戸別訪問
   茶話会
   大学生と遊ぼう!(子ども遊び)
目的:
(1)被災された方々に元気を届ける
(2)参加者自身の学びを深める
   ① 被災地での経験を学問的に深める
   ② 色々な学部・学年の参加者との出会いから多様な視点で学ぶ
   ③ 日常とは違う場面に飛び込み、現在の生活が当たり前でないことに気付く
(3)被災地への関心を広げる
連携: NPO法人日本災害救援ボランティアネットワーク

   のと復興人足隊
協力: 西宮市社会福祉協議会ボランティアセンター
    株式会社 高山堂