<海外の5大学と共同>手話言語学、ろう文化、ろう研究等に関する講演動画の配信(全5回)
アジア地域においての手話言語学の社会的認知と理解を進めることを目的に、
手話を研究しているアジア諸国の5つの大学
と連携を結び、手話言語学、ろう文化、ろう研究等に関するウェビナー講演を配信します。日本手話通訳は、NPO法人手話教師センターの、ろう通訳育成講座の修了生が担当してくださいました。日本手話、日本語字幕が付いています。是非ご覧ください。
第1回 [配信日:2021年7月20日]
To Be or Not to Be Deaf : That is the Question(ろう者であるべきか、そうでないべきか)
概要・講師紹介
第1回目の講演タイトルは"To Be or Not to Be Deaf: That is the Question" (ろう者であるべきか、そうでないべきか)、講師はろう文化、ろう者のアイデンティティ、通訳などの分野で著名なThomas K.Holcomb教授(オーロニ・カレッジ)です。
「ろう文化とろう者のアイデンティティ」をテーマに、ろう児/ろう者が自分らしく生きていくためには?についての貴重なメッセージとなっています。
Thomas K.Holcomb 氏
オーロニ・カレッジ(アメリカカリフォルニア州)教授。ろう者・聴者の学生を対象に、ろう文化・ろう教育・通訳に関するコースを担当。以前はサンノゼ州立大学(アメリカカリフォルニア州)、国立ろう工科大学(アメリカニューヨーク州)で教鞭を取る。 ギャロデット大学心理学学士課程修了、ロチェスター工科大学 Career and Human Resources Development 修士課程修了、ロチェスター大学 Curriculum and Instruction 博士課程修了。 主な著書に、Deaf Eyes on Interpreting (2018), Reading Between the Signs: Intercultural Communiction for Sign Language Interpreter (2014), Introduction to American Deaf Culture (2013), Deaf Culture, Our Way: Anecdotes from the Deaf Community (2011)など。また、マルチメディアのオンラインカリキュラム制作にも携わり、Strategies for Effective Deaf/Hearing Interactions (2021) や、See What I Mean: Diffeences between Deaf and Hearing Culture (2009) などがある。
第2回 [配信日:2022年3月31日]
An overview of the transformation of Sign Language Interpreting as profession & research, & SLIS as a transformative field(職業、研究における手話通訳の変革と変革の場としての手話通訳学)
概要・講師紹介
第2回目の講演タイトルは" An overview of the transformation of Sign Language Interpreting as profession & research, & SLIS as a transformative field" (職業、研究における手話通訳の変革と変革の場としての手話通訳学)です。
講師は、英語・イギリス手話・オーストラリア手話・国際手話間の手話通訳者であり、手話通訳に関する研究者及び教育者でもあるJemina Napier教授(ヘリオット・ワット大学)です。手話通訳に関する研究者としてのご自身の経験に触れながら、手話通訳学がコミュニケーション、相互作用、言語的多様性等に変革をもたらす学問であることをお話しされています。
Jemina Napier 教授
Heriot-Watt (ヘリオット・ワット)大学教授。1989年より手話通訳者として、英語・イギリス手話・オーストラリア手話・国際手話間の手話通訳者として活躍。また、手話通訳に関する研究者でもあり、教育者でもある。
社会学(学士)、イギリス手話/英語手話通訳(修士)、専門教育・高等教育(修士)・言語学(博士)。
現在、イギリス手話通訳者協会および、イギリス言語学者協会会員、オーストラリア手話通訳者協会の終身名誉会員などを務める。
主な著書に、Linguistic Coping Strategies in Sign Language Interpreting (2016 2nd Ed.) 、Sign Language Brokering in Deaf-Hearing Families (2021) などがある。
第3回 [配信日:2022年3月31日]
Student Disability and Accessibility
(障害学生とアクセシビリティ)
概要・講師紹介
第3回目の講演タイトルは" Students Disability and Accessibility " (障害学生とアクセシビリティ)です。
講師はグリフィス大学、障害学生・アクセシビリティ支援室室長のCathy Easte氏と、シニア・ディスアビリティ・アドバイザーでアーティストのRiona Tindal 博士です。グリフィス大学では、アクセシビリティとインクルージョンの原則を、可能な限りカリキュラムに反映させており、その支援の様子についてお話しされています。
Cathy Easte 氏
2010年よりグリフィス大学 障害学生・アクセシビリティ支援室室長を務める傍ら、クイーンズランド州のTAFEカレッジ、民間訓練団体を20年以上にわたりサポートをしている。
HEDN(Q)、TEDCA (Tertiary Education Disability Council of Australia) 委員。
ATEND (Australia Tertiary Education Network on Disability) 代表。
Riona Tindal 博士
シニア・ディサビリティ・アドバイザー。アーティスト。
Natural History Illustration 学士課程修了、ニューキャッスル大学哲学博士課程修了。
また、Arts,Visual and Performing Arts, and an Advanced Diploma of Graphic Design and Graphic Communications の学士号ももつ。
第4回 [配信日:2023年3月31日]
Use of Communication Strategies between Deaf Interlocutors from two Different Countries
(異国のろう者同士のコミュニケーション戦略使用について)
概要・講師紹介
第4回目の講演タイトルは”Use of Communication Strategies between Deaf Interlocutors from two Different Countries“(異国のろう者同士のコミュニケーション戦略使用について)です。
講師はベルリン・フンボルト大学教授のChristian Rathmann氏です。
前半は、「2つの異なる国のろう者同士のコミュニケーション方略」と題し、ご自身の経験を語っていただきます。後半は、「国際手話:ろうの手話使用者が共有する非ローカル言語」と題し、Ronice Muller de Quadros氏との共同研究をご紹介いただきます。
Christian Rathmann 教授
ベルリン・フンボルト大学教授。彼の指揮のもと、ろう者学(学士)および手話通訳学(修士)プログラムが実施されている。
現在、言語の標準化、国際手話、第二言語習得など、数多くの研究に携わっている。
また、ろう児の早期教育、教育政策などにも取り組んでいる。
第5回 [配信日:2023年3月31日]
Where Sign Languages Came from and are Going to: A Case Study of Miyakuobo Sign Language(手話言語はどこから来てどこへ行くのか:宮窪手話の研究)
概要・講師紹介
第5回目は、日本からの講演です。タイトルは"Where Sign Languages Came from and are Going to: A Case Study of Miyakubo Sign Language″(手話はどこから来てどこへ行くのか:宮窪手話の研究)です。
講師は松岡 和美 教授(慶應義塾大学)と矢野 羽衣子 氏(関西学院大学 手話言語研究センター客員研究員)です。ご自身が研究されている地域共有手話である宮窪手話についてのお話を中心に、地域共有手話の特徴や研究の重要性にもふれてお話しいただきました。また、ろう者自身が研究を行うことの重要性や聴研究者がろう者と協働で研究を行うことについてもお話しいただいています。
松岡 和美 教授
慶応義塾大学教授(英語)。コネチカット大学大学院言語学部博士課程修了(Ph.D.)。日本手話の統語論およびろう児の言語発達を専門とする他、ろう者と共同し、日本手話の意味論・類型論・音韻論・M2L2習得の研究にも携わる。著書に『日本手話で学ぶ手話言語学の基礎』(くろしお出版、2015年)、『わくわく!納得!手話トーク』(くろしお出版、2021年)などがある。NHK Eテレ「みんなの手話」監修(2018年~2019年)、オンライン手話学習サイト「アイオー」監修。
矢野 羽衣子 氏
関西学院大学手話言語研究センター客員研究員。国立大学法人筑波技術大学大学院技術科学研究科情報アクセシビリティ専攻修士課程修了。出身である愛媛県大島で使われている「宮窪手話」をきっかけに、共有手話に関する研究に着手するほか、不就学のろう者や離島に住むろう者の手話コーパス構築に関する研究も行なっている。