2017.02.13.
手話言語研究センター講話会(関西)を開催しました

手話言語研究センター講話会(関西)を開催しました

 去る2月11日(土・祝)、大阪センタービル内ホワイトホールにて、「講話会 〜手話ってどんな言語だろう〜」を開催いたしました。当日は各地で雪にみまわれ、交通機関に影響が出ないかと心配されましたが、お申込みいただいたほとんどの方にお越しいただき、80名を超える大盛況となりました。
 今回の企画は、昨年10月2日東京で開催した講話会が大変好評だったため、是非関西でも開こうと急きょ決まったイベントです。前回ご担当いただいた講師の方々に再度ご登壇を依頼、更に今回は映画上映会を加え、計3部構成で行いました。

牧原氏

~タイトルを「LISTEN リッスン」とした理由から対談スタート~

 第1部は、映画 「LISTEN リッスン」上映会&トークショー。
昨年全国各地で公開されましたが、関西地方でも上映期間が限られていたため、今回の上映を楽しみに来られた方も多かったようです。上映会後は共同監督の牧原依里氏と京都大学白眉センターの小石かつら氏お二人にご登壇いただき、映画にまつわる話から「音楽」という言葉がもつ概念や本質の部分に至るまで、様々な角度から「音楽」について語っていただきました。
「決して聴くことだけが音楽ではない。実はもっと幅広いものであり、音楽の捉え方や形は人それぞれなのだ」というメッセージをお二人の対談から感じ取った方も多かったのではないでしょうか。

対談トーク

~「音楽」という言葉の捉え方について意見を交わす牧原氏(左)と小石氏(右)~

 「音楽という定義は誰も分からない」とおっしゃる小石氏と、「音楽ではなく“音楽のようなもの”」と表現される牧原氏。お二人のお話を聞いた(見た)後に改めてこの映画のタイトルを考えてみると、そこに込められた非常に深いメッセージが見えてくるかのようです。
 参加者からは、
「音楽とは、ということについて、新しい視点が生まれました」、
「人と人との間にあるところの“響き”が音楽の神髄、というお二人のお話が大変印象的でした」との感想をお寄せいただきました。

 続く第2部では「人は言語をどう習得するか」と題し、明晴学園の岡典栄氏と埼玉県立特別支援学校大宮ろう学園の棚田茂氏からご講演をいただきました。

岡氏

~岡氏「聴者とろう者の言語獲得環境の違い」~

 岡氏のお話の中から、「閉じる事ができない耳で音を聞き、言葉を獲得していく聴児と、閉じると見えなくなってしまう目で言葉を獲得(習得)していくろう児。これだけでも聴児には聴児の、ろう児にはろう児の言語習得方法があり、視覚優先のろう児の日本語習得方法は聴覚優先の聴児と同じでは決してないのではないか」という問題提起をいただきました。

棚田氏

~棚田氏「手話の人・目の人 言語獲得の観点から」~

 また、棚田氏より「ろう児が自然な状態で習得する言語は日本手話であり、ろう児は視る人であることが大前提だ」と、大宮ろう学園での取り組みを通じて日本手話を獲得していくろう児の振る舞い(話し方など)について、事例を交えながらお話しいただきました。

 その後、森本センター副長を交えての三者対談では、ろう児を持つ聴こえる親に対して日本手話の大切さをどう伝えていくか、また、ろう学校の教師として、ろう児達の力を見抜く技量の大切さが述べられました。
 参加者からは、「言語習得について、二つの側面から考えることができた」、
「日本手話の良いところを再確認できた」
などのご感想をいただきました。

対談

~ろう児との関わり方について議論を交わす森本センター副長(左)・岡氏(中央)・棚田氏(右)~

森田氏

~「今からしばらく声はお休み」ワークショップスタートです~

 最後の第3部は、明晴学園の森田明氏による日本手話のワークショップ。
手話に初めて触れるという参加者は、「今から50分間声はお休みです」という指示にドキドキの様子でした。ですが、いざワークショップが始まり、Yes/No 疑問文の答え方を身に付けると、自分の名前が書かれたカードを探したり、自分と同じ動物の人を探してジャンケンをしながらゲームを進めたりと、大盛り上がりでした。そしてワークショップが終わる頃には、講師と短いやり取りを出来るまでになっていました。

森田氏

~ジェスチャーと日本手話の違いを述べられる森田先生~

 最後に「ネイティブサイナーから自然に生まれた、日本手話に是非触れてください」と締めくくられた森田氏。参加者より「伝わると嬉しくて、すてきな体験だった」、
「音声のない会話とはどういうものかを体感できた」
というコメントをいただきました。

 以上3部構成の全体を通して、「手話ってどんな言語だろう?」という問いかけに少し答えを見つけることができた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

 講話会にお越しいただきました皆様、本当にありがとうございました。
また、この講話会を支えてくださった、手話通訳の皆様、本学キャンパス自立支援室の要約筆記を担当いただいた学生サポーターの皆様、日本手話サークル「はなまる」(関学)の皆様にも、この場をお借りしてお礼を申し上げます。

2017年度も講話会の開催を予定しておりますので、どうぞお楽しみに。