2022.03.07.
関西デフ・フリースクール「しゅわっち」との共催企画「ようこそ、ろう者の世界へ」を開催しました
去る1月23日(日)、本センターと創立20周年記念を迎えた関西デフ・フリースクール「しゅわっち」との共催企画「ようこそ、ろう者の世界へ」(オンラインイベント)を開催いたしました。386名の参加があり、盛会となりました。
記念公演ではお笑いコンビ「デフW」に、ろう者が日常生活の中で経験してきたことやデフリンピックについてなどの内容を、笑いという形式で参加者のみなさんにお伝えいただきました。このパフォーマンスでみられたろう者の内にある共感こそが、ろう者を1つのコミュニティーとして結びつけ、コミュニティーのメンバーとしてのアイデンティティーを形成する要因であることを示唆するものでした。
座談会ではろう児をもつ聴者の親やろう児をもつろうの父親、しゅわっちの元スタッフで現在ろう学校の教員、小さい頃しゅわっちに通っていた現しゅわっちスタッフ、というそれぞれの立場から「ろう者のアイデンティティー」について話し合いました。
ろう児にとって、他のろう児や大人のろう者と出会う場が、アイデンティティーの形成には重要であることが示されました。ろう児の9割が聞こえる親のもとに生まれると言われる中、ろう児やその親がスムーズにろう者や手話に出会うことのできる場を提供できる社会システムの整備が急務であることも指摘されました。
登壇者であるろう児を持つ聴者のお母さんから、ろう児をもつ親御さんへの「ぜひ手話を学んで、子どもと手話でたくさんお話をしてあげてほしい」というメッセージが印象的でした。
午後の部では、しゅわっちの歴史の振り返りや、社会で活躍しているろう者へのインタビューなどがありました。ろう児が、社会で活躍するろう者(ロールモデル)に出会うことは、将来の自分の姿をイメージしながら成長するために大切なことです。
イベントの最後はクイズで締めくくられました。
以下、参加者からの感想です。
- <参加者の感想>*抜粋、原文のまま
・とても面白かったです。聴者とのずれはもっとたくさんあると思います。このようなコントになっていると分りやすく、また嫌な感じは全くしないでお互いもっとわかりたいと思う気持ちが膨らみました。有難うございました。
・手話通訳者をはじめとする関係者が「聞こえない人はかわいそう」論から脱却する、良いきっかけとなる講演と感じました。
・聴者の親のほとんどは、どうにかして聴こえる環境を作ろうとするイメージが強い中、聴こえない子供に合わせて、家族が手話を覚えていくという考えは大切だと思いました。聴こえないことを否定しない環境づくりが、ろうの子供を持つ聴者の親に広がってほしいと思いました。
・ろう者のアイデンティティーについての座談、興味深かったです。しゅわっちのような場が全国各地に広がるといいなと思います。そしてろうの子供たち、またその子供を持つ親御さん達が窮屈な思いをすることなく、自由に自分の好きな言語で自分の思いを紡いでいけるといいなあと感じました。
・聞こえない大人が聞こえない子に小さい頃から関わること、聞こえない子の集団が大切だと再確認しました。若い方々が頑張っている姿を見るのはうれしいです。
・聴者であっても、自分の苦手意識や自分を認めるということが難しい時がある。今日は、ろう者のロールモデルからの言葉から、聴者である私が元気をもらった。
お忙しい中、ご参加いただいた皆様、登壇してくださった皆様、ありがとうございました。