2020.11.24.
文化イベント「デフアート~表象されるろう者~」を開催しました【オンライン】

【乗富秀人氏の講演の様子】

【乗富秀人氏の講演の様子】

 デフアートとは、ろう者の行動様式や歴史・文化、手話などが表象された芸術作品です。第一部は、3 人の先生による講演でした。  

 まず、ろう画家で日本のデフアートの第一人者である乗富秀人氏より「デフアートとは?」というテーマでお話いただきました。フランスでろう者の歴史やデフアートにふれ、ろうの息子の誕生を機に手話の重要性を社会に広めるべくデフアートを描き始めたというご自身の経験を通し、デフアートについて分かりやすくお話いただきました。

〈参加者からのアンケート(抜粋)です。〉
・「青」と「白」に込められている想いを知ることができました。作品の見え方が変わってくると思いました。フランスで中学生に声をかけられた時のエピソードが印象的でした。
・デフアートと聞くと、難しい話かと構えてしまいそうでしたが、ご自分の経験からたいへんわかりやすくお話いただき、今後、そうしたものを見ていきたい気持ちを沸かせていただきました。ありがとうございました。
・手話の歴史やろうの文化を学んだことで、Deaf Art の活動の原動力に繋がったこと、興味深いお話でした。

【門秀彦氏の講演の様子】

【門秀彦氏の講演の様子】

 次に、手話をモチーフにした作品を数多く手がけているイラストレーターの門秀彦氏より「デフアートの効果」というテーマでお話いただきました。両親がろう者である門氏が、ご自身の作品に手話を盛り込み、それを見た人がポーズとしてかっこいいと感じたというエピソードは、まさにアートのもつ力ではないかと思いました。

〈参加者からのアンケート(抜粋)です。〉
・門先生の絵からは元気をいただけます。アートはどれもそうだと思いますが、ご自身の経験、考え等が影響して作りあがったものということが今日の講演を通してよくわかりました。
・「手話を」描いているのではなく、手話を含めたかっこいいモノを描いているのだろうと感じた。自分が見ている色が、他の人と同じ印象にならないかもしれないことも含めて、何かに「拘束されない」のだとしたら、それが惹かれる理由だと思った。
・いろんな人が出会う(待ち合わせ)場所から、手話やろう者を描いた作品が生まれたというお話がとても興味深く、いろんな言語が飛び交う楽しい風景を思い浮かびました。

【田中久美子教授の講演の様子】

【田中久美子教授の講演の様子】

 さらに Twitter で話題となった書籍『名画から見た主婦業』を監修された文星芸術大学の田中久美子教授に「絵画における表象」と題しお話いただきました。絵画に描かれたポーズに盛り込まれた意味を読み解く図像解釈学のお話や鑑賞者が自由に意味を読み取ることが できるアートの可能性について、お話いただきました。

〈参加者からのアンケート(抜粋)です。〉
・アートに含まれる手が意味するもの、深いものが潜んでいるということがよくわかりました。聴者がジェスチャー的に使ったその手が手話ともつながることもあります。これから絵を見るときは、また違った視点からみることができそうです。
・ご講演をお聴きするまで、絵画における身体や視線、しぐさが表象するものの解読がこんなにも奥行きがあるものとは思いませんでした。ありがとうございました。
・基本的な絵画におけるいろいろな意味があるメッセージ。秘められたメッセージがあるもの、手話ではなくても全体的なメッセージがあるというお話をいただいて、これまで気づかなかったです。

 第二部の座談会では、映画における表象文化論等を専門としている本学法学部の塚田幸 光教授がモデレーターを務め、色が持つ意味や手話やハンドサインの持つ意味を不特定多数の人に見られる絵画の中でどう取り扱うか、少数者が自分たちを表現する場としてのアートの可能性などについて、大いに盛り上がりました。

〈参加者からのアンケート(抜粋)です。〉
・内容の濃い座談会でした。ウェビナーだと冗長になることが多いですが、ずっと引き込まれていました。
・話の流れによっては、小難しい話にもなりかねなかったところ、司会の方がしっかり方向を定めて話をされ、講演では出てこなかったいろいろな話が引き出され、よかったと思います。
・ひとつひとつのお話がとても興味深く面白かったです。質疑応答含め、もっと時間があってもよかったのではと思うくらい楽しかったです。第二弾の開催も楽しみにしております。
        

大いに盛り上がった文化イベントとなりました。 ご登壇いただいた方々、ご参加された皆様、ありがとうございました。