2025.04.14.
2024年度 関西学院大学・群馬大学合同研究報告会「手話教育・研究の今日的課題 ー手話に関する法制化の動きを見据えてー」を開催しました

司会:下島恭子助教                                   開会の挨拶:松岡克尚センター長

司会:下島恭子助教                                   開会の挨拶:松岡克尚センター長

  2025年3月21日(金)に、群馬大学共同教育学部手話サポーター養成プロジェクト室と共催で、合同研究報告会「手話教育・研究の今日的課題 - 手話に関する法制化の動きを見据えて -」を開催しました。平日の午後にも関わらず、45名の方に参加いただきました。
 

基調報告:金澤貴之教授                                     群馬大学報告:中野聡子准教授

基調報告:金澤貴之教授                                     群馬大学報告:中野聡子准教授

    下島恭子助教(群馬大学)の司会のもと、松岡克尚手話言語研究センター長の挨拶に続いて、金澤貴之教授(群馬大学)より「手話に関する法制化の現状と課題」と題して基調報告をいただきました。「手話の法制化」といっても、我が国の手話教育、ろう教育、手話通訳教育の現状や、法制化に向けて立ちはだかる課題についてしっかり把握しておかなければ、解決の糸口すら見つかりません。本報告では特別支援学校免許取得、手話奉仕員養成講座、乳幼児支援などを取り上げ、具体的な事例を交えながらご説明いただきました。また、手話通訳士の「国家資格化」に関する現状や今後の課題についても、鋭い視点から詳しくお話しいただきました。
 

関西学院大学報告:下谷奈津子主任研究員                                関西学院大学報告:前川和美主任研究員

関西学院大学報告:下谷奈津子主任研究員                                関西学院大学報告:前川和美主任研究員

  続いて各大学の取り組みについて、群馬大学より中野聡子准教授(CEFR-JSLによる日本手話・手話通訳教育の質的向上を目指して※1)、本学より下谷奈津子主任研究員(プロジェクト手話事業※2)および前川和美主任研究員(小学校教科書のための手話学習教材制作事業)による報告がありました。
 

  休憩を挟み、松岡克尚センター長による司会進行のもと、「学術機関が担う手話教育の課題」と題して、報告者4名によるディスカッションの時間を設けました。前半の各報告を踏まえ、大学という教育・研究機関が手話教育や手話通訳者養成に果たし得る役割とは何かについて、各大学が取り組んでいる事業の特色を述べつつも、目指すところとして、様々な機関と連携しながら研究成果を発信していくこと、リソースを開発し社会に提供していくことなどについての共通認識を確認し合うことができました。

 

ディスカッションの様子
 

  参加者から寄せられた感想の一部を紹介します。
・手話条例の制定や法律の今後など、今まで自分が知り得なかったことが聞けて、これからの手話・手話教育についてより深く考えることができました。
・大学が通訳養成や手話学習についての基礎研究を行うことが重要という考えにはとても共感しました。
・地域と連携し当事者団体への委託から裾野を広げる時期にきているのだと考えさせられました。
・これからも子どもにとっての理想の環境を現実のものにするための研究を進めていただき、現場を変えていっていただきたいと期待しています。
上記以外にも、「時間が短かった」「もっとゆっくり聞きたかった」という感想もあり、このテーマの関心の高さと充実ぶりが伺えました。

  ご登壇くださった金澤先生、中野先生、ご参加くださった皆様、情報保障を担ってくださった手話通訳・文字通訳の皆様、本当にありがとうございました。
2024年度の本センター事業はこれですべて終了しました。2025年度もさらに研究活動・教育活動・啓発活動に勤しんでまいりたいと思っております。

  ※1 CEFR:ヨーロッパ言語共通参照枠のこと。
          詳細については、 https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23K17609/ を参照
  ※2 プロジェクト手話の詳細については、 https://www.kwansei.ac.jp/c_shuwa/work/kenkyu/projectshuwa を参照