2024.07.19.
2024年度手話通訳研修会を開催しました

中野聡子先生 講演
2024年7月6日(土)に、2024年度手話通訳研修事業「学術手話通訳への足がかりを築こう」を対面開催しました。
本事業はこれまで司法場面・医療場面・オンラインなど、さまざまな場面に特化した研修会を開催してまいりましたが、2024年度は学術場面に特化し、基調講演(午前の部)とワークショップ(午後の部)の2部構成にて開催しました。
午前の部では一般の方々も対象とし、講師に群馬大学准教授の中野聡子氏、手話通訳者の高木真知子氏を迎え、基調講演をいただきました。まず中野先生からは、研究者・手話通訳利用者の立場から、学術通訳の定義・コミュニティ通訳との違い・学術通訳の質を上げるための事前準備の方法などについてお話しいただき、高木先生からは手話通訳者の立場から、デマンド・コントロール・スキーマと学術通訳を絡め、通訳を引き受けてから準備〜講師との打ち合わせ〜本番までの各ステップで必要なことや、力の配分の仕方、チームで協働し通訳することの大切さについてお話しいただきました。

高木真知子先生 講演
お2人の熱いご講演に、参加者からは、「講師の方が、専門知識を惜しみなく伝えてくださり、内容も興味深く楽しめました」や、「手話通訳をつけて学会発表することのあるろう者として、手話通訳者が発表に向けてなにをどのように準備してきてくださっているのか、ろう者である私はなにをすれば良いのかが理解でき、非常に勉強になりました」など、大好評だと窺える、うれしいコメントが多く寄せられました。
続く午後の部では、参加対象を学術通訳に関心のある現役手話通訳者に絞り、ワークショップを開催しました。参加者には事前に資料を共有し、下調べや通訳等の準備をいただき、当日はグループに分かれて事前準備の共有、講師との打ち合わせ、模擬通訳に取り組んでいただきました。学術通訳に初めて挑戦した方々も大勢おられ、「課題提出(事前準備)から 振り返り、実践を通して、とても学びのある研修でした」や、「違う地域で活動されている方と内容を検討し協力してグループワークができたのがたいへんありがたい経験となりました」などの感想をいただきました。
ワークショップの様子
ろう者が聴者と対等に学術の世界で活躍する社会を目指すには、学術手話通訳者の存在が欠かせませんが、学術通訳について学べる場が、まだまだ少ないのが現状です。そのため、当センターとしては、今後も実りある企画を開催し、より多くの方々にご参加いただけるよう努めてまいります。
中野先生、高木先生をはじめ、ご参加くださった皆様、情報保障を担ってくださった手話通訳・文字通訳の皆様、本当にありがとうございました。