2023.01.17.
2022年度講話会「通訳を深掘りする」を開催しました
12月10日(土)、「通訳を深掘りする」と題し2022年度講話会を西宮上ケ原キャンパスで開催しました。
さまざまな領域で通訳者としてご活躍の方々を迎え、通訳の仕組み、現場での様子、課題などについてお話しいただきました。
前半に、3名の講師によるミニレクチャーを行い、後半は、それぞれの領域の共通点や相違点について対談しながら、「通訳」について深掘りしていきました。
手話言語研究センター 松岡克尚センター長の開会あいさつの後、初めに、兵庫県手話通訳士協会の元会長であり、現在も手話通訳者として活躍されている池上睦氏にご登壇いただきました。池上氏からは、「地域で活動する手話通訳者の現状」をテーマに、手話通訳制度の歴史や役割をご説明いただいた後、地域で活動している手話通訳者の現状についてお話をいただきました。また、通訳者の高齢化や、通訳者養成を行う講師の人材不足などの課題をご提示いただきました。
続いて、米国認定ろう通訳士の資格を有し、国内外の幅広い分野で通訳活動をされている川上恵氏から、「異文化同士をつなぐ通訳活動」をテーマに、お話しいただきました。通訳では、それぞれの利用者の文化的背景等を理解したうえでコミュニケーションをつなぐ必要があることを、具体例を示しながら解説いただき、そのためのろう通訳者の役割や、ろう者と聴者の通訳者による協働の意義についてご講演いただきました。
最後に、立教大学異文化コミュニケーション学部の教授で、日本の翻訳通訳政策を研究されている武田珂代子氏から「手話通訳との比較から考える音声通訳の特徴」をテーマに、手話通訳と音声通訳の特徴や違いについてお話しいただきました。音声通訳の教育実践にも言及しながら、手話通訳の特徴について分析いただいたほか、通訳の仕組みを説明するセレスコヴィッチの「意味の理論」についても分かりやすくご講演いただきました。
後半は、英語と日本手話の通訳として国際会議等でご活躍されている高木真知子氏をモデレーターにお招きし、3名の講師とともに対談を行いました。通訳者の専門性やその養成、手話通訳を取り巻く課題などについて活発なディスカッションが行われました。その後の質疑応答でもフロアから様々なご質問をいただき、大いに盛り上がりました。最後に、手話言語研究センター 森本郁代センター副長のあいさつで閉会となりました。
参加者からは、「様々な立場・視点からのお話を伺えてとても勉強になった」、「日頃から感じている課題について考えるよいきっかけになった」、「手話の奥深さや面白みを改めて感じた」などの声が寄せられました。また、久しぶりの対面でのイベントで、登壇者の思いや参加者の熱意が直接感じられ、充実した時間をもつことができました。 ご参加いただいた皆様、登壇者の皆様、ありがとうございました。