2022.02.01.
会議に共に参加すること

会議に共に参加すること
森本 郁代 法学部教授 手話言語研究センター副長

手話言語研究センターでは、毎月定例ミーティングを行っていますが、コロナの感染拡大がはじまってからは、オンライン会議システムを使っています。みなさんもすでにご存じだと思いますが。オンライン会議だと、外光や照明の加減で、影になったり、逆にまぶしすぎたりして、相手がよく見えなかったりすることがあります。そのような状況が、ろう者にとってどれだけストレスがかかることかを、オンライン会議を通して初めて知りました。オンライン会議に参加してくださっている通訳の方は、そのようなことがないよう、常にきちんと背景や照明に気を配っていらっしゃるのですが、私はそのような問題にまったく思い至っていませんでした。ろう者は、私たちと同様、通訳の方だけでなく他の参加者の画面を見ており、そこから聴者以上にたくさんの情報を得ているのだということに改めて気づかされました。

 今思えば当たり前のことですが、ろう者は「通訳を介して」会議に参加しているのでなく、聴者と「共に」参加しています。会議では、音声での発言は手話へ、手話は音声へと同時通訳されることで、言語の問題は解消されていますが、それでは不十分です。オンラインであっても一緒にいる、という共在感覚を全員が持てることが大切なのだということを知ることができました。

 聴者にとって問題にならないことでも、ろう者にとっては重大な問題がまだまだありそうです。自分にとっての当たり前があたりまえでない可能性を常に念頭においておきたいと思います。