死刑の廃止を目指す、市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書 (自由権規約第二選択議定書)

[ 編集者:人権教育研究室       2009年3月20日 更新 ]

一九八九(平成元)・一二・一五 第四四回国際連合総会で採択
一九九一(平成三)・七・一一 発効

この議定書の締約国は、
死刑の廃止が、人間の尊厳の向上及び人権の漸進的発達に寄与することを確信し、
一九四八年一二月一〇日に採択された世界人権宣言の第三条並びに一九六六年一二月一六日に採択された市民的及び政治的権利に関する国際規約の第六条を想起し、
市民的及び政治的権利に関する国際規約の第六条が、廃止が望ましいことを強く示唆する文言で、死刑の廃止に言及していることに留意し、
死刑廃止のすべての措置が、生命に対する権利の享受における進歩とみなされるべきことを確信し、
ここに、死刑を廃止する国際的約束を行うことを希望して、
次のとおり協定した。

第一条〔死刑の廃止〕1 この選択議定書の締約国の管轄内にある何人も、死刑を執行されない。
2 各締約国は、自国の管轄内において死刑を廃止するためのすべての必要な措置をとる。
第二条〔留保〕1 批准又は加入のときに行われる留保で、戦時中になされる軍事的性質の非常に重大な犯罪に対する訴追に従って戦争の際に死刑を適用することを定めたものを除くほか、留保は、この議定書に対しては許されない。
2 そのような留保を行う締約国は、批准又は加入のときに、戦時中に適用できる国内立法の関連規定を国際連合事務総長に通報する。
3 そのような留保を行った締約国は、自国領域に適用できる戦争状態の開始又は終了について国際連合事務総長に通告する。
第三条〔報告〕この議定書の締約国は、規約の第四十条に従って人権委員会へ提出する報告の中に、この議定書に効果を与えるためにとった措置に関する情報を含める。
第四条〔国家からの通報〕規約の締約国で第四十一条に基づいて宣言を行ったものについては、他の締約国がその義務を履行していないと一締約国が主張する通報を受理しかつ検討する人権委員会の権限は、この議定書の規定に拡張する。ただし、当該締約国が、批准又は加入の際に別段の声明を行った場合は、この限りでない。
第五条〔個人からの通報〕一九六六年一二月一六日に採択された市民的及び政治的権利に関する国際規約の(第一)選択議定書の締約国については、その管轄の下にある個人からの通報を受理しかつ検討する人権委員会の権限は、この議定書の規定に拡張する。ただし、当該締約国が批准又は加入の際に別段の声明を行った場合は、この限りでない。
第六条〔離脱の禁止〕1 この議定書の規定は、規約に対する追加規定として適用する。
2 この議定書の第二条に基づく留保の可能性を害することなく、この議定書の第一条1で保障される権利は、規約の第四条に基づく離脱に服しない。
第七条〔署名、批准、加入〕1 この議定書は、規約に署名したすべての国による署名のために開放しておく。
2 この議定書は、規約を批准し又はこれに加入したすべての国により批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。
3 この議定書は、規約を批准し又はこれに加入したすべての国による加入のために開放しておく。
4 加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。
5 国際連合事務総長は、この議定書に署名し又は加入したすべての国に対し、各批准書又は各加入書の寄託を通知する。
第八条〔効力発生〕1 この議定書は、一〇番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。
2 この議定書は、一〇番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。

第九条〔連邦国家に対する適用〕この議定書の規定は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家のすべての地域について適用する。
第十条〔国際連合事務総長による通報〕国際連合事務総長は、規約の第四十八条1に規定するすべての国に対し、次の事項を通報する。
(a) この議定書の第二条の規定による留保、通報及び通告
(b) 第四条又は第五条の規定に基づきなされる声明
(c) 第七条の規定による署名、批准及び加入
(d) 第八条の規定に基づきこの議定書が効力を生ずる日
第十一条〔正文〕1 この議定書は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合に寄託される。
2 国際連合事務総長は、この議定書の認証謄本を第四八条に規定するすべての国に送付する。