新課題の把握と研究 [人権教育研究室]

2021年度 指定研究テーマ

■<日本近代化と部落問題>を再考する-同和教育研究プロジェクト・ティームからの継承と展開

この共同研究は、日本社会の近代化過程のなかに今日における部落問題の形成をたどろうと試みてきた同和教育研究プロジェクト・ティーム
の成果を、次の三つの観点から批判的に検討・評価するとともに、その一層の展開を目指そうとするものである。
第一には、江戸末期から明治・大正にかけての近代社会への移行期・国民国家の形成期において、モダナイズされゆく社会・国家との相即的
な関係のなかで、部落差別そのものがどのようにモダナイズされつつ生起されたのかを明らかにしていくことである。
第二には、近代日本社会において展開された、被差別部落のみならず様々なマイノリティを対象とした社会的な諸事業(慈善事業、セツルメント、
貧困者保護事業、同和対策事業等々)の意義と問題点を明らかにしていくことである。第三には、部落問題を把握・解決するために有用である
ような民衆思想・社会思想における多様なパースペクティヴを探究していくことである。

■関西学院と人権教育-人権教育の連携の在り方をめぐって

本指定研究のこれまでの流れを踏まえて、「国連人権教育の10年」から引き継がれる課題として「人権教育の定義を踏まえること」、
「人権教育の柱を踏まえること」、「人権教育の目的を踏まえること」を念頭におきつつ、研究を継続していく。
「国連人権教育の10年」の決議文では、人権教育とは「あらゆる発達段階の人々が、あらゆる社会階層の人々が、
他の人々の尊厳について学び、その尊厳をあらゆる社会で確立するための方法と手段について学ぶ、生涯にわたる総合的な課題である」と
定義している。この課題を、初等部から大学院まで幅広い教育を行っている関西学院で、いかに実践していくべきかについて、
その見取り図を描いていくことが本研究の目的である。
昨年度まで行われてきた研究会において、初等部、中学部、高等部、千里国際キャンパス、短大、大学それぞれの取り組みについて
報告がなされたが、これを踏まえて、各段階における人権教育の相互関連性に配慮しつつ、将来的に一貫性をもったカリキュラムツリーを
試作すべく、さらに議論を深めていくことが必要とされている。国際連合の総会で採択された「人権教育のための世界プログラム・第二期」
で高等教育における人権教育が主題化されている実情をも踏まえ、初等部から大学までの連携の在り方について、高等教育の段階に
いたるまで徐々に問題意識が深まるような教育実践のあり方について、さらに共通認識を深化させていきたい。


2021年度 公募研究テーマ


■大学における在日外国人学生の就職等における人権保障と大学の課題についての研究

今回の研究は、2012年度から3年計画で行われた指定研究「在日外国人学生のための権利のために大学に何ができるか」(代表、川村暁雄教授)
の調査報告後の追跡研究である。
その研究調査での聞き取りから、在日コリアン学生や難民学生が、就職活動を控え3回生ごろから、日本名に変える学生、国籍を変える学生が
少なからずおり、また、カタカナ名であるため就職に苦労したことが明らかになった。
また、本名で受験した学生が出身高校や成育歴、卒論内容などを聞かれ不採用となったことなども明らかになった。
詳しくは、『関西学院大学人権研究第18号』(2014年3月発行) に川村暁雄教授の活動報告が掲載されている。
今回は、当時の研究委員であった武田丈と辻本久夫が入り、新たに本学専任教員5人に研究員、また大学以外で在日コリアン学生等の人権問題に
精通している2名に学外研究員として入っていただき、前回の指定研究で明らかになった学生体験・意識調査結果が、7~8年経過した現在、
グローバル化の進行のなか、一方でヘイトスピーチの横行という状況のなかで、在日コリアン、外国籍(留学生を含む)、難民の卒業生たちが
就職活動の際にどのような体験をしたのか、また外国につながりのある現役学生たちは就職に際しどのような不安を持っているかなどを質問紙調査
および聞き取り調査によって明らかにしていく。最終的には、調査で明らかになった外国につながりのある学生たちの課題に対する就職支援に
ついて大学として何ができるかを検討し、大学に提言していくことを目指す。