2020年度のFD活動報告

[ 編集者:高等教育推進センター       2021年5月10日   更新  ]

2020年度FD活動報告

関西学院大学では各研究科、各学部・教育研究機関等が独自に工夫を凝らしたFD活動に取り組んでいます。以下に各研究科、各学部・教育研究機関等の取り組みを報告します。

神学研究科

 神学研究科では、神学部教員を対象に次の研修会を開催した。(いずれも神学部と同様)
 第1回(2020年6月3日)テーマ「オンライン授業実施について」
 従来に加え、オンライン授業を含めた新たな授業方法の考案に資するディスカッションが行われた。対面式の授業と比較し、受講生の授業への積極的な参画が見え、提出物の内容の質が向上している。一方、授業担当者は課題等に即時的に対応する事に大きな負担を感じた一面もあった。授業としての必要要件、修士論文執筆に係る指導方法など、オンライン授業の展開にあたって課題が挙げられた。
 第2回(2020年11月4日)テーマ「オンライン授業実施に関する事例報告」
 秋学期、神学研究科においても対面授業を軸に、一部でオンライン授業を継続。春学期の FD 研修会や授業を踏まえ、LUNAなど全学で導入されているツールの他にコミュニケーション支援アプリを活用するなどの事例報告に基づき質疑応答。反転授業の試みとして授業時間外学習のための動画作成など授業担当者にとって時間的負担となるデメリット、対面授業内で板書にとられていた時間の有効活用できるメリットなど種々意見を交え、オンライン授業の課題と可能性を共有した。

文学研究科

 文学研究科では、昨年度までは、研究科委員会の直後に大学院FD研修会を実施し、研究推進社会連携機構が作成した「研究費の不正使用防止への取り組み・研究活動上の不正行為防止への取り組みパンフレット」を配布・使用して、研究倫理教育・コンプライアンス教育をテーマとしたFDを実施してきた。しかしながら、今年度は、新型コロナウイルス感染症への対策として、研究科委員会が持ち回りでの開催となったため、大学院FD研修会もオンラインで実施することとした。委員会構成員にとって使用が容易であるという観点から、LUNAを用いることにし、また、単に説明を聞くことよりも理解が深まるように、LUNAの「テスト」機能を利用することにした。具体的には、上記のパンフレットをLUNA上にアップロードするとともに、各構成員がそれを読んだ上で、その内容を確認するための「テスト」に回答してもらうという方法でFD研修会を実施した。この方法は、各構成員が空いている時間を利用して自由に取り組める上、受講状況や理解度を容易に把握できるため、非常に有効な手段であったと思われる。また、テストの結果から、上記のパンフレットで述べられている内容が構成員に十分に理解されていることも確認できた。

社会学研究科

 社会学研究科では、昨年度までと同様、授業に関するアンケートを春学期と秋学期に各1回実施し、授業、カリキュラム構成、学習環境の現状、今後に向けた課題などについて院生からの回を得た。
 2020年度は、エビデンスに基づいた教育課程の点検を行うために、志願者・合格者・入学者数、各科目履修者数などの経年データを整備して、次年度以降の開講科目の整理を実施した。このなかで、高度職業人の養成を目的のひとつとする前期課程と研究者養成を主目的とする後期課程それぞれの教育課程編成・実施方針の書き分けが必要とわかり、これを検討・変更した。
 また、入学者ゼロが続いていた「専門社会調査士コース」の2022年度からの廃止を決定するとともに、後期課程指導教員任用基準を変更することによって多くの教員が後期課程での指導を担当できるようにするなど、大学院担当教員の新たな配置を可能にする条件整備を行った。研究科独自の取り組みとして、学生のダイバーシティに対応した教育実践を進めるために「大学院生の多様性に配慮した教育実践の在り方に関するワーキンググループ」を12月に設置して、来年度に向けてガイドラインなどの検討を進めている。

法学研究科


 法学研究科では、2020年7月22日に、FD研究会をオンラインにより実施した。FD研究会においては、大学院生を対象に実施したアンケート結果を確認し、9名の大学院生を招いて意見交換が行われた。
 研究会では、コロナウイルスによる大学院生への影響について様々な観点から意見が寄せられた。具体的には、大学への立ち入り制限による対面での授業および指導の制約、資料へのアクセスの制限などである。また、授業のオンライン化により、授業の課題が過度な負担になった事例や、授業実施の縮小などについて意見が寄せられた。学生のインターネット環境について、引き続き注視すべきことも指摘された。上記の制限により、研究に必要な資料へのアクセスに時間がかかったことや、論文執筆への影響についても明らかにされた。さらに、上級生による下級生への研究指導に支障が生じたことも示された。従来の授業が実施されない状況に対して学費の減免に関する意見も出された。FD研究会での意見交換をもとに、法学研究科においては、院生に対する具体的な支援の可能性を探った。
 2020年は、コロナ禍でのオンラインによる授業の実施、資料へのアクセスの制限、院生研究室の利用制限など、大学院生は従来とは異なる大学院生活を送る状況となった。FD研究会を通しての大学院生との意見交換は、大学院における教育、研究について課題を明らかにしまたそれを大学院生と共有する有意義な機会であった。

経済学研究科

 経済学研究科では例年通り研究科独自様式のアンケートを用いて「学生による授業評価」を実施した。またFD委員会を開催し、アンケート結果についての情報の共有を図り、さらには今後の授業評価のあり方に関する意見交換を行った。今年度は春学期がすべてオンラインの授業であり、そのことが授業評価にどのように影響するか注目していたが、回答が得られたすべての授業において5点満点中4点以上の評価を獲得しており、大きな問題点はなかったと判断できる。その一方で、オンラインではなく対面授業を望む意見があったのも事実である。ただし、いずれの授業も少人数であり、各授業に対する回答者はほとんどの場合1名である。したがってアンケートで得られた情報に関して、担当教員は回答者の特定が可能であるという問題があることも事実である。こうした事実を踏まえ、アンケートの回収率の向上のための具体的手段、アンケート以外の学生の声を拾い上げるための適切な手段のあり方、カリキュラムのあり方、受講生への興味の持たせ方などについて引き続き検討を行っていく。

商学研究科

 商学研究科ではFD活動として2020年度において学部(商学部)と合同で以下の二回の研究会を開催した。
 第一回目は、2020年7月15日(水)に、Zoomによってオンライン開催された。関西学院大学情報環境機構の副機構長である大崎博之教授(理工学部)を講師としてお迎えし、「効果的なオンライン授業のための10のヒント」をテーマとして講演がなされた。今年度に入り、新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延に伴う講義形態の変更によって、オンライン講義の実施に欠かすことができないZoom 等の利用法など、有益な情報に関する提供が行われた。
 第二回目は、2020年12月9日(水)に、B号館202教室とZoomによるオンラインを利用したハイブリッドで開催された。商学部の研究推進委員である川端基夫教授を講師として、「個人研究費などにおける適正な支出とその留意点」をテーマとして講演・質疑応答がなされた。研究不正事例の紹介や特に注意すべき研究費支出の上での留意点について解説がなされた。
 いずれの研究会でも講師と参加教員との間で活発な意見交換があり、有意義な機会となった。

理工学研究科

 2012年度より研究科内にFD委員会を設置し、学部内のカリキュラムワーキンググループやFD委員会との連携の下、教育環境や教員の教育能力の向上を目指す取り組みの一環として、FD活動の経験者や有識者を講師に招いたFD講演会を毎年開催している。本年度は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多数の授業がオンラインでの実施を余儀なくされ、どの教員も授業の実施方法に思い悩むこととなったが、そのような中、本学部教授の大崎博之氏が、情報環境機構の副機構長として、Zoomの導入・運用や、メーリングリスト等を通じた学内ICT機器利用者間の情報交換に貢献されたことから、同氏に「効果的なオンライン授業実施のための10のヒント」と題して、利用者の多いZoomを中心に、効果的・効率的なオンライン授業実施のヒントとなる事柄をご紹介頂いた。本講演会自体もZoomで配信され、60名近くが参加したが、これまでの授業での各自の経験を踏まえた具体的で活発な質疑応答が交わされ、今後の授業改善に有益かつ即効性の高い内容となった。本講演会は録画映像も学部内に配信しており、当日参加できなかった教員も後日視聴が可能となっている。

総合政策研究科

 総合政策研究科では、FD・入試制度・カリキュラム検討委員会を計3回開催し、FD活動などに関する議論を行ってきた(研究科執行部会である学部長室委員会でも再度検討)。2020年度における研究科の主な活動は以下の通りである。
 ⑴ FD研修会を計3回開催した(学部と共催)。本年度は、教育・研究におけるコンプライアンスに関する理解の促進、2020年度入学者アンケート結果の共有と懇談、シラバスの作成に関する理解の促進とシラバスの教員間での相互評価・相互チェックの実施などであった。
 ⑵ 各教員の研究内容の紹介等を目的とした研究発表会を計4回実施した(学部と共催)。留学・特別研究員等で研究活動を行った教員4名が、研究の内容を報告し、質疑を行うことができた。
 ⑶ 「授業に関する学生アンケート」を実施し、結果について研究科委員会などで共有した。なお、方法をオンライン調査に変更した結果、回収率は例年と比べて高くなった。
 ⑷ 研究科委員会で、研究科のディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーについて検討した。その結果、ディプロマ・ポリシーとアドミッション・ポリシーについては改訂を行った。

言語コミュニケーション文化研究科

 言語コミュニケーション文化研究科では、FD活動の一環として、研究科執行部と大学院生代表によるFD研修会を年に1回開催している。本研究科のカリキュラム構成、授業内容、教授法、設備、施設等に関して学生の意見を聴取し、教員との間で議論を交わすことで、本研究科における教育・研究環境の改善に結びつけることがその目的である。
 2020年度のFD研修会は12月8日、オンラインにて実施した。執行部教員4名、院生5名の出席を得て、活発な議論が交わされた。院生からは、英語必修単位の必要性や、課題レポートへのフィードバック、アカデミックスキルの向上に関する要求、科目バランスの均衡化等、様々な点について指摘やコメントが出された。言コミでは創設以来、専門領域に応じた高度な言語能力、特に英語能力の習得を重視しているが、日本語教育学の学生が増加するなど、必ずしも実情に即さない状況が出ており、現在履修条件の見直しを進めている。
 院生たちからは他にも多くの要望があった。研究科委員会で共有した上で、院生の研究環境の向上のために継続して検討・対応することとした。

人間福祉研究科

 2020年度、人間福祉研究科では、大学院諸問題検討委員会と大学院FD委員会を同時開催で計8回(内、3回は持ち回り審議)、大学院・学部合同FD委員会を3回開催し、FD活動の充実に向けた検討を行った。2020年度における主な活動は以下のとおりである。
⑴ 大学院生による授業評価の実施
  春・秋学期ともに実施。回答数は半数程度であるが、授業評価は概ね良好であった。コロナ禍の影響を訴える声(通信環境が良くなかった)もあった半面、リモート開催で問題なかったという声もあった。
⑵ 前期課程中間報告会、後期課程成果報告会の開催
  前期課程中間報告会は2020年5月30日に、後期課程成果報告会は2021年2月12日にそれぞれ行った。いずれともに、大学院生が研究の進捗状況を発表し、研究経過やその成果を教員や他の大学院生等と共有するとともに、質疑を通して今後の研究に資することを目的にしている。今年度は、いずれともにオンラインでの開催になったが、むしろそれによって参加しやすくなったのか参加者や質疑の回数が増加した。
⑶ 研究業績の調査
  人間福祉研究科博士課程後期課程在籍の大学院生・研究員全員を対象に調査を実施し、研究業績を纏めるとともに、本研究科ホームページに業績を掲載した。
⑷ 合同FD委員会
  学部と大学院の合同FD委員会を2回行った。その内容は、オンライン授業の質的向上に関する研修、シラバスチェックの方向性を検討するための委員会のそれぞれ1回ずつであった。
⑸ シラバスチェックの実施
  昨年度に引き続き、次年度の開講科目のシラバスにつき、授業目的及び到達目標、さらに英文の授業目的と到達目標を重点的にチェックした。
⑹ 博士学位論文の指導審査プロセスの見直しに着手し、より効果的な指導と審査が可能になるように2022年度入学生からの適用を目指して、議論を重ねた。

教育学研究科

 2020年度のFD研究会は2回開催した。第1回FD研究会は2020年8月4日(火)(13時30分から15時00分、Zoomによるオンライン開催)、学部共催で行われた。テーマは、「オンライン授業についての学び合い」であった。前半は、宮本健市郎教授による研究倫理に関する講習会が開かれた。その後、波江彰彦准教授、谷村宏子教授、岩坂二規准教授により、それぞれ、学部、実習科目、大学院でのオンライン授業の実践例や課題について報告が行われた。 後半はZoomのブレイクアウトセッション機能を利用し、数人のグループに分かれ、実践例や課題を共有した後、各グループの代表者がその内容について全体にプレゼンテーションを行い、参加者全員で共有する機会を得た。
 第2回FD研究会は2021年2月17日(水)(学部FD研究会終了後約50分間、Zoomによるオンライン開催)に行われた。テーマは、「教育学特殊講義の2021年度、2022年度の予定」「教育研究フィールドワークの実施状況について」であり、研究科副委員長の宮本健市郎教授、教育学特殊講義の4名の科目代表者、研究フィールドワークの2名の担当者による報告発表が行われた。
 第1回、第2回ともに教育学研究科にとって、今後の教育を考えるうえで有意義な内容であった。

国際学研究科

 国際学研究科のFD活動としては、学部と合同での①FD研修会、②教員相互授業参観、③学生インタビュー、を行っている。今年度は、コロナ禍のため、各種会合や授業を対面で行う機会が大幅に制限された。そのため、今年度のFD活動は、Zoom等オンラインツールを最大限に活用しつつ行われた。
 今年度の大学院生を対象とした学生インタビューでは、オンライン授業や研究指導においても、様々な創意工夫によって対面での授業や研究指導と同等の水準が維持されているという見解とともに、今年度のような環境下にあっても、丁寧かつ熱心な指導を行っている本研究科教員への感謝と高い評価が示された。本研究科は学生数が少ないため少人数(しばしば1対1)の授業も多く、フレキシブルに対応が可能であったことは評価に値する。今後は、学生のさらなる多様化が予測されることから、図書館等研究関連施設での英語表記の充実や、幅広い年齢層の履修者への対応といった意見もあった。修士学位論文の中間報告会には昨年同様、指導教員以外も多く参加し活発な質疑が行われた。来年度も指摘を受けた点の改善に留意しつつ、引き続き適切な学習環境、授業を提供するよう尽力したい。
 少ない学生数であることから、研究科全体でのFD活動は行いにくいが、引き続き、教員間で、積極的に情報を共有しつつ、院生の論文指導は指導教員任せでなく、研究科全体で行っていくという姿勢を研究科の伝統としていきたい。

司法研究科

 司法研究科長を含む4名の教員からなる「自己評価・FD委員会」を原則毎月1回開催。以下のFD活動を実施した。
⑴ 授業評価:学生による授業評価アンケート及び授業担当者の自己評価アンケートを各学期終了間際に実施した。アンケート結果及び分析結果の報告書を作成し、全体概要を研究科HP上にて公開、科目ごとの詳細データを教職員・学生に公開した。なお、2020年度はコロナ禍の影響により、従来対面で実施していたアンケートをすべてオンラインにて実施した。
⑵ 授業参観:コロナ禍に伴い、特にオンライン授業実施における事例提供・情報共有を目的として参観を実施した。参観対象授業の録画データ・授業資料、及び当該授業履修者の中間アンケートの結果を事前に教員間で共有した。そのうえで、参観教員と授業担当教員との間で意見交換を行い、授業改善をはかった。
⑶ 中間アンケート:授業第6週目時点で学生アンケートを実施した。これは授業評価とは違い、後半の授業運営に向けて即時的な改善を狙った取組である。なお、2020年度はコロナ禍の影響により、従来対面で実施していたアンケートをすべてオンラインにて実施した。
⑷ 学生との個別面談の実施:各学期成績発表後、学生が自己の学修状況の確認や悩みについて相談する機会として、担当教員と学生(原則全員)との個別面談を実施した。
⑸ FD研修会:研究科の教育力向上を目的として、全教員を対象に年2回のFD研修会を実施した。各科目の担当教員が講師となり、各自の授業内容や指導方法、成績評価の仕方を紹介し、その後教員間で意見交換や情報共有を実施した。なお秋学期は授業参観とFD研修会を統合して実施することで、授業参観を通じた事前の分析・検討を踏まえたより活発な意見交換をはかり、さらなる授業改善に向けた議論を行った。秋学期は授業参観と統合する形で実施した。
⑹ 法科大学院認証評価:2018年度に(公財)日弁連法務研究財団による認証評価を受審して以降2回目となる年次報告書を提出した。
⑺ 『FDニュース』発行:1年間のFD活動に関する『FDニュース』を作成し、教員及び学生に配布した。

経営戦略研究科

 専門職大学院である本研究科は、設立当初より、研究者教員及び実務家教員に共通するFDのあり方を模索しつつ、所属教員の高い参画意識をもってFD活動を実施してきた。近年は年に3回のペースでFD研修会を実施している。
 2020年度は新型コロナウイルス感染拡大により、4月19日からオンライン授業を開始したことを受け、秋学期以降のオンライン授業の質向上に取り組むべく、第1回FD研修会として「オンライン授業の質向上について―春学期の実践例を通して―(2020年8月26日)」を開催した。本研修では、春学期の授業評価結果を基にオンライン授業の問題点を把握すると共に、本研究科教員による実践例を通して意見交換を行うことで、授業実施の際のスキルアップを図った。本研究科開講の授業科目担当者に幅広く声掛けし、50名近い参加者を得ることができた。11月25日にはコンプライアンス教育を目的として「関西学院大学における不正防止に関する取組について」と題するFD研修会を実施し、研究推進社会連携機構の職員を講師として、本学の取組、個人研究費を使用する際の留意点等を直接教授してもらう機会を設けた。2021年1月27日には、「次年度のオンライン講義に向けたFD研修会」と題し、フルオンライン授業、ハイフレックス授業の模擬講義を実施し、設備や教授方法に関する意見交換を行った。2021年3月以降も同様の実演形式のFD研修会を実施し、大阪梅田キャンパス、西宮上ケ原キャンパスでのハイフレックス型講義の実施について、理解を深めていく予定である。
 本研究科としては、2021年度からも引き続き活発なFD活動を行っていく所存である。

国連・外交統括センター

  国連・外交統括センターでは、2020年度に以下のFD活動を実施した。
⑴ 大学院「国連・外交コース」内容改善のための学生ヒアリングおよびアンケート実施
  昨年度に引き続き12月に計3回、国連・外交コース学生に対する座談会形式でのヒアリングを実施した。授業やカリキュラムの内容、教員の指導、インターンシップ派遣、募集方法などについて、履修生の感想や意見をセンター職員との懇談を通じて聞き取り、結果をセンターで共有して改善策を協議した。学生アンケートも年2回(春学期7月、秋学期2月)実施し、集計結果は改善リポートにまとめ、次学期の授業シラバス作成時に反映している。
⑵ シラバス検討ミーティングの実施
  大学院副専攻「国連・外交コース」および大学MS「国連・外交プログラム」の2021年度開講科目について、1月にシラバス検討コアミーティングを実施した。全授業代表教員が出席し、前学期の学生アンケートの回答やヒアリング結果も参考に、新規科目も含めた全科目の内容充実のアイデアや改善点を共有して、シラバスに反映した。

神学部

 神学部では、神学部教員を対象に次の研修会を開催した。(いずれも神学研究科と同様)
 第1回(2020年6月3日)テーマ「オンライン授業実施について」
 コロナ禍の対応としてオンライン授業の実施が急務となった状況に鑑み、FD研修会において各授業における実施状況を共有した。課題等の提出物についてその内容が向上、授業参加が積極的になりディスカッションが活発に行われるなど、ポジティブな事象がある一方、授業動画の配信方法や授業としての必要要件、成績評価方法などの課題も確認された。
 第2回(2020年11月4日)テーマ「オンライン授業実施に関する事例報告」
 主に履修基準年度が低年次の必修科目を除き、一部科目でオンライン授業を継続するにあたり、春学期のFD研修会や春学期授業での試行錯誤を踏まえた新たな試みについて、その事例報告を基に質疑応答を行った。LUNAなど全学で導入されているツールに加え、コミュニケーション支援アプリの活用、反転授業の充実を図ったオンデマンド教材の活用方法など新たな授業実施方法の考案に資する機会となった一方で、単位の実質化に関して十分な考慮が必要であることなど、オンライン授業の可能性と課題についても共有された。

文学部

 文学部では、2020年7月15日(水)15:30から1時間強にわたってFD研修会を行った。テーマは「オンライン授業についての説明(Zoom使用を中心に)」とし、文学部副学部長の横内一雄を講師とし、実際にZoomを使ってオンライン上で実施した。これは2020年度春学期において新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、学生のオンライン環境にも配慮して原則文書ベースでのオンデマンド型オンライン授業を行ったのに対し、秋学期からは新型コロナウイルス感染症への対策が進み、部分的に対面授業が再開される一方で、一部で動画ベースのオンデマンド型オンライン授業や同時双方向型オンライン授業が実施される見込みが出てきたことを受け、多くの教員が使い慣れないが恐らく使う必要の出てくるオンライン会議ツールの使用方法を周知させる目的で企画されたものである。研修会では、事務室と講師が共同ホストとして運営するオンライン会議に、全構成員がゲストとして参加する形を取り、画面共有の仕方やチャット機能の使い方、また拍手などの記号を使った反応の示し方、簡便な投票機能の使い方などを実践的に提示した。研修の後半では、参加者からの質問を受け付け、その場で回答することを通じて、実際にZoomを使った授業でも双方向型の通信ができることを体感する機会を得た。2019年度秋に実施したLUNA講習が、2020年度に入って思わぬ形で大きく役立ったように、今回のZoom講習も、秋学期以降の授業実施において不可欠な役割を果たしたとの参加者の報告を得ることができた。

社会学部

 社会学部ではカリキュラム検討委員会およびFD部会が中心となり、FD活動への取り組みをおこなっている。今年度は、月例のカリキュラム検討委員会に加えて、3回のFD研修会を開催し、学部の抱えている教務課題について教員間で情報共有すると共に、課題解決に向けた検討・研修をおこなった。4月15日の第一回FD研修会では、ビデオ会議ツールの「Zoom」使用について研修を行い、Zoomの授業での使用方法について共有した。7月15日の第二回FD研修会では、パンフレット『研究費の不正使用防止、研究活動上の不正行為防止への取り組み』等を活用した研修を実施し、知識を共有した。9月4日の第三回FD研修会では、「関西学院大学社会学部における授業の変革的取り組みと刷新」および「演習における対面とオンラインの併用にあたって」というテーマで2名の発題者により研修を実施し、懇談を行った。

法学部

 当該年度におけるFD活動として、法学部は以下二回の研究会を開催した。
 第一回目(2020年7月15日)には、今後のオンライン授業の対策について検討するため、教育開発(FD・教育学習分析)分野でご活躍中の杉森公一氏を金沢大学より講師としてお招きし、金沢大学でのオンライン授業の取り組み、およびオンライン授業における注意点等に関してご講演いただいた。法学部所属のほとんどの教員が参加し、オンライン授業における学生の負担や効果的な質問の受付方法など、様々な視点から質疑応答が行われた。秋学期からのオンライン授業と対面授業のハイブリット開講に向けた具体的な取り組みを検討する上で、大変有意義な機会となった。
 続く第二回目のFD研究会(2020年11月11日)では、国際交流科目の新設に関して種々懇談を行った。今後、オンラインでの国際交流科目の設定や外国人留学生と日本人学生の交流の必要性について確認がなされ、実際に2021年度から科目を新設する上での課題を共有した。

経済学部

 今年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、春学期は全面的にオンラインでの授業実施となった。これまでLUNAなどを活用した資料配布などの機能については使用されていたものの、インターネットツールを活用したオンライン授業の提供については、当初は困難を極めた。そのオンライン授業の実施については、機器の使用などについて少しでも教員の操作負担などが軽くなるように、経済学部では独自にFD研修会としてオンライン授業におけるツールの活用についての説明会を行った。
 具体的には、①Zoomの操作説明会と②Microsoft Formsの操作説明会を行った。説明会の講師はいずれも経済学部の専任教員である。また、参加者については専任だけでなく、非常勤講師も参加を可能として、経済学部の授業科目を担当される教員全員を対象に行った。そして、さらにそのFD研修会にリアルタイムで参加できなかった場合に、説明動画を後から視聴することを可能とするために、動画をネット上にアップロードし、適宜、必要な時に説明動画を視聴できるようにした。2020年度を通じてオンラインでの授業実施及び成績評価についてもオンラインでの実施が求められた訳であるが、上記FD研修会での操作説明により、教員のオンライン対応が円滑に行われたのではないかと考えられる。

商学部

 2020年度の商学部におけるFD活動としては、以下の2回の研究会を開催した。
 第1回目は、2020年7月15日(水)に、遠隔システム(Zoom)を使って開催された。情報環境機構副機構長の大崎博之教授(理工学部)を講師としてお迎えして、「効果的なオンライン授業のための10のヒント」をテーマとして講演がなされた。2020年度春学期から始まったオンライン授業に関して、効果的な授業方法や配慮すべきポイント、Zoomを授業で利用する場合の便利な機能、オンライン授業で使う機器などに関する講義をしていただいた。その後の質疑応答では、教員がオンライン授業で実際に抱える課題等について意見交換がなされた。なお、第1回研究会の欠席者2名(学院留学者等除く)は、録画をした当日の研究会動画を視聴し、これをもとに各自が研修を行い、報告書を提出した。この研究会の内容は、秋学期に向けて、オンライン授業を改善する上で実際に役立った。
 第2回目は、2020年12月9日(水)に、B号館201号教室および遠隔システム(Zoom)において開催された。商学部研究推進委員の川端基夫教授から、「個人研究費などにおける適正な支出とその留意点」をテーマとして講演と質疑応答がなされた。過去に発生した研究不正事例の紹介や特に注意すべき研究費支出上の留意点についての解説、および、教員との意見交換がなされた。第2回研究会欠席者1名(学院留学者等除く)は、研究会当日配布のリーフレットを渡し、各自が研修を行い、報告書を提出した。

理工学部

 理工学部FD 委員会では、カリキュラムワーキンググループや理工学研究科FD委員会と連携し、組織的に教育環境向上と教員の教育能力向上を目指した取り組みを推進している。2020年度は、主に、1FD講演会、2シラバス質向上に向けた取り組み、を実施した。FD講演会では、2020年9月23日に大崎博之教授(理工学部)から、「効果的なオンライン授業実施のための10のヒント」と題して、Zoom、OneDrive、Microsoft Forms 等の活用法を中心とし、効果的・効率的なオンライン授業を実施するためのヒントについて、実例を交えて紹介いただいた。コロナ渦の中でリモート授業が主な講義形態となっている中で、多くの有用な話をうかがえ、聴講者64名による活発な質疑応答がなされた。また、当日聴講できなかった教員のために、講演を録画し、関学の教員用のサイトで閲覧できるようにした。シラバス向上に向けた取り組みでは、既に作成されているシラバス作成ガイドラインに従い、品質の向上と保証にむけた表記方法について検討した。本年度は特に、これまでもチェックしてきたシラバス中の授業計画、授業目的、到達目標の記載項目の再度のチェックを実施した。
 

総合政策学部

 総合政策学部は、以前よりFD・カリキュラム検討委員会のもとで、FD活動とカリキュラムの検討を一体的に推進しており、共通の「FD・カリキュラム検討委員会」が担当している。
 2020年度においては、2021年度の学部再編に向け、またコロナ禍下における授業の進め方について、全22回の委員会が開催された。その主な論点は以下の8点である。
(1)教育課程表の科目区分について
(2)学部独自の海外派遣オンラインプログラムについて
(3)申込(抽選)制科目について
(4)レポート提出の方法について
(5)ゼミ選択制度の変更について
(6)新カリキュラムの履修モデルについて
(7)編入学生の単位認定の変更について
(8)交換学生や科目等履修生などへの科目提供について
なお、こうした学部再編・コロナ対応に関する議論と並行して、通常のFDも実施した。春学期においては例年通り、各教員の専門分野や研究内容、あるいはわかりやすい授業方法の紹介を目的として、新任教員及び海外留学から帰国した専任教員の研究発表会を実施し、情報交換を行った。また、学部長室委員会にてDP、CP、APの内容見直しの検討と内部質保証のあり方の検討を行い、今年度も学部再編に向けた文書の調整を行った。

人間福祉学部

 2020年度は、4年前から継続している初年次教育改善の取り組みとして、基礎演習の全クラスで本学部独自に作成した「スタディガイド」を、研究演習Ⅱの全クラスで「卒業研究ガイド」を配布した。また、2017年度より学部専任教員が自由に他の教員の研究演習Ⅱに所属している学生の卒業研究を閲覧できる閲覧期間を設けており、2020年度も2021年1月上旬に実施し、今後の卒業研究に対する自らの教育方法の改善にいかすように努めた。
 FD研修会としては、7月に「研究費の不正使用防止、研究活動上の不正行為防止に関する取り組み」をテーマとしてeラーニングを開催した。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、「対面授業の実施とオンラインでの授業配信」という課題に直面したことを受け、新たな授業形態を模索すべく、10月には「オンライン方式での授業を行うときに気をつけたいこと」をテーマとして学部FD委員会主催の学部研修会を開催した。このほか、2月に学部・研究科提供科目のシラバスチェックを実施するために、1月27日には人間福祉学部FD委員会を開催し、シラバスチェックに関する確認内容及び要点について話し合った。

教育学部

 今年度は、春学期・秋学期に各1回、計2回の学部FD 研究会を実施した。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、2回ともオンライン(Zoom)での実施となった。第1回学部FD研究会は大学院との合同開催とし、「オンライン授業についての学び合い」をテーマとした(8月4日(火)13:30~15:00)。3名の教員からの報告の後、ブレークアウトセッションを利用したグループディスカッションを行い、最後に討論内容を全体で共有した。急遽オンライン授業の全面実施となった春学期の経験をふまえ、各教員の工夫や苦労、オンライン授業の成果と課題などが話し合われた。第2回学部FD研究会では「教育学研究演習(ゼミ)のあり方を考える」をテーマとした(2021年2月17日(水)13:30~14:30)。各教員(ゼミ)の取り組みや抱えている課題などが報告され、教育学部におけるゼミの今後のあり方や改善点について議論した。
 今年度はコロナ禍の下、社会情勢に合わせた試行錯誤や新たな工夫がみられ、また教育のあり方や意義について見つめ直す1年であったように思われる。これを一過性のものとせず、今後のさらなる教育改善につなげていく必要があろう。

国際学部

 国際学部のFD活動は、①FD研修会(国際学研究科との合同を含む(以下、院合同))、②教員相互授業参観(院合同)、③学生インタビュー調査(院合同)の3つで構成されている。
2020年度FD研修会は、コロナ禍により対面授業の実施が困難となることが判明したことにより、例年よりも多く4回実施された。
①FD研修会について
 第1回「オンライン授業の実施方法について」(4月8日実施・院合同)において、国際学部における「遠隔授業」の実施方法について、授業担当教員への情報共有と討議が行われた。
 第2回「研究倫理・コンプライアンス教育」(7月8日実施・院合同)において、FD活動の一環として、『不正防止パンフレット』(表面『研究費の不正使用防止の取組み』裏面『研究活動上の不正行為防止への取組み』)に沿って研究倫理・コンプライアンス研修が行われた。
 第3回「進路情報意見交換会」(10月14日実施・院合同)、をFD研修会(オンライン(Zoom)開催)として受けた。キャリアセンター職員による2019年度卒業生の進路状況等の報告および最新の動向についての説明を受けて質疑応答がなされ、緊密な情報共有の重要性を確認した。特にコロナ禍が就職活動へどのように影響を及ぼすかについて積極的な討議が行われた。
 第4回「2020年度秋学期授業の振り返り活動」および「基礎演習のオンデマンド教材の継続的利用」(2021年1月13日実施・院合同)の2つを議題とし、秋学期の授業を振り返って気づいた点を共有し、来年度に向けての改善点、大学への要望事項などについての討議を行った。2020年度春学期に有志の教員が作成した基礎演習のオンデマンド教材を来年度以降、反転授業の教材として用いることなどについての討議を行った。
②教員相互授業参観について(春秋・院合同)
 オムニバス科目の国際地域理解入門ABを対象として、他教員のオンデマンド方式の授業を視聴することにより行った。
③学生インタビュー調査について(院合同)
 8月31日~9月3日にかけて7グループ(1,2,3,4年生、日本語話者留学生、英語話者留学生、大学院生)+予備会の合計8回、対象学生への参加を呼びかけてZoomにより実施したが、授業期間外だったため、参加学生は合計4名のみであった。

言語教育研究センター

 (英語)全学英語教育FD部会を計5回開催し、主に以下の件について懇談した:全学TOEICのオンライン実施、2019年度TOEIC・TOEFLのスコア、2019年度SGU外国語力スタンダード達成者数、全学TOEIC実施要領の改正、英語教育(主にプレースメントテストおよび入門英語コースの導入にともなう)成果検証。(仏語)新型コロナウイルス感染症の拡大をうけて、通例となっていたフランス語担当教員によるFD部会を対面で開催することを断念し、代わりにアンケート調査およびメール交換で意見交換を行った。本学での遠隔授業における問題点と、遠隔形態での新しい教授法に関して検討を行った。(ドイツ語)オンライン授業に使用できるWeb上のツールについてのセミナーを開催し、ツールの実践的活用方法について理解を深めた。(スペイン語)8月20日と12月26日にオンライン会議システムZoomにより、スペイン語教授法に関する研究会を開催した。両日とも20名程度の参加があった。1回目は春学期のオンライン授業の総括を行い、意見交換を行った。2回目は、学内学習支援システムLUNAを使ったオンデマンド授業の実践報告に基づいて議論を行ったほか、オンライン授業で生じた課題についての情報共有、授業改善策についての講習と意見交換を行った。(中国語)講師会を開催し、オンライン授業のあり方や授業上の工夫などについて意見や情報を交換した。(朝鮮語)教科書や音声・動画教材の有効な活用方法を検討し、オンライン授業の実施について各種の意見交換を行った。センター全体としては、教育成果の検証に加えて、オンライン授業についての課題、授業改善策、教授法について情報共有し一定の成果を得た。

教職教育研究センター

 本年度は2回のFD研修会を行った。第1回は7月14日に「本年度の教育実習の課題と今後の改善と充実」というテーマで、教育実習の課題について情報共有と意見交換を行った。特に、コロナ禍における事前事後指導の実施方法と評価方法、実習期間中の学生の安全管理やサポートおよび実習校との連絡・協力関係などが話題となった。第2回は12月22日に「本学教職課程の現状」というテーマで、教員免許等の資格取得者数・教職就職者数・教育実習生数・実習校数・介護等体験参加者数・免許状更新講習受講者数および国際バカロレア教員養成プログラムの履修・進捗状況について報告と意見交換を行った。本年度1年生の教職関連授業の履修者増などが話題となった。なお昨年度までは非常勤講師等を招いたFD研修会も別に行っていたが、本年度はコロナ禍の状況を鑑み、本研修会の資料等の送付に代えざるをえなかった。なお以上の研修会のほかにも、センター連絡会の機会を利用して研究倫理教育・コンプライアンス教育およびシラバス改善について情報共有と懇談を行った。

共通教育センター

 当センターは2010年4月の設置以来、FDに関する主たる取り組みとして、全学科目体系の整備、初年次教育科目「スタディスキルセミナー」の提供、ラーニング・アシスタント(L. A.)制度の運用を推進している。
 カリキュラム充実に向けた取組としては、今年度、論理的思考力や表現能力を身に付けた「自立した書き手」の育成を目指したライティングセンターを設置し、大学生向けに「スタディスキルセミナー(リポート執筆の基礎)」、大学院生向けに「論文執筆のためのアカデミックライティング」の科目を開講した。また、開講2年目を迎える「AI活用人材育成プログラム」では、社会で今後ますます必要とされるAIやデータサイエンス関連の知識を持ち、それらを活用して現実の諸問題を解決できる能力を有する人材の育成を目的に、より発展的な内容の2科目を新たに開講する等、教職員が一体となって取り組んだ。
 また、シラバスの高度化・実質化に関する取り組みを継続し、高等教育推進センターと共同で作成した『授業シラバス執筆の手引き』を基に、センターが提供する全科目のシラバスについて、センター長、センター副長、情報科学科目コーディネータ教員、関係教員でチェックを行った。

ハンズオン・ラーニングセンター

 ハンズオン・ラーニングセンター(HoLC)はSGU構想の中核をなすダブルチャレンジの履修を促進するため、「ハ ンズオン・ラーニング・プログラム(HoLP)」の更なる開発・充実に取り組んできた。授業終了後には、教職員間で振り返りを実施し、課題を共有しながら、カリキュラム充実はもちろんのこと円滑な授業運営についても検討を行った。授業担当者と事務室スタッフとは常に連携を取りながら授業改善を行い、センター全体としては月1回程度の検討・情報交換会を実施し、既存科目の充実及び科目新設を行った。2021年度の新設科目およびプログラム変更は以下のとおりである。
• ハンズオン・アドバンストⅠ・Ⅱ【新設】
   ハンズオン・ラーニング・プログラムの最上位に位置付け、学部や専門の異なるチーム(3人)を編成し、テーマ設定から、計画書の作成、“現場”での活動までの全プロセスに関わることによって、ハンズオン・ラーニングを極める。
• 社会探究実践演習Ⅰ・Ⅱ(大阪・上本町)【新設】
   今田(丹波篠山市)、竹田(朝来市)に加え、大阪城と天王寺に近接する教育と歴史豊かな上本町六丁目周辺(大阪府)を新たなフィールドとして追加した。
• ハンズオン・インターンシップ【プログラム変更】
   従来は提示されたプロジェクト(PJ)で実施していたが、地域・企業を深く理解し目指すべき姿を共に考える(自らPJ化する)内容にフルモデルチェンジし、科目名も「ハンズオン・インターンシップ」に変更した。学生から1回だけのインターンでは物足りず、「自らのPJにより踏み込んで活動したい」という声に応え、2回目をチャレンジできるよう「Ⅰ」・「Ⅱ」の構成とした。

スポーツ科学・健康科学教育プログラム室

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年度のスポーツ科学・健康科学科目(以下スポ健科目)はオンラインでの授業を余儀なくされた。特に春学期においては初めての経験となり、試行錯誤の連続であった。スポ健科目はスポーツ科学、健康科学、体育方法学、余暇生活学を4つの柱とし、それぞれに講義科目、演習科目を置いている。オンライン授業を実施するにあたっては体育実技を伴う演習科目の実施方法、効果、安全性の確保について懸念が大きかったが、このような状況だからこそ今一度、身体運動の必要性、心身の健康について一人一人が見つめ直す良い機会になると考え、履修生が自宅で一人でも可能な身体運動(ストレッチ、ラジオ体操、筋力トレーニング)や屋外でのウォーキングを実施し、自身の体力について把握することで、QOLの向上にも繋げることができた。

人権教育研究室

 人権教育研究室は、2020年~2024年度総合テーマ「インクルーシブな社会の実現を目指して」の下、人権教育における全学的なFDの推進のために、室長室会が主体となって人権関連の諸活動を実施している。教職員研修プログラムの提供、公開研究会・シンポジウムの開催、啓発キャンペーンの実施など、教職員が自主的、多角的に参画できる人権理解の場の創出に努め、また各学部の教員が人権教育科目の授業の運営に当たることにより、人権教育についての理解を深める取り組みを行っている。2020年度はコロナ禍の影響を受けながらも、以下の活動を行った。
 第一に、毎年4月に行っている新任教員および在職教職員の希望者を対象とした人権研修プログラムについては、オンデマンド配信を2021年1月から2月に行い、本学の人権についての基本的な考え方と実践例について紹介した。
 第二に、春季および秋季に開催されてきた人権問題講演会については、秋季にオンラインにより実施した。講演会のテーマは、同性婚、脳科学と性差、原発事故であり、人権に関する様々な課題について理解を深める貴重な機会となった。また性の多様性への啓発として、第8回関学レインボーウィーク「Borderless Colors」を10月5日~9日の間、オンラインにより開催した。さらに全学的な難民問題への取り組みの一環として、学生有志のプロジェクトMeal for Refugees (M4R)活動を後援し、また難民映画フェスティバルを主催し、映画「SONITA」のインターネット配信を行った。
 第三に、人権教育研究室が提供する人権教育科目については、各学部からの教員が運営委員となり、科目代表者と共に科目の運営を担うことにより、多くの教員が本学の人権教育について理解を深めることができた。2021年3月1日には、人権教育科目担当者連絡会をオンラインにより開催し、関西学院インクルーシブコミュニティ実現のための行動指針に関する報告の後、人権教育科目担当者間で意見交換や情報共有を行った。
 人権教育研究室においては2020年度の活動を精査し、本学における多様性尊重の人権文化の醸成とそれに基づく人権教育を促すFDの取り組みへとつなげていく所存である。

国際教育・協力センター

2020年度、国際教育・協力センターでは、新たな国際教育の可能性についてFD活動を行ってきた。具体的には、米国教育協議会(ACE)が主催したトレーニングプログラム「迅速な対応:仮想交換・COIL型教育 日米大学変革のラボ」に、海外協定校のトリニティ大学(アメリカ)のチームと共に参加した。その成果として、2020年度秋学期に本学初のCOIL型科目の開講を実現した。また、新たな融合科目の開発にあたり、「国際共修」の分野で国内大学を先導する東北大学へヒアリングを行った。授業内容や課題改善のための取り組みについて情報を得て、本学に適した新たな融合科目「多文化共修科目」を新設することができた。2021年度には2科目開講の予定である。

日本語教育センター

 日本語教育センターは、正規外国人留学生、交換留学生、短期外国人留学生、正規日本人学生を対象とするプログラムを開講している。全学による授業評価と併せて、本センター独自の質問票による授業アンケートを行っているが、2016年度よりアンケートをマークシート化したことで、分析結果を学期末講師会議で共有し次年度の検討に生かしている。本センターの留学生を対象としたプログラムはすべてティームティーチングによって指導しているため、教員間の連絡や情報共有が欠かせない。そのため、クラスの状況や学生一人一人の勉学上の問題点、お互いの教授方法や進度などの情報共有を目的に、学期開始前と終了時に、非常勤講師を含む授業担当者全員による講師会議を開催し、また、専任教員、言語特別講師、常勤講師による講師室会議を毎月行っている。さらに、教育研究の研鑽の機会として、例年、夏と冬の2回、関学日本語教育研究会を開催している。今年度は新型コロナ感染症の影響で夏の開催が中止となったが、冬については、昨年度に引き続き高等教育推進センターの時任隼平准教授にご講演とワークショップをお願いし、特にオンライン環境下でのアクティブラーニングのデザインと実践についてお話しいただいた。

大学宗教主事会

 今年度は新型コロナウイルスの感染拡大のため、春学期の授業は急遽原則オンラインで実施されることになったが、これを受けて5月15日の宗教主事会では、キリスト教関係科目の授業及びチャペルアワーの運営方法について懇談の時間をもち、各学部の実施状況について情報を共有すると共に意見を交換し、併せて必修科目である「キリスト教学」の評価方法について協議した。秋学期には一部対面授業が再開されることになったが、なお先が見えない状況にあることを踏まえ、来年度以降の「キリスト教学」(及びチャペルアワー)の在り方を検討すべく、9月25日の大学宗教主事会はFD研修会として開催し、平林国際学部宗教主事より「Withコロナ・Afterコロナ時代のキリスト教科目の在り方」というタイトルで発題していただき、意見交換する時間をもった。知識伝達を中心とする多人数科目を「オンライン科目」にしようとする動きがあるなか、「キリスト教学」は単に知識を伝達する科目ではないことを意識しつつ、次年度以降は授業に取り組む必要があることを共に確認した。