2016年度のFD活動報告

[ 編集者:高等教育推進センター       2017年6月5日   更新  ]

2016年度FD活動報告

関西学院大学では各研究科、各学部・教育研究機関等が独自に工夫を凝らしたFD活動に取り組んでいます。以下に各研究科、各学部・教育研究機関等の取り組みを報告します。

神学研究科

 神学研究科では、2016 年度にFD 研修会を2回実施した。第1回は6月1日に開催し、修士論文の指導・評価方法をテーマとして様々な問題について懇談を行った。今回とくに議論が集中したのは、口頭試問以降の論文内容の訂正をどこまで認めるか、どのような手順でいつまでに訂正を行わせるか、という論文の最終評価に関わる部分、そして研究の成果発表をいつどのような仕方で行うべきかという問題である。後者に関しては結論が出なかったので、今後の研究科委員会等で継続的に懇談を行うこととなった。
 第2回は11 月2日に開催された。ここではとくに講義シラバスの作成についてのオリエンテーションが持たれ、この主題に関する懇談が行われた。講義の目的と目標とがカリキュラム・ポリシーといかに連動するかを確認し、これに則った課題設定と評価基準の在り方について話し合われた。これに合わせて、英語によるシラバス表記の際の注意事項についても確認された。

文学研究科

 文学研究科では一昨年度から開始した(1)研究進捗状況報告書提出の義務化による大学院生の研究上の進捗状況の把握とそれに則した指導の徹底、(2)『文学研究科履修心得』の全面改訂による履修・研究指導過程の仕組みの整理と周知徹底、そして(3)博士学位(甲号・乙号)取得にいたる手続きの明確化のための「申し合わせ」の作成と周知徹底により、着実に成果を挙げている。
 また、所属大学院生を対象に年2回実施している文学研究科「学生による授業評価」アンケートについて、大学院問題検討委員会で検討を行いその結果を活用している。
 さらに、(1)文学研究科独自の大学院生への研究支援制度の見直し、そして(2)大学院生と教員間の学術交流の活性化のための院生・教員合同研究会の開催をめざして検討を行っている。

社会学研究科

社会学研究科では、主に以下の3 つの活動を行った。
⑴ アドミッション・ポリシー、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、履修モデル、大学院科目のナンバリングについて、大学院FD委員会において検証を行った。
⑵ 科目履修者を対象とし、授業に関するアンケートを春学期と秋学期に各一回実施した。当該アンケートは授業、カリキュラム構成、学習環境の現状ならびに今後に向けた課題を明らかにすることを目的としたものである。
アンケート結果を集計した後、院生会の代表者と研究科副委員長・研究科委員長補佐との間で年度内に計二回の会合を持ち、アンケート結果をめぐる話し合いならびに授業等に関する意見や要望について意見交換する機会を設けた。アンケートの結果および院生会との話し合いの内容について、研究科委員会で情報共有を行った。
⑶ 院生教育のサポートのための科目「先端社会講義(研究)I / J」の成果および改善を要する点について、担当教員と研究科副委員長・研究科委員長補佐との間で振り返り会を実施し、研究科委員会で情報共有を行った。

法学研究科

 法学研究科では、7月29 日(金)にFD 研究会を開催した。例年、全学の大学院教務課アンケートとともに法学研究科独自のアンケートを実施し、院生の要望等を調査している。今年度も、これらのアンケートの結果を基に、教員と院生がともに参加するFD 研究会を開催し、大学院のカリュラムや学習環境等について率直な意見交換を行った。以下、その議論の一部を紹介する。まず、学部から大学院への橋渡しになる科目を整備して欲しいという要望について、同志社や立命館では院生が学部の科目を自由に履修できる制度があり、これが実質的に橋渡しの機能を担っていることから、本研究科でも今後、学部と大学院との合併科目を増やしたりするなどの対応を検討する必要が確認された。
次に、卒業単位数に算入できる同一名称科目を増やして欲しいという要望について、博士前期課程のカリキュラムに関して、もっぱら特定の科目を学ぶか、あるいは幅広く学ぶのかは意見が分かれるところでもあるため、引き続き議論を重ねながら本研究科の編成方針を考えていく必要性について認識を共有した。

経済学研究科

 2016 年度の経済学研究科のFD 活動としては、春と秋の定期試験後、2回のFD 委員会を開催し、授業アンケートの集計結果についてと授業運営における改善点の有無などについての議論を行ったが、特に大きな問題点はなかった。しかし、大学院の在籍者数の減少は続いており、学部定期試験監督業務への影響は引き続き起こっていることが認められるが、院生数を急激に増やすことは難しいため、なかなか解決の方法は得られていない。
 一方で全学レベルでは大学院活性化の部会も発足し、大学院教育の低迷が全学的な課題であることも認識され、改善に向けても動きもでてきた。本研究科においても、学部と大学院5 年一貫教育を目的の1 つとしたカリキュラム改革のWG も発足し、議論が始まった。経済学研究科としての新たな策をここ数年のうちには示していかなくてはならないと考える。

商学研究科

 商学研究科は、大学院FD 委員会を中心に、FD 活動を行うとともに、専任教員参加によるFD 教授研究会(講演会、討論会など)を行っている。
 2016 年度の大学院FD 委員会は、第1回を2016 年7月6日(水)に、第2回を10 月5日(水)に持ち回りにて開催した。また、研究科委員長から大学院FD 委員会に対して、商学研究科のカリキュラムおよびシラバスについて定期的な検証を行い、その結果を10 月29日(土)までに報告書として提出するよう諮問があり、その内容について検討を行い、報告書を作成した。
 2016 年度のFD 教授研究会は、商学部と共同で2 回開催され、多くの教員が参加し、参加教員との活発な質疑応答があった。特に、第1 回FD 教授研究会は全員参加となった(日時:2016 年6月1日(水)15:20、講師:石原一則氏(本学研究推進社会連携機構・事務部長)、白坂 健氏(本学研究推進社会連携機構・課長補佐)、テーマ:「公的研究費の管理及び研究活動・不正行為を巡る状況と本学の対応」)。続いて、第2回FD 教授研究会を開催した(日時:2016 年7月6日(水)15:20、講師:地道正行(商学部教授)、テーマ:「内部質保証とシラバス実質化」)。この他にも、教授研究会として、商学部と共同で教員による研究報告会を行っており、教員の研究活動の活性化を図っている。

理工学研究科

 理工学研究科は大学院進学者が多く、大学院生を指導するためのFD組織は重要である。2012年度より理工学研究科のFD推進組織として、大学院理工学研究科FD委員会を設置し、順調に機能している。また、2012年度から開講した英語のみで講義・研究を行う国際修士プログラムも順調に進んでおり、現在14名の学生が受講している。プログラムの問題点をチェックするため、新入留学生全員と面接による聴き取りを行い、既習内容と研究テーマのマッチングの確認、生活面での問題点等について調査した。ここで得られた情報や要望は国際化推進委員会と共有され、大学院教育や生活面の改善に役立っている。また、2016年7月20日に、DVD視聴の形で『教育の質保証とシラバスの実質化』に関するFD研修を実施し、3/4以上の教員が聴講した。さらに理工学部FD委員会との共同開催で、FD講演会とFD研修会を開催した。FD講演会は、FD活動の経験者や有識者を招いて講演会を開催するもので、毎年開催している。今年度は、11月16日に、立命館大学の清水寧教授をお迎えし、「学生運動の定点観測の試み – 立命館大学物理学科における学修面談について - 」というタイトルで講演いただいた。この講演から、学生の振り返りの場、問題を聞くことで学生に安心感を与える場として面談を捉える考え方を学ぶことができた。また、学生の成績は、個人の能力だけでなく、学生の属すクラスなどの集団からも影響を受けることから、入学初期から集団全体の質を向上させる取り組みが必要であることがわかった。FD研修会として、学生からの授業アンケートで高い評価を受けている2つの講義の見学を行った。11月2日には、石浦菜岐佐教授の「コンピュータアーキテクチャ」、11月14日には、高橋功教授の「量子力学I」の見学が行われた。それぞれの参加者からアンケートをとったところ、自身の講義の改善に有用な情報が得られたとのコメントが多く寄せられ、講義改善の啓発活動として有効な企画であったと考えられる。

総合政策研究科

総合政策研究科では、FD /入試制度・カリキュラム検討委員会を計3 回(持ち回り1 回)開催し、FD 活動などに関する議論を行った。2016 年度における主な活動は以下の通りである。
⑴ FD 研究会を計3 回開催した(学部と共催)。
⑵専門分野の異なる各教員の研究内容や授業方法の紹介などを目的とした研究発表会を計6 回実施し、新任教員5 名、学院留学・特別研究期間で研究活動を行った教員1 名が研究報告を行った(学部と共催)。
⑶「授業に関するアンケート」の記入用紙および集計方法・フィードバックに関する再検討を行い、秋学期から新方式で実施した。
⑷研究者養成に重点を置いた新カリキュラムを策定した(2017 年度から導入予定)。この中には、国連・外交コース開設を見据えた「英語コース」の内容変更や、大学院共通科目・他研究科科目の履修に関する変更、他研究科との合併科目に関する検討、教職課程(専修)に関する見直しなどを含んでいる。
⑸研究科のディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーの再検討を行った。

言語コミュニケーション文化研究科

言語コミュニケーション文化研究科においては、FD 活動の一環として、研究科執行部と、言語科学、言語文化学、言語教育学、日本語教育学の全4領域の大学院生代表によるFD 研修会を年に1回開催している。本研究科のカリキュラム構成、授業内容、教授法、設備、施設等に関して学生の意見を聴取し、教員との間で議論を交わすことによって、本研究科における教育・研究環境の全般的改善に結びつけることがその目的である。2016 年度のFD 研修会は12 月7日に実施され、執行部教員4名、学生4名の出席を得て、活発な議論が交わされた。学生からは、外国語による論文執筆に際してサポート体制を整えてほしいとの要望をはじめとして、カリキュラム構成、授業アンケート、学生間のコミュニケーションなど、様々な点についての指摘やコメントが出された。外国語による論文作成支援については全学的な取り組みが必要であると考えられるが、研究科単位で可能な対応についても検討していくこととなった。その他の内容についても、研究科教員全体と共有を行った上で、学生の教育研究環境の向上のために、継続的に検討・対応を進めていくこととした。

人間福祉研究科

 人間福祉研究科では、大学院諸問題検討委員会と大学院FD 委員会を同時開催で計4回開催し、FD 活動の充実に向けた検討を行った。2016 年度における主な活動は以下のとおりである。
⑴人間福祉研究科開講科目ナンバリングの付番全学のナンバリング体型を基に、人間福祉研究科開講科目にナンバーを付番した。
⑵カリキュラム改編についての考え方の整理今後の授業開講担当者の調整について、考え方を整理した。
⑶授業評価の実施春・秋学期ともに実施。いずれも各授業についてよい評価を得た。
⑷前期課程中間報告会、後期課程成果報告会の開催前期課程、後期課程それぞれの学生が研究の進捗状況を発表することにより、知見を教員や院生等と共有するとともに、質疑を通して今後の研究に資する報告会を開催した。
⑸人間福祉研究科のガバナンスの構築人間福祉研究科のガバナンスを構築し、マネジメント体制を確立した。
⑹研究業績の調査
人間福祉研究科在籍の大学院生全員を対象に調査を実施し、2016 年度の研究業績を纏めた。
 また、人間福祉研究科では2017 年1月28 日(火)にFD研修会を実施し、2016 年度自己点検評価に対する評価専門委員会・第三者評価結果を受けて意見交換を行った。

教育学研究科

 今年度は3回のFD 研究会を実施した。7月13 日は内部保証に関する研修会を教育学部と合同で実施した。8月3日は「成熟社会に相応しい教育課程と学習指導要領改訂」というテーマで、合田哲雄氏(文部科学省初等中等教育局教育課程課長)にご講演いただいた。2018 年(先行実施)にスタートする学習指導要領改訂の背景と特徴について、具体的には新しい時代に求められる資質・能力を明確に示し、子どもたちが学校教育で何を学ぶのか、どのように学ぶのかについて、豊富な資料に基づきながらの解説を賜った。教員養成課程を有する教育学部、教育学研究科にとって学習指導要領改訂は教育課程や授業内容に影響するため、本研究会は貴重な学びの機会となった。2月15 日には「共生」というテーマで実施した。次年度から研究科再編により教育学専攻内に乳幼児教育研究領域と共生教育研究領域が設けられる。共生教育については既に教育理念にも掲げられているが、「共生とは何か」「共生教育とは何か」を常に開かれた問いとし、様々な専門分野の教員が相互に学び合い、議論を深める機会として、FD 研究会を計画した。今回はコンセプトマップの作成に向けて3名の教員から話題提供があり、その後、参加者全員によるワークショップを実施した。次年度以降も同テーマに関する恊働研究を大学院生も交えて継続し、「学びと探求の共同体」の形成をめざしている。

国際学研究科

 国際学研究科のFD 活動としては執行部教員が学部生から要望を聞く学生インタビューを院生にも行っている。院生は全員に参加してもらったので、言いにくい点もあったかもしれないが、特に不満は聞かれず、少人数での授業に満足していたようである。
 5年間で学士と修士を取得することは、現行でも早期卒業制度を利用すれば可能だが、他研究科への進学も含めて、学部生がより一層利用しやすくするための制度変更を検討している。その中で昨年度から引き続き、学部と大学院の連携について議論している。教員負担軽減のため、同じ授業を聴かせて別の課題を課し、異なる評価基準で成績評価する制度の導入を目指していくことになったが、その具体的な教育方法については今後の課題である。
 修士号学位論文の中間報告会には昨年同様、指導教員以外も多く参加し活発な助言が行われた。1学年定員6人で実際には在籍者2人程度なので不開講科目が多く研究科全体でのFD 活動は行いにくいが、その分、院生の論文指導は指導教員任せでなく、研究科全体で行っていくという姿勢は研究科の伝統としていきたい。

司法研究科

 司法研究科では、研究科長を含む4名の教員からなる「自己評価・FD 委員会」を、原則として毎月1回開催している。今年度は、次のような活動を行った。
⑴ 授業評価:学生による授業評価アンケートを春・秋の両学期授業終了時に実施した。あわせて、すべての授業担当者が自ら実施する自己評価アンケートも実施している。評価結果及びそれを分析した報告書は、教学Web サービスにおいて、また紙冊子によるものは事務室において教職員・学生を対象に公開を予定している。なお、今回は両学期の報告書をまとめて作成(掲載)する予定である。
⑵ 授業参観:各学期期間中に授業参観週間を設けて、教員相互の参観を実施している。また、特定の授業(今年度は「基礎演習」科目群)を指定して参観を行い、授業終了後に担当教員退出後、参観した教員と受講していた学生との間で意見交換を行っている。さらにその後、参観した教員と当該授業担当教員との間でも意見交換を行い、授業方法等の改善にむけて率直な議論を重ねている。
⑶中間アンケートの実施:各学期の授業開始後、原則として第4週目あたりで、授業に関するアンケートを学生対象に行っている。これは、授業担当者自身が行うもので、これをもとに即座に、その後の授業改善に役立たせようとするねらいがある。
⑷ 学生との個別面談の実施:春学期成績発表後、担当教員と学生との個別面談を実施している。ここで学修状況の確認や学修上および生活上の悩みについての相談を受けている。
⑸ FD 研修会の実施:11 月30 日、法科大学院認証機関である日弁連法務研究財団から2名の委員(弁護士)を招き、評価基準の改正に関する説明会を開催した。専任教員は15 名が参加した。なお、本学ロースクールは、2018 年度に当該財団の認証評価を受審する予定である。
⑹ FD ニュースの発行:自己評価・FD 委員会において、FD 活動に関して「FD ニュース」を作成し、教員及び学生に配布する予定である。

経営戦略研究科

 経営戦略研究科では、2016 年5月11 日に経営戦略研究科大会議室で第1回のFD 委員会を開催し、当該年度のFD 活動計画について話し合った。続いて、2016 年10 月19 日に2016 年第2回のFD 委員会を経営戦略研究科大会議室で開催し、それまでのFD 活動の振り返りと反省、追加のFD 研修会の開催について議論した。その時点で既に2 つの研修会を終えていたものの、やや義務的な内容のものでもあったので、追加で独自のFD研修会を開催すべきであるとの意見に達した。
 3回のFD 研修会の内容については以下のとおりである。第1回の研修会は、2016 年6月29 日(水) 16:00~ 17:00 に経営戦略研究科大会議室で開催した。コンプライアンス、特に研究不正防止について研修を行った。具体的には、研究推進社会連携機構事務部 石原一則 部長、白坂建 課長補佐をお招きし、公的研究費の管理及び研究活動・不正行為を巡る状況と本学の対応(主に剽窃について)およびTurnitin について講習をしていただいた後で、質疑応答を行った。出席者は、19 名であった。
 第2回のFD 研修会は、2016 年8月31 日(水) 13:30 ~ 14:00 に経営戦略研究科大会議室で開催した。内部質保証研修会として、教育学部 江原昭博 准教授の講演を収録した23 分間のDVD を視聴した。その具体的な内容は、認証評価制度および改革総合支援事業を通じた政策動向についてであった。出席者は、16 名で、当日参加できなかった教員を対象2016 年9月7日(水)に再度経営戦略研究科大会議室で同じ内容の研修会を開催した。
 第3回のFD 研修会は、2016 年11 月30 日(水)の専攻会議終了後、「専門職大学院の動向」というテーマで、ビジネススクールに関しては、山本教授、佐竹教授、アカウンティングスクールに関しては杉本教授が講師となり、専門職大学院の動向や他校の動向などについて話題提供があり、そのあと質疑応答をした。

神学部

 神学部では、2017 年度より従来4 年生のみが履修する特殊研究演習に代わって3・4 年生が履修する研究演習を導入するにあたり、特殊研究演習・研究演習の運営、短・中期留学希望者の指導についての研修の時を持った。また卒業論文執筆の指導について、将来的に「優秀卒業論文賞」を設置するための手順、ならびに卒業論文発表会について話し合った。
 11 月2日には、第2回FD 研修会として、「初年次教育と少人数教育」について話し合う時を持った。特に1年の春学期にクォーター制で行われている「キリスト教学」と「旧約聖書入門」「新約聖書入門」、さらに本年度から開講している「文献講読」について報告ならびに振り返りを行った。また、従来から取り組んできたシラバスの充実について、特に教育の質向上に関するPDCA の確立という視点から話し合った。
 2017 年3月7日には、非常勤講師対象に高等教育推進センターのスタッフを招きLUNA の運用、ならびにポートフォリオについてのFD 研修会を開催し、具体的な事例を紹介していただきながら、各授業における運用について懇談した。

文学部

  文学部では、2016 年度のFD 活動として、まず2016年11 月30 日に「人文演習Ⅰ担当者会」を開催した。文学部では、初年次春学期「人文演習Ⅰ」については文学部11 専修の学生をシャッフルしてメンバーを構成する一方、秋学期「人文演習Ⅱ」については各専修に分かれて専修の教員が指導する形をとっている。従来の「担当者会」は「Ⅰ」と「Ⅱ」を繋ぐ役割を果たしてきたが、今回は新しい試みとして、「Ⅰ」の今年度担当者と来年度担当予定者とが集まり、今年度担当者が事前に提出したリポートをもとに意見交換を行い、今後の「人文演習Ⅰ」のあり方について懇談した。
 また、2017 年2 月14 日には、文学部FD 研修会として、総合支援センターによる講演会「不当な差別的取り扱いと合理的配慮の提供について」を開き、障がい者の権利に関する国内外の法制度の動向や、学内で取るべき対応について学んだ。講演後、カリキュラム上の合理的配慮(履修単位の読替)の可能性、支援を行う教員に対する援助体制の充実、合理的配慮の諸事例のデータベースの整備等について質問が出され、今後の合理的配慮の方向性に関し活発な意見交換がなされた。

社会学部

 社会学部では、FD 部会が中心となり、FD 活動への取り組みをおこなっている。今年度は、2回FD 研修会を開催し、1回学部懇談会を行い、学部の抱えている課題について教員間で情報共有すると共に、課題解決に向けた議論をおこなった。
 7月13 日に第1回目のFD 研修会をおこなった。テーマは「IR 調査結果から見る社会学部生の特性について」とし、IR 調査の社会学部分のデータを再分析し、社会学部生の特徴を明らかにし、知識の共有を図った。
 12 月14 日には、「新課程における初年次教育について」と題して、2回目のFD 研修会を開催した。社会学部では、今年度より新しいカリキュラムが始まっている。そこで研修会では、特に新カリキュラムにて新設または大きく内容を変更した科目を取り上げ、どのような授業をおこなっているのか、また現時点で考えられる課題は何であるのかについて、報告、議論をし、教員間での情報共有をおこなった。
 3月7日には、「初年次教育の現状と課題」というテーマで学部懇談会を開催した。12 月14 日のFD 研修会の内容を踏まえ、特に1年生必修科目である基礎演習と社会学入門についてさらにつっこんだ議論をおこなった。また1年生に対しておこなった意識調査結果の報告、初年次教育におけるキリスト教教育についても議論することで、来年度に向けた初年次教育のあり方について議論をおこなった。

法学部

 法学部は、2012 年度に大規模なカリキュラム改革を実施し、その完成年度を経て、4月の拡大カリキュラム委員会において、この新カリキュラムを30 頁を超える検証用資料を作成した上で検証した。その後、学部長室会議で報告を行った後、5月の教授会でこの資料をもとに懇談した。教授会では多くの教員から、司法特修コースの今後の見通し、2年生向けのコース導入演習の在り方などの意見を頂いた。
 また、12 月の教授会の冒頭で「FD 研究会」を開催し、高等教育推進センターの時任講師をお迎えして、「アクティブラーニングとルーブリックを活用した評価」について講演して頂いた。講演では、アクティブラーニングの定義から、その活用事例、さらにはルーブリック利用のメリットやルーブリック事例などを図表を用いて分かりやすく説明して頂いた。講演の後で、質疑応答があり、法学部の専門の講義及び演習におけるアクティブラーニングの活用の具体的方法などについて意見が交わされた。研究会では、例えば、レポート用ルーブリックなど法学部の専門科目でも十分に利用できると思われる方法が多くの資料に基づいて説明された。

経済学部

 経済学部が2016 年度に実施したFD 活動は以下の通りである。
⑴「基礎演習」については2017 年3 月に担当者会議を行い、2016 年度の基礎演習運営に関する現状と問題点に関する共有等を図った。
⑵専門基礎科目「経済と経済学の基礎」に関して、補習授業の担当者会議を2016 年4 月と9 月に行い、科目担当教員とTA の顔合わせおよび進め方、LA の活用方法等に関する確認・情報共有を図った。
⑶専門基礎科目「経済と経済学の基礎」「現代経済入門」「経済の歴史と思想」について、2016 年9 月、2017年3 月の2 回にわたり担当者会を行い、講義内容や採点・評価、授業実施上の課題等に関する情報交換を行った。
⑷ライティング教育のスキルアップを目的として、2017年1 月に桜美林大学の井下千以子教授を招き「思考を深めるライティング教育の組織的取組と指導法―Writing Across the Curriculum の事例をもとに―」というテーマで講演・研修会を行った。
⑸ 2016 年度秋から、学部の基礎教育・経済学教育の全体的な体系見直しに向けたワーキンググループを立ち上げ、議論を開始した。実現可能性を含め現在は構想段階であるが、今後経済学部の教育に必要な要素について議論を深めていく予定である。

商学部

 2016 年度に商学部で行ったFD に関する活動としては、以下の2回の研究会をひらいた。
 まず、2016 年6月1日( 水) に商学部本館第1 会議室において本学研究推進社会連携機構の事務部長である石原一則氏と課長補佐の白坂 健氏を迎えて「公的研究費の管理および研究活動・不正行為を巡る状況と本学の対応」という演題で講演をいただいた。公的研究費の私的利用など、本来あってはならない問題が日々メディアで取り上げられることを鑑みても、この研究会は非常に有意義なものであった。なお、参加者は30 名で欠席者の19 名については当日配布された資料を再配布し徹底した。
 次に、2016 年7月13 日(水)に商学部本館第1会議室において副学部長(教務担当)から「内部質保証とシラバス実質化」という演題で説明があった。開催の背景には、今後、シラバスの実質化とその評価が文部科学省からの要請により重要な事項として取り組むべきこととなることが予想され、その前段階として内部質保証の意義を理解した上でそれらの試みを行う必要があることが指摘された。なお、参加者は41 名であり、欠席者8名については当日の資料を配付し、研修用DVDを視聴してもらった。

理工学部

 理工学部FD 委員会は毎年、FD に関係する活動の経験者や識者を講師に招いて講演会を開催している。2016年度は、アカデミック・アドバイザー制度における教員面談指導能力の向上を図るため、立命館大学で学修相談のマネジメントをされている清水寧教授に依頼し、「学生動態の定点観測の試み―立命館大学物理科学科における学修面談について―」という演題で講演いただいた。面談を学生の振り返りの場や、学生生活の問題を聞くことで安心感を与える場とする考え方などを学ぶことができた。また、学生は入学後の英語クラスなど集団の影響を受けるため、入学初期に上位層を引き上げる事で集団全体の質を上げるような取り組みも重要である事が分かった。
 また、2016 年度から学部独自のFD 活動として、『授業に関する調査』で学生満足度が高かった講義を教員が聴講し、内容について懇談を行った。配布資料の周到な準備や豊富な知識に基づく様々な角度の講義法などに学生が満足を感じている事が分かり、今後の学部講義全体の質向上に向けて参考になった。さらに、FD研修会として本学教育学部の江原昭博准教授による「内部質保証の意義」に関する講義DVD を3/4 以上の教員が聴講した。

総合政策学部

 総合政策学部は、従来からFD・カリキュラム委員会のもとで、FD 活動とカリキュラムの検討を一体的に推進してきた。2016 年度においても、複数回のFD・カリキュラム委員会に加え、短期海外プログラムの課題検討や、教員等による研究報告会等を実施した。なおカリキュラムの見直しについては、並行して進めている学部将来構想委員会における議論を優先することとした。
 春学期においては例年通り、各教員の専門分野や研究内容、あるいはわかりやすい授業方法の紹介を目的として、新任教員及び海外留学から帰国した専任教員等の研究発表会を実施し、情報交換を行った。秋学期には3回の委員会を開催した。まず2016 年9月には、学部DP,CP,AP についての現状確認と修正検討を行った。さらに内部質保証について、教育学部江原准教授が作成された資料をもとに学習した。また高大連携科目のひとつとして高校生を交えて夏休み集中講義形式で試行した「総合政策トピックス」についての報告と検証を行った。2016 年11 月の委員会では、海外短期プログラムについて、参加学生のアンケート結果を見ながらその効果と実施のための課題等について議論した。2017 年1 月の委員会では、高畑教授より2016 年度総政入学生の入試タイプ別の初年度成績や志望学科等の調査、過年度入学生の成績追跡調査および建築士プログラム受講生の特徴などについてのデータを基にした報告がなされ、情報を共有した。
 なお、理工学部とのシナジー教育タスクフォースの成果として「激論講義 in KSC」を実施し両学部学生から好評を得た。その成果を踏まえて企画の恒常化や講義科目への展開について検討中である。

人間福祉学部

 2016 年度は、第1学年次必修科目である基礎演習において、昨年度の学部FD 委員会で初年次教育改善の取り組みとして作成した「スタディガイド」を全クラスで配布・活用した。また、7月6日(水) 17:00 ~ 18:30 には、コロンビアのアンティオキア大学社会科学・人文科学部長であるHernando Munoz Sanchez 先生を講師に招き、「コロンビアのLGBT について」と題して2016 年度第1回FD 研修会を開催し、コロンビアと日本の大学におけるLGBT 学生の置かれている立場について議論を行った。
 2017 年1月28 日(土) 17:00 ~ 17:55 には、2016 年度第2回FD 研修会を開催し、2016 年度自己点検評価【人間福祉学部・人間福祉研究科】に対する評価専門委員会・第三者評価結果を受けて、学部・研究科内での取り組み事項の優先順位付けや担当者、また学部・研究科内の各委員会の役割やスケジュールなどについて、構成メンバーで意見交換を行った。
 さらに、2017 年度に向けて卒業研究の提出期間を見直すとともに、「卒業研究ガイド」の作成についても担当者を決定し、作業を開始した。

教育学部

 2016 年度、教育学部はFD 活動として、以下1回のFD 研究会を実施した。
 2017 年2月27 日、京都大学高等教育研究開発推進センター教授、溝上慎一先生による講演「大学(教育学部)におけるアクティブラーニング」を受講した。具体的内容としては、①アクティブラーニング型授業づくりの基礎、②アクティブラーニングの背景、③アクティブラーニングとは(大学~初等中等教育)、④初等中等教育で起こっているアクティブラーニング型授業の問題点、等について学んだ。その際、講義だけでなく、ペアワーク等も含んだ受講者参加型も含む形式で学ぶ機会を得た。特に④初等中等教育で起こっているアクティブラーニング型授業の問題点については、具体的な事例について説明があり、非常に実践的な内容であった。積極的導入が望まれるアクティブラーニング型授業について教授会メンバーで共有する機会となった。参加者は43 名であった。

国際学部

 国際学部のFD 活動は、① FD 研修会(年4 回実施・内2 回は国際学研究科との合同(以下、院合同))、②教員相互授業参観(院合同)、③学生インタビュー調査(院合同)の三つで構成されている。
 2016 年度FD 研修会は、第一回「学部と大学院の連携について」(5月25 日実施・院合同)、第二回「ライフデザインについて:3 年生・大学院生の就職活動に向けて」(7月6日実施・院合同)、第三回「内部質保証の意義とシラバスの実質化」(7月13 日実施・臨時)、第四回「3つのポリシーが私たちの教育をどう変えるのか」(1月25 日実施)をテーマとした。
 第一回FD 研修会では、学部生の専門性と大学院進学(他研究科・他大学を含む)、早期卒業制度と活用状況、他学部における学部と大学院との連携の事例紹介などについて、活発な議論が行われた。第二回はキャリアセンター職員による2015 年度卒業生の進路状況等の報告を受けて質疑応答がなされ、緊密な情報共有の重要性を確認した。第三回は江原昭博教育学部准教授によるDVD 講演の視聴、第四回は平林孝裕教授(高等教育推進センター長)による講演に続き、質疑・討論を行った。

言語教育研究センター

 (英語)レベル別で開講する各クラスの使用テキストや2017 年度開講予定のリメディアルクラスの授業運営について議論を行った。(フランス語)LA の活用により、学習者のフランス語学習(発話)の動機づけを高め、効果的な学習を促した。(ドイツ語)ドイツ語圏からの留学生との対面タンデム学習、日独学生交流会、ドイツ語母語話者LA の活用により、学習の動機づけを促進した。また、ポートフォリオ作成、使用についても本格的導入のための準備を行った。(中国語)中国文化週間を実施し、言語教育を通じて異文化交流を促進した。
(朝鮮語・スペイン語)学部選択必修科目として修得済みの学生の継続的な学習を促すため、各語種の履修基準を変更した。センター全体としては、学習の動機づけ、学習者ポートフォリオ導入、協働学習、カリキュラム・シラバス改善、教材開発に取り組み、一定の成果を得た。

教職教育研究センター

 本センターでは、文部科学省によって2018 年度に実施される教職課程の再課程認定に備え、教職課程の質的水準の向上を図るために、計4回のFD 研修会を実施した。第1回(7月5日・教職員全員)では、「内部質保証の意義とシラバスの実質化」をテーマとした講演内容をもとに認証評価制度の政策動向について共通理解を図った。第2回(7月12 日・職員を含む)は、「本年度の教育実習の改善と充実」をテーマとし、事前・訪問指導の在り方や就職動向の変化による課題とその対応について検討を行った。第3回(10 月29 日・非常勤講師を含む)では、複数の授業形態によって多様な授業内容を展開する「教職実践演習」(2013 年度から導入の必修科目・4年次秋学期履修)について意見を交換した。実施上の課題や学生の自己評価に対する適切なフィードバックの方法について協議し、学期後半と次年度の授業に備えた。第4回は、教職課程研究懇話会(12月16 日)の中で行った。学習指導要領改訂を視野に社会科系の教科教育の動向を踏まえ、社会科・公民科教育法の実践方法・内容に関する発表が授業担当者によって行われた後、出席者全員(非常勤講師を含む)で教職課程全般についての情報交換を行った。

スポーツ科学・健康科学教育プログラム室

 2016 年度スポーツ科学・健康科学教育プログラム室では以下のFD 活動を行なった。
⑴ 関西5 私大体育研修会への参加 2016 年12 月に関西大学(梅田キャンパス)で開催された関西5私大体育研修会に、本プログラム室の室長、副室長が参加した。本研修会は関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学、龍谷大学の関西5私大で構成された研修会である。今年度は、「保健体育科目の現状報告」「実技授業の安全管理(熱中症対策、スキー実習等のST比など)」というテーマにもとづき、室長が本学の現状報告を行ない、他大学との情報共有を行なった。
⑵ スノーボード研究会への参加
 2017 年1月に実施されたスノーボード研究会にプログラム室構成員2名が参加した。スノーボード初心者、初級者、中級者、上級者各々に対する指導上必要な技術に関する実技研修を受けた。また、昨今問題になっている、ゲレンデ内外での事故に対する防止策、対応法に関しても専門家による講義、実技指導がおこなわれ、同時に参加者全員による情報交換がおこなわれた。

人権教育研究室

 人権教育研究室は、人権教育における全学的なFD の推進のために、室長室会が推進主体となって人権関連の諸活動を実施している。具体的には、研修プログラムの提供、公開の研究会・シンポジウムの開催、啓発キャンペーンの実施など、教職員が自主的、多角的に参画できる人権理解の場の創出に努めるとともに、人権教育科目の授業に各学部の教員が運営委員として出席し、科目代表者とともに授業運営に当たることで、本学の人権教育の理解を深めている。今年度の主な取り組みは以下のとおりである。
 第1に、4月に新任教職員及び在職教職員の希望者を対象に人権研修プログラムを実施し、本学の人権についての考え方についての研修と、大阪人権博物館の見学を行った。第2に、春季・秋季各2回の人権問題講演会で、大学におけるハラスメント問題、LGBT への対応、ヒロシマと平和、難民問題の各テーマについて理解を深めた。特に、LGBT 啓発においては、第4 回関学レインボーウィーク「みんなが気づけば関学も変わる!」で、多岐にわたる企画により学生とともに問題に出会い、学ぶ機会が提供された。第3に、人権教育科目の運営を、各学部からの教員が運営委員となり代表者とともに担った。また、3月に開催した人権教育科目担当者連絡会では、本学の人権保障実践についての報告の後、人権教育科目担当者間で意見交換を行った。第4 に、
指定研究において、人権教育科目の設置や内容について、時代と学生のニーズに対応した人権教育を捉えなおす研究が行われた。また、教職員による主体的な人権の取組みの奨励を意図して設けている公募研究にも、多数の意欲的な応募があった。
 以上の2016 年度の本研究室の活動をさらに精査し、今後の本学における人権教育と多様性尊重の人権文化を促すFD の取組みへとつなげていきたい。

国際教育・協力センター

 一昨年度より、国際教育・協力センターでは、交換留学を主眼に据えて開講する日本・東アジア研究プログラムについての検討ワーキンググループを設置して議論を続けてきた。そのワーキンググループでは、通常の授業調査とは別に、協定校から来学している交換留学生を対象にアンケートを行い、日本・東アジア研究プログラムとして提供する科目群が彼らの留学目的に沿った学びを体系的に提供できる科目構成となっているかについて尋ねた。その結果、特定分野・領域に開講科目が集中していたり、交換留学生の関心が高い分野・領域における開講科目が欠落していたりしているなどの課題が浮き彫りになったため、昨年度、「現代日本プログラム」という新しい名称のもと、日本・東アジア研究プログラムの全体的な科目構成を抜本的に見直し、各分野における科目の整備にも着手した。今年度は現代日本プログラム開講の初年度であったが、以前よりも交換留学生の学問的な関心に応えることができたという印象を抱いている。今後も交換留学生数の急速な増加が予想される上に、彼らの日本についての興味も多様化してきており、様々なチャレンジが待ち受けているだろうが、できるだけ満足のいく留学生活を送ってもらえるよう今後も彼らのニーズに耳を傾けながらプログラムの内容を充実させていく所存である。

日本語教育センター

 日本語教育センターは、正規外国人留学生、交換留学生、短期外国人留学生、正規日本人学生を対象とするプログラムを開講している。全学による授業評価と併せて、本センター独自の質問票による授業アンケートを行っているが、本年度はアンケートの質問項目を見直し、マークシート化したことで、分析が学期末講師会議に間に合うようになった。本センターの留学生を対象としたプログラムはすべてティームティーチングによって指導しているため、教員間の連絡や情報共有が欠かせない。従って本センターに所属する教員は常にクラスの状況や学生一人一人の勉学上の問題点、お互いの教授方法や進度などの情報を共有するために、学期前と後に開催する講師会(非常勤講師を含む授業担当者全員)や毎月の講師室会(専任、特別契約、常勤講師のみでの連絡会)を開催している。また、3月に開催した関学日本語教育研究会では、「読解教育」をテーマに学部から講師を招き講演してもらうと共に、外部にも告知して多くの日本語教育関係者と意見交換を行い、さまざまな知見を得るとともに、本学の日本語教育センターの知名度向上を図った。

キャリア教育プログラム室

キャリア教育プログラム室では、次の体系のもとで、正課科目を配している。⑴ インターンシップ関連科目、⑵ キャリアゼミについて、FD 活動に取り組んだ。そもそも、本プログラム室の教育カリキュラムは、(a) 講義、(b) 小集団ゼミ、そして(c) キャリアゼミという3 段重ねになっている。
⑴インターンシップ関連科目は、 (a) と(b) からなる。(a)は大教室での講義であり、「社会の中での自分」というメインタイトルをつけている。授業期間に開講しており、大学卒業後に彼らが選択するであろう産業界や官界にあるいはNPO に進む将来のキャリアを、現在の日本の経済や産業の現状と課題を教えることで、グローバルに思索し、真剣に歩ませたいという意図を持っている。(b) も授業期間に開講しており、クラス40 名程度でディベートやディスカッションをさせることで自分自身の発見と自覚を目指すものである。ただし、本年度より(a) と(b) を春・秋学期に開講した。
⑵ (a) については、NKS 能力開発センター・紀伊國屋書店等に講師派遣とテキスト開発を委託している。学期終了後に、担当講師およびNKS 能力開発センター、紀伊國屋書店、キャリア教育プログラム室が一堂に会して、反省と次年度への改革を討議している。ここで共有した改革点はテキストの増補改訂や次年度の授業に反映させている。一昨年からは、民間企業だけでなく、公務員に関心のある学生を配慮して、公務員の任務についても概説している。
⑶キャリアゼミは夏休みや春休みの期間を利用して開講する集中科目である。ビジネスプランを書かせるキャリアゼミA、協力企業から与えられた経営課題に取り組むキャリアゼミB、最後にキャリアゼミCでは、学生チームが自由に飛び込みで選択した企業の経営戦略と経営ビジョンを語る。東京での企業回りもあり、東京・代々木オリンピックセンターでの合宿形式が多い。他に、霞が関セミナーでは、現職の課長クラスの講演に加えて、16 年度は霞ヶ関本庁を訪問した。一昨年、これらの参加者の中から中央官庁総合職が二人決定したことは誇りであり、当センターの努力が実ったとも言える。また、海外インターンシップ(2014 年夏からスタート、ロサンゼルス方面) がある。担当教員を中心に、学生の評価や理解度、満足度から問題点を確定し次年度の改良点として、授業の運営に生かしている。
⑷ゼミ形式の授業や海外インターシップでは、学生の個性を生かす努力を展開しており、学生の評価は極めて高い。

共通教育センター

 当センターは2010 年4月の設置以来、FD に関する主たる取り組みとして、全学科目体系の整備、初年次教育科目「スタディスキルセミナー」や「グローバルキャリアデザイン入門」の提供、ラーニング・アシスタント(L.A.)制度の運用を推進してきました。
 2016 年度は上記取り組みの推進と改善に加え、ハンズオン・ラーニング科目の新規開発を行いました。2014年度に採択された「スーパーグローバル大学創成支援」事業の中核の「ダブルチャレンジ制度」の1 つである「ハンズオン・ラーニング・プログラム」として『社会探究実習Ⅰ(広島・江田島平和フィールドワーク)』『社会探究実習Ⅰ(瀬戸内海・豊島環境フィールドワーク)』『PBL 特別演習001(福島から原発を考える)』を2016年度より開講しました。いずれも現地でのフィールドワークを行い、自分の目で見て、自分の耳で聞くことを通じて受講生自らが課題を探究し、主体的に考え、行動する能力を養うことに主眼をおく科目です。これらの科目の実施に際しては、現地カウンターパートとの行程調整、担当教員との授業計画、評価方法の在り方に関する検討を行いました。
 また、2017 年度から新規開講する『社会探究実践演習(篠山・今田コミュニティガバナンスFW)及び(朝来・竹田城下町活性化PJ)』の開発に向けて、現地の事前踏査や現地カウンターパートとの連絡・調整を行いました。さらに、『PBL 特別演習(富士ゼロックス兵庫㈱志PJ)』や『ハンズオン・インターンシップ実習』の連携先との連絡・調整、授業計画の検討を行いました。今後これらを提供していく上で、一つのカギとなるのは各活動に対する評価をどのように行うか、という点です。これに関しては、プレゼンテーションやグループワークに対する評価として、ルーブリック評価を積極的に導入していくなどといった教育改善の取り組みを推進していきたいと考えています。
 なお、当センターでは、科目提供とともに学習環境の改善に取り組んでいます。学生の学習意欲の喚起と授業の活性化を通じて、今後も教育の質の向上を目指していきたいと考えています。共同学習空間「ラーニングコモンズ」の円滑な運営と改善を図るとともに、全学的な取り組みの推進が求められている、シラバスの高度化等のFD推進課題に関する調査と検討を進めて、教育の質向上に寄与していきたいと考えています。

大学宗教主事会

 一昨年度ならびに昨年度は、初等部・中学部・高等部の各宗教主事より各学校で実施されているキリスト教主義活動と教育の報告と意見交換を行い、一貫教育としての「キリスト教主義教育」を考える機会を得た。今年度は従来の学部の教育内容に関する報告を下記の2学部より行っていただいた。また、9月に実施された「拡大学長室会」集中審議を受けて、大学宗教主事会でも集中審議を実施(9/6)したほか、内部質保障を目指して開催された「評価推進委員会」(1/13、2/17)での議論をもとに、「キリスト教学」のあり方を考えるためのFD 研修会を下記のように実施し、今後のキリスト教主義教育のあり方をめぐる意見交換を行うことができた。なお現在、大学宗教主事会のもとに「キリスト教学のあり方」を再考し2018 年度の各学部シラバスに反映することを目的としたワーキング・グループを組織し、集中的に論議を重ねていることを、今年度の報告者ならびに講師の方々への感謝と共に、合わせて今回の報告とさせていただく。
*各学部の「キリスト教学」「チャペル・アワー」の内容ならびにその特徴の報告
・開催日時:2016 年6月3日(金)
報告・発題者:嶺重 淑 人間福祉学部宗教主事
・開催日時:2016 年12 月4 日(金)
報告・発題者:打樋啓史 社会学部宗教主事
*3つのポリシーをもとにした「キリスト教学」の内容再考のための研修
・開催日時:2017 年2 月17 日(金)
講師:平林孝裕 高等教育推進センター長