2012年度のFD活動報告

[ 編集者:高等教育推進センター       2017年4月28日   更新  ]

2012年度FD活動報告

関西学院大学では各研究科、各学部・教育研究機関等が独自に工夫を凝らしたFD活動に取り組んでいます。以下に各研究科、各学部・教育研究機関等の取り組みを報告します。

神学研究科

 神学研究科におけるFD活動は、基本的には学部と共同でもたれており、その中で区別されて行われている。今年度は、三回実施された。

 まず春学期には6月13日に、秋学期には11月14日にそれぞれ実施された。内容的には、二回とも、来年度から学部において研究演習で論文を導入するに当たり、その審査基準について議論が行われたこととの関連で、研究科においても修士論文の審査基準と博士論文の審査基準について論議された。

 もう一回のFD活動は、非常勤講師を対象としたもので、3月11日に実施された。毎年、非常勤講師を対象として、FD活動を学部と大学院共同で行われている。教務の担当者からのガイダンスの後、長年教えておられる講師、初めて教えられる講師の方々が共同で、シラバスや授業の進め方、視聴覚教材の問題、評価・採点の問題など、共に抱えている課題を共有しあい、有意義な意見交換の時をもった。

文学研究科

 文学研究科においては大学院問題検討委員会がFD活動を担っているが、前期課程は3専攻12領域(後期課程は11領域)の専門分野に分かれており、カリキュラムに対する院生のニーズも多様化しつつある同研究科の現状をふまえた時、この活動の出立点の一つに「文学研究科特殊講義」の問題があるとの認識を持つに至っている。前期課程の選択科目であり、どの領域の院生も履修が可能、修得した単位は自領域のそれに含めることのできる「文学研究科特殊講義」が掲げる目的の一つには、院生がそこでの授業を通じて自分の専門領域で得た知を他の分野の専門知と交差させ、自身の学問を開かれたものにしていく弾みを与える点にある。とともに、そうした目的は教員の側にとっても、他領域の院生にいかにして自身の講義の核となる部分を伝え、かつ関心を向けさせることができるかという課題を突き付けてくることになるからである。

 今年度は5 領域からの16 名の履修者を対象として、領域を異にする4 名の専任教員が2 名の非常勤講師の協力を仰いで授業を担当したが、大学院問題検討委員会では2013年2月21 日(木)にこの点についての意見交換と多角的な検討を行った。

社会学研究科

 社会学研究科では、主に以下の四つの活動を行なった。

(1) 学生を対象とし、授業に関するアンケートを春学期と秋学期に各一回実施した。これは、授業・カリキュラム構成・学習環境の充実化を目的としたものである。各学期のアンケート結果の取りまとめ後、院生会と大学院教育アセスメントWG とで夏と冬に計二回の会合を持ち、結果を共有しつつ懇談を行なった。

(2) 大学院諸問題検討委員会において、2013 年度に開講する授業科目および担当者について、カリキュラムポリシーを鑑みつつ検討を行なった。

(3) コースおよび課程ごとの履修モデル、ならびに、学位論文の審査基準(修士学位論文および博士学位論文)を策定した。これらは2012 年度中に研究科ウェブサイト上で公表され、また2013 年度の『授業科目履修心得』に掲載される。

(4) 2012 年度から新たに、院生教育のサポートのための科目として「先端社会講義I / 研究I」および「先端社会講義J / 研究J」を開講し、論文投稿や英語による研究報告をする院生への研究支援を行なった。これらの科目については、担当教員と大学院教務学生正副委員との間で年度末に振り返り会を実施し、成果および改善すべき点についての検証を行なった。

法学研究科

 法学研究科においては従来、大学院関係の諸課題を議論する場として「大学院問題検討委員会」が置かれてきたが、大学院関係の諸課題が質的にも量的にも拡大してきたので、2012 年度より新たに、「大学院運営委員会」と改称した。これに合わせて、開催回数も以前より多くして、諸課題について議論を行なってきた。また2012 年度よりこの運営委員会と同じ構成メンバーでFD 委員会を構成し、FD 活動を行うこととした。

 具体的なFD 活動としては、従来までのように教務課が実施している院生に対するアンケート調査に加えて、法学研究科独自のアンケート調査を行った。これによって、院生のニーズを調査し、それによってFD を狙ったのである。質問項目には、大学院に進学した目的、修了後に目指している進路、さらに、シラバスに対する意見(どのような内容のシラバスを希望するか)、大学院に進学しての所感などの項目が含まれている。

 また、大学院生の団体である院生会の代表(博士前期課程2 人、後期課程2 人)と会合し、院生の生の声を汲み上げようとした。これは、法学研究科FD 検討会として行われたもので、成績評価について、法学未履修者の受講について、シラバスについてなどの意見交換が行われた。

経済学研究科

 経済学研究科では2012 年9 月よりファカルティ・ディべロップメント委員会の設置に向けての検討と委員会規程策定作業を開始し、10 月と11 月の経済学研究科委員会での審議を経て、11 月28 日付で「経済学研究科ファカルティ・ディべロップメント委員会規程」が制定された。規程では委員会の目的やFDの定義、委員会の構成、委員の任期、運営、所掌任務等について定めている。経済学研究科ではこの規程に基づき、FDに係る情報収集や調査・研究、情報発信、大学院教務学生委員会ファカルティ・ディベロップメント部会との連携等の活動を行っていく。

 また、2012 年度春学期より授業評価アンケートの実施・回収方法の改善を行い、回収数の増加を図った。結果についてはレーダーチャート分析を行ったうえで授業担当者に情報を提供し、授業改善効果の向上に努めている。

 このほか、経済学研究科執行部と院生会代表との情報交換・共有、種々の課題に関する協議の機会を2012 年5月と9月の二回にわたって行った。

商学研究科

 商学研究科でのFD 活動としては、大学院FD 委員会によるFD 活動を行うとともに、専任教員参加によるにFD 教授研究会(講演会、討論会など)などを行っている。

 2012 年度の大学院FD 委員会は、10 月24 日(水)に、商学部FD 委員会と共同開催した。研究科委員長から大学院FD 委員会に対して、商学研究科のカリキュラムおよびシラバスについての定期的な検証を行い、その結果を年度末までに報告書として提出するよう諮問があり、その内容について検討が行われた。

 2012 年度のFD 教授研究会は、商学部と共同で3 回開催され、多くの教員が参加し、参加教員との活発な質疑応答があった。

第1 回FD 教授研究会:2012 年11 月7 日(水)、講師:大学院課課長 坂田穣氏、演題:「グローバル人材育成推進事業について」。


第2 回FD 教授研究会:2012 年12 月5 日(水)教授会終了後、司会:水野敬三教授、「カリキュラムの定期的検証について」。


第3 回FD 教授研究会:2013 年3 月15 日(金)、講師:研究推進社会連携機構長 山本昭二教授(副学長)、演題:「公的研究費の管理について~安心して研究に専念でき

る環境の整備に向けて~」。 

 この他にも、教授研究会として、商学部と共同で教員による研究報告会を行っており、教員の研究活動の活性化を図っている。

理工学研究科

 理工学研究科は大学院進学者が多く、大学院生を指導するためのFD 組織は重要である。本年度、理工学研究科のFD推進組織として大学院理工学研究科FD 委員会が設置された。

 今年から英語のみで講義・研究を行う国際修士プログラムが開講されているが、まず本プログラムに対して行った取り組みを紹介したい。

 プログラムの問題点をチェックするため、新入留学生全員と面接による聴き取りを行い、既習内容と研究テーマのマッチングの確認、生活面での問題点等について調査した。ここで得られた情報や要望は国際化推進委員会と共有され、大学院教育や生活面の改善に役立っている。講義の中で危険を伴う共通機器取扱い注意に関する内容の追加や、生協でのハラル食品の販売の実現は、その好例である。

 また、理工学研究科では実験の中で共同作業を行うことが多いため、理工学部FD 委員会と共同でピアラーニングに関する講演会を開催した。

「立命館大学におけるピアラーニング〜新しい大学教育の形〜」

2012 年10 月17 日 午後3 時10 分〜午後4 時40 分 Ⅵ号館201 教室

立命館大学講師 俵口忠行氏

  本セミナーを通じて学習者同士が互いの力を発揮し、協力して作業することの高い教育効果を再認識することができた。

総合政策研究科

 総合政策研究科では、独自のFD部会を未だ設置してはいない。しかし、学部長室委員会(大学院関係)、研究科委員会、将来構想委員会(学部を含む)、カリキュラム検討委員会等の場で、FD活動を実践してきた。

 2012 年度はこれらの場での検討をふまえて、アドミッションポリシー、ディプロマポリシー、カリキュラムポリシーおよび学位審査基準等の見直しと公表をはじめ、当研究科の特徴であるリサーチコンソーシアムやリサーチフェアでの研究発表およびドーナツアワーの活性化に取り組んだ。

 2012 年度に総合政策学部の4 学科体制が完成年度を迎えたことをふまえ、学部では2013 年度入学生より大幅なカリキュラム改正を行った。総合政策研究科では学部教育との連続性を重要課題ととらえ、学部の改変を受けて2012 年度より根本的な見直し検討を開始したところである。その一環として、一級建築士受験資格取得のためのインターンシッププログラムの開設を行ったが、2013 年度以降は、グローバル人材育成や他大学等からの入学生の拡充を見据えた研究領域およびカリキュラムの再検討を始める予定である。

言語コミュニケーション文化研究科

 言語コミュニケーション文化研究科においては、FD 活動の一環として、研究科執行部の教員4名と大学院生代表(院生会執行部及び有志学生)によるFD 研修会を年に1回行っている。その目的は、本研究科のカリキュラム構成、授業内容・教え方、設備・施設、及び本研究科所属教員、現役学生、修了生を会員とする言語コミュニケーション文化学会とその関連行事のあり方に関して学生の意見を聞き、それらを巡って教員と議論することで本研究科を改善することにある。

 2012 年度のFD 研修会は12 月19 日に行われた。学生から様々な意見が活発に出され、約90 分にわたって教員との建設的な議論がなされた。今後は、話し合われた内容に基づき、学内の様々な部署からの協力を得ながら一つでも多くの改善点を実現させたい。

 また、上記の内容以外にも、学生側から見た本研究科の特徴などを取り上げて議論することで、本研究科のさらなる特徴付けや今後の入学生募集に対する方策などについても議論できたことは有意義であった。

人間福祉研究科

 人間福祉研究科では、文部科学省に提出した本研究科設置届出書の『設置趣旨及び特に設置を必要とする理由』に記載した「教員資質の維持向上のための方策」をガイドとして、大学院諸問題検討委員会の役割の一つとしてFD 活動を検討、実施している。2012 年度は同委員会を年4 回開催した。

 教育については、前期課程中間報告会の2013 年度からの開催を決定し、また継続実施している後期課程成果発表会( 毎年2 月開催) の内容を充実させるなかで、指導教員や副指導教員はもとより、内外からの教員相互の交流を深め、教育内容の向上に繋がる意見交換の場を広げることを目指した。

 研究活動に関しては、本研究科教員の大半は、文部科学省や厚生労働省関連の研究費を積極的に活用し、常に研究の向上に努めている現状にある。

 また毎年継続している学生による授業評価では、各授業とも概ね非常に良い評価を得ているところであるが、来年度の学生の履修のしやすさに配慮したカリキュラムへの呼びかけを行い、多くの教員の協力を得ることができた。

 なお、来年度からは、大学院FD 委員会を独立させて設置し、さらに活動を強化する予定である。

教育学研究科

 教育学研究科は、毎年度末に「FD 研究会」を開催している。

 今年度は、2013 年2 月15 日(金)の午後1時から約1時間半、講師に研究推進社会連携機構長の山本昭二副学長を迎え、公的研究費の使い方について学部と合同の研究会を開催した。

 研究会には、39 名(研究推進機構より3 名、教員34 名、職員2 名が参加した。「公的研究費に関する内部統制の構築~安心して研究に専念できる環境の整備に向けて」と題する講演の後、参加者から質問や意見が出された。

 講演内容の要点は、①過去の公的研究費の不正使用および処分の実例の紹介 ②文部科学省の対応と外部環境の変化 ③不正が発生する背景の検証 ④有効な公的資金管理のために本学が取り組んでいる改革 ⑤教員の意識変革に向けた取り組みであった。

 参加者からは、公的研究費使用手続きの具体的な変更点の確認および手続き方法の簡略化に関する要望等がなされたと共に、研究費の適切な活用、管理を促すことの基底に、関西学院大学のスクール・モットーとの結びつきがあることを強調すべきとの意見が出された。

司法研究科

 司法研究科では、研究科長を含む5名からなる自己評価・FD委員会を毎月1回開催している。FD活動に関して今年度は次のような活動を行なった。

(1) 授業評価:学生による授業評価アンケートを一部の科目を除き全科目で各学期最終授業時に実施した。評価結果はホームページ、事務室で教職員、学生を対象に公開した。

また、授業評価全体集計表と授業評価結果報告書はホームページで公開した。


(2) 授業参観:授業参観週間(2 週間) を設定して教員相互の参観を行った。また特定の授業を参観指定授業とし、終了後に参観教員と学生による意見交換、担当者と参観教員による意見交換を行った。 


(3) 外部評価:昨年度より新たな取り組みとして、独自の外部評価制度を実施している。授業参観、学生へのインタビュー、意見交換会を通じて、評価委員より様々なアドバイスをいただいた。


(4) 弁護士会からの授業参観:毎年兵庫県弁護士会からの授業参観を受け入れ、見学者数名による参観と意見交換を行っている。


(5) FD ニュースの発行:自己評価・FD委員会においてFD活動に関して「FDニュース」を作成して教員に配付した。

経営戦略研究科

 経営戦略研究科の2012年度第1回のFD 委員会は、2012年5月9日に開催され、2012年度の方針として、以下の3点が決定・確認された。


(1) 担当授業のBest Practice(Worst Practice)の紹介について、これまでの発表者ならびに次回の発表者を確認された。また、原則として毎回4名(任期制実務家教員を含む)が発表することにした。


(2) 教員の研究活動、実務活動の『ビジネス&アカウンティング・レビュー』への掲載について、5月7日を締め切りとして原稿提出を依頼している旨の報告があった。


(3) 教員が執筆した図書の配架については、今後執行部と意見交換を行いつつ検討する。


 2012 年度のFD 委員会の開催はこの1 回であった。

 2012 年度のFD 研修会での発表会は以下のとおり5回開催された。これらのFD 研修会で、すべての専任教員と任期制実務家教員が発表を行った。第3 回(2012 年5 月9 日)、第4 回(7 月4 日)、第5 回(10 月24 日)、第6 回(11 月28 日)、第7 回(2013 年1 月9 日)(回数は2012 年1 月からの回数)

神学部

 神学部は、毎年春学期と秋学期に専任教員が主体となってFD 研修会を開催し、3 月には非常勤講師を対象としたFD 研修会を実施している。

  6月14日に、2013 年度からの「特殊研修演習A・B」必修化と「卒業論文」〈選択制〉の導入にむけて、課題を出し合うと共に、基礎演習から特殊研究演習・卒業論文に至るまでの各学年における到達目標について話し合った。また、卒業論文の導入に向けて卒業論文の審査基準を明確にし、学生に明示するための準備を進めた。11 月14 日には、6月の研修内容をさらに進め、卒業論文、修士論文、博士論文の審査基準やその指導について話し合った。

 2013年3月11日には、総合支援センターのカウンセラーを招き、非常勤講師対象のFD 研修会を開催した。総合支援センターの活動や今日の学生の特徴や問題などについて講演していただき、事前に非常勤講師の方々提出してもらった学習指導や学生との関係において課題となっている事柄についてのコメントをいただき、互いに話し合う時を持った。時として孤立し、一人で問題を抱え込む可能性がある非常勤講師の方々に、学部の状況や教育方針を理解していただき、連携と協力体制を強める機会となっている。

文学部

 2012年度の文学部のFD 活動では、1年生を必修としている人文演習の担当者会議について、春学期担当者(学科、専修の垣根を越えたクラス編成)と秋学科担当者(専修毎のクラス編成)の相互理解を図ることに重点を起き、2012年9月15日(土)に合同の担当者会議を行い、春学期と秋学期の連携、それぞれのクラス編成における長所と短所等について、活発な話し合いを行った。また、2013年3月14日(木)には、総合支援センターから講師を招き、障がいを有する学生への対応について研修の場を持ち、一般学生への対応も含め、認識を共有することができた。

社会学部

 社会学部では多様な教育カリキュラムの特性を活かしつつ、各教員の授業の中での工夫と洞察、直面している困難と失敗例などを共有することを最重要視している。従来から年に2~ 3 回、授業のあり方をめぐる教員間の議論の機会を設けてきたが、2012 年度はFD 委員会での審議を踏まえて年間計画を立て、いっそう組織的な形でFD に取り組んだ。

 11 月22 日には、演習(ゼミ)の運営に関するFD 研修会を開催した。これまで大人数講義における課題や各教員の工夫についてはたびたび議論し、共有してきたが、研究演習(ゼミ)の運営については、互いに知る機会がほとんどなかった。各教員が個別に進めてきたゼミの改善・充実に向けた取り組みを共有することで、学部全体として研究演習の水準を向上させることを目的として実施した。文献購読、統計実習、グループワーク、調査実習(聞き取り、NGO 活動への参加)など異なる形式のゼミを担当する4 名の専任教員が報告し、それをもとに活発なディスカッションが行われた。

 3月6日には、「社会学部の教育研究の質の向上のために」というテーマで学部懇談会を開催した。この懇談会ではまず、2013 年度から始まる英語の新カリキュラムについて

報告と議論が行われた。社会学教育の中に英語を取り入れる“Sociology in English” という大きな方向性のもとに、今後の英語教育のあり方や学部全体としての取り組みの必要性などについて活発に意見交換を行った。後半では、すべての学生が共有するべき知識・スキルを効果的に伝えるための教材づくりについて議論を行った。主として1回生向けの「社会学入門」教材作成に向けた提案・経過報告と、レポート・卒業論文の執筆の際に順守するべき最低限の事項をまとめた「社会学部スタイルガイド」の草案が出され、活発に意見交換を行った。

法学部

 法学部では、2012 年度のFD 活動として、2012 年12 月5日(水)16 時30 分から17 時30 分まで、(株)NKS 代表取締役の藤田雅章氏をお招きし、「2012 年度スタートアップ演習の報告および初年次教育について」というテーマで、FD 研究会が開催された。

 法学部では2012 年度から新たなカリキュラムが実施され、1年生春学期に履修する演習として「スタートアップ演習」が導入されたが、その一部は、本学でのキャリア教育にもご協力頂いている(株)NKS に業務委託し、コミュニケーション・スキルやディスカッション・スキルを重視した授業内容となっている。今回のFD 研究会では、その内容および授業アンケート結果の報告をご紹介頂いたうえで、大学の特に初年次教育に求められる技能および知識に関してご講演をして頂いた。

 アンケート結果からは、本演習に対する学生の評価が概ね高く、今後の演習科目における基本的技能の修得およびキャリア教育の導入という点で、意義あるものと評価することができるが、他方で、質疑応答においては、成績評価のあり方、ライティング・スキルの充実など、課題も提示された。

 今後とも、初年次教育に関して、社会が求める内容と大学側が求める学問知識とをすり合わせながら、より良い教育内容を検討していくことを確認した。

経済学部

  経済学部が2012 年9 月に教授会決定した「学部FD 活動実施体制と指針」に基づき、2012 年度実施した FD 活動は以下の2点に集約できる。


 (1)2012 年9 月18 日、本年度から新たに実施したLA とチュータ活用による学部専門基礎科目「経済と経済学の基礎A」の補習授業につき、議論を行った。教務主任と「経済と経済学の基礎A」担当教員の東田教授による取り組みの内容と評価の報告後、学部基礎教育委員会、学部FD

委員会、科目の担当教員により、質疑応答と議論を行い、LA 活用による補習授業の現状と問題点の会議出席者による共有化をはかった。


(2) 専門教育で特色のある教育実践について、2013 年1月16 日に、学部執行部と学部FD 委員会が主催して、「経済学部FD 研修会」を開催した。ユニークな専門教育実践経験として、栗田専任講師に「アジア経済論」における学生グループによるアジア活動企業へのヒアリング調査と、「研究演習」における海外でのアンケート調査と現地大学学生との学術交流について報告してもらった。また、 経済学部の白坂職員には「スポーツ選抜入試による入学生」への学習支援活動について学部教員全体に報告してもらった。各々について質疑応答、議論を行い、学部全体に特色ある専門教育実践と教育支援について、共有化をはかった。

商学部

 商学部は、商学部FD 委員会によるFD 活動を行うとともに、専任教員参加によるFD 教授研究会(講演会、討論会など)

などを行っている。

 2012 年度の商学部FD 委員会は、10 月24 日(水)に、商学研究科FD 委員会と共同開催した。商学部長から商学部FD委員会に対して、商学部のカリキュラムおよびシラバスについての定期的な検証を行い、その結果を年度末までに報告書として提出するよう諮問があり、その内容について検討が行われた。

 2012 年度のFD 教授研究会は、商学研究科と共同で3 回開催され、多くの教員が参加し、参加教員との活発な質疑応答があった。


第1回FD 教授研究会:2012 年11 月7 日(水)、講師:大学院課課長 坂田穣氏、演題:「グローバル人材育成推進事業について」。


第2回FD 教授研究会:2012 年12 月5 日(水)教授会終了後、司会:水野敬三教授、「カリキュラムの定期的検証について」。


第3回FD 教授研究会:2013 年3 月15 日(金)、講師:研究推進社会連携機構長 山本昭二教授(副学長)、演題:「公的研究費の管理について~安心して研究に専念できる環境の整備に向けて~」。


 この他にも、教授研究会として、商学研究科と共同で教員による研究報告会を行っており、教員の研究活動の活性化を図っている。

理工学部

 理工学部では、FD活動の一環として、毎年外部の方を講師に招いて講演会を開催している。これまでは数学の基礎力低下を背景に、数学のリメディアル教育に関するものを多く開催してきたが、物理においても同様の問題が生じているため,昨年度からは物理リメディアル教育に関する講演会を企画している。

 これに関して、立命館大学理工学部では、ここ数年、“ 物理駆け込み寺” と名付けられた学生同士によるピアラーニングの試みが実践されているとの情報が得られたため、今年度は、これを中心となって企画運営しておられる同学部電気電子工学科講師の俵口忠功氏に講演をお願いした。

 講演では、このような試みを企画するに至った経緯から、物理以外に数学や化学、生命等の科目にも拡張しつつある現状、運営上の注意点等について具体的にお話し頂くと共に、現場で直接ピアラーニングをサポートしている学生スタッフの方からもお話を聞かせて頂くことができた。

 立命館大学理工学部は学科数が本学部の2倍以上と規模が大きいため、同様のやり方を直ちに導入しようとしても事情の異なる点が多そうな印象ではあったが、ピアラーニングを実践するためのポイントについて、実際の経験を踏まえた非常に有益な情報が得られた。

総合政策学部

 総合政策学部では2012 年度5 月,7 月の2回のFD 委員会を開き、初年時教育である基礎演習の内容、改訂した基礎演習ハンドブックの活用、教材共有、シラバス表記の共通化について審議を行った。

 教員の教育、研究の情報共有化のため昼食時に教員向け研究内容発表会を4 回(新任教員2 名、自由研究2 名)行った。

 また11月21日にALE (Associate Lecturer of English) による総合政策学部の英語教育勉強会を開催した。総合政策学部1,2年次学生教育に大きな比重を占める英語コミュニケーション科目は、英語を母語とするALE がチームティーチング方式で長年、総合政策学部教育課程に沿う形で進化させてきた独自の英語教育プログラムである。この教育がどのように実施されているかを「英語教育紹介/Introduction of the SPS-ELP to the faculty」と題し、実際の教材を交えて具体的に紹介した。この勉強会を通し多くの総合政策学部の教員が担当科目と英語教育の連携を考えるきっかけとなった。

 以上に加え、都市政策学科連続公開講座と6月の土曜日に2回実施した。

人間福祉学部

  人間福祉学部では設置の折、文部科学省に提出した学部設置届出趣旨書『関西学院大学人間福祉学部設置の趣旨及び特に設置を必要とする理由』に「教員の資質の維持向上(FD)の方策」としてFD 活動の内容を簡潔に記載している。この内容に基づき、FD 委員会を設置し、学部FD を推進してきた。設置5年目となる2012 年度は、FD 活動は、研究費使用と研究倫理の検討を中心に行った。

 今年度は学部FD 委員会を2回開催し、学部FD 研修会を3回実施した。研修会の1回目は、本学研究推進社会連携機構より機構長と課長を講師としてお招きし、公的研究費の責任ある使用について確認するとともに、不正使用の防止について懇談した。2回目及び3回目の研修会は、質的調査と量的調査における研究倫理について、本学部の教員の発題に基づき討論した。

 人権教育に関しては、人権問題研修委員会が研修会を企画し、本年度は1回の研修を実施した。授業運営についての研修および教員同士による授業の評価については、前年度と同様に「人間福祉学部研究会」において教員の研究の紹介と評価という形で実施した。

 学生による授業評価についても昨年度と同様、大学が実施する授業評価に参加し、実施した。学生および教員に対する結果のフィードバックについても大学の手順に従った。

また、教員の教育研究を互いに理解し、学生の理解を深めるための専任教員の研究内容紹介DVD の製作を完了した。

 さらに、社会起業学科が、全教員が関わり社会起業の最新の成果を『社会起業入門-社会を変える仕事』(2012年5月/ミネルヴァ書房)として出版し、社会福祉学科が、全教員がもっとも旬な研究成果を、『社会福祉学の展望』(2012年10月/相川書房)として研究者、専門職、学生、一般人など幅広い読者を対象に出版した。

教育学部

 教育学部では、毎年2 回春学期と秋学期に専任教員が中心となってFD 研究会を開催する。

2012 年度は、2 回のFD 研究会を開催した。

 第1回は、9月26日に開催し、今年度退職予定の教員1名が、「教員生活を振り返り、今思うこと」とテーマとして講演を行った。

 内容は、「教員生活の中で一番大きな出来事」、「建学の精神、教育理念」、「授業の取り組み」、「大学院の活性化」であった。教授会終了後ということもあり、多くの教員が参加した。

 第2 回は、2 月15 日に学部FD 研究会を兼ねて、FD 研修会を開催した。「研究費使用に係るコンプライアンスなど」と題して、「公的研究費に関する内部統制の構築」というテーマで講演及び質疑が行われた。

 内容は、過去の公的研究費の不正使用及び処分の実例紹介、文部科学省の対応と外部環境の変化、不正事例に基づく大学での共通課題の抽出及び不正発生に至る背景の検証、本学での改革の取り組み等であり、その後活発な質疑応答がなされた。教授会直前の開催でもあり、ほとんどの教員が参加した。

 その他、7 月25 日の教授会懇談会にて、先ごろ出された中教審答申の内容についてディスカッションを行った。

国際学部

 国際学部では、例年通り、5 月末に各学年の学生代表(ゼミの代表)と教員との懇談会を行い、カリキュラム、授業内容、指導方法から施設・制度面のことまで広範に意見・要望を聴き、その結果は教授会に報告し、教員全体で共有した。 FD研修会は不定期に年4回、開催し教員間で活発な議論を行った。1 年生必修の基礎ゼミはどのゼミでも同じ内容を教えることになっているので、毎年春のFD 研修会では、教員間で基礎ゼミの内容について確認するよう努めている。

 国際学部は開設3 年目で今年初めて、3 年生の専門ゼミが開講されるとともに、学生が秋から就職活動を始めている。他大学から移籍してきた教員も多いので、専門ゼミをどのように運営すべきか、卒論の質はどのようなレベルを目標とすべきか、について教員間で意見交換するとともに、土屋キャリアセンター長から就職活動の実情の説明を受け、ゼミ学生をどのように支援すべきかを話し合った。さらに、2014 年度は完成年次を終え、カリキュラム改訂が可能になるので、オムニバス形式で行っている1 年生向け必修入門科目について内容・授業方法も含めて改善のための見直しを開始した。

教職教育研究センター

 教職教育研究センターでは、7 月3 日に開催した教職教育センターFD研修会(専任教員対象)で、本年度の「教育実習」(5 ~ 6 月を中心に本年度は約460 名が参加)の反省を中心に、事前指導の在り方等を含め、今後の改善点について意見交換を行った。 近年、実習校からの教育実習生に対する苦情が寄せられるようになったことから、教育実習参加資格の見直しや事前指導の強化等に関する厳しい意見も出され、これらの問題については今後も継続して検討していくことが確認された。

 また、非常勤講師の先生方には、例年12 月(本年度は12月21 日)に開催している教職課程等研究懇話会において、各担当者から授業実践の方法や受講者の反応等についてお話しいただき、参加者全員で意見交換を行った。要望として最も多かったのは、クラスサイズの問題で、他大学の教職課程にくらべ1 講座当たりの受講者数が多いことからきめ細かな指導ができにくいという意見がみられた。

共通教育センター

  当センターは全学科目の提供部署との連携・調整による提供カリキュラムの質的向上と、初年次教育を中心とした授業・学習支援などに取り組むため、2010 年4 月に発足しました。

 センターの主なFDの取り組みとしては、①全学科目の可視化、②初年次教育科目「スタディスキルセミナー」の提供、③ラーニング・アシスタント(以下、L . A .)制度の運用などが挙げられます。

 ①については、2012 年度に全学科目のカテゴリーを変更したことを受け、各科目群の科目を目的別に紹介するパンフレットを作成するなど、主に新入生に対して必修ではない全学科目の位置づけや提供趣旨の明確化の取組を推進しています。

 また、②については学習スキル涵養を目的とした「プレゼンテーション」「論文作成」「コミュニケーション」「文章表現」の4種類の授業を提供しています。グループワーク、ディス

カッションを多数取り入れるなど、学生参加型の授業として、学生の主体的な取り組みを促すことも視野に入れ、提供しています。

 授業調査アンケートでは、「参加型の授業で、自分の苦手だったことにも楽しく取り組めた」、「コミュニケーション力や、文章を考えたり、書いたりする力が身についた」、「前向きに学ぼうという姿勢になれた」などという声が多数寄せられるなど、一定の成果がみられます。授業終了後には科目担当者と総括の場を設定し、今学期の課題と次学期の改善点について議論しています。

 さらに、③については全学の「共通研修」を実施したり、授業期間終了後に行う履修者、L.A.、担当者の3者へのアンケート結果をセンター内で共有し、次年度以降のL.A. の配置に活

かす取組を行なったりしています。

 共通教育センターでは、以上のような学生参加型授業の提供や学習支援者制度の推進により、学生の学習意欲を喚起し、授業を活性化することを通じて、今後も教育の質の向上に取り組んでいきたいと考えています。

言語教育研究センター

 本年度、言語教育研究センターでは、授業改善の一環として、

いくつかのFD 活動を行った。

 まず、言語教育研究センター共同研究「大学における言語コミュニケーション教育ならびに言語文化教育のカリキュラム・教材の開発と研究」である。

 直近の学生による授業アンケートの結果によると、英語・フランス語・ドイツ語・中国語・朝鮮語・スペイン語の各言語で、授業への出席率、参加度、授業への満足度など、概ねすべての項目で良好な結果を得てはいるが、各言語ごとでより充実したカリキュラム・教材開発のための共同研究を行い、問題点と改善点に関して担当教員間で議論し、成果発表をおこなっている。英語は授業アンケートの分析方法を考案し、フランス語は補助教材を検討した。ドイツ語はタンデム学習への取り組み、その他の言語は共通教材の改良、映像メディア利用の可能性などを議論した。

 また、本年度、センター研究発表会(2013 年2 月14 日)において、英語インテンシブ・プログラムの教材開発、新たなテクノロジーを駆使した教授法の提案等について8 名のIEFL (S. Bibby氏、S.Aubrey 氏、H.Luk 氏、C.Gamble 氏、J.Watkins氏、A. Sowter 氏、M.Parrish 氏、L. Rogers 氏) が共同研究の成果を発表した。

スポーツ科学・健康科学教育プログラム室

  2012 年度スポーツ科学・健康科学教育プログラム室では以下のFD活動を行った。


1.授業展開方法に関する懇談 昨年度と同様に、プログラム室構成員の授業を他の構成員が見学し、その後、授業展開方法に関して懇談するという機会を複数回設けた。主な懇談事項は、受講生への安全管理、受講生の意欲的および積極的に授業に取り組むための授業展

開上の工夫と改善等である。また、指導法に関する議論だけでなく、安全管理上必要な用具、設備に関しても意見交換をし、受講生の安全を確保する環境づくりに努めた。


2.関西五私大体育研修会の開催

 2012年11月に本学で関西五私大体育研修会が開催された、本研修会は関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学、龍谷大学の五私大で構成された研修会であり、年に一度互い

の保健体育教育に関する情報を共有し合うことで、よりよい教育・研究を目指すことを目的に開催されている。本プログラム室からは保健体育教育の現状と課題というテーマで林副室長が情報提供を行った。また、他校の保健体育科教育の現状、スポーツ選抜入試による入学生の現状や入学前教育の方法等さまざまな有益な情報を得ることができた。本プログラム室が抱えている課題と同様の課題が他校にも存在しており、互いに解決策を模索していくためにも、今後さらに他校とのつながりを深めていく必要性を感じた。


3.スノースポーツにおける指導技術の向上

 2013 年1 月に実施されたスノーボード研究会冬期研修会(スノーボード研究会主催、全国大学体育連合後援)にプログラム室構成員2名が参加した。本研究会では、初心者に対する指導上必要なノウハウやテクニックに関する実技研修を受けた。様々なスポーツがある中で、特にスノースポーツは経験や技術の差が生じやすい競技であり、初心者特有の心理状態、特徴動作を踏まえた上での新たな指導法や技術を学ぶことができた。ここでのFD活動は本プログラム室が提供している余暇生活学演習D冬期アウトドアの授業において役立っており、経験者、未経験者両者に対してさらに適切な指導ができると思われる。

 以上が2012 年度に行った主なFD活動である。本プログラム室の提供科目は、身体を動かすという性質上、リスクマネジメントが重要である。受講生が意欲的にスポーツ活動に取り組むためにも、教員及び受講生の安全管理能力の向上を図ることは、プログラム室全体で取り組んでいくべき重要事項といえる。

キャリア教育プログラム室

 キャリア教育プログラム室は、(1) インターンシップ講義及びインターンシップ演習と、(2) キャリアゼミに関してFD 活動に取り組んだ。

 (1)インターンシップ講義・演習は、主にNKS 能力開発センター及び紀伊國屋書店等に委託して実施しているが、春学期及び秋学期の全授業の終了後、毎回の学生の授業への出席状況、独自の授業評価アンケートの集計結果をはじめ、詳細なデータを元にキャリア教育プログラム室とNKS、紀伊國屋書店の間で検討会議を学期終了ごとに開催し、改善に取り組んでいる。検討結果は改訂を重ねてきたテキストや配布資料の内容に反映され、講義や演習方法の改善にも活かされている。

 (2)キャリアゼミは、これまで集中科目で開講されており、終了直後は受講学生の意欲も非常に高いが、時間が経つとともに熱が冷め、「継続的な学び」をいかに醸成していくかが課題であった。そこで、2012 年度からはキャリアゼミA を従来の集中科目から春学期科目に変更して期間を長く取り、より多くの社会人とのセッションや合宿等を通して自身のキャリア形成についてじっくりと考えさせた。また、同ゼミ出身者を中心にした学生サポーター制度を導入し、後輩支援のために同ゼミへ戻り継続的に学んでいく仕組みを作ることができた。今後もこの連環性を大切にしながら継続していきたい。

日本語教育センター

 日本語教育センターでは、学部留学生に対する必修の日本語科目、選択日本語科目、大学院生向け日本語科目、そして交換留学生に対する日本語科目を提供している。学部留学生に対する日本語科目では、コーディネーターが作成するシラバスを全クラスで実施しており、担当者に対してシラバスの内容を徹底する必要もあるため、毎学期、学期開始前と終了後に講師会議を開いている。特に学期終了後の講師会議では、センターが独自に行っている記述式アンケートの内容を踏まえてシラバスの内容や進度に関する問題点を洗い出し、次年度のシラバス及び授業活動につなげるようにしている。

 交換留学生向け科目については、毎月担当者が各クラスの状況について報告書をコーディネーターに提出し、情報の一元化と共有を図るとともに、センター独自の記述式アンケートを学期途中と学期末に行い授業改善に役立てている。また、学部留学生科目と同様、学期前後の講師会議を行い、問題点の洗い出しと改善に努めている。また、年に2 回、関学日本語教育センターを開催し、外部から日本語教育研究に関する講師を招き、センターの教育実践に関する知見を積極的に得るよう心がけている。

人権育研究室

人権教育研究室会を、人権教育におけるFD 推進体制の母体として位置づけて、その主導の下で2012 年度は以下のような取り組みを実施した。まず年度末3 月に、本年度および次年(2013 年)度の人権教育科目担当者が一堂に会しての連絡会を実施し、教授方法もふくめての情報・意見交換を行なった。併せて、外部から講師を招いて研修会も同じ日に実施し、人権教育に関する最新の動向についての見識を深め、相互の意見交換の場にした。また人権教育研究に関する様々なテーマを取り上げた研究会、人権教育研究室指定プロジェクトの報告会を随時実施し、それへの参加を呼びかけ、同じく人権教育担当者としての力量向上の場とした。

 加えて新たに本学に赴任した教職員を対象として、新年度の最初(4 月)に人権をテーマにした研修時間を持ち、本学における人権教育の実情、建学の精神・スクールモットーと人権教育との関連について理解を深めてもらうと同時に、大阪人権博物館への見学を行った。さらに、各学部より新任教員の中から人権教育科目運営委員1 名を選出していただき、割り当てられた人権科目に出席し、代表者とともに授業運営の協力をするとともに、人権問題についての理解を深めてもらうことも目的としている。

国際教育プログラム室

 国際教育プログラム室では、Cross-Cultural College(平成23 年度文部科学省「大学の世界展開力強化事業」採択プログラム)の一環で、11月に「カナダにおけるFD/SD ~マウント・アリソン大学、クイーンズ大学、トロント大学のケース」というセミナーを開催した。クイーンズ大学副学長(国際担当)Dr. James K. W. Lee を招き『カナダの大学環境におけるキャリア開発』をテーマに基調講演、さらに前述のカナダ3大学の関係教職員をパネラーとして迎え、パネルディスカッションを実施した。

 各種派遣留学プログラムに関しては、独自の留学プログラム評価アンケート実施により、派遣学生の留学前・留学後の外国語運用能力試験のスコアアップ率などを集計し、それらを元に各プログラムを実施している協定校担当者と連携を取りながら、授業の内容、方法等についての改善に取り組んでいる。

 また、国際教育プログラム室開講の科目に関しては、原則として全科目において授業評価アンケートを実施しており、その結果を執行部会で共有し、次年度以降の開講科目の授業改善に活用している。