2024年度のFD活動報告

[ 編集者:高等教育推進センター       2025年4月11日   更新  ]

2024年度FD活動報告

関西学院大学では各研究科、各学部・教育研究機関等が独自に工夫を凝らしたFD活動に取り組んでいます。以下に各研究科、各学部・教育研究機関等の取り組みを報告します。

神学研究科

 2024年度春学期のFD研修会は6月12日(水)の4時限に吉岡記念館3階会議室1号において全学部教員の出席のもとで開催された。春学期は学部初年次教育のあり方について基礎演習を担当した経験のある2人の教員が、とくに論理的思考とアカデミックライティングの訓練に関する発表を行った。これは博士課程前期課程の修士論文執筆にも直接関わる問題であり、学部における教育が研究科における質の担保に直結している。二人の発表者が基礎演習における訓練の方針と問題点を分かち合い、将来的に本学のライテング・センターと以下に連携しながらアカデミックライティングの訓練をさらに充実させることが出来るかについてディスカッションを導いた。さらに文献講読を担当する3名の教員が、それぞれの文献講読の授業の進め方について分かち合い、論理的思考を培う取り組みについてディスカッションをした。今回の研修会は初年次教育のみならずそれ以降の教育にも大きな示唆を与える機会となった。

 秋学期の研修会は11月6日の4時限に吉岡記念会館3階会議室にて開催された。秋学期はキャンパス・ハラスメント等相談センターの2名の職員の方々のご協力を得て、「ハラスメントの防止と対応」と題し、とくに小規模講義におけるハラスメントの問題に焦点を置いて研修会を行った。人権とハラスメントの関係性、境界線(バウンダリー)の設定、地位の差異の認識等について確認し、ハラスメントの予防に繋がる提言を受けた。特に研究科においては研究演習において個人的なつながりの中で指導を行う機会が多く、環境や配慮の有無といった事情によって、ハラスメントあるいはハラスメントと受け取られやすい自体が起こる危険性があることを確認した。また今回は、キャンパス・ハラスメント等相談センターの大学における役割についても説明を受け、どのような期待を持って当該センターを利用できるのかを知る機会となった。何よりも研修会に参加した各教員が、講義等の学生との関わりにおいて、留意すべき点を熟考する意識を高めることが出来た。

文学研究科

  文学研究科では年間4回の研究倫理・コンプライアンス研修会を予定し、これまでに3回の研修会を実施した。研究科構成員が集まる研究科委員会の終了後に実施された研修会では、研究推進社会連携機構発行の「Newsletter」に掲載されている事案にもとづいて研究科委員長補佐あるいは研究科長が説明を行い、全員で情報を共有した。また10月16日(水)には、高等教育推進センター協力のもと、弁護士の荒井雄一氏を招いてFD研修会を実施した。「教員対象ハラスメント防止研修」と題されたこの研修会では、ハラスメントの概念とともにハラスメント研修の必要性そのものを再確認するところから説き起こされ、セクシュアル・ハラスメントやアカデミック・ハラスメントといったハラスメントの類型やハラスメントの行為者となった場合の責任などについての説明が具体的な事例とともになされた。本研修は対面でおこなわれた。欠席者については資料を共有の上、研修内容についての確認を個別に行った。その結果、10月時点における文学研究科委員会構成員の全員(70人)が本研修を受講し、その内容が理解されていることが確認された。

社会学研究科

 社会学研究科では、春学期(6月21日~7月19日)、秋学期(12月6日~1月16日)にMicrosoft Formsによる授業に関するアンケートを実施し、在籍院生からの回答を得た(回答率春学期17.6%、秋学期18.8%)。カリキュラムへの評価は、肯定的回答が100%(春)、100%(秋)と高く、また学習環境についての評価も、肯定的回答が66.6%(春)、100%(秋)と高かった。さらに、記述式の回答でも、投稿論文から博士論文執筆まで一貫してサポートする「大学院生サポートプログラム」や、副指導教員制度に対する肯定的な意見が多く見られた。
 本研究科では、2021年度から新カリキュラムをスタートさせた。「社会学」「社会心理学」「文化人類学・民俗学」という専門分野別の授業科目を充実させるとともに、本年度も「修士論文作成合同演習」「博士論文作成合同演習」を継続して行っている。合同演習ではこれら3つの領域の大学院生が研究発表を行うことで、フィールドワークや数理モデルなど、多様な領域の議論行えるとともに、研究科全体の院生の研究進捗状況を研究科執行部が把握して適切なサポートをするのに役立っている。それにより、標準年限で博士号を取得できるようにそのプロセスの透明化とサポートを行える体制づくりに努めた。

法学研究科

 法学研究科では、2024年7月24日(水)13時から14時の間にFD研究会を実施した。FD研究会では、大学院生を対象に春学期に実施されたアンケート結果(回答率は66%)の確認と、8名の大学院生、9名の教員を招いての意見交換を行った。大学院生からは、授業科目、カリキュラム構成、学習環境、TAの指導体制・内容等について具体的な意見が寄せられた。
 授業・課題の負担については、「授業によっては予習や課題の負担が大きい」といった意見があり、必要な学習時間の認識を共有したうえで、指導教員による履修指導を充実させる旨を回答した。
 また、カリキュラム上の要望については、科目間のバランスを考慮したうえで、次年度から対応するよう内規等の改正を行った。
 さらに、インターンシップについては、公務員関係の受け入れ先追加の要望があったが、公的機関の性質上、関学独自の受け入れ枠を設けることは難しいので、院生自ら探してほしい旨を伝えた。
その他、大学院生と教員の間で率直な意見交換がなされ、大学院での教育および研究についてさらなる改善を目指すうえでも有意義な機会であった。

経済学研究科

 2024年度の経済学研究科のFD活動としては、例年通り、春と秋の学期末に「学生による授業評価アンケート」を実施した。またFD委員会を開催し、アンケート結果についての情報の共有・意見交換を行った。アンケートの回答結果を見ると、回答が得られたすべての授業で、評価点平均が5点満点中4点以上となっており、本研究科の授業が学生の期待に応えることができていることが伺えた。しかしながら、アンケートの回収率が特に秋学期でやや低くかった。この問題の改善は今後の課題としたい。
 また12月11日(水)に学部FD委員会との共同でFD研修を対面で実施した。研修では、シラバス作成時の注意点について、FD委員が資料(学部・研究科のシラバスチェック基準や過去のシラバス修正依頼事例など)に基づいて解説を行い、参加教員との間で意見交換を行った。
 本研究科では在籍する学生の数が少なく、入学者を増やすことが課題となっている。この課題に対して、入試制度の改革など本研究科の魅力を高める施策を実施した。これらの施策の効果を見極めながら、入学者の増加、在籍学生の満足度向上につながる諸施策を引き続き検討する予定である。
 

商学研究科

 商学研究科は、2024年度のFD活動として学部(商学部)と合同で計3回のFD教授研究会を開催した。
 第1回2024年7月10日(水)開催では、「研究活動上の不正行為防止への取り組みについて」をテーマに、藤沢武史教授(ファカルティ・ディベロップメント委員)の講演により、本学における研究活動上の不正行為防止への取り組み、研究費の不正使用防止への取り組みなどを紹介いただいた。
 第2回2024年10月9日(水)開催では、「教員を対象とするハラスメント防止研修会」をテーマとして開催した。ハラスメント研修の必要性や、ハラスメントの類型、及び、行為者になった場合の責任についてなどについて共有した。最後に、具体的な事例をあげて検討がなされた。
 第3回(2025年2月18日(火) 開催)では、「ハラスメント予防のための事例共有」をテーマに、事務職員の角谷事務長、土田氏から現状と事例の説明があり、教員間で共有した。質疑応答ではマニュアル化の必要性などについて議論がなされた。

理工学研究科

 理工学研究科FD委員会は、理学部FD委員会、工学部FD委員会ならびに生命環境学部FD委員会と協力し、さらに理・工・生命環境の3学部合同カリキュラムWGとも連携して、学生に対する教育学習環境の改善、教員に対する教育能力のさらなる向上を目的として、種々の取り組みを行っている。
 2024年度は(1)FD研修会ならびに(2)シラバスの質向上に向けた取り組みを実施した。FD研修会は、理学部、工学部、生命環境学部と連携して2024年9月19日に神戸三田キャンパス事務室長、永嶋恒治氏より、「新入生アンケート・卒業時調査から見た理系学生の実態について」と題して講演いただいた。また、2024年10月24日に、高島法律事務所弁護士、荒井雄一氏より「教員対象ハラスメント防止研修会」として、実際に大学で起こったハラスメント案件を事例とし、包括的にハラスメントについての知見を獲得する機会を得た。また、シラバスの質向上に向けては、作成ガイドラインに基づいてシラバスの内容をチェックし、さらなる質の向上と、その保証に向けた表記について検討を行った。

総合政策研究科

 総合政策研究科では、FD・カリキュラム検討委員会においてFD活動などに関する議論を適宜行っている(研究科執行部会である学部長室委員会でも再度検討)。2024年度における研究科の主な活動は以下の通りである。
(1)FD研修会を計3回開催した(学部と共催)。本年度は、Slackの活用方法について、教育・研究におけるコンプライアンスに関する理解の促進、シラバスの作成に関する理解の促進とシラバスの教員間での相互評価・相互チェックの実施などであった。
(2)各教員の研究内容の紹介等を目的とした研究発表会を計4回実施した(学部と共催)。
(3)国連システム政策専攻の開設に伴う、総合政策専攻(2025年度以降入学生用)のカリキュラムの見直し(履修モデル・教育課程表・科目新設や廃止等の見直しなど)を行った。
(4)国連システム政策専攻の開設に向けて、研究科の各種制度の見直しを行った。
(5)国連システム政策専攻の教務事項について、主にカリキュラム(履修モデル・教育課程表・新設科目の授業設定など)、インターンシップ制度に関する検討を行った。

人間福祉研究科

⑴大学院生による授業評価の実施
春・秋学期ともに実施。回答数は4分の1程度と少数であるが、授業評価は概ね良好であった。各授業への個別コメントはいずれともに高く、授業担当者との間に良好な関係を土台に、有意義な学びが展開されていることが推測された。
⑵前期課程中間報告会、後期課程成果報告会の開催
前期課程中間報告会は 2024 年 5 月18 日に対面で、後期課程成果報告会は 2025 年 2 月 15 日にオンラインでそれぞれ行った。いずれとも、大学院生が研究の進捗状況を発表し、研究経過やその成果を教員や他の大学院生等と共有するとともに、質疑を通して今後の研究に資することを目的にしている。
(3)研究業績の調査
人間福祉研究科博士課程後期課程在籍の大学院生・研究員全員を対象に調査を実施し、研究業績を纏めるとともに、掲載希望者については本研究科ホームページに業績を掲載した。
(4)学部と大学院の合同 FD 委員会を1回行い、シラバスチェックの手順・ポイントを確認した。また、学部・大学院合同FD研修を3回実施した。実施日時とテーマ・講師は、第1回「ライティングセンターの設立経緯・活動内容」(2024年9月11日、ライティングセンター福山佑樹氏、笠井遠音氏)、第2回「研究不正の最新の動向」(2024年11月20日、信州大学助教樋笠知恵氏)、第3回「教員を対象とするハラスメント防止研修会」(2025年3月3日、弁護士 髙島章光氏)であり、各回、活発な質疑応答が行われた。
(5)シラバスチェックの実施
昨年度に引き続き、次年度の開講科目のシラバスにつき、 授業目的及び到達目標、さらに成績評価と授業外学習を重点的にチェックした。

教育学研究科

 教育学研究科では、2024年度の大学院FD研究会を2025年2月19日(水)に開催した。テーマを「関西学院大学大学院教育学研究科で博士号を取得する院生の数を増やしていくために、現状の何を変えていかなければならないか」とした。大学院FD委員から、①急速な少子化進行を見据えた「大学院強化」に関する記事と中央教育審議会の高等教育に関する答申、②本学各研究科の近年の博士号取得者数、③2022年度に教育学研究科FD研究会で議論された内容に関する資料が事前に配布され、課題の共有を行った。当日は、7つのグループに分かれてディスカッションを行い、博士課程前期課程も含めた入試の在り方、指導内容や院生の研究活動、西宮聖和キャンパスの研究環境、修了後の進路などについて話し合われ、教育学部生への研究指導に関する議論にも広がった。また、教育学部所属で言語コミュニケーション文化研究科の指導を兼務する教員も複数参加したため、多様な立場からの討論が行われた。今後、今回の議論を整理し、どこから着手することが必要かについて検討していく。

国際学研究科

 国際学研究科として、単体では、院生たちへ履修や学生生活に関するヒアリングを実施し、それを研究科内において共有した。そうした中で、カリキュラム編成上の要望がだされ、それを2025年度から実施することが決められた。そのこと以外は、学部FD委員会と合同で行われたため、重複する箇所も多いと思われるが、とりわけ研究活動に関係する部分を取り出し、以下述べていく。
 「大学教育における人口知能の利用とその課題」(2024年7月24日開催)においては、生成AI(ChatGPT)の活用に関する講演が行われ、AIには、得意とする作業とそうでないものがあるので、AIを使用する際の学術的なガイドライン作りが強く求められていることが共有された。「国際学部の今後のカリキュラムについて」(2024年9月11日開催)では、現行以上に、リベラルアーツを重視した教育に舵を切るべきか否かについて討議が行われた。結論として、リベラルアーツ偏重は避け、現行通り進めようということになった。その理由としては、人文科学のみならず社会科学をも研究領域として含んでいるからにほかならない。「教員対象ハラスメント防止研修」(2024年11月27日開催)では、ハラスメントの種類、行為者になった場合の責任、事例研究等について、専門家を講師として招き研修を行った。国際学研究科では、入学者定員が少ないことから、相対での講義・指導になることが多く、ハラスメントリスクは高い。その意味からも有益なFD研修であったと思われる。

言語コミュニケーション文化研究科

 言語コミュニケーション文化研究科では、毎年、秋学期にFD活動の一環として、研究科執行部と大学院学生代表によるFD 研修会を開催している。今年度は2025年1月14日に対面で開催した。執行部教員4名、学生5名の出席を得て約90分意見を交換した。
 学生側は、事前に本研究科に在籍する学生にアンケートを実施しており、それに基づいて、様々な要望が述べられた。その中には、西宮上ヶ原キャンパスの5時限の授業と大阪梅田キャンパスの6時限の時間帯が重複しており、双方を履修したくても不可能であったという意見があった(本研究科では大阪梅田キャンパスでも6・7時限に講義を開講している)。その他、検定試験受験に対する補助金や研究用図書の充実、学生同士の交流機会の充実などについての要望が出された。大学全体の設備などについての要望もあった。教員側からも、実現が難しい要望もあるが、可能なものについては対応していく旨の返答があった。
 院生からの要望は研究科委員会でも報告しており、今後の教育・研究環境の改善に生かされる予定である。

司法研究科

 司法研究科長を含む4名の教員からなる「自己評価・FD委員会」を原則2 か月に1回開催。
以下のFD活動を実施した。
(1) 授業評価:学生による授業評価アンケート及び教員による自己評価を各学期終了間際に実施した。報告書を作成し、全体概要を研究科HP上にて公開、科目ごとの詳細データを教職員・学生に公開した。
(2) 授業参観:春学期に対面での授業参観および受講生との懇談を行った。その後、参観教員と授業担当教員との間で意見交換を行い、授業方法等の改善を図った。
(3) 中間アンケート:学生アンケートを授業第5週目にオンラインで実施した。これは授業評価とは違い、後半の授業運営に向けて即時的な改善を狙った取組であり、アンケート結果を即座に担当教員に提示し、対応を検討いただく。
(4) FD研修会:研究科の教育力向上を目的として、全専任教員を対象に計5回のFD研修会を実施した。
 ①[春学期]授業参観と統合して実施することで、授業参観を通じた事前の分析・検討を踏まえたより活発な意見交換をはかり、さらなる授業改善に向けた議論を行った。
 ②[春学期]高等教育推進センター 武田教育技術主事による講演会を開催した。
 ③[春学期]神戸大学と連携した共同FD研修会として、大阪大学院高等司法研究科 片桐直人教授による講演会を開催した。
 ④[秋学期]キャンパス自立支援室スタッフによる講演会を開催した。
 ⑤[秋学期]高等教育推進センター派遣の弁護士によるハラスメント研修会を開催した。
(5) 法科大学院認証評価:2023 年度に(公財)日弁連法務研究財団による認証評価を受審して以降、初回となる年次報告書を提出した。
(6) 『FDニュース』発行:1年間のFD活動に関する『FDニュース』を作成し、教員及び学生に配布した。

経営戦略研究科

 専門職学位課程と博士課程後期課程を擁する本研究科は、設立当初より、研究者教員及び実務家教員に共通するFDのあり方を模索しつつ、所属教員の高い参画意識をもってFD活動を実施してきている。
 2024年度は合計2回のFD研修会を実施した。第1回は研究倫理・コンプライアンス研修を開催した。2部構成で行い、第1部は、一般財団法人公正研究推進協会(APRIN)にご協力をいただき、筑波大学・生存ダイナミクス研究センター 講師 岡林浩嗣氏を講師に招き、近年の研究不正の動向、具体的事例を踏まえた研究活動上の不適切な不正行為の防止をテーマにご講演いただいた。第2部は、本学研究推進社会連携機構事務部担当者を講師に招き、研究費の適正な執行をテーマに、研究費の執行における留意点や執行ルールの変更点などを学んだ。
 第2回は本学高等教育推進センターが主催する教員を対象にしたハラスメント防止研修会を、本研究科FD研修会に振り替えるかたちで開催した。弁護士の荒井雄一氏を講師に招き、「教育研究上のハラスメント防止」をテーマに、ハラスメントに関する問題意識や事例の共有のほか、具体的な場面での対応についてご講演いただくとともに、意見交換を行った。

国連・外交統括センター

 国連・外交統括センターは、2024年度には以下のFD活動を実施した。
(1)大学院「国連・外交コース」の内容の充実と向上のための学生ヒアリングおよびアンケートの実施
 昨年度に引き続き、7月に国連・外交コース生に対する座談会形式でのヒアリングを実施した。センター職員との懇談を通じて、授業やカリキュラムの内容、教員の指導、インターンシップ派遣、募集方法などに関する履修生の感想や意見を聞き取り、結果をセンター内で共有し、改善策を協議した。学生アンケートも年2回(春学期7月、秋学期1月)実施し、集計結果は改善リポートにまとめ、次学期の授業シラバス作成に活かしている。
(2)シラバス検討ミーティングの実施
 大学院副専攻「国連・外交コース」および大学MS「国連・外交プログラム」の2025年度開講科目について、2025年1月にシラバス検討コアミーティングを実施した。全授業の代表教員が出席し、前学期の学生アンケートの回答やヒアリング結果を参考にし、全科目に関して、授業内容を充実させるためのアイデアや改善点を共有し、シラバスに反映した。

神学部

 神学部では、神学部教員を対象に次のFD研修会を開催した。(いずれも神学研究科と同様)

第1回(2024年6月12日)テーマ「アカデミック・スキルを学ぶ授業の課題」
今回は、アカデミック・スキルを学ぶ授業(1年生「基礎演習」、2年生「文献講読」)に存在する現状課題を共有する時間を持った。まず、授業担当者から春学期にレポートのライティングを学んだことを秋学期の授業に継続する課題が共有された。次に、現在、試みられている春学期と秋学期の学びに継続性を与える工夫について紹介された。その後、活発な意見ん交換が行われ、ライティングセンターの活用等の提案がなされた。
第2回(2024年11月6日)テーマ「少人数教育とハラスメント」
関西学院キャンパス・ハラスメント等相談センターの担当者をお招きし、当センターの働きについてご紹介いただいた。また、ハラスメントについての基本的な知識や具体例を紹介していただき、学部教員を交えた質疑応答が行われた。特に、少人数教育という利点を持つ神学部が、ハラスメントの観点からどのような点に配慮が必要であるかについて意見交換が行われた。また、同様の研修を非常勤講師に対して行うことも提案された。

文学部

 2024年10月16日(水)15時30分より文学部大会議室にて、文学部および・文学研究科専任教員を対象としたFD研修会を実施した。近年社会問題としても話題になることの多いハラスメントについての理解を深めるために、高島法律事務所の弁護士で高等教育推進センター主催であられる荒井雄一氏を講師として招き、「教員対象ハラスメント防止研修会」と題して、教育機関におけるハラスメントの状況や起こり得るケース、および想定される対応などについて解説いただいた。講演に先立ち、新関芳生文学部長・文学研究科委員長がハラスメントについて学ぶ趣旨についての説明を行い、福岡弘彬FD委員が補足説明を行った。ハラスメントは教職員・学生だけではなく、すべての人にとって身近で起こりうる重要な問題である。ハラスメントについてあらためて学ぶ機会を設けることは、教育機関としてのあるべき姿や社会的な責任、また、今後の学部の運営について考える上で有益であった。

社会学部

 今年度のFD研修は4回行った。4月17日「ゼミ指導について」では、卒業論文と2年半のゼミが必修となっている社会学部において、学生指導の難しさについて議論した。7月10日「研究活動上の不正行為防止についての取り組み」では、学生が調査に関わることの多い社会学部における学部教育の倫理上の問題について認識を新たにした。9月18日「インクルーシブコミュニティとしての関学社会学部を目指して」では多様なマイノリティ性をもつ学生への接し方や指導の仕方について研修を行った。10月23日「ハラスメント防止研修」では、近年の学生気質や勉学への取り組み方に対してどのように適切に指導するか、ということについて検討した。
 おそらくここ数年みられた、本学の入学難易度低下の影響と思われるが、社会学部では数年前であれば入学していなかったであろう「勉学意欲のない」学生層が急増しているように見える。上位層と下位層の差が大きく開き、ST比が顕著に悪い社会学部において、FDの持つ意味は、今後ますます重要になってくると思われる。

法学部

 当該年度におけるFD活動として、法学部は以下2回の研究会を開催した。
 第1回(2024年6月12日)は、「障がい学生の支援ー授業における合理的配慮ー」をテーマに関西学院会館で実施した。総合支援センターキャンパス自立支援室のコーディネーター2名が登壇。はじめに全国的な動向や各種障害について理解を深めた。その後、法学部学生の利用登録者数を共有し、演習や外国語の授業など事例を交えて意見交換を行った。
 第2回(2024年10月30日)は、「スタディスキル演習の振り返りと1年生の傾向」をテーマに関西学院会館で実施した。本演習の担当講師1名が登壇。本演習は2024年度に授業の構成を変更したため、まずは変更点や各回の具体的な進め方について解説があった。その後、効果測定を目的とした学生アンケートを中心に結果を共有。本演習の次年度以降の改善点や、1年生の秋学期以降の指導などについて意見交換を行った。

経済学部

 FD活動として、例年通り「学生による授業評価アンケート」の実施とFD研修会を行った。2024年度のFD研修会は7月10日(水)に開催し、総合支援センターのキャンパス自立支援室の方に「障がい学生の支援-授業における合理的配慮-」という題目で講演をお願いした。2021年より合理的配慮の義務化が法律により定められ、各学部における対応がこれまで以上に重要となっている。経済学部においても授業の動画提供方法などに関する質問が多く寄せられていたため、講演を依頼し、教員の知識向上を図った。
 また、12月11日(水)にはシラバス執筆の改善を目的とし、第3者チェックで指摘された点を中心に、情報の共有および記述方法のアドバイスを行った。演習科目の評価は高いものの、講義科目の中には全学平均を下回るものも見受けられる。もちろん、教員の授業改善も必要であるが、一方でノートPCやタブレットを活用した授業が増加しているにもかかわらず、BYODを推奨する大学の方針に対し、教室設備が十分に対応していない点も要因として考えられる。これらの設備改善については、大学に対し積極的に提案していく必要がある。

商学部

 第1回(2024年7月12日(水) 開催)では、「研究活動上の不正行為の防止への取り組みについて」をテーマに、藤沢武史教授(ファカルティ・ディベロップメント委員)より本学における研究活動上の不正行為防止への取り組み、研究費の不正使用防止への取り組みなどを紹介いただいた。

 第2回(2024年10月9日(水) 開催)では、高等教育推進センターより荒井雄一弁護士を講師として招き、「教員を対象とするハラスメント防止研修会」を開催した。職場環境や教育現場におけるハラスメントの考え方が多様化する今日において、どのようなことがハラスメントに該当するのか、実際の判例を用いて各教員が理解を深めた。

 第3回(2025年2月18日(火)開催)では、「ハラスメント予防のための事例共有 ~商学部事務室での対応事例~ 」をテーマに、事務職員の角谷事務長、土田氏より大学生活における学生の意識や行動の変化ついて紹介があり、学生とのコミュニケーションにおける配慮等について教員間で共有した。

総合政策学部

  総合政策学部では、FD活動とカリキュラムの検討を一体的に推進しており、共通の「FD・カリキュラム検討委員会」が担当している。2024年度は、計6回の委員会を開催した。主な論点は以下の通りである。
(1)新MS特別プログラム「ことばの教育と多文化共生」への科目提供に関する件
(2)新設科目・廃止科目に関する件
(3)申込制科目の定員変更に関する件
(4)先修科目・先修条件の変更に関する件
(5)3年卒業(早期卒業)申請時期に関する件
 また、FD・カリキュラム検討委員会の下部機関にあたる初年次教育委員会において、入学前課題の提出時期に関する見直しおよび初年次教育のガイドラインを策定し、より充実した初年次教育に向けた検討を行った。
 なお、こうした学部再編に合わせた議論と並行して、FD研修を計3回実施した。加えて、各教員の専門分野や研究内容等の紹介を目的として、研究発表会を計4回開催し、情報交換を行った。

人間福祉学部

 2024年度の初年次教育となる基礎演習については、昨年度に引き続き、学科横断クラスとし、共通カリキュラム及び共通テキストで実施した。春学期終前には、授業担当者による振り返りの会を実施し、今後の改善に向けての検討を行った。「文献の探し方講習会」(大学図書館主催)に加え、「レポート・論文における剽窃行為」や「教務関係や学生生活を送る上で必要な情報」とAIの取り扱い関する説明を行った。また、春学期終了後の振り返りでは、配慮学生の欠席の扱いや、学生指導の課題など挙げられ、対応について話し合った。
 卒業研究に関しては、学部専任教員を対象に、自らの指導方法の改善を目的に、他の教員の研究演習Ⅱにて提出された卒業研究を自由に閲覧できる期間を設けており、2024年度は2024年12月下旬に実施した。
 FD研修会としては、9月に「本学におけるライティングの課題と支援」の研修会を、11月に研究倫理教育・コンプライアンス教育として「研究不正の最新の動向」と題した研修会を、3月初旬に教員を対象とする「ハラスメント防止」のための研修会を開催した。このほか、次年度の学部・研究科提供科目のシラバスチェックの実施に向けて、1月下旬にFD委員会を開催し、シラバスチェックに関する確認事項や要点について検討した。

教育学部

 本年2024年度の教育学部FD研究会は、7月10日(水)と12月11日(水)の2回実施された。7月10日(水)の第1回は、「LUNAを活用した効率的な教育・学習支援方法」をテーマとして、講師は高等教育推進センターの岩田貴帆専任講師にご担当いただき開催した。授業者の負担を軽減させつつ、学生の学びを促進していくことについて、講師の岩田先生等の授業を事例としてご紹介しながら情報を提供していただいた。LUNAの操作方法の話は最低限にとどめつつ、ICT活用に関する一般的な枠組みを用いた話題も含めて、今後の教育学部における学生の学びを大いに促進するに十分な意義ある学びの場となった。12月11日(水)の第2回は、「ハラスメント防止研修(教員対象)」をテーマとして、荒井 雄一 弁護士(髙島法律事務所)を講師に開催した。ハラスメントに関する研修の必要性から、ハラスメントの類型、行為者になった場合の責任、そして事例検討に及ぶ内容であった。具体的な事例を通してハラスメントを身近な問題として捉え、防止への意識を高める機会となった。

国際学部

 国際学部のFD活動は、①FD研修会(国際学研究科との合同を含む(以下、院合同))、② 学部授業に対する学生インタビュー調査(院合同)、③上記の2つと関連する学生のための教育改善及びキャリア支援の3つで構成されている。2024年FD研修会は第1回「研究演習特例措置の運用について」(5月8日教授会内実施、院合同)、第2回「生成AIの活用について」(7月24日実施、院合同)、第3回「国際学部の今後のカリキュラムについて」(9月11日実施、院合同)、第4回「ライフデザインについて(進路情報意見交換会)」(10月23日実施、院合同)をテーマとした。さらに第5回は「教員対象ハラスメント防止研修」(11月27日実施、院合同)を外部の弁護士の先生を招聘し開催した。
 FD研修会第1回目では、一年間の長期交換留学などで3年次に研究演習1を受講できない場合の学生指導のあり方を議論した。第2回目では、教育現場における生成AIの活用について、外部講師を招聘し、学生がどこまで利用することを是とするのか、またアカデミック・インテグティの点から問題はないのかなどを議論した。第3回目では、学生からの授業への聞き取りを行い、教員の側や学部での対応で改善できるところを議論し、今後のカリキュラムに活かしつつも、現行の国際学部カリキュラムを維持することになった。第4回目では、キャリアセンター担当者より2023年度(24年卒)の就職状況、2024年度の動向等の説明と、それを受けた情報交換が行われた。

理学部

 理学部FD委員会は、生命環境学部FD委員会ならびに工学部FD委員会と協力し、さらに理・工・生命環境の3学部合同カリキュラムWGや理工学研究科FD委員会とも連携して、学生に対する教育学習環境の改善、教員に対する教育能力のさらなる向上を目的として、種々の取り組みを行っている。
 2024年度は(1)FD研修会ならびに(2)シラバスの質向上に向けた取り組みを実施した。FD研修会は、工学部、生命環境学部、理工学研究科と連携して2024年9月19日に神戸三田キャンパス事務室長、永嶋恒治氏より、「新入生アンケート・卒業時調査から見た理系学生の実態について」と題して講演いただいた。また、2024年10月24日に、高島法律事務所弁護士、荒井雄一氏より「教員対象ハラスメント防止研修会」として、実際に大学で起こったハラスメント案件を事例とし、包括的にハラスメントについての知見を獲得する機会を得た。また、シラバスの質向上に向けては、作成ガイドラインに基づいてシラバスの内容をチェックし、さらなる質の向上と、その保証に向けた表記について検討を行った。

工学部

 工学部FD委員会は、理学部FD委員会ならびに生命環境学部FD委員会と協力し、さらに理・工・生命環境の3学部合同カリキュラムWGや理工学研究科FD委員会とも連携して、学生に対する教育学習環境の改善、教員に対する教育能力のさらなる向上を目的として、種々の取り組みを行っている。
 2024年度は(1)FD研修会ならびに(2)シラバスの質向上に向けた取り組みを実施した。FD研修会は、理学部、生命環境学部、理工学研究科と連携して2024年9月19日に神戸三田キャンパス事務室長、永嶋恒治氏より、「新入生アンケート・卒業時調査から見た理系学生の実態について」と題して講演いただいた。また、2024年10月24日に、高島法律事務所弁護士、荒井雄一氏より「教員対象ハラスメント防止研修会」として、実際に大学で起こったハラスメント案件を事例とし、包括的にハラスメントについての知見を獲得する機会を得た。また、シラバスの質向上に向けては、作成ガイドラインに基づいてシラバスの内容をチェックし、さらなる質の向上と、その保証に向けた表記について検討を行った。

生命環境学部

 生命環境学部FD委員会は、理学部FD委員会ならびに工学部FD委員会と協力し、さらに理・工・生命環境の3学部合同カリキュラムWGや理工学研究科FD委員会とも連携して、学生に対する教育学習環境の改善、教員に対する教育能力のさらなる向上を目的として、種々の取り組みを行っている。
 2024年度は(1)FD研修会ならびに(2)シラバスの質向上に向けた取り組みを実施した。FD研修会は、理学部、工学部、理工学研究科と連携して2024年9月19日に神戸三田キャンパス事務室長、永嶋恒治氏より、「新入生アンケート・卒業時調査から見た理系学生の実態について」と題して講演いただいた。また、2024年10月24日に、高島法律事務所弁護士、荒井雄一氏より「教員対象ハラスメント防止研修会」として、実際に大学で起こったハラスメント案件を事例とし、包括的にハラスメントについての知見を獲得する機会を得た。また、シラバスの質向上に向けては、作成ガイドラインに基づいてシラバスの内容をチェックし、さらなる質の向上と、その保証に向けた表記について検討を行った。

建築学部

 建築学部では、FD活動とカリキュラムの検討を一体的に推進しており、学部教務委員会とFD委員会が中心となって担当している。入学時オリエンテーション時のグループワークも継続し、大学教育へのスムーズな導入と教育環境向上を目指した取り組みを実施するとともに、2025年度は計12回の学部教務委員会を開催した。主な論点は以下の通りである。
(1)2025年度カリキュラム改編に関する件
(2)卒業研究の提出方法に関する件
(3)修士論文・修士設計の提出方法に関する件
(4)2025年度以降入学生の履修モデルに関する件
(5)交換留学生の学部推薦および単位認定基準に関する件
(6)2026年度大学授業スケジュールの見直しに関する件

 また今年度はFD研修会として以下のとおり3回 実施した。
第1回目は、6月12日に、科学研究費助成事業(科研費) 研修会が行われた。
第2回目は、7月10日に、研究倫理教育・コンプライアンス教育について資料に基づいて建築学部研究推進委員から報告があり、意見交換を行った。
第3回目は、2月18日に、シラバスの作成に関する理解の促進とシラバスの教員間での相互評価・相互チェックの実施を行った。

言語教育研究センター

【英語】全学英語教育FD部会を開催し、「プレースメントテストおよびアチーブメントテストの実施結果に基づく教育成果の振り返り」「SGU外国語力基準達成者数」等について分析結果を共有した。
 
【ドイツ語】IT技術の発展・普及による研究教育環境の急進的な変化に直面して、学習・教育実践を(少なくとも部分的に)再考し、定着した概念や考え方を再定義・検討する必要がある、という共通認識に基づき、分会のメンバーが1月15日に研究会を開き、生成AIの使用が増えつつある現在では、とりわけ剽窃の問題に教育者としていかに取り組むべきかという問題について議論した。

【フランス語】会議およびメールで、教員間で授業方法、授業内容、改善すべき点、インテンシブ・クラスで使用している教科書の長所と短所などについて意見交換を行い、より効果的にフランス語を教える方策を探るとともに、教材や補助教材の検討も行なった。

【スペイン語】2024年4月初旬にオンラインミーティングを行い、到達目標や成績評価などを確認した。また、前年度の授業実施に関する情報交換を行い、改善すべき点を検討した。2025年2月にはスペイン語教授法研究会を対面で開催し、授業における「仲介」について学び、議論した。

【中国語】2024年4月に中国語常勤講師を中心として、各学部のクラス状況と定期試験問題の難易度について意見交換を行った。また2024年10月中、学力をアップするために学生に対しての個別指導方法なども検討し、一部教員の間で具体的なやり方などについて意見聴取と情報交換を行った。学期中も専任教員が非常勤講師へのサポートを積極的に行い、担当者全員への情報共有に努めた。教材編集については、中国語Ⅰの新本文を作成した。

【朝鮮語】2024年度に新任専任教員2名を迎えたことにより、教学体制の再検討を開始した。2025年1月中旬に2027年度以降導入予定の教科書について、基礎的な編集方針および進行について検討を行った。

教職教育研究センター

 本年度は4回のFD研修会を開催した。第1回については、7月9日(火)に「研究費の不正防止への取り組み」というテーマで、「研究活動上の不正行為防止への取り組み」というパンフレットに基づき、研究倫理についての懇談を行った。
 第2回については、第1回の研修会と同日に「自己点検・評価を踏まえた教育改善に向けて」というテーマで、懇談を行った。この懇談では、教職課程を受講している学生の意識や行動を明らかにすることを目的とした質問紙調査の内容について協議した。この調査の目的は、本学の教職課程の現状と課題を明らかにすることにある。
 第3回については、11月5日(火)に「自己点検・評価を踏まえた教育改善に向けて」というテーマで、懇談を行った。この懇談では、第2回の協議の結果を踏まえて修正した質問紙調査の内容について協議した。
 第4回については、12月20日(金)に教職課程等研究懇話会を開催した。この懇話会の目的は、主には日頃から本学の教職課程を支えてくださっている非常勤講師の方々をお招きし、本学の教職課程の現状についてお知らせするとともに、本学の専任教員と非常勤講師の方々とで情報交換をすることにある。また、この懇話会では、例年、非常勤講師の方お一人に研究発表をしていただいている。本年度は、安田栄三先生に「地理歴史科教育法の進め方と学生の皆さんに伝えたい話」と題した発表をしていただいた。
 なお、第2回および第3回の研修会で検討した質問紙調査については、すでに実施している。今後は、得られた調査データを分析することにより、本学の教職課程の改善に向けた取り組みについて検討していく予定である。

共通教育センター

 当センターは2010年4月の設置以来、FDに関する主たる取り組みとして、全学科目体系の整備、初年次教育科目「スタディスキルセミナー」の提供、ラーニング・アシスタント(L.A.)制度の運用を推進している。
カリキュラム充実のための活動として、「AI活用人材育成プログラム」の運営および、ライティングセンター開講科目の運営が挙げられる。それぞれ専門の部会を設置し、定期的にカリキュラムの内容や開講形態について検討を実施している。ライティングセンターでは、スタディスキルセミナー(グループワーク入門演習)と(リポート執筆の応用演習)を新設し、より体系だった履修が可能となった。
 また、シラバスの高度化・実質化に関する取り組みを継続し、高等教育推進センターと共同で作成した『授業シラバス執筆の手引き』を基に、センター提供全科目のシラバスについて、センター長、センター副長、情報科学科目コーディネータ教員、関係教員でチェックを行った。
これらに加え、センター所属の教員に対し、9月13日・27日に、研究倫理の啓蒙(研究活動上の不正行為、研究費の不正使用の防止について)をテーマとした、コンプライアンス教育を実施した。

ハンズオン・ラーニングセンター

 ハンズオン・ラーニングセンターでは、2024年度に以下のFD活動を実施した。
(1)『ハンズオン・ラーニングセンター提供Certificate Program(HoLC-CP)』の推進(2)シラバスの高度化・実質化の継続(3)コンプライアンス研修の実施
主な取り組みは、以下の通りである。

(1)ハンズオン・ラーニング・プログラム(HoLP)の拡充と安定運用を目指し、2025年度以降の科目追加および募集要項の改訂を行った。対象科目にPBL特別演習科目を含めることによる拡充、オープンバッジの全学申し合わせ事項に沿った運用へ変更した。ハンズオン・ラーニング・プログラムの健全かつサスティナブルな提供体制の再構築を推進している。
(2)『シラバス作成の手引き』を基に、センター教員には、昨年からの変更点のまとめ及び作成時の留意事項を集約して周知した。また、シラバスの第三者チェックについては、実施要領を作成し、センターが提供する全科目に対して、センター長、副長が適切に実施した。
(3)センター所属の教員に対し、7月9日に、研究倫理の啓蒙(研究活動上の不正行為、研究費の不正使用の防止について)をテーマとしたコンプライアンスに関する研修を実施した。

スポーツ科学・健康科学教育プログラム室

 スポーツ科学・健康科学教育プログラム室では、毎年、全国大学体育連合が主催する「大学体育指導者全国研修会」に専任教員が参加している。今年度は溝畑副室長が8月20日から8月22日の日程で、名城大学を会場として実施された研修会に参加した。研修会のテーマは「大学教育・大学体育と国際化」で、多様な文化的背景を持った学生が体育スポーツを通じて、より深い学びが得られるように各種目の指導法について教授された。具体的にはゴルフ、タグラグビー、太極拳、カバディ、英語での体育実技であった。さらに障害者スポーツとして、車椅子ハンドボールおよび車椅子バドミントンの指導も行われた。また、基調講演では関西大学国際部教授のニュージーランド人であるアレキサンダー・ベネット先生による「武道はスポーツか:日本文化としての独自性」について、先生が高校生時代に千葉県の高校に交換留学で来日した際、剣道部に所属し初めて武道に触れられたことや、自身の著書である「真の上達は年齢の壁を超える!(集英社新書)」の内容について紹介された。溝畑副室長から有意義な研修会であったことが報告された。

人権教育研究室

 人権教育研究室は、人権教育における全学的なFDの推進のために、室長室会が主体となって人権関連の諸活動を実施している。2024年度においては以下の活動を行った。第一に、新任教員等を対象とした人権研修プログラムを4月にオンデマンド配信にて行った。第二に、春季および秋季に公開プログラムとして人権問題講演会を企画し、春季には、5月にLGBTQ+と性の多様性について、6月にインクルーシブな社会実現のために大学が果たすべき役割をテーマに、秋季には、10月にマイクロアグレッションの理解と無自覚な差別への気づきについて、11月に福島原発事故で被災した地域とレジリエンスの力をテーマとした講演会を開催した。第三に、性の多様性への啓発として、第12回関学レインボーウィーク「We Will Survive」を5月13日~17日に開催し、映画『虹色の朝が来るまで』の上映会と今井ミカ監督によるトークイベント、聖和キャンパスでは性の多様性を考える映画上映(『カランコエの花』)と交流会を、他にも各種展示やパネルディスカッション、学生企画などを行った。また、レインボーウィークに合わせて、研究部会によるトランスジェンダーの人権擁護をテーマとした公開研究会を開催した。第四に、様々な人権課題についての学びの機会を提供した。全学的な難民問題への取り組みの一環として、11月にMeal for Refugees(M4R)活動を後援し、UNHCR協会の後援を受けて難民映画フェスティバルを開催した。また、7月に日本語教育センターとの共催による「ヒューマンライブラリー」を昨年に続いて実施した。
 最後に、人権教育研究室が提供する人権教育科目では、各学部からの教員が運営委員となり、科目代表者と共に授業運営を担うことで、多くの教員が本学の人権教育について理解を深めることができた。2025年3月には、人権教育科目担当者連絡会を開催し、担当者間で意見交換と情報共有を行い、次年度の人権教育に向けた改善点や今後の取り組みを確認した。

国際教育・日本語教育プログラム室(国際教育・協力センター、日本語教育センター)

  日本語教育センターでは、センター内にFD委員会を設け、FD活動の推進に努めている。
 
授業関連では、学部留学生および交換学生の日本語科目を対象に、センター独自に作成した授業に関する調査を年2回(春学期末、秋学期末)実施している。回答結果は科目担当者に返却し、次年度以降のシラバス作成や授業運営改善の資料として活用している。

教員研修に関して、毎年、センター主催の関学日本語教育研究会を実施している。今年度は研究会を2回開催した。まず、2024年7月31日(第33回)に2023年度交換プログラム秋学期集中科目の授業担当者2名による実践紹介および研究発表が行われた。また、2025年2月26日(第34回)には、2024年度に日本語教育センターに新たに着任した教員2名による研究報告および実践報告が実施された。このように、今後も継続的に研究会を実施することで、非常勤教員を含め、日本語教育センターの授業運営に関わる全ての教員に対して相互の学びを深めたり共有したりする場を提供していきたい。 

来年度以降も、上述のような定例の活動を継続していく予定であり、さらに、ニーズや機会に応じて、随時FDに関連する活動の企画運営を積極的に行いたいと考えている。

国際教育・日本語教育プログラム室としては、2024年度以下のFDを実施。

1)11月21日国際連携機構SD・FD研修として「授業内外の多様な学習を評価・促進するルーブリックの基礎知識」を開催し、教員7名、職員27名が参加した。
2)11月29日、教職員3名がNPO法人JAFSA(国際教育交流協議会)主催国際共修研修「Diversity(多様性) & Inclusion(包摂性)を国際共修に活かす」~グループプロセスに注目して~に参加し、12月3日開催国際教育・日本語教育プログラム室連絡会にて報告した。
3)2月12日開催の国際教育・日本語教育プログラム室連絡会にて、職員参加した1月25日開催「大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業 キックオフ・ワークショップ」於 東北大学に関する報告と本学の国際共修の方途をさぐる議論を種々行った。

オンライン共修を含む多文化共修、国際共修の実践と拡充は本学では発展途上であるが、次年度以降も国際化が進む日本社会において、国や言語・文化を越えて協働するスキルを養う国際共修について、今後も機会をとらえて積極的に教職協働で議論を進めていく予定である。

キャリア教育プログラム室

 キャリア教育プログラム室では、専門分野の学びと社会を結び付けることを目的とし4つの正課科目を配している。
 カリキュラムは、入門科目の「KGキャリア入門」を通して「キャリア」を知り、その後、企業と共創する「ライフデザインと仕事」を通して「社会」を知り、最後に、ゼミ形式の「キャリアゼミ」を通して「自分」を知るという履修モデルとなっている。また、上記モデルと並行して、国家公務員志望の学生を対象に、「霞が関セミナー」も開講している。
 2024年度のFD活動は、中期総合経営計画第3フェーズ(2025‐2027年度)に向けたトータルレビューにおいて、キャリア教育の体系化及び拡充が示されたため、2024年6月18日、6月25日、7月2日、7月9日に実施されたキャリアセンター連絡会にて、「サーバント・リーダーシップ」を中心とした新規キャリア教育プログラム開発、及びキャリア教育の機会を安定的に提供するうえで必要となる体制整備に向けて検討・懇談を行い、長期戦略の実施計画帳票にまとめた。なお、検討にあたっては、日本サーバント・リーダーシップ協会の真田理事長や、リーダーシップ研究の第一人者である立教大学の石川淳教授へヒアリングの機会を設けた。

大学宗教主事会

 今年度の大学宗教主事会では1月17日(金)の大学宗教主事会でFD研修会の時をもち、昨年度ドイツに留学されていた加納和寛氏(本学神学部教授)より、「ドイツにおける「宗教」の授業」という主題で発題していただき、それに関して質疑応答及び意見交換の時間をもった。当日の発題によると、ドイツ連邦共和国においては(州ごとにその実態は様々であるが)今日においても公立学校(初等・中等教育学校)では宗教の授業が実施されているが、近年ではキリスト者の割合の低下や移民の増加に伴い、堅信教育や神学入門的な内容は重視されなくなり、他宗教や実践的な倫理学を扱うことが増えてきており、信仰の涵養ではなく宗教知識の学習と他宗教理解に重点が置かれる傾向にある。もちろん、日本とは文化的背景が異なるため、単純に比較はできないが、今回の研修会を通じて、本学においてもグローバル化する世界情勢も踏まえ、今後のキリスト教学の授業のあり方も随時検討していく必要があるとの認識を共有することができた。