2023年度のFD活動報告

[ 編集者:高等教育推進センター       2024年5月15日   更新  ]

2023年度FD活動報告

関西学院大学では各研究科、各学部・教育研究機関等が独自に工夫を凝らしたFD活動に取り組んでいます。以下に各研究科、各学部・教育研究機関等の取り組みを報告します。

神学研究科

 2023年度春学期のFD研修会は6月7日の4時限に吉岡記念館3階会議室で開催された。春学期はTurnitinの機能について、またそれをLUNA上で利用する方法について学ぶ機会を持った。アプリケーションの説明については、Turnitin社にZoomをとおして行ってもらった。その他、高等教育推進センターの職員の方々も出席されて、とくにLUNA上でのアプリケーションの使用に関しての助言を受けた。講義における運用にあたっての質問が参加者から幾つか上がったが、とくに学内他学部の教員との連携について、また閲覧できる参考レポートの匿名性に関する問題に時間を費やした。さらに、今後可能になると思われる生成系AIのチェックに関する質疑も行われた。今後より多くの教員によってTurnitinが運用されることが予想されるが、それと同時に、学生の倫理観向上に向けた取り組みについても、より積極的に議論されるべきであろうと思われた。
 秋学期の研修会は11月1日の4時限に吉岡記念会館3階会議室にて開催された。秋学期は「アクティブ・ラーニングの理論と実践」と題して、教員が講義においてアクティブ・ラーニングを取り入れる方法について学ぶ機会を持った。講師として、本校ライティングセンターの福山佑樹教授を迎えてプレゼンテーションをしてもらい、それに続いて質疑応答の時間を持った。教員からは講義内でのディスカッションの効果的な導き方と動機づけ、ワークとして小テストを行うタイミングや実施の仕方、反転授業の実施における教材の選択や反転授業の教育効果等、すでに講義において運用されているアクティブ・ラーニングの実践事項に関する質問がなされ、これらについて福山氏からさらなる視点を提供してもらった。さらに新たな講義の進め方として「ジグゾー法」について詳しく説明を受け、これを実際の講義においていかに運用することが出来るかについてディスカッションをした。座学が中心となる講義を行う教員にとって、より効果的な講義運営のための多くの有意義な視点を得た。

文学研究科

 文学研究科では年間4回の研究倫理・コンプライアンス研修会を予定し、これまでに3回の研修会を実施した。研究科構成員が集まる研究科委員会の終了後に実施された研修会では、研究推進社会連携機構発行の「Newsletter」に掲載されている事案にもとづいて研究科委員長補佐が説明を行い、全員で情報を共有した。また12月には、ここ数年の実施方法を踏襲して、LUNAを用いた大学院FD研修会を行った。研究科構成員は、LUNAコミュニティ内に作成された専用項目内の「教材・課題・テスト」に資料として添付した「研究活動上の不正行為防止への取り組み・研究費の不正使用防止への取り組み」パンフレットを熟読した上で、確認テストを受験した。テストは文部科学省のガイドライン、関西学院で独自に不正行為に定めている規定のそれぞれに関する全10問から構成され、再受験を可能にして理解を深めることとした。その結果、期間内に12月時点における文学研究科委員会構成員の全員(72人)が受講し、研究倫理・コンプライアンスに関する事項がおおむね理解されていることが確認された。

社会学研究科

 社会学研究科では、春学期(6月23日~7月13日)、秋学期(12月8日~1月16日)にMicrosoft Formsによる授業に関するアンケートを実施し、在籍院生からの回答を得た(回答率春学期19.4%、秋学期20.0%)。カリキュラムへの評価は、肯定的回答が100%(春)、100%(秋)と高く、また学習環境についての評価も、肯定的回答が100%(春)、85.7%(秋)と高かった。さらに、記述式の回答でも、投稿論文から博士論文執筆まで一貫してサポートする「大学院生サポートプログラム」や、副指導教員制度に対する肯定的な意見が多く見られた。
 本研究科では、2021年度から新カリキュラムをスタートさせた。すなわち、「社会学」「社会心理学」「文化人類学・民俗学」という専門分野別の授業科目を充実させるとともに、「修士論文作成合同演習」「博士論文作成合同演習」を新設した。合同演習ではこれら3つの領域の大学院生が一同に研究発表を行い議論することで、個別の専門分野を超えた学びが深まるとともに、研究科全体の院生の研究進捗状況を研究科執行部が把握して適切なサポートをするのに役立っている。また、博士学位申請論文のための要件となる論文について整理をし、博士学位を得るまでの透明性を高めた。

法学研究科

 法学研究科では、2023年8月1日(火曜日)14時から15時の間にFD研究会を実施した。FD研究会においては、大学院生を対象に春学期に実施されたアンケート結果の確認と、5名の大学院生、8名の教員を招いての意見交換が行われた。独自様式のアンケートの回答率は73%であった。
   FD研究会では、講義科目、文献研究科目、海外渡航プログラム、インターンシップ科目、カリキュラム構成、学習環境等について大学院生から具体的な意見が寄せられた。
 文献研究科目については、後期課程在籍者の履修要件について明確化の希望があった。これについては、博士課程院生の不利益にならないように、大学院入試の結果や修士論文の内容を総合的に判断して、外国語学力試験受験の可否を決定するので、明確な基準を提示することは難しく、明確な基準を設けると、かえって院生の不利になるおそれがある旨の回答をした。また、博士後期課程進学時(入学時)に、指導教員とこの点に関する相談を十分に行うことが望ましく、この点についてはガイダンス等で十分に周知することとする旨返答を行い、共通認識した。
 インターンシップ科目では「自治体や中央省庁へのインターンシップを希望している。」等の要望があった。返答として⇒公共機関への独自枠は難しいが、民間企業への働きかけは行っており、今後工夫して、増やして行きたい旨、情報共有した。
 その他、大学院生からの意見や要望に対しては教員から応答がなされ、和やかな雰囲気の中で行われた率直な意見交換は、大学院における教育、研究についてさらなる改善を目指すうえでも有意義な機会であった。
  また、それ以外の項目は、概ね満足という結果であった。

経済学研究科

 2023年度の経済学研究科のFD活動としては、例年通り、春と秋の学期末に「学生による授業評価アンケート」を実施した。またFD委員会を開催し、アンケート結果についての情報の共有・意見交換を行った。アンケートの回答結果を見ると、回答が得られたすべての授業で、評価点平均が5点満点中4点以上となっており、本研究科の授業が学生の期待に応えることができていることが伺えた。しかしながら、アンケートの回収率がやや低く、履修者はいるもののアンケートの回答が得られなかった授業科目が散見された。これらの問題の改善は今後の課題としたい。
 また12月6日(水)に学部FD委員会との共同でFD研修をオンラインにて実施した。研修では、キャリアセンター職員の方より、①学生の進路状況、②就職のトレンドなどについて解説していただいた後、参加教員との間で意見交換を行った。
 本研究科では在籍する学生の数が少なく、入学者を増やすことが課題となっている。この課題に対して、入試制度の改革など本研究科の魅力を高める施策を実施した。これらの施策の効果を見極めながら、入学者の増加、在籍学生の満足度向上につながる諸施策を引き続き検討する予定である。

商学研究科

 商学研究科は2023年度のFD活動として学部(商学部)と合同で計3回のFD教授研究会を開催した。
 第1回(2023年7月12日(水) 開催)では、「研究活動上の不正行為防止への取り組みについて」をテーマに、藤沢武史教授(ファカルティ・ディベロップメント委員)の講演により、本学における研究活動上の不正行為防止への取り組み、研究費の不正使用防止への取り組みなどを紹介いただいた。
 第2回(2023年11月29 日(水) 開催)では、株式会社リクルート社より講師を招き、「関関同立における関学大への評価と受験者獲得の見込み」をテーマに講演いただいた。リクルート社が実施している高校生・受験生が抱いている各大学のイメージに関するアンケート調査の結果を紹介いただくとともに、本学が高校生などから高い評価を獲得するために有効と考えられる施策の方向性を提示いただいた。
 第3回(2024年2月14日(水) 開催)では、「PBL授業を振り返って」をテーマに、3名の任期制実務家教員(井潟正彦教授、小関亮専任講師、大政剛専任講師)よりPBL授業の概要・授業方法等を紹介いただき、PBL授業を効果的なものにするためのポイントを教員間で共有した。なお、商学部では2022年度にカリキュラム改編の一環として、任期制実務家教員がプロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)形式で授業を進める「ビジネスプロジェクト」科目を新設しており、2023年度は2年目にあたる。

理工学研究科

 理工学研究科FD委員会は、理学部FD委員会、工学部FD委員会ならびに生命環境学部FD委員会と協力し、さらに理・工・生命環境の3学部合同カリキュラムWGとも連携して、学生に対する教育学習環境の改善、教員に対する教育能力のさらなる向上を目的として、種々の取り組みを行っている。
 2023年度は(1)FD研修会ならびに(2)シラバスの質向上に向けた取り組みを実施した。FD研修会は、理学部、工学部、生命環境学部と連携して2023年9月14日に北陸先端科学技術大学院大学保健管理センター佐々木恵准教授より、「理系学生指導とメンタルヘルスケア -ハラスメント防止対策を見据えて-」と題して、講演をいただいた。この中で、大学生のメンタルヘルスや適応と、教職員対応について、有益なお話を伺うことができた。また、シラバスの質向上に向けては、作成ガイドラインに基づいてシラバスの内容をチェックし、さらなる質の向上と、その保証に向けた表記について検討を行なった。

総合政策研究科

 総合政策研究科では、FD・カリキュラム検討委員会においてFD活動などに関する議論を適宜行っている(研究科執行部会である学部長室委員会でも再度検討)。2023年度における研究科の主な活動は以下の通りである。
(1)FD研修会を計2回開催した(学部と共催)。本年度は、教育・研究におけるコンプライアンスに関する理解の促進、シラバスの作成に関する理解の促進とシラバスの教員間での相互評価・相互チェックの実施などであった。
(2)各教員の研究内容の紹介等を目的とした研究発表会を計2回実施した(学部と共催)。新任教員2名が研究の内容を報告し、質疑を行うことができた。
(3)国連システム政策専攻の設置に伴い研究科のディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーの見直しが必要であり、研究科委員会での年度内の審議・成立を目指し検討を行った。

人間福祉研究科

(1)大学院生による授業評価の実施
春・秋学期ともに実施。回答数は4分の1程度と少数であるが、授業評価は概ね良好であった。各授業への個別コメントはいずれともに高く、授業担当者との間に良好な関係を土台に、有意義な学びが展開されていることが推測された。
(2)前期課程中間報告会、後期課程成果報告会の開催

前期課程中間報告会は 2023年5月20日に対面で、後期課程成果報告会は 2024年2月10日にオンラインでそれぞれ行った。いずれともに、大学院生が研究の進捗状況を発表し、研究経過やその成果を教員や他の大学院生等と共有するとともに、質疑を通して今後の研究に資することを目的にしている。前期課程中間報告会は、昨年度より対面での実施となったが、後期課程成果報告会は、遠方からの参加報告を考慮し、オンラインでの実施となった。対面、オンラインのメリット・デメリットを勘案し、それぞれの報告会の特質も踏まえての実施形式の選択であるが、双方とも活発な質疑応答の場面が見られ、メリットの方が大きく発露している印象である。
(3)研究業績の調査 人間福祉研究科博士課程後期課程在籍の大学院生・研究員全員を対象に調査を実施し、研究業績を纏めるとともに、掲載希望者については本研究科ホームページに業績を掲載した。
(4)合同 FD 委員会 学部と大学院の合同 FD 委員会を1回、シラバスチェックの手順・ポイントを確認した。また、学部・大学院合同のFD研修として、1回目は「責任ある研究活動の課題――盗用・剽窃をしないために」をテーマに2023年11月15日に、公正研究推進協会(APRIN)評議員・東北大学名誉教授広島大学名誉教授羽田貴史氏より、そして2回目は「障害者差別解消法の改正と大学での合理的配慮の提供について」をテーマに2024年2月28日に筑波技術大学教授の白澤麻弓氏より、それぞれ講義を受け、学習を行った。
(5)シラバスチェックの実施 昨年度に引き続き、次年度の開講科目のシラバスにつき、 授業目的及び到達目標、さらに成績評価と授業外学習を重点的にチェックした。
(6)昨年度に引き続き、博士学位論文の指導審査プロセスの見直しを実施し、より効果的な指導と審査が可能になるように議論を重ねた。その結果、2024年度新入生より適用される新たな審査プロセスを導入するに至った。

教育学研究科

 本年度は、学部と大学院のFD研究会を共通のテーマによる2回シリーズで行うこととし、それぞれのFD研究会を計画した。教育学部FD研究会は2023年7月12日(水)に「ChatGPTなどの生成系AIの授業での活用と課題」をテーマに開催した。それを受け、教育学研究科FD研究会は2023年9月27日(水)に「外国語指導または論文指導におけるChatGPTやAIによる自動翻訳の利用について」をテーマに開催した。話題提供は、英語教材作成や英語翻訳に携わった経験をもつ本学部江原昭博准教授が担当した。自動翻訳を使用している教員と、使用していない教員の指導事例がそれぞれ共有され、オンライン開催であったため、共有画面上でChatGPT等のツールの使用法を実演しながら、学生指導に活用する上での課題について説明された。今回のFD研究会を通して、生成AIも自動翻訳も学生指導において様々な使い方がされていることが分かった。また、これらのツールの精度が高くなっていくことが予想される中、外国語指導や論文指導における有効な利用法はあるのか、どういった危険性や課題があるのかなどについて、今後も検討を重ねる必要が確認された。

国際学研究科

 2023 年度国際学研究科の FD 活動としては、学部と合同で、FD 研修会、教員相互授業参観を行うとともに、独自に学生インタビューを実施した。
 とりわけ、学生インタビューでは、本研究科教員たちからの丁寧かつ熱心な研究指導及び事務室の温かい対応に謝意が示された。具体的には、講義時間に関係なく、Zoom等での遠隔面談やメールベースでの深夜の質疑応答等、質問・相談に指導教員が手厚く対応したこと、指導教員以外の講義提供教員からも、研究テーマに応じた内容にアレンジされた講義が行われたこと、加えて事務室から迅速かつ的確な対応・サポート等が受けられたことが高く評価された。
 そもそも、自身の専門分野以外の科目を幅広く履修できる(履修するようにカリキュラムを編成している)国際学研究科においては、学生が多面的に知見を得られることを目指しているが、そのことを実感することができた、という学生からの評価は、我々の教育に対するモチベーションを高めることになった。
 その典型例は、修士論文の報告会である。昨年同様、指導教員以外で他領域(国際学研究科は、研究領域としては3領域を有している)の教員も多数参加し活発な質疑が行われ、研究内容のクオリティアップに繋がった、という感想が寄せられた。少ない学生数であることから、全ての教員が修士あるいは博士課程の学生を指導することにはならないため、研究科全体でのFD活動は行いにくいが、修士論文等報告会での要領で今後も引き続き、教員間で、積極的に情報を共有しつつ、学生の研究指導は、研究科全体で行っていくという研究科の姿勢を継承していく所存である

言語コミュニケーション文化研究科

 言語コミュニケーション文化研究科では、毎年、秋学期にFD活動の一環として、研究科執行部と大学院生代表によるFD 研修会を開催している。今年度は2024年1月9日に対面で開催した。執行部教員4名、院生5名の出席を得て約70分意見を交換した。
 本研究科は梅田キャンパスで夜間6、7時間目の授業を提供している。2022年度から開講時間が遅くなり、特に7時間目の授業実施が難しくなった面がある。現在WGを立ち上げて、負担軽減と有効活用のための方法を模索している。大学院生代表が研修会に先立って、梅田キャンパスでの授業に関するアンケート調査を積極的に実施し、その結果を説明してくれた。この結果はWGで参考にする予定である。
 また、受験生向けパンフレット、設備や院生に提供されるサービスに関する要望(学生共同研究室の利用可能時間延長、留学生への日本語校閲サービス提供など)などが出された。院生からの要望は研究科委員会で報告され、今後の教育・研究環境の改善に生かされる予定である。

司法研究科

 司法研究科長を含む6名の教員からなる「自己評価・FD委員会」を原則2か月に1回開催。以下のFD活動を実施した。
(1)授業評価:学生による授業評価アンケート及び教員による自己評価を各学期終了間際に実施した。報告書を作成し、全体概要を研究科HP上にて公開、科目ごとの詳細データを教職員・学生に公開した。
(2)授業参観:各学期、対面での授業参観および受講生との懇談を行った。その後、参観教員と授業担当教員との間で意見交換を行い、授業方法等の改善を図った。
(3)中間アンケート:学生アンケートを授業第5~6週目にオンラインで実施した。これは授業評価とは違い、後半の授業運営に向けて即時的な改善を狙った取組である。
(4)FD研修会:研究科の教育力向上を目的として、全専任教員を対象に年2回のFD研修会を実施した。春学期は約5年ぶりとなる外部評価を実施し、ご指摘いただいた点について、評価委員と教員で意見交換を行った。秋学期は、来年度からの配布に向けて、『学習到達度確認冊子』の改訂について情報交換を行った。
(5)法科大学院認証評価:(公財)日弁連法務研究財団による4巡目の認証評価を受審した。
(6)『FDニュース』発行:1年間のFD活動に関する『FDニュース』を作成し、教員及び学生に配布した。

経営戦略研究科

 専門職学位課程と博士課程後期課程を擁する本研究科は、設立当初より、研究者教員及び実務家教員に共通するFDのあり方を模索しつつ、所属教員の高い参画意識をもってFD活動を実施してきている。
 2023年度は、合計3回のFD研修会を実施した。そのうち2回は、2023年夏にシステムを大幅にリニューアルした本学の教授者-学習者支援システム「LUNA」に関する学生の学習改善に向けた操作・活用方法がテーマである。2023年9月20日に1回目の研修会を開催し、山本昭二本研究科教授と、本学情報化推進機構事務部担当者を講師として、リニューアルに伴う機能の主な変更点を紹介するとともに、各教員の疑問や課題を把握・共有した。その続編として2024年3月13日に研修会を開催し、第1回と同じく山本昭二本研究科教授と、本学情報化推進機構事務部担当者を講師として、1学期間を通してLUNAを使用するなかで各教員が抱いた疑問や課題を把握・共有するとともに好事例についても教員間で共有した。
 また、キャンパス・ハラスメント等相談センター相談員を講師として招き、「教育研究上のハラスメント防止と相談体制」をテーマに実施し、事例共有と意見交換を行った。
 

国連・外交統括センター

 国連・外交統括センターでは、2023年度に以下のFD活動を実施した。
(1)大学院「国連・外交コース」内容改善のための学生ヒアリングおよびアンケート実施
 昨年度に引き続き7月に計3回、国連・外交コース生に対する座談会形式でのヒアリングを実施した。授業やカリキュラムの内容、教員の指導、インターンシップ派遣、募集方法などについて、履修生の感想や意見をセンター職員との懇談を通じて聞き取り、結果をセンターで共有して改善策を協議した。学生アンケートも年2回(春学期7月、秋学期1月)実施し、集計結果は改善リポートにまとめ、次学期の授業シラバス作成時に反映している。
(2)シラバス検討ミーティングの実施
 大学院副専攻「国連・外交コース」および大学MS「国連・外交プログラム」の2024年度開講科目について、1月にシラバス検討コアミーティングを実施した。全授業代表教員が出席し、前学期の学生アンケートの回答やヒアリング結果も参考に、全科目の内容充実のアイデアや改善点を共有して、シラバスに反映した。

神学部

 2023年度春学期のFD研修会は6月7日の4時限に吉岡記念館3階会議室で開催された。春学期はTurnitinの機能とそれをLUNA上で利用する方法について学ぶ機会を持った。まず、Turnitin社にZoomをとおして機能等の説明をしていただいた。また、高等教育推進センターの職員の方々も出席されて、アプリケーションの使用に関しての助言を受けた。その後、とくに運用面について、学内他学部の教員との連携や生成系AIのチェックについて質疑が行われた。秋学期の研修会は11月1日の4時限に吉岡記念会館3階会議室にて開催された。秋学期は「アクティブ・ラーニングの理論と実践」と題して、講義にアクティブ・ラーニングを取り入れる方法について学ぶ機会を持った。講師として、本校ライティングセンターの福山佑樹教授を迎え、新たな講義の進め方についての視点や具体的例を提供していただいた。以上のFD研修をとおして、授業の方法及びその教育効果についての課題と展望を教員間で共有することができた。
 

文学部

 2023年12月13日(水)15時30分より、文学部・文学研究科専任教員を対象としたFD研修会を実施した。近年の入試制度や志願者の動向などについての理解を深めるために、入学センター入試広報課の三木健之氏を講師として招き、近年の受験生の志望学部の動向、本学文学部の志願者の動向に加えて、各種入試制度の詳細に関する情報について解説いただいた。講演に先立って、新関芳生文学部長・文学研究科委員長が近年の大学志願者動向を学ぶ趣旨についての説明を行い、福岡弘彬FD委員が補足説明を行った。多様化する受験生の動向について学び,今後の学部の運営を考える上で有益な機会となった。

社会学部

 社会学部では7月12日、研究推進社会連携機構の「2023 年度 研究倫理教育・コンプライアンス教育について」および『不正防止パンフレット』を使いFD研修会が行われた。研究上の不正防止や研究倫理に関する研修内容を踏まえ、社会学部ゼミでの学生に対する研究指導について認識を新たにした。とくにフィールドワークや質問紙調査(いわゆるアンケート調査)を行うことで調査研究を進めることの多い社会学部のゼミ指導において、研究倫理についての学生指導を行うことの重要性は言うまでもない。また、社会学部では初年次教育に力を入れるべく、基礎演習、入門科目、キリスト教教育を柱として1年次により手厚い教育体制を構築しつつある。初年次の学生であっても研究者としての責任が求められるという面にも十分考慮し、教育体制を整えていくことを確認した。

法学部

 当該年度におけるFD活動として、法学部は以下2回の研究会を開催した。
 第1回(2023年9月13日)では、「データでみる法学部生~新入生から卒業生まで」をテーマに関西学院会館で実施した。総合企画部(IR室)の職員が登壇。はじめに、大学経営や教育改善をサポートする機能であるIRについて、本学が定める目標や機能、調査の目的や概要などを共有した。その後、①入学試験、②在学生、③卒業生ごとに細かくデータを確認した。最後に質疑応答を行い、今後のIRの活用やIR室との連携を意識する機会となった。
 第2回(2023年12月6日)では、「大学教育と生成AI」をテーマに関西学院会館で実施した。高等教育推進センターの武田俊之・教育技術主事が登壇。冒頭にChatGPTを中心とした生成AIの特徴等を解説し、その後、大学教育での効果的な活用とリスクについて確認した。その上で、本学で6~7月に実施した「生成系AIに関連した教育上の課題」についてのアンケート結果も踏まえながら、意見交換や活用事例の共有を行った。

経済学部

 2023年度のFD活動として、経済学部はFD研修会の実施、および、経済学部独自のシラバスチェック基準の策定を行った。FD研修会は2023年12月6日(水)に遠隔システム(Zoom)を使って開催した。キャリアセンターの職員の方に講師となっていただき、「学部生・大学院生の進路情報意見交換会」という論題のもとに、他学部生と比較した経済学部生の進路状況の特徴や強み、企業の人事担当者からみた経済学部の卒業生の評価など様々な情報を共有していただいた。その上で、今後のカリキュラムや授業のあり方について教職員間で種々懇談、検討を行った。今後の経済学部のカリキュラムや授業のあり方を考える上で非常に有益な機会であった。また、昨年度から検討を重ねてきた経済学部独自のシラバスチェック基準を策定し、シラバス執筆の際に各授業担当者に配布した。教務機構のシラバス作成の手引きに基づきつつも、経済学部の実情に即した形で簡潔にシラバス執筆の際の注意点をまとめたものとなっており、経済学部のシラバスの質の向上に寄与する試みであった。

商学部

 2023年度のFD活動として、商学部は3回、FD教授研究会を開催した。
 第1回(2023年7月12日(水) 開催)では、「研究活動上の不正行為防止への取り組みについて」をテーマに、藤沢武史教授(ファカルティ・ディベロップメント委員)より本学における研究活動上の不正行為防止への取り組み、研究費の不正使用防止への取り組みなどを紹介いただいた。
 第2回(2023年11月29 日(水) 開催)では、株式会社リクルート社より講師を招き、「関関同立における関学大への評価と受験者獲得の見込み」をテーマに講演いただいた。リクルート社実施の、高校生・受験生が抱いている各大学のイメージに関するアンケート調査の結果を紹介いただくとともに、本学ならびに商学部が高校生などから高い評価を獲得するために有効と考えられる施策の方向性を提示いただいた。
 商学部は2022年度にカリキュラム改編の一環として、任期制実務家教員がプロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)形式で授業を進める「ビジネスプロジェクト」科目を新設した。2023年度は2年目にあたる。第3回(2024年2月14日(水) Zoom開催)では、「PBL授業を振り返って」をテーマに、3名の任期制実務家教員(井潟正彦教授、小関亮専任講師、大政剛専任講師)よりPBL授業の様子を紹介いただき、PBL授業を効果的なものにするための注意点などを教員間で共有した。

総合政策学部

 総合政策学部では、FD活動とカリキュラムの検討を一体的に推進しており、共通の「FD・カリキュラム検討委員会」が担当している。2023年度は、計4回の委員会を開催した。主な論点は以下の通りである。
 (1)現行カリキュラムの課題に関する件
 (2)2024年度カリキュラム改編に関する件
 (3)時間割表のペーパーレス化に関する件
 (4)先修科目・先修条件の変更に関する件
 また、FD・カリキュラム検討委員会の下部機関にあたる初年次教育委員会において、入学前および初年次教育の充実に向けた検討を行った。さらに、国際・英語教育委員会では、学部独自の海外留学プログラム(渡航型・オンライン型)および学部独自留学プログラムの充実に向けた検討を行った。
 なお、こうした学部再編に合わせた議論と並行して、FD研修を計2回実施した。加えて、各教員の専門分野や研究内容等の紹介を目的として、新任教員の研究発表会を計2回開催し、情報交換を行った。

人間福祉学部

 2023年度の初年次教育となる基礎演習については、昨年度に引き続き、学科横断クラスとし、共通カリキュラム及び共通テキストで実施した。春学期終前には、授業担当者による振り返りの会を実施し、今後の改善に向けての検討を行った。「学部長メッセージ」、「文献の探し方講習会」(大学図書館主催)に加え、今年度より「レポート・論文における剽窃行為」や「教務関係や学生生活を送る上で必要な情報」に取り上げる旨の説明を行った。また、春学期終了後の振り返りでは、配慮学生の欠席の扱いや、レポート作成における学生の課題など挙げられ、対応について話し合った。
 卒業研究に関しては、2017年度より学部専任教員を対象に、自らの指導方法の改善を目的に、他の教員の研究演習Ⅱにて提出された卒業研究を自由に閲覧できる期間を設けており、2023年度は2023年12月下旬に実施した。
 FD研修会としては、11月には研究倫理教育・コンプライアンス教育として「責任ある研究活動の課題―盗用・剽窃をしないために―」と題した研修会を、2月には「障害者差別解消法の改正と大学での合理的配慮の提供について」をテーマに、学部FD委員会主催の研修会を開催した。このほか、次年度の学部・研究科提供科目のシラバスチェックの実施に向けて、1月下旬にFD委員会を開催し、シラバスチェックに関する確認事項や要点について検討した。

教育学部

 教育学部では2023年度春学期に生成系AIの学部教育への影響と対応について、また、秋学期には現在の基礎演習の将来的見直しに関わる内容をテーマとして、それぞれFD研修会をもった。春学期は2名の教員による生成系AIの具体的な特徴について実演を交えた研修を行った。教育学部は保育士養成、小学校教員養成、中学校・高等学校教員養成、さらに特別支援学校教員養成の免許課程を運営しており、多様な専門科目が用意されている。こうした様々な専門分野によって異なる影響を学部内で共有するとともに学生の専門性を高める上での大学教育におけるAI利用の可能性と課題について協議を行って内容理解を深めた。秋学期には1・2回生を対象とした現行の基礎演習の見直しのために設置された新基礎演習検討部会の答申をもとに、その概要説明と学部全教員によるグループ協議を行った。教員や保育士資格に必要な各種実習と海外留学などとの両立、さらに教員や保育職以外の進路を志望する学生に対する教育学部ならではの学修機会の充実を念頭に、入学時から卒業までの教育学部における連続性のある学びの質向上に資する基礎演習の在り方を議論した。

国際学部

 国際学部のFD活動は、①FD研修会(国際学研究科との合同を含む(以下、院合同))、②教員相互授業参観(院合同)、③学生インタビュー調査(院合同)の3つで構成されている。2023年FD研修会は第1回「王子キャンパスにおけるカリキュラム」(7月12日実施、院合同)、第2回「基礎演習共通化アンケート調査について」(9月13日実施、院合同)、第3回「ライフデザインについて(進路情報意見交換会)」(10月18日実施、院合同)をテーマとした。
 FD研修会第1回では、王子キャンパスにできる新学部への移転の可能性や、移転可能の選択肢を含めて、現在の国際学部がどのようなカリキュラム構成を望むべきなのかを議論した。第2回では、本年度から始められた基礎演習Aの共通した学習内容を1年生からの受講アンケートを基に議論した。特に「私のイチオシ本スピーチコンテンスト」には様々な意見が寄せられたが、共通化内容部分をアップデートして学生にもより分かりやすい教材を用意し、次年度も継続して行うことにした。第3回では、キャリアセンター担当者より2022年度(23年卒)の就職状況、2023年度の動向等の説明と、それを受けた情報交換が行われた。

理学部

 理学部FD委員会は、生命環境学部FD委員会ならびに工学部FD委員会と協力し、さらに理・工・生命環境の3学部合同カリキュラムWGや理工学研究科FD委員会とも連携して、学生に対する教育学習環境の改善、教員に対する教育能力のさらなる向上を目的として、種々の取り組みを行っている。
2023年度は(1)FD研修会ならびに(2)シラバスの質向上に向けた取り組みを実施した。FD研修会は、生命環境学部、工学部、理工学研究科と連携して2023年9月14日に北陸先端科学技術大学院大学保健管理センター佐々木恵准教授より、「理系学生指導とメンタルヘルスケア -ハラスメント防止対策を見据えて-」と題して、講演をいただいた。この中で、大学生のメンタルヘルスや適応と、教職員対応について、有益なお話を伺うことができた。また、シラバスの質向上に向けては、作成ガイドラインに基づいてシラバスの内容をチェックし、さらなる質の向上と、その保証に向けた表記について検討を行なった。

工学部

 工学部FD委員会は、理学部FD委員会ならびに生命環境学部FD委員会と協力し、さらに理・工・生命環境の3学部合同カリキュラムWGや理工学研究科FD委員会とも連携して、学生に対する教育学習環境の改善、教員に対する教育能力のさらなる向上を目的として、種々の取り組みを行っている。
2023年度は(1)FD研修会ならびに(2)シラバスの質向上に向けた取り組みを実施した。FD研修会は、理学部、生命環境学部、理工学研究科と連携して2023年9月14日に北陸先端科学技術大学院大学保健管理センター佐々木恵准教授より、「理系学生指導とメンタルヘルスケア -ハラスメント防止対策を見据えて-」と題して、講演をいただいた。この中で、大学生のメンタルヘルスや適応と、教職員対応について、有益なお話を伺うことができた。また、シラバスの質向上に向けては、作成ガイドラインに基づいてシラバスの内容をチェックし、さらなる質の向上と、その保証に向けた表記について検討を行なった。

生命環境学部

 生命環境学部FD委員会は、理学部FD委員会ならびに工学部FD委員会と協力し、さらに理・工・生命環境の3学部合同カリキュラムWGや理工学研究科FD委員会とも連携して、学生に対する教育学習環境の改善、教員に対する教育能力のさらなる向上を目的として、種々の取り組みを行っている。
 2023年度は(1)FD研修会ならびに(2)シラバスの質向上に向けた取り組みを実施した。FD研修会は、理学部、工学部、理工学研究科と連携して2023年9月14日に北陸先端科学技術大学院大学保健管理センター佐々木恵准教授より、「理系学生指導とメンタルヘルスケア -ハラスメント防止対策を見据えて-」と題して、講演をいただいた。この中で、大学生のメンタルヘルスや適応と、教職員対応について、有益なお話を伺うことができた。また、シラバスの質向上に向けては、作成ガイドラインに基づいてシラバスの内容をチェックし、さらなる質の向上と、その保証に向けた表記について検討を行なった。

建築学部

 建築学部では、FD活動とカリキュラムの検討を一体的に推進しており、学部教務委員会とFD委員会が中心となって担当している。昨年スタートしたFD活動の取り組みである入学時オリエンテーション時のグループワークを本年度も継続し、大学教育へのスムーズな導入と教育環境向上を目指した取り組みを実施するとともに、2024年度は計14回の学部教務委員会を開催した。主な論点は以下の通りである。
(1)プレゼミに関する件
(2)卒業演習、卒業研究に関する件
(3)アカデミックアドバイザーに関する件
(4)時間割表のペーパーレス化に関する件
(5)現行カリキュラムの課題に関する件
(6)2025年度以降のカリキュラム改編に関する件

 また今年度はFD研修会として以下のとおり2回実施した。
 第1回目は、7月12日に、研究倫理教育・コンプライアンス教育について資料に基づいて建築学部研究推進委員から報告があり、意見交換を行った。
 第2回目は、2月18日に、シラバスの作成に関する理解の促進とシラバスの教員間での相互評価・相互チェックの実施を行った。

言語教育研究センター

【英語】全学英語教育FD部会を開催し、「全学TOEICのスコアからみた関西学院大学学生の英語力の現状と英語教育」「プレースメント/アチーブメント比較」等について分析結果を共有した。
【スペイン語】2023年4月初旬にオンラインミーティングを行い、到達目標や成績評価などを確認した。また、前年度の授業実施に関する情報交換を行い、改善すべき点を検討した。2024年1月初旬には勉強会を対面で開催し、2023年度からスペイン語I、IIで使用を開始した新教科書1を用いた授業の実践報告や、執筆が完了し、スペイン語III、IVで使用を開始する新教科書2に関連したワークショップを行った。
【中国語】2023年4月に常勤講師を中心として、教材の使用と定期試験問題の作成について意見聴取と情報交換を行った。学期中も専任教員が非常勤講師へのサポートを積極的に行い、担当者全員への情報共有に努めた。また2024年1月末の定期試験終了後、2023年度の試験問題の形式と内容を再検討し、今後の授業における文法の要点などをまとめた。加えて、新年度の教材編集について、中国語ⅠとⅡの編集案を検討し、役割分担を行った。
【朝鮮語】2024年度に新任専任教員2名を迎え、教学体制を改めるにあたり、2024年1月中旬、常勤講師とともに2025年度以降導入予定の教科書について、基礎的な編集方針および進行について検討を行った。

教職教育研究センター

 本年度は3回のFD研修会を行った。第1回は7月11日(火)に「自己点検・評価を踏まえた教育改善に向けて」というテーマで、教職課程における自己点検・評価の報告書の作成にあたり、章ごとに担当を割り振り作成した素案を基に、自己点検・評価を行うにあたっての課題を懇談した。
 第2回は10月10日(火)に1回目と同様のテーマで開催し、教職課程における自己点検・評価の報告書案の内容について懇談した。
 第3回は12月15日(金)に非常勤講師や教務担当副学部長の参加も得て、国語科教育法ご担当秋田久子先生による「研究発表」およびセンター長による「本学教職課程の現状」の報告を行った。授業実践報告を交えた発表により、教育の場を通して本学の理念を実践できる「関学らしい教員」の育成や教科教育法のあり方等について理解を深めるとともに、本学教職課程の現状についてデータを基に共有し、今後の授業改善等に向けて意見交換をすることができた。
 なお、以上の研修会のほかにも、センター連絡会の機会を利用し、専任教員を対象に研究倫理教育・コンプライアンス教育およびシラバス改善、教育の質の向上に向けた取り組み等について懇談を行うとともに、自己点検・評価について継続的に検討を行い11月に報告書を公表した。

共通教育センター

 当センターは2010年4月の設置以来、FDに関する主たる取り組みとして、全学科目体系の整備、初年次教育科目「スタディスキルセミナー」の提供、ラーニング・アシスタント(L.A.)制度の運用を推進している。
 カリキュラム充実のための活動として、「AI活用人材育成プログラム」の運営および、ライティングセンター開講科目の運営が挙げられる。それぞれ専門の部会を設置し、定期的にカリキュラムの内容や開講形態について検討を実施している。AI活用人材育成プログラムでは、より体系立った履修を可能とするために、カリキュラムツリーの変更を決定し、ライティングセンターでは、より発展的な学習のために「スタディスキルセミナー(リポート執筆の応用演習)」の科目を新設することを決定した。
 また、シラバスの高度化・実質化に関する取り組みを継続し、高等教育推進センターと共同で作成した『授業シラバス執筆の手引き』を基に、センター提供全科目のシラバスについて、センター長、センター副長、情報科学科目コーディネータ教員、関係教員でチェックを行った。
 これらに加え、センター所属の教員に対し、7月12日・13日に、研究倫理の啓蒙(研究活動上の不正行為、研究費の不正使用の防止について)をテーマとした、コンプライアンス教育を実施した。

ハンズオン・ラーニングセンター

 当センターでは、①『ハンズオン・ラーニングセンター提供Certificate Program(HoLC-CP)』の推進、②シラバスの高度化・実質化の継続、③コンプライアンス研修の実施に取り組んだ。①ハンズオン・ラーニング・プログラム(HoLP)の拡充を目指し、昨年度、対象年次を拡大する改正を行い、広報活動を展開した結果、運用開始後初めて1名が修了した。事前エントリー制であり、現時点で70名以上がエントリーしている。今後は対象科目を履修した未エントリー学生をはじめ、学内各種イベント等での制度周知を通じた潜在層の学生へのアプローチにも注力する。②『シラバス作成の手引き』を基に、センター教員には、昨年からの変更点のまとめ及び作成時の留意事項を集約して周知した。また、シラバスの第三者チェックについては、実施要領を作成し、センターが提供する全科目に対して、センター長、副長が適切に実施した。③センター所属の教員に対し、7月11日に、研究倫理の啓蒙(研究活動上の不正行為、研究費の不正使用の防止について)をテーマとしたコンプライアンスに関する研修を実施した。

スポーツ科学・健康科学教育プログラム室

(1)関西五私大体育研修会の開催
 2023年9月11日(月)本学G号館において関西五私大体育研修会を当番校として開催した。スポ健から佐藤博信(スポ健室長)、溝畑潤(スポ健副室長)、河鰭一彦、甲斐知彦、林直也、相川聖の6名が参加した。その他、関西大学、同志社大学、立命館大学、龍谷大学より代表教職員が参加した。今回は日本赤十字社より講師を招き、授業時における心肺蘇生法の実践的講習をおこなった。同時に本学を含む各大学におけるAED設置に関する不備等が指摘され今後の授業の安全管理における重要な知見を得ることができた。
(2)スノーボード研究会への参加
 2024年1月16日(火)~19日(金)まで北海道ルスツで実施されたスノーボード研究会にスポ健から河鰭一彦、浦田達也の2名が参加した。スノーボード初心者、初級者、中級者、上級者各々に対する指導上必要な技術に関する実技研修を受けた。また、昨今問題になっている、ゲレンデ内外での事故に対する防止策、対応法に関しても専門家による講義、実技指導がおこなわれ、参加者全員による情報交換もおこなわれた。

人権教育研究室

 人権教育研究室は、人権教育における全学的なFDの推進のために、室長室会が主体となって人権関連の諸活動を実施している。2023年度においては、以下の活動を行った。第一に、新任教員等を対象とした人権研修プログラムを4月にオンデマンド配信にて行った。第二に、春季および秋季に公開プログラムとして人権問題講演会を企画し、春季には、5月にトランスジェンダーをめぐる問題点、6月にマジョリティ特権と差別をテーマに、秋季には、11月に『はだしのゲン』から考える「平和」、11月に福島原発事故のその後をテーマとした講演会を開催した。第三に、性の多様性への啓発として、第11回関学レインボーウィーク「『わたし』とは。『わたしたち』とは。」を5月15日~19日に開催し、映画『片袖の魚』の東海林毅監督による講演会や映画上映会、各種展示やパネルディスカッション、学生企画などを行った。第四に、様々な人権課題に関る課題についての学びの機会を提供した。すなわち、全学的な難民問題への取り組みの一環として、Meal for Refugees(M4R)活動を後援し、10月にUNHCR協会の後援を受けて難民映画フェスティバルをハイブリッドで開催した。さらに、7月に日本語教育センターとの共催による「ヒューマンライブラリー」を昨年に続いて実施した。最後に、人権教育研究室が提供する人権教育科目では、各学部からの教員が運営委員となり、科目代表者と共に授業運営を担うことで、多くの教員が本学の人権教育について理解を深めることができた。2024年3月には、人権教育科目担当者連絡会を開催し、担当者間で意見交換や情報共有を行い、次年度の人権教育に向けた改善点や今後の取り組みを確認した。

国際教育・日本語教育プログラム室(国際教育・協力センター、日本語教育センター)

 今年度のFD活動として、授業関連では、例年どおり学部留学生および交換学生の日本語科目を対象に、センター独自で作成した授業調査を実施し、回答結果を次年度以降の授業改善の資料として活用している。また、教員研修の場として、例年センター主催により関学日本語教育研究会を実施している。今年度は2023年8月2日に、交換学生の秋学期集中科目(プロジェクトワーク)の実践報告(報告者:掛橋智佳子非常勤講師、寺井悠人非常勤講師)があった。
 さらに、新たな教育プログラム推進の端緒として「コンヴィヴィアルな言語教育-インクルーシブ・コミュニティに向けた「ことばの教育」をめぐって」と題したコロキアムを2023年11月18日に開催した。当日は、青木理恵子氏(NPO法人CHARM事務局長)をお招きし、学内からは志甫啓教授(国際学部)、武田丈教授(人間福祉学部)、岩坂二規准教授(教育学部)、オストハイダ・テーヤ教授(法学部)、牲川波都季准教授(総合政策学部)に登壇していただき、今後の日本語教育センターの教育活動方針に資する有意義かつ活発な議論が交わされた。

キャリア教育プログラム室

 キャリア教育プログラム室では、専門分野の学びと社会を結び付けることを目的とし6つの正課科目を配している。
カリキュラムは、入門科目の「KGキャリア入門」を通して「キャリア」を知り、その後、企業と共創する「ライフデザインと仕事」を通して「社会」を知り、最後に、ゼミ形式の「キャリアゼミ」を通して「自分」を知るという履修モデルとなっている。また、上記モデルと並行して、国家公務員志望の学生を対象に、「霞が関セミナー」も開講している。
 なお、入門科目の「KGキャリア入門」は、2022年度から開講しており、2年間で計17,805名が履修し、2022年度入学生においては、入学後2年間で83%の学生が履修している。
 2023年度のFD活動については、2024年2月13日に実施されたキャリアセンター連絡会にて懇談する機会を持った。具体的には、全科目のシラバスにおいて、作成者とは異なる第三者(センター長、プログラム室長、プログラム副室長)にてチェックを行う機会を設けた。「授業目的」、「到達目標」、「成績評価」、「授業方法」を重点的に確認した結果、いずれも問題がないことが確認された。

大学宗教主事会

 今年度の大学宗教主事会では、特に次年度(2024年度)より大学の公式行事等において新たに使用される『聖書協会共同訳聖書』(日本聖書協会、2018年)について学ぶ機会をもった。まず、6月30日(金)の大学宗教主事会のFD研究会には浅野淳博氏(本学神学部教授)を講師として招き、今回の翻訳に関わった新約聖書の専門家の立場から、『聖書協会共同訳聖書』の翻訳事業の経緯、翻訳方針やその主な特徴等について話をお聞きし、質疑応答の時間をもった。続いて10月6日(金)のFD研究会には旧約聖書学者として今回の翻訳事業に携わった飯謙氏(神戸女学院大学理事長)を講師に招き、この新しい翻訳聖書の意義、改良された点や工夫された訳語等について講演していただき、その後、活発に意見を交換する時間をもった。来年度から大学各学部のチャペルアワーでもこの新しい翻訳が用いられるようになるが、今後もこの『聖書協会共同訳聖書』の特質や意義等について学んでいく機会をもち続けていきたい。