2021年度のFD活動報告

[ 編集者:高等教育推進センター       2022年6月13日   更新  ]

2021年度FD活動報告

関西学院大学では各研究科、各学部・教育研究機関等が独自に工夫を凝らしたFD活動に取り組んでいます。以下に各研究科、各学部・教育研究機関等の取り組みを報告します。

神学研究科

 神学研究科では、専任教員を対象に次のテーマに基づきFD研修会を実施した(いずれも神学部と合同実施)。
   第1回(2021年6月2日)「オンライン授業の実施について」(事例報告に基づく意見交換):2020年度に引き続き、特に講義科目においてコロナ禍でのオンライン授業の実施状況と具体的な工夫の試みが共有された。しかし研究科の特色でもあるキリスト教関連施設や福祉施設、病院(臨床)における実習科目については対面実施が前提であり、現地での感染防止策を遵守しつつ、一部オンラインも活用しながら如何に教育効果を高めるかについて議論の余地を残している。
   第2回(2021年10月13日)「『論文・リポートの書き方』の改訂について」:学生のリポート及び論文執筆の必携として毎年配付している小冊子『論文・リポートの書き方』の改訂に際し、執筆指導のあり方と手引書としての事例の記載について意見を交換した。特に博士課程前期課程においては、修士論文執筆への具体的な指導に寄与するものとして議論し、知見を深める機会となった。

文学研究科

 文学研究科では、コロナ禍という状況に鑑み、対面での大学院FD研修会は昨年度と同様に行なわず、オンラインで研究倫理・コンプラインアンス研修会を実施した。実施方法は委員会構成員が都合のよい日時に受講できるように昨年度のものを踏襲し、LUNAを用いてのテスト形式とした。LUNAコミュニティの「教材・課題・テスト」画面に資料として添付した「研究活動上の不正行為防止への取り組み・研究費の不正使用防止への取り組み」 パンフレットをあらかじめ熟読してもらい、確認テストに解答してもらった。テストは全10問で80点以上の獲得を目標に設定し、繰り返しの受験を可能とした。今年度は現状に直接関わるテーマとして10問中2問に「GO TOトラベル事業」関連問題を取り入れ、受験後のフィードバックでは正答確認だけでなく解説を読むことで、より理解を深められるように工夫を凝らした。期間内に委員会構成員全員が受講し、構成員が研究倫理・コンプライアンスに関する事項をおおむね理解していることを確認した。

社会学研究科

 社会学研究科では、春学期(6月25日~7月15日)、秋学期(12月10日~1月18日)にMicrosoft Formsによる授業に関するアンケートを実施し、在籍院生からの回答を得た(回答率春学期54.8%、秋学期45.0%)。カリキュラムへの評価は肯定的回答が86.9%(春)、94.5%(秋)と高く、オンライン授業に満足と答えた割合も73.9%(春)、88.9%(秋)と向上を見せた。オンライン授業についてはその利便性や教育効果を評価する回答とともに、授業内・外の対面によるコミュニケーションを求める意見も寄せられた。
   2020年度に行った履修動向データの整備、入試制度の改革などをもとに、今年度から研究科の理念・目的・3ポリシーに「社会学、社会心理学、文化人類学・民俗学」という専門分野を明記したが、2021年度にはこれを踏まえた各分野の科目の拡充、「修士論文作成合同演習」「博士論文作成合同演習」の新設などを含むカリキュラム改編の検討を進め、2022年度から実施する。また、2020年度に設置された「大学院生の多様性に配慮した教育実践に関するワーキンググループ」が作成したガイドラインを学期初めに共有し、学生のダイバーシティに対応した教育体制づくりを進めている。

法学研究科

 法学研究科では、アンケート結果に基づき、大学院生からの意見や要望を聞くための機会としてFD研究会を実施している。この研究会を通じて教員と大学院生の間で率直な意見交換を行い、大学院における教育、研究を支援し改善する方策を探る機会としている。今年度は、2021年7月28日(水)にZoomにより開催されたFD研究会において、参加教員により大学院生の代表者に対して応答がなされた。具体的には次のとおりである。
  まず、独自様式のアンケートを用いて「学生による授業評価」を実施した。ウェブにより行われたアンケートの回答率は、春学期が76.9%、秋学期は62.5%であった。アンケートの項目は、授業科目(講義科目、文献研究科目、海外渡航プログラム、インターンシップ科目)、カリキュラム構成、学習環境、TAの指導体制・内容、その他、に大別される。2021年度は、TA業務に関して、募集時に詳細な業務内容の告知を求める意見があり、また、定期試験監督配置の業務集約化に伴い、これまで独自に出来ていた教学補佐業務の調整が難しくなった、などの意見が寄せられた。

経済学研究科

 経済学研究科では世界的に活躍している研究者が数多く揃っており、少しだけ工夫すれば欧米のPh.D.プログラムにも引けを取らない大学院プログラムを提供することが可能だと考えている。しかし、国内大学によく見られる特有の事情や歴史的な経緯もあり、中々そのような水準に見合う制度を構築するのは難しいというのが現状である。それでも2022年度から始まる新カリキュラムでは、一歩でも世界標準の大学院プログラムに近づくことが出来るように改編した。旧カリキュラムでは、先端的研究の土台となるミクロ経済学・マクロ経済学・計量経済学を必ずしも履修しなくても前期課程を修了することが出来た。このような状況を改め、新カリキュラムでは、ミクロ経済学A/B・マクロ経済学A/B・計量経済学A/Bの合計6科目(12単位)を大学院基礎科目として定め、どの分野に進もうともこの中から最低2科目(4単位)分は必ず履修しなければならないと規定した。もちろんこれでも世界標準からはかけ離れているが、今回のカリキュラム改編で経済学研究科の教育水準が一歩でも国際的な水準に近づいたものになるはずであると考えている。

商学研究科

 商学研究科ではFD活動として、学部(商学部)と合同で以下の三回の研究会を開催した。
  第一回目は、2021年4月14日(水)にB号館202教室とZoomによるオンラインを利用したハイブリッドで開催された。関西学院大学商学部の学部長補佐(教務担当)である西本章宏教授(商学部)を講師としてお迎えし、「春学期のオンライン授業の品質向上~骨伝導イヤホンの使い方を中心に~」をテーマとして講演が行われた。昨年度から、新型コロナウィルス(COVID-19)の蔓延に伴う講義形態の変更によって、ハイブリッド講義の実施に欠かすことができない骨伝導機器の利用法など、有益な情報に関する提供が行われた。
  第二回目は、2021年11月10日(水)に、Zoomによるオンラインで開催された。商学部の阪智香教授、菅原智教授を講師として、「ビジネスプロジェクト(単位認定型・履修型)等の実施報告」をテーマとして講演が行われた。今後アクティブラーニング、PBLといった新たな教育形態を活性化するために事例の共有ができたことは有意義であった。
  第三回目は、2021年12月8日(水)に、Zoomによるオンラインで開催された。商学部の研究推進委員である須永 努教授を講師として、「個人研究費などにおける適正な支出とその留意点」をテーマとして講演がなされた。研究不正事例の紹介や特に注意すべき研究費支出の上での留意点について解説がなされた。
  いずれの研究会でも講師と参加教員との間で活発な意見交換があり、有意義な機会となった。

理工学研究科

 本研究科のFD委員会は、理学部、工学部、生命環境学部の3学部合同のカリキュラムワーキンググループや同3学部合同のFD委員会との連携の下に活動しており、教育環境や教員の教育能力の向上を目指す取り組みの一環として、FD活動の経験者や有識者を講師に招いたFD講演会を毎年開催している。講演会のテーマは、多彩な観点から本研究科・学部の教員に有益と思われるものを上記委員会で企画・選定し、開催時間帯を教授会の直前に設定することで多数の教員の参加を得ている。本年度は、9月16日に第1回目の講演会を開催し、NPO法人アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク(NAAH)の御輿久美子氏に「ハラスメントのないキャンパスづくり」と題するご講演を頂いた。キャンパスハラスメントの防止は、FDに関する取り組み以前に徹底されるべき基本的事項であることから、本講演会は学部研修会との併催の形で実施し、87名の参加を得た。また、3月2日には第2回目の講演会を開催し、KSC学部再編に伴う新たな教育プログラムの取り組みについて、工学部の藤原明比古教授にご紹介頂いた。

総合政策研究科

 総合政策研究科では、FD・カリキュラム検討委員会を計3回開催し、FD活動などに関する議論を行ってきた(研究科執行部会である学部長室委員会でも再度検討)。2021年度における研究科の主な活動は以下の通りである。
(1) FD研修会を計3回開催した(学部と共催)。本年度は、教育・研究におけるコンプライアンスに関する理解の促進、2021年度入学生アンケート調査分析結果の共有と懇談、
   シラバスの作成に関する理解の促進とシラバスの教員間での相互評価・相互チェックの実施などであった。
(2) 各教員の研究内容の紹介等を目的とした研究発表会を計6回実施した(学部と共催)。新任教員4名、留学・特別研究員等で研究活動を行った教員2名が、研究の内容を報告
   し、質疑を行うことができた。
(3) 「授業に関する学生アンケート」を実施し、結果について研究科委員会などで共有した。
(4) 研究科委員会で、研究科のディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーについて検討した。

言語コミュニケーション文化研究科

 言語コミュニケーション文化研究科では、FD活動の一環として、研究科執行部と大学院生代表によるFD研修会を年に1回開催している。本研究科のカリキュラム構成、授業内容、教授法、設備、施設等に関して学生の意見を聴取し、教員との間で議論を交わすことで、本研究科における教育・研究環境の改善に結びつけることがその目的である。
   2021年度のFD研修会は1月19日、オンラインにて実施した。執行部教員4名、院生6名の出席を得て、70分にわたり活発な議論が交わされた。院生からは、履修登録期間、博士後期課程学生の前期課程授業の履修登録、少人数クラスの履修登録等について意見が出された。また、院生と教員との交流の機会、言コミ学会が開催するフォーラムの発表者募集について有益な提案がなされた。
   コロナ禍にあって院生教員間の交流が減少していることは間違いなく、同じ研究科で教え学ぶ仲間であることを認識するためにも、研究科全体の修論中間発表会を設けるなど、可能な対応を検討することとした。これ以外の指摘も含め、院生たちからの要望は研究科委員会で共有した上で、院生の研究環境の向上のため継続して検討・対応することとした。

人間福祉研究科

 2021年度、人間福祉研究科では大学院FD委員会を、学部のFD委員会との同時開催で計2回、および合同でのFD研修を1回、それぞれ開催し、FD活動の充実に向けた検討と学習を行った。2021年度における主な活動は以下のとおりである。
(1) 大学院生による授業評価の実施
   春・秋学期ともに実施。回答数は半数程度であるが、授業評価は概ね良好であった。昨年度よりもコロナ禍の影響を訴える声が減り、オンライン授業のメリットを指摘する
   声が相対的に多くなった。
(2) 前期課程中間報告会、後期課程成果報告会の開催   
   前期課程中間報告会は2021年5月15日に、後期課程成果報告会は2022年2月17日にそれぞれ行った。いずれとも大学院生が研究の進捗状況を発表し、研究経過やその成果を
   教員や他の大学院生等と共有するとともに、質疑を通して今後の研究に資することを目的にしている。今年度は、昨年度と同じようにいずれともオンラインでの開催になった
   が、多くの教員や大学院生が参加したほか、報告者、指導教員による活発な質疑応答や議論が展開された。
(3) 研究業績の調査
   人間福祉研究科博士課程後期課程在籍の大学院生・研究員全員を対象に調査を実施し、研究業績を纏めるとともに、本研究科ホームページに業績を掲載した。
(4) 合同FD委員会の開催
   学部と大学院の合同 FD 委員会を2回行った。その内容は、シラバスチェック、今年度のFD研修の方向性を検討することであった。また、学部・大学院合同のFD研修として、
   研究倫理・コンプライアンスをテーマに、研究推進社会連携機構から講師を招き、このテーマに関する新しい動きや「安全保障輸出管理」についての学習を行った。
(5) シラバスチェックの実施
   昨年度に引き続き、次年度の開講科目のシラバスにつき、授業目的及び到達目標、さらに英文の授業目的と到達目標を重点的にチェックした。
(6) 博士学位論文の指導審査プロセスの検討
   昨年度より博士学位論文の指導審査プロセスの見直しに着手し、今年度もより効果的な指導と審査が可能になるように議論を重ねた。引き続き、この作業を継続していく予定
   である。

教育学研究科

 2021年度は大学院FD研究会を2回開催した。第1回は2021年9月10日(金)(オンライン開催)に、博士課程後期課程の必修科目であるコースワーク科目「教育学研究特殊講義」の見直しをテーマに研究会を行った。本科目は大学院指導教員が4つのテーマによるグループに分かれ、オムニバス形式で半期ずつの授業を担当している。FD研究会当日は、本科目の授業方針に関する検討会(2020年度開催)で出された2022年度以降の授業方針および検討すべき課題を確認した後、グループに分かれ、課題について意見交換を行った。各グループから出された意見を全体で共有し、それらをもとに2022年度以降の方針および課題への対応を整理することができた。
 第2回は2022年2月28日(月)(オンライン開催)に、「教育学研究特殊講義」の見直し②をテーマとして開催した。第1回の意見交換において院生のニーズを確認し、授業に反映させるべきであるという意見が出されたことを受け、大学院FD委員による大学院生を対象とした本科目に関するアンケート調査が実施された。FD研究会においてその結果が報告され、本科目の授業改善につながる有意義な機会となった。今後もさらに意見交換を行っていく予定である。

国際学研究科

 国際学研究科のFD活動としては、学部と合同での①FD研修会、②教員相互授業参観、③学生インタビュー、を行っている。昨年度と同様に、コロナ禍のため、各種会合や授業を対面で行う機会が大幅に制限された。そのため、今年度もFD活動は、Zoom等オンラインツールを最大限に活用しつつ行われた。
 今年度の大学院生を対象とした学生インタビューでは、精神面のサポートも含めた本研究科指導教員からの丁寧かつ熱心な指導への感謝と高い評価が示された。総じて留学生にとって大変過ごしやすい環境があるとの評価も得た。一方で、研究環境について、個人研究室の整備や文書の英語化といった要望があった。修士学位論文の中間報告会には昨年同様、指導教員以外も多く参加し活発な質疑が行われた。来年度も指摘を受けた点の改善に留意しつつ、引き続き適切な学習環境、授業を提供するよう尽力したい。
 少ない学生数であることから、研究科全体でのFD活動は行いにくいが、引き続き、教員間で、積極的に情報を共有しつつ、院生の論文指導は指導教員任せでなく、研究科全体で行っていくという研究科の姿勢を継承していきたい。

司法研究科

 司法研究科長を含む4名の教員からなる「自己評価・FD委員会」を原則2か月に1回開催。以下のFD活動を実施した。
(1) 授業評価:学生による授業評価アンケート及び授業担当者の自己評価アンケートを各学期終了間際に実施した。アンケート結果及び分析結果の報告書を作成し、全体概要を研
   究科HP上にて公開、科目ごとの詳細データを教職員・学生に公開した。なお、2021年度はコロナ禍の影響により、昨年同様すべてオンラインにて実施した。
(2) 授業参観:春学期はコロナ禍に伴い、特にオンライン授業実施における事例提供・情報共有を目的として参観を実施した。参観対象授業の録画データ・授業資料、及び当該授
   業履修者の中間アンケートの結果を事前に教員間で共有した。そのうえで、参観教員と授業担当教員との間で意見交換を行い、授業改善を図った。秋学期は対面で参観を実施
   した。参観後、参観教員と受講生との間で懇談を行った(授業担当教員は退出)。その後、参観教員と授業担当教員との間で意見交換を行い、授業方法等の改善を図った。
(3) 中間アンケート:授業第6~7週目時点で学生アンケートを実施した。これは授業評価とは違い、後半の授業運営に向けて即時的な改善を狙った取組である。なお、2021年度
   はコロナ禍の影響により、昨年同様すべてオンラインにて実施した。
(4) 学生との個別面談の実施:各学期成績発表後、学生が自己の学修状況の確認や悩みについて相談する機会として、担当教員と学生(原則全員)との個別面談を実施した。
(5) FD研修会:研究科の教育力向上を目的として、全教員を対象に年2回のFD研修会を実施した。春学期は授業参観とFD研修会を統合して実施することで、授業参観を通じた事
   前の分析・検討を踏まえたより活発な意見交換をはかり、さらなる授業改善に向けた議論を行った。秋学期は神戸大学と連携し、神戸大学大学院法学研究科教授田中洋氏によ
   る講演会を開催した。
(6) 法科大学院認証評価:2018年度に(公財)日弁連法務研究財団による認証評価を受審して以降3回目となる年次報告書を提出した。
(7) 『FDニュース』発行:1年間のFD活動に関する『FDニュース』を作成し、教員及び学生に配布した。

経営戦略研究科

 専門職大学院である本研究科は、設立当初より、研究者教員及び実務家教員に共通するFDのあり方を模索しつつ、所属教員の高い参画意識をもってFD活動を実施してきた。近年は年に3回のペースでFD研修会を実施している。
 2021年度は前年度末に実施した「オンライン講義に向けたFD研修会」の中で多く寄せられたメディア授業におけるコンテンツの在り方とグループワークをオンライン上で実現する上でのZoom機能の活用方法をテーマに、第1回FD研修会として「メディア授業におけるコンテンツとブレークアウトセッション(2021年4月7日)」を開催し、オンラインで実施する授業における教育効果の向上に構成員全体で取り組んだ。5月12日には、「オンラインで定期試験を実施する際の手順および留意点について~実践例を通して~」を開催し、オンライン上で定期試験(筆記試験)を実施する際にどのように公平性を担保するか等について実践例を通して意見交換を行った。11月10日にはコンプライアンス教育を目的として、一般財団法人公正研究推進協会理事で大阪大学全学教育推進機構教授の中村征樹氏を講師としてお招きし、「意図せぬ研究不正を防ぐために」をテーマに講演いただいた。専門家による体系的な報告内容で、「意図せぬ」というところが非常に勉強になった興味深い研修会となった。
 研究科として2022年度以降も引き続き活発なFD活動を行っていく所存である。

国連・外交統括センター

  国連・外交統括センターでは、2021年度に以下のFD活動を実施した。
(1) 大学院「国連・外交コース」内容改善のための学生ヒアリングおよびアンケート実施
   昨年度に引き続き8月に計3回、国連・外交コース学生に対する座談会形式でのヒアリングを実施した。授業やカリキュラムの内容、教員の指導、インターンシップ派遣、募集
   方法などについて、履修生の感想や意見をセンター職員との懇談を通じて聞き取り、結果をセンターで共有して改善策を協議した。学生アンケートも年2回(春学期7月、秋学
   期1月)実施し、集計結果は改善リポートにまとめ、次学期の授業シラバス作成時に反映している。
(2) シラバス検討ミーティングの実施
   大学院副専攻「国連・外交コース」および大学MS「国連・外交プログラム」の2022年度開講科目について、1月にシラバス検討コアミーティングを実施した。全授業代表教
   員が出席し、前学期の学生アンケートの回答やヒアリング結果も参考に、新規科目も含めた全科目の内容充実のアイデアや改善点を共有して、シラバスに反映した。

神学部

 神学部では、神学部教員を対象に次のFD研修会を開催した。(いずれも神学研究科と同様)
 第1回(2021年6月2日)テーマ「オンライン授業実施について」
 2020年度に引き続き、コロナ禍への対応であるオンライン授業の実施状況とその課題を共有した。ハイブリッド授業における板書の方法、オンライン受講生の授業への参加・貢献度を上げる方法など、具体的な工夫の試みが共有された。その一方で、実地学習をオンライン(同時双方向)で実施した授業では、現地の状況理解の低下や従来のグループ形成に大きな課題が残ったことが確認された。
 第2回(2021年10月13日)テーマ「論文・リポートの書き方の改訂について」
 新入生に毎年配付している小冊子「論文・リポートの書き方」の改訂作業の経過報告が行われ、学生たちによるリポートをめぐる課題の共有と改訂作業の内容について確認が行われた。近年、デジタル化が進むにつれ、他人の文章を容易に手に入れ使用できるため、従来の小冊子では不正の事例を強調されてきた。それに対して、まず、正しい引用と参照の方法をしっかりと身につけさせることが必要であり、そのような視点を改訂作業に反映させることが確認された。

文学部

 文学部では10月20日の教授会終了後、FD講習会を実施した。本学部哲学倫理学専修の景山洋平先生に「人文系の初年次演習の実施形態を中心に」と題してご講演いただいた。
現在文学部では、一年次春学期開講科目「人文演習Ⅰ」のクラス分けを、現行の全専修シャッフルのままとすべきか、専修別など異なる形態とすべきかという問題を抱えている。景山先生の  ご講演は、それに参考情報を提供すべく、東京大学での初年次ゼミナールの実践を報告して下さる内容であった。
 ご講演後の質疑応答においては、当該科目の今後のあり方について多様な意見が学部教員の間で交わされた。文学部としてはそれを踏まえ、「1・2年次の教育検討ワーキング・グループ」をカリキュラム委員会の下部組織として設置することを12月8日の教授会において決定した。「人文演習Ⅰ」だけでなく、現在一年次秋学期に開講している「人文演習Ⅱ」や、他の低学年科目のあり方を含め、総合的に検討を進める予定である。

社会学部

 社会学部ではカリキュラム検討委員会およびFD部会が中心となり、FD活動への取り組みをおこなっている。今年度は、月例のカリキュラム検討委員会に加えて、2回のFD研修会を開催し、学部の抱えている教務課題について教員間で情報共有すると共に、課題解決に向けた検討・研修をおこなった。
   7月14日の第一回FD研修会では、「研究活動上の不正行為防止への取り組み」に関して研修を実施し、知識を共有した。9月15日の第二回FD研修会では、「1.社会学部の現行カリキュラムの検証」「2.社会学部の中期的展望」の2点について情報共有と懇談を実施した。現行カリキュラムの検証に関しては、IR調査の結果や学生の履修・単位修得状況等の分析をおこない、①1年生科目(社会学入門、基礎演習の通年化)、②2年生秋からの研究演習の開始、③リサーチ・メソッド科目、④英語科目の4点について検証した。その後、社会学部の中期的展望について懇談をおこなった。

法学部

 当該年度におけるFD活動として、法学部は以下2回の研究会を開催した。
第1回目(2021年7月14日)には、コロナ禍でのオンライン授業の質の向上を目的に、法学部でのオンライン授業の取り組みについて情報共有を行った。非常勤講師も含めた法学部開講科目担当者を対象に実施したオンライン上のアンケート(①授業形式 ②成績評価方法 ③LAの活用方法 ④その他工夫事例・活用ツール の4項目についてヒアリング)をもとに、法学部の現状を分析し、また特に参考となる取り組みを行っている法学部の専任教員代表2名よりYouTube、Slackの活用や、演習における対面とオンラインの柔軟なハイブリッド対応など詳細な運用が紹介され、活発な質疑応答があった。
 続く第2回目のFD研究会(2021年11月10日)では、法学部授業の成績評価における不正行為に対する処分について種々懇談を行った。「定期試験」における不正行為の処分以外は法学部において明確に定められておらず、コロナ禍で平常評価が増加した今、科目担当者判断での対応とするのではなく、学部で一定の方針を定めたほうがよいという考えにもとづき、特に定期レポートの剽窃等の不正行為につき意見交換がなされた。懇談の内容をもとに協議を重ね、最終的に学部内規および学部独自の「試験・成績評価の確認事項」を改正するに至った。

経済学部

1.研修会の実施 
  次の2つの研修会を通じ、学部教育改革施策の計画・立案の参考とし、結果としてデータサイエンスを用いた新しい教育プログラムの策定に至った。
(1) 2021年6月9日に教授会前の時間を利用し経済学部教員を対象としたFD研修会(講師:総合企画部 小野部長、皿谷課長)を開催し、学部に求められる計画・立案上の諸条件
   を確認した。
(2) 2021年10月27日に教授会前の時間を利用し経済学部教員を対象としたFD研修会「PBL(Project-based Learning, Problem-based Learning)とデータサイエンス教育の
   状況(講師:高等教育推進センター 三井 規裕 専任講師)」を開催し、PBLとデータサイエンスにおける事例紹介を行った。

2.シラバスの点検 
  以下の要領で行った。
(1)点検する科目の対象は、全科目とする。
(2) 専門教育科目のうち専門導入科目・専門基礎科目は、専門教育委員会および基礎教育委員会が点検をする。
(3) 上記以外の専門教育科目は専門教育委員会、基礎教育委員会および学部長室委員会を除いた経済学部教員が点検をし、それら以外の科目については学部長室委員会が点検を
   する。
(4) 専門教育委員会、基礎教育委員会および学部長室委員会は学部FD委員会に点検の結果を報告し、整備が必要な科目については、学部FD委員会がシラバス入力担当者に整備を
   依頼する。
(5) 点検・整備においては、シラバス作成要領に従い、授業目的、到達目標、各回の授業内容、成績評価方法・基準(※)、準備学習等の記載漏れや記載分量が極端に少ない等の
   精粗をなくすよう取り組む。(※)学部・大学院の合併科目については、授業目的、到達目標、成績評価等が学部と大学院で明確に区別されているかについても点検をする。
   以上を学部全体で1月~2月に実施した。

3. 2022年度以降は、専門教育委員会を、カリキュラム・専門教育委員会とし、基礎教育委員会と合わせて、学部教務をより包括的に運営するための組織改編を行った。なお、学
  部教育改革施策に関しては、学部教育改革施策ワーキング・グループがプログラムの詳細について継続して検討を行っている。

商学部

 2021年度の商学部におけるFD活動としては、以下の3回のFD教授研究会を開催した。
   第1回目は、2021年4月14日(水)に、B号館204号教室および遠隔システム(Zoom)を使って開催し、45名が参加した。実施テーマは「春学期のオンライン授業の品質向上~次世代型骨伝導ヘッドセットの使い方を中心に~」、講師は学部長補佐(教務担当)の西本章宏商学部教授であった。メディア授業の分類、次世代型骨伝導ヘッドセットのデモンストレーション、商学部資料室におけるオンライン機材セットの貸出と運営などに関する講義をしていただいた。その後の質疑応答では、教員がオンライン授業で実際に抱える課題などについて意見交換がなされた。なお、第1回研究会の欠席者3名(学院留学者等除く)は、当日の資料を配布し、これをもとに各自が研修を行い、報告書を提出した。この研究会の内容は、商学部のオンライン授業を改善する上で役立った。また、2021年度における商学部資料室におけるオンライン機材セットの貸出実績についても確認している。
 第2回目は、2021年11月10日(水)に、遠隔システム(Zoom)を使って開催し、46名が参加した。実施テーマは「ビジネスプロジェクト(単位認定型・履修型)等の実施報告」、講師は阪智香商学部教授と菅原智商学部教授であった。既存のビジネスプロジェクトについての事前準備、授業設計、スケジュール、授業内容、ケースやインターンシップの紹介、成績評価、ビジネスプロジェクトの目的と効果、COIL(Collaborative Online International Learning)授業の紹介などに関する講義をしていただいた。その後の質疑応答では、ビジネスプロジェクトやCOIL授業の効果や課題などについて意見交換がなされた。なお、第2回研究会の欠席者3名(学院留学者等除く)は、当日の資料を配布し、これをもとに各自が研修を行い、報告書を提出した。この研究会の内容は、商学部で新規にビジネスプロジェクトやCOIL授業を準備する上で役立った。
 第3回目は、2021年12月8日(水)に、遠隔システム(Zoom)を使って開催し、46名が参加した。実施テーマは「個人研究費などにおける適正な支出とその留意点」、講師は研究推進委員の須永努商学部教授であった。研究活動上の不正行為防止への取り組み、研究費の不正使用防止への取り組みなどに関する講義をしていただいた。なお、第3回研究会の欠席者2名(学院留学者等除く)は、当日の資料を配布し、これをもとに各自が研修を行い、報告書を提出した。この研究会の内容は、商学部教員にとって研究活動や研究費の不正行為や研究者の責務を改めて確認する上で役立った。

総合政策学部

 総合政策学部は、以前よりFD・カリキュラム検討委員会のもとで、FD活動とカリキュラムの検討を一体的に推進しており、共通の「FD・カリキュラム検討委員会」が担当している。2021年度においては、学部再編後の現行カリキュラムの問題点を検討すべく、全9回の委員会が開催された。その主な論点は以下の5点である。
(1)「コンピュータ演習II」の授業内容変更に関する件
(2) 『2020年度以降のアカデミックアドバイザー対象学生の抽出基準について』への追記に関する件
(3) 教育職員免許法施行規則の一部改正に係る「免許法施行規則第66条の6に定める科目」に関する件
(4) 学部・研究科事務室窓口でのリポート受付廃止に関する件
(5) 2022年度以降の選択外国語飛び級履修に関する件
 また、このFD・カリキュラム検討委員会の下部機関にあたる初年次教育委員会において、基礎演習の見直しに向けた教員アンケートを実施し将来に向けた初年次教育再編の検討に着手した。さらに、国際・英語教育委員会でオンラインを含む海外留学について、今後の展開を年度内に検討する予定である。
 なお、こうした学部再編に合わせた議論と並行して、通常のFDも実施した。春学期においては例年通り、各教員の専門分野や研究内容、あるいはわかりやすい授業方法の紹介を目的として、新任教員及び海外留学から帰国した専任教員の研究発表会を実施し、情報交換を行った。

人間福祉学部

 2021年度は、初年次教育改善の取り組みとして、2020年度より開始した共通カリキュラム及び共通テキストによる学科横断クラスでの基礎演習について、春学期終了時に授業担当者による振り返りの会を実施し、今後の改善に向けての検討を行った。また、過年度に引き続き、基礎演習の全クラスで本学部独自に作成した「スタディガイド」を、研究演習Ⅱの全クラスで「卒業研究ガイド」を配布した。卒業研究に関しては、2017年度より学部専任教員を対象に、自らの指導方法の改善を目的に、他の教員の研究演習Ⅱにて提出された卒業研究を自由に閲覧できる期間を設けており、2021年度は2021年12月下旬に実施した。
 FD研修会としては、10月に「研究倫理教育・コンプライアンス教育」をテーマに、研究推進社会連携機構から講師を招いた学部FD委員会主催の研修会を開催した。また12月には、海外招聘教員を講師とする有志による勉強会を開催し、ソーシャルワーク実践教育に関する北米での最新の取り組みを学んだ。このほか、次年度の学部・研究科提供科目のシラバスチェックの実施に向けて、1月下旬にFD委員会を開催し、シラバスチェックに関する確認事項や要点について検討した。

教育学部

 今年度は、春学期・秋学期に各1回、計2回の学部FD研究会をオンライン(Zoom)で実施した。8月4日(水)に開催された第1回学部FD研究会では、オンライン授業が1年以上続く中での初年次教育や1・2年生の基礎演習について議論した。グループディスカッションを行った後、討論内容を全体で共有した。今年度の1年生と「昨年度の1年生」(現2年生)では授業での様子などに少なからず違いがみられ、現2年生へのケアの重要性などが共有された。2月28日(月)に開催された第2回学部FD研究会では「教育学部におけるICT教育の課題」をテーマとした。開催に先立って実施したアンケートの結果もふまえ、教育学部におけるICT教育の課題や今後の取り組みについて議論した。
 オンライン主体の教育活動が2年続く中で学生がどのような大学生活を過ごしてきたかに注視し、大学との関わりや学ぶ意欲を持てない学生に対しては積極的に関与していく必要がある。一方、教育や社会のICT化が急速に進みつつある今、教育学部としても理論と実践の両面からICT教育への貢献が求められている。今年度のFD研究会は、コロナ禍におけるオンライン化・ICT化の様々な側面について考える機会となった。

国際学部

 国際学部のFD活動は、①FD研修会(国際学研究科との合同を含む(以下、院合同))、②教員相互授業参観(院合同)、③学生インタビュー調査(院合同)の3つで構成されている。2021年度FD研修会は、第1回「国際学部のカリキュラム改変について」(7月7日実施・院合同)、第2回「グループディスカッションの運営方法について」(9月22日実施・院合同)、第3回「進路情報意見交換会」(10月13日実施・院合同)」、第4回「異なる環境下におけるグループワークの教育効果比較~対面(2019年度)、オンライン同時双方向(2020年度)、オンデマンド(2021年度)~」(3月14日実施予定・院合同)をテーマとした。
 第1回は、カリキュラム改変と関連して①コース制の再編、②基礎演習・研究演習の期間③基礎演習の共通化、について討議した。
 第2回FD研修会では、グループディスカッションの実施方法および評価方法について、学部内での経験を共有した。グループディスカッションを今後の学生指導や学生選抜において、有用なツールの一つとして活用していくことを確認した。
 第3回FD研修会では、キャリアセンター職員による2020年度卒業生の進路状況等の報告および最新の動向についての説明を受けて質疑応答がなされ、緊密な情報共有の重要性を確認した。また、コロナ禍の下での学生支援について討議された。

理学部

 理学部FD委員会は、工学部FD委員会ならびに生命環境学部FD委員会と協力し、さらに理系3学部カリキュラムWGや理工学研究科FD委員会とも連携して、学生に対する教育環境の向上と教員の教育能力の向上を目指し、重要と思われる様々な取り組みを推進している。2021年度は 1)FD講演会と 2)シラバス質向上に向けた取り組みを中心に実施した。FD講演会では、理系3学部で連携して御輿久美子氏 (NPO法人アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク)に「ハラスメントのないキャンパスづくり」と題して講演をいただき、キャンパスハラスメントに関する理解を深めた。さらに藤原明比古教授(工学部)に「KSC学部再編に伴う新たな教育プログラムの取り組みについて」と題して、神戸三田キャンパスでの学部横断的教育に関する講演をいただいた。シラバスの質向上に向けた取り組みについては、シラバス作成のガイドラインに従って、さらなる質の向上をはかるとともに、その保証に向けた表記方法について検討を行った。

工学部

 工学部FD委員会では、理学部FD委員会や生命環境学部FD委員会と合同して、さらに、理系3学部カリキュラムWGや理工学研究科FD委員会とも連携して、組織的に教育環境向上と教員の教育能力向上を目指した取り組みを推進している。
 2021年度は主に、1)FD講演会、2)シラバス質向上に向けた取り組みを実施した。FD講演会では、2021年9月16日に御輿久美子氏(NPO法人アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク)から、「ハラスメントのないキャンパスづくり」と題して、キャンパスハラスメントを中心とした講演をいただいた。外部有識者から大学内部では気づきにくい視点も踏まえて、多くの有益な話を伺うことができた。当日聴講できなかった教員のために講演を録画して閲覧できるようにし、問題意識の共有を図った。また、2022年3月2日に「KSC学部再編に伴う新たな教育プログラムの取り組みについて」と題して、藤原明比古教授(工学部)に神戸三田キャンパスにおける学部横断的な教育の取り組みについて講演をいただいた。シラバス向上に向けた取り組みでは、既に作成されているシラバス作成ガイドラインに従い、品質の向上と保証に向けた表記方法について検討した。

生命環境学部

 生命環境学部FD委員会は、理学部FD委員会ならびに工学部FD委員会と協力し、さらに理系3学部カリキュラムWGや理工学研究科FD委員会とも連携して、学生に対する教育環境の向上と教員の教育能力の向上を目指し、様々な取り組みを推進している。
 2021年度は1)FD講演会と2)シラバス質向上に向けた取り組みを中心に実施した。FD講演会では、理系3学部で連携して御輿久美子氏(NPO法人アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク)に「ハラスメントのないキャンパスづくり」と題して講演をいただき、キャンパスハラスメントに関する理解を深めた。さらに藤原明比古教授(工学部)に「KSC学部再編に伴う新たな教育プログラムの取り組みについて」と題して、神戸三田キャンパスでの学部横断的教育に関する講演をいただいた。シラバスの質向上に向けた取り組みについては、シラバス作成のガイドラインに従って、さらなる質の向上をはかるとともに、その保証に向けた表記方法について検討を行った。

建築学部

 今年度新設された建築学部では学部教務委員会およびFD委員会が中心となり、FD活動への取り組みを行なった。なお、2021年度は以下のとおり4回のFD研修会を開催した。
 第1回目は、7月21日に、「不正防止パンフレット」(表面「研究費の不正使用防止への取り組み」裏面「研究活動上の不正行為防止への取組み」に沿って、研究倫理・コンプライアンスに関する理解の促進を行った。
 第2回目は、8月11日に、2021年度春学期の授業運営等を各自で振り返った後、4つのグループにわかれ、授業運営全般や試験(評価)をテーマにディスカッションを行い、各グループからの発表後、懇談を行った。
 第3回目は、2月16日に、シラバスの作成に関する理解の促進とシラバスの教員間での相互評価・相互チェックの実施を行った。
 第4回目は、3月14日に、今後の学部教育におけるオンライン授業の活用のあり方について懇談を行った。
 建築学部教員の半数が新任であることから、新しい学部教育展開に対する共通認識が確認なされるなど有意義な研修会であった。

言語教育研究センター

 (英語)全学英語教育FD部会を計4回開催し、主に以下の件について懇談した:全学TOEIC(5月)の実施方法変更、全学TOEIC(12月)のオンライン実施について、2020年度TOEIC・TOEFLのスコア、2021年度GTECスコア、2020年度SGU外国語力基準達成者数、各学部の英語教育の取り組みや習熟度別クラス分けの現状とその成果。
 (仏語)新型コロナウィルス感染症の拡大をうけて、通例となっていたフランス語担当教員による研究交流会・意見交換会・教科書選定会議を対面で開催することを断念し、代わりにアンケート調査およびメール交換で意見交換を行った。本学での遠隔授業における問題点と、遠隔形態での新しい教授法に関して情報交換をし、また来年度に向けて対面での授業改善策・教授法について検討した。
 (ドイツ語)1月25日にZoomを利用して研究会を開催し、ドイツ語インテンシブ担当教員が、Web上のツールを利用したオンライン授業の実際について報告し、意見交換を行った。
 (スペイン語)1年間を通じて、スペイン語担当の全教員間で、オンライン授業、ハイブリッド授業および対面授業が組み合わさった文法と会話授業の円滑な運営について情報交換を続けた。2022年3月3日には外部の講師を迎えて、スペイン語コーパスの授業や教材への応用について勉強会を行った。
 (中国語)3月と9月にそれぞれ講師会を開催し、オンライン授業のあり方や授業上の工夫などについて意見や情報を交換した。特に9月の講師会では、専任講師と非常勤講師も含む教員8名がオンライン授業を実施する際の工夫や経験を具体的に紹介し、また質疑応答を通して改善すべき点についても検討した。普段でも専任教員が非常勤講師へのサポートを積極的に行い、担当者全員への情報共有に努めた。
 (朝鮮語)4月1日に担当者懇談会を開催し(希望者のみ参加)、オンライン授業の運営を中心に意見を交換した。また、メールでのやり取りを中心に、教科書や音声・動画教材、SNS等の有効な活用方法を検討し、オンライン授業、およびハイブリッド授業の実施について各種の意見交換を行った。

教職教育研究センター

 本年度は、2回のFD研修会を行った。第1回は、7月13日(火)に「自己点検・評価を踏まえた教育改善に向けて」というテーマに基づき、教職員間で情報交換をした。このようなテーマにしたのは、来年度から教職課程における自己点検・評価が義務化されることを受け、本学の自己点検・評価の在り方について前もって議論しておく必要があったからである。あわせて、教員に教育実習訪問校の報告もしてもらい、コロナ禍における教育実習の状況について教職員間で情報を共有した。第2回は、12月21日(火)に「本学教職課程の現状―履修者数、就職状況、更新講習他」というテーマで、教員免許等の資格取得者数・教職就職者数・教育実習生数・実習校数・介護等体験参加者数・免許状更新講習受講者数についての報告と意見交換を行った。なお、コロナ禍以前には非常勤講師等を招いたFD研修会も別に行っていたが、本年度も昨年度と同様、対面で会合を行うことは困難な状況にあったため、本研修会の資料等の送付に代えざるをえなかった。以上の研修会のほかにも、センター連絡会の機会を利用して研究倫理教育・コンプライアンス教育およびシラバス改善について情報共有と懇談を行った。

共通教育センター

 当センターは2010年4月の設置以来、FDに関する主たる取り組みとして、全学科目体系の整備、初年次教育科目「スタディスキルセミナー」の提供、ラーニング・アシスタント(L.A.)制度の運用を推進している。
 カリキュラム充実に向けた成果としては、2020年度のライティングセンター設置と同時に開講した、大学生向けの「スタディスキルセミナー(リポート執筆の基礎)」、大学院生向けの「論文執筆のためのアカデミックライティング」について、学生アンケートを通して出た意見と真摯に向き合い、授業改善を行った結果、昨年度に引き続き、履修者から高い満足度を得ることができている。「AI活用人材育成プログラム」では、「AI活用入門」、「AI活用アプリケーションデザイン入門」、「AI活用データサイエンス入門」の3科目を新たにバーチャルラーニングで開講した。これにより、教育の質を担保しつつ、クラス定員や教室等の物理的な制約を撤廃することが可能となり、特に「AI活用入門」においては、春学期2,071名、秋学期1,218名の学生が履修する等、大きな成果が挙がっている。
 また、シラバスの高度化・実質化に関する取り組みを継続し、高等教育推進センターと共同で作成した『授業シラバス執筆の手引き』を基に、センターが提供する全科目のシラバスについて、センター長、センター副長、情報科学科目コーディネータ教員、関係教員でチェックを行った。
 これらに加え、共通教育センター所属の教員に対し、7月13日・14日に、研究倫理の啓蒙(研究活動上の不正行為、研究費の不正使用の防止について)をテーマとした、コンプライアンスに関する研修を実施した。

ハンズオン・ラーニングセンター

 ハンズオン・ラーニングセンター(HoLC)では、⾼等教育のオペレーティングシステム(OS)の刷新を⽬指し、既存のカリキュラムや科⽬には還元できない教育プログラムや科⽬を整えてきた。HoLC開講科目は科目単体で完結することはなく、あくまでも「ひとまとまり」のプログラムであるが、学生にとって科目間のつながりや体系が分かりづらいため、複数の科目の履修に繋げていくことが出来ていなかった。それを改善するために、センター内で議論を重ね、20単位の修了要件をもって認定される「ハンズオン・ラーニングセンター提供Certificate Program(HoLC-CP)」を創設することとなった。HoLC-CPは、センターが提供するほぼすべての科目を履修することになり、学生は現場に触れ“続け”、考え“続け”られる仕立てになっている。学生はそのような関わりの中で自らの学びの“幅”と“深み”を出していき、我々が定義する「知的基礎体力」を培っていくことになる。HoLC-CPの対象科目は以下のとおりである。

スポーツ科学・健康科学教育プログラム室

 新型コロナウィルス感染拡大の影響により、2021年度春学期のスポーツ科学・健康科学科目(以下スポ健科目)はオンラインでの授業を余儀なくされたが、昨年度の経験を活かし円滑に授業運営がなされた。秋学期は対面での授業を行うことができ、特に演習形式の授業における実技の重要性を再認識できた。何より受講学生達の身体を動かすことへの欲求、生き生きとした態度には目を見張るものがあった。教員自身も対面で教えることの喜びを肌で感じ取ることができたようである。対面授業を行うにあたっては、コロナ対策として毎回の検温、体調のチェックを徹底し(健康チェック票の提出)、換気、手指消毒、用具の消毒、接触、発声、ロッカーでの対応等に十分配慮し、授業における感染、感染拡大を防ぐとともに日常生活におけるコロナ感染防止についても啓発活動をおこなった。オミクロン株の拡大により先行きは不透明であるが、基本的には対面での授業効果が大きいと考える。

人権教育研究室

 人権教育研究室は、人権教育における全学的なFDの推進のために、室長室会が主体となって人権関連の諸活動を実施している。2021年度においては、以下の活動を行った。第一に、毎年4月に行っている新任教員および在職教職員の希望者を対象とした人権研修プログラムについて、2021年4月に2週間のオンデマンド配信を行い、本学の人権についての基本的な考え方と実践例について紹介した。第二に、春季および秋季に開催されてきた人権問題講演会について企画し、5月21日に「関西学院インクルーシブ・コミュニティ実現のための基本方針と行動指針」の発表記念シンポジウムを対面とオンラインのハイブリッドで開催した。10月28日にミャンマー情勢、11月30日に災害復興をテーマとした講演会をオンラインで開催した。人権に関する様々な課題や取り組みについて理解を深める貴重な機会となった。第三に、性の多様性への啓発として、第9回関学レインボーウィーク「PRIDE」を5月17日~21日の間、 オンラインと対面のプログラムにより開催した。さらに全学的な難民問題への取り組みの一環として、学生有志のプロジェクトMeal for Refugees(M4R)活動を後援し、国連UNHCR協会の後援を受け、難民映画フェスティバルを主催し、映画「ナディアの誓い」のインターネット配信を行った。第四に、人権教育研究室が提供する人権教育科目については、各学部からの教員が運営委員となり、科目代表者と共に科目の運営を担うことにより、多くの教員が本学の人権教育について理解を深めることができた。2022年3月7日には、人権教育科目担当者連絡会をオンラインにより開催し、人権教育科目担当者間で意見交換や情報共有を行った。次年度の人権教育に向けた改善点を把握し、今後の取り組みにつなげていくことを確認した。

国際教育・協力センター

  2021年度、国際教育・日本語教育プログラム室では、コロナ禍における新たな国際教育・国際共修の可能性について FD活動を行ってきた。具体的には、以下の2点を実施した。
① 2021年10月に「COIL/VE型科目開発報告会」を主催し、全学からは50名以上の教職員の参加者を集めた。本プログラム室が開発したCOIL/VE型科目について報告し、その開発
 の手法などについて全学に共有した。
② 2021年12月にJAFSA(国際教育交流協議会)が主催した「ニューノーマルにおける新しい国際共修」研修に職員2名が参加し、他大学の先進的な事例やオンライン・ツールを活用
 した国際共修科目の設計について情報を得た。その成果を国際教育・日本語教育プログラム室連絡会(2022年2月8日)で共有し、教職員で種々議論した。
 次年度は、研修やFD活動の成果を生かし、本プログラム室が国際共修として新設した「多文化共修科目」5科目の運営に取り組む予定である。コロナの収束がまだ見通されない中で、オンラインでの質の高い国際共修科目を学生へ提供するために、今後も情報収集を行い、科目の開発・運営に努めていきたい。

日本語教育センター

 日本語教育センターは、正規外国人留学生、交換留学生、短期外国人留学生、正規日本人学生を対象とするプログラムを開講している。全学による授業評価と併せて、本センター独自の質問票による授業アンケートを行っているが、2016年度よりアンケートをマークシート化したことで、分析結果を学期末講師会議で共有し次年度の検討に生かしている。本センターの留学生を対象としたプログラムはすべてティームティーチングによって指導しているため、教員間の連絡や情報共有が欠かせない。そのため、クラスの状況や学生一人一人の勉学上の問題点、お互いの教授方法や進度などの情報共有を目的に、学期開始前と終了時に、非常勤講師を含む授業担当者全員による講師会議を開催し、また、専任教員、言語特別講師、常勤講師による講師室会議を毎月行っている。
 さらに、教育研究の研鑽の機会として、例年、夏と冬の2回、関学日本語教育研究会を開催している。
 今年度は8月6日(金)に第30回日本語教育研究会(センター教員による発表報告会)を実施し教員18名が参加、2月26日(土)に第31回日本語教育研究会(ヒューマンライブラリー~体験会と授業での実践報告~)を実施予定である。

大学宗教主事会

 今年度は、昨年度に引き続き、新型コロナウィルスの感染がなかなか収束しない状況の中、春学期の授業も開始早々に対面とオンライン併用で実施されることになったが、4月16日(金)の宗教主事会では、キリスト教関係科目の実施方法について懇談の時間をもち、各学部の実施状況について情報を共有すると共に意見を交換した。これと併せて、今年度より30分から(実質)20分に短縮された大学のチャペルアワーについて、各キャンパス、各学部それぞれの状況の違いをも踏まえつつ、対面・オンライン双方の観点から、どのような持ち方が効果的であるかについて協議する時間をもった。秋学期に入って対面で実施される授業も増加したが、9月24日(金)の大学宗教主事会においては、改めて「キリスト教学」及びチャペルアワーの在り方を検討すべく、各学部の実施状況について改めて情報を共有し、意見を交換した。次年度も先が見えない状況が続いていくことが予想されるが、より効果的な授業等の実施方法について引き続き検討を行っていきたい。