2019年度のFD活動報告

[ 編集者:高等教育推進センター       2020年4月3日   更新  ]

2019年度FD活動報告

関西学院大学では各研究科、各学部・教育研究機関等が独自に工夫を凝らしたFD活動に取り組んでいます。以下に各研究科、各学部・教育研究機関等の取り組みを報告します。

神学研究科

 神学研究科では、神学部教員を対象に次の研修会を開催した。(いずれも神学部と同様)
  第1回(2019年6月6日)テーマ「カリキュラム・ポリシーと科目の関連性と授業運営に関する事例紹介」
  カリキュラム・ポリシーと科目の関連性についてカリキュラムマップを用いて再確認。神学研究科の特徴でもある実習科目の内容、学部と同曜日時限に開講している科目の授業運営とその成績評価方法の工夫について事例が紹介され、学生自身の能動的学修を促す方法について活発な意見交換を行った。
  第2回(2019年11月6日)テーマ「学部課程における知識の定着と大学院教育の連続性」
  これまで課題となっていた神学の基礎学力・知識の定着化を目的とした「神学基礎テスト」(進級試験)の実施について意見交換を行った。基礎学力・知識の向上を図り、大学院教育への継続性についても意見交換があり、カリキュラム体系の改編を見据えた議論があった。伝道者養成および研究者養成について内部推薦制度の見直しなど、入学試験から大学院修了までのプロセスまでの課題を共有するなどした。
 

文学研究科

 文学研究科では、2019年10月16日(水)の研究科委員会終了後に、研究倫理とコンプライアンスをテーマとしたFD研修会を実施した。研究推進社会連携機構が作成した「研究活動上の不正行為防止への取り組み・研究費の不正使用防止への取り組み」のパンフレットを配布し、独自のスライドを用いて、近年に他大学で認定された研究上の不正行為の事例などを振り返りながら、具体的にどのような行為が不正であるかを再確認した。当日の参加者は56名であり、欠席者には上記のパンフレットとスライドを配布することで、研究科構成員全員にFD研修会の内容が行き渡るように努めた。
   上記に加えて、4年前より大学院生に提出を義務付けている「研究進捗状況報告書」を今年度も継続しており、その報告書を用いて指導教員が大学院生の研究状況を把握し、有効な指導へとつなげている。
 

社会学研究科

 社会学研究科では、主に以下の四つの活動を行った。
(1)科目履修者を対象とし、授業に関するアンケートを春学期と秋学期に各一回実施した。当該アンケートは授業、カリキュラム構成、学習環境の現状ならびに今後に向けた課題を明らかにすることを目的としたものである。アンケート結果を集計した後、院生会の代表者と研究科副委員長・研究科委員長補佐との間で年度内に計二回の会合を持ち、アンケート結果をめぐる話し合いならびに授業等に関する意見や要望について意見交換を行った。アンケートの結果および院生会との話し合いの内容については研究科委員会で情報共有を行った。履修状況およびアンケートの結果として、昨年度の重複履修可能な科目(とくに外国語文献講読科目)に対して、受講生が増え、好評であることが確認できた。
(2)年度末に「大学院生研究成果発表会」を開催することを通じて、博士課程後期課程に在籍する大学院生の学位取得に向けた研究進捗状況を研究科として把握する機会を設け、各大学院生がより多くの教員からコメントや意見を得られる機会を保障した。今年度はとくに、研究科教員によるミニ・シンポジウムを企画し、研究継続のモチベーションに関する意見交換を行った。
(3)研究科活性化の方法として、国際的な環境下で優秀な大学院進学者を確保するために、すでに母国語で研究能力が高いことを研究科教員が保証できる大学院進学希望者については、進学しやすい環境作りのための具体的な検討を開始した。
(4)研究科活性化の方法として、多様で優秀な大学院進学者を確保するために、研究科教員の多様な専門性を活かす方法について議論し、次年度に具体的に検討することとした。

法学研究科

 法学研究科では、2019年7月24日(水曜日)11時から12時の間にFD研究会を実施した。FD研究会においては、大学院生を対象に春学期に実施されたアンケート結果の確認と、9名の大学院生を招いての意見交換が行われた。
   FD研究会では、講義科目、文献研究科目、海外渡航プログラム、インターンシップ科目について大学院生から具体的な意見が寄せられた。講義科目について専門科目の授業増加の要望があり、文献研究科目については、科目の開講時間の重複について意見が出された。海外渡航プログラムに関しては費用の問題、インターンシップ科目では単位数との整合性について指摘がなされた。またカリキュラムに関しては、特定の科目の増設について意見が提示される一方で、基礎科目の充実を希望する声も聞かれた。学習環境に関しては、プリンターの不具合、法学部棟のトイレの衛生面の問題、外灯が不十分であることの危険性が指摘された。大学院生からの意見や要望に対しては教員から応答がなされ、今後も検討されることが述べられた。和やかな雰囲気の中で行われた率直な意見交換は、大学院における教育、研究についてさらなる改善を目指すうえでも有意義な機会であった。
 

経済学研究科

 経済学研究科では例年通り研究科独自様式のアンケートを用いて「学生による授業評価」を実施した。またFD委員会を開催し、アンケート結果についての情報の共有を図り、さらには今後の授業評価のあり方に関する意見交換を行った。回答が得られたすべての授業において5点満点中4点以上の評価を獲得しており、全体として授業内容に大きな問題点はなかったと判断できる。ただし、いずれの授業も少人数であり、各授業に対する回答者はほとんどの場合1名である。授業外で受講者に直接アンケートを配布するなどの対策は取っているものの、アンケートで得られた情報に関して、担当教員は回答者の特定が可能であるという問題があることも事実である。こうした事実を踏まえ、アンケートの回収率の向上のための具体的手段、アンケート以外の学生の声を拾い上げるための適切な手段のあり方、カリキュラムのあり方、受講生への興味の持たせ方などについて引き続き検討を行っていく。
 

商学研究科

 商学研究科ではFD活動として2019年度においては、学部(商学部)と合同で以下の二回の研究会を開催した。
   第一回目は、2019年4月24日(水)に、商学部第一会議室において開催された。株式会社リクルートマーケティングパートナーズ・まなび事業統括本部/教育機関広報統括部から、金谷勝浩氏、森田翔之介氏を講師としてお迎えし、「商学部に関する分析ご報告~今後の改革へ向けて~」をテーマとして講演がなされた。他大学におけるカリキュラム改革状況や入試状況、関学商学部の他大学と比較しての状況について、各種のデータを用いた解説がなされた。
   第二回目は、2019年10月9日(水)に、商学部第一会議室において開催された。研究推進社会連携機構事務部より講師をお迎えし、「個人研究費などにおける適正な支出とその留意点」をテーマとして講演・質疑応答がなされた。過去に発生した研究不正事例の紹介や特に注意すべき研究費支出の上での留意点について解説がなされた。
 いずれの研究会でも講師と参加教員との間で活発な意見交換があり、有意義な機会となった。
 

理工学研究科

 

   理工学研究科では2012年度より理工学研究科FD委員会を設置し、カリキュラムワーキンググループや理工学部FD委員会との連携の下に、教育環境向上と教員の教育能力向上を目指した取り組みを組織的に推進している。この一環として、本年度もFD講演会を実施した。これはFD活動の経験者や有識者を招いて講演会を開催するもので、毎年開催している。本年度は、2021年度大学入試改革を目前に控えていることから、高大接続センター長としてこれに直接関わっている本学部の北村泰彦教授に講演を依頼し、「2021年度入試改革への関学の取り組み」と題して、入試改革に対して関学はどのように取り組んでいるのか、それによりどういった学生が入学してくることが期待されているのか、といったことについて講演して頂いた。図らずも記述式問題の実施延期が議論されていた時期と講演日が重なり、非常に時宜を得たものとなった。本FD講演会には全教員の参加を強く求めているが、本年度は時間帯を教授会開催日の昼休みに設定すると共に、欠席した教員には講演の録画ビデオを視聴し、完了の際には連絡するよう求めることで、より高い参加率を達成した。


 

総合政策研究科

 総合政策研究科では、FD・入試制度・カリキュラム検討委員会を計3回開催し、FD活動などに関する議論を行ってきた(研究科執行部会である学部長室委員会でも再度検討)。2019年度における研究科の主な活動は以下の通りである。
(1)FD研修会を計3回開催した(学部と共催)。本年度は、2019年度入学者アンケート結果および2018年度入学者調査の共有と懇談、教育・研究におけるコンプライアンスに関する理解の促進、シラバスの作成に関する理解の促進とシラバスの教員間での相互評価・相互チェックの実施などであった。
(2)各教員の研究内容や授業方法の紹介等を目的とした研究発表会を計4回実施した。新任教員1名、留学・特別研究員等で研究活動を行った教員2名、海外客員教員1名が、研究・教育の内容や方法を報告し、質疑を行うことができた。
(3)「授業に関する学生アンケート」を実施し、結果について研究科委員会などで共有した。回収率の低さおよびその内容などを踏まえ、来年度に向けて内容・方法を検討した。
(4)研究科委員会で、研究科のディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーについて検討した。

言語コミュニケーション文化研究科

 言語コミュニケーション文化研究科では、FD活動の一環として、研究科執行部と大学院生代表によるFD研修会を年に1回開催している。本研究科のカリキュラム構成、授業内容、教授法、設備、施設等に関して学生の意見を聴取し、教員との間で議論を交わすことで、本研究科における教育・研究環境の改善に結びつけることがその目的である。
   2019年度のFD研修会は12月5日に実施され、執行部教員4名、院生5名の出席を得て、活発な議論が交わされた。院生からは、外国語学力認定、外国語による論文執筆のネイティブチェック(留学生が日本語で執筆するケースを含む)、授業等で発表する際の資料印刷、共同研究室の備品充実(研究会や発表準備などで使用するディスプレイモニタ)等、様々な点について指摘やコメントが出された。海外で英語を用いて発表したり、国内で留学生が日本語を用いて発表するケースは日常化している。にもかかわらず、本学のサポート体制は十分ではない。ライティング・センター等で英語・日本語の論文執筆サポートを行うなど、全学レベルでの対応を求めたい。
   院生たちからは多くの要望があった。研究科委員会で共有した上で、院生の研究環境の向上のために継続して検討・対応することとした。
 

人間福祉研究科

 2019年度、人間福祉研究科では、大学院諸問題検討委員会と大学院FD委員会を同時開催で計5回(そのうち持ち回りの委員会2回)、大学院・学部合同FD委員会を3回開催し、FD活動の充実に向けた検討を行った。2019年度における主な活動は以下のとおりである。
(1)大学院生による授業評価の実施
春・秋学期ともに実施。いずれも各授業について、回答数はそれほど多くはなかったが、授業評価は概ね良好であった。なお、大学院生の自由回答をみると、設備・備品関係に関する要望が多かった。
(2)前期課程中間報告会、後期課程成果報告会の開催
前期課程中間報告会は2019年5月18日に、後期課程成果報告会は2020年2月13日に行った。いずれの報告会とも、大学院生が研究の進捗状況を発表することにより、知見を教員や他の大学院生等と共有するとともに、質疑を通して今後の研究に資する報告会を開催した。
(3)研究業績の調査
人間福祉研究科博士課程後期課程在籍の大学院生・研究員全員を対象に調査を実施し、研究業績を纏めるとともに、本研究科ホームページに業績を掲載した。
(4)合同FD委員会
学部と大学院の合同FD委員会を3回行った。その内容は、研究倫理に関する研修、学部・研究科ミッションを確認するためのワークショップ、シラバスチェックの方向性を検討するための委員会の3回であった。
(5)シラバスチェックの実施
昨年度に引き続き、次年度の開講科目のシラバスにつき、授業目的及び到達目標、さらに英文の授業目的と到達目標を重点的にチェックした。
 

教育学研究科

 2019年度のFD研究会は2回開催した。第1回FD研究会は2019年6月26日(水)(17時00分から18日30分、1号館会議室1・2)、学部共催で行われた。テーマは、「授業」のあり方を考えるであった。内容としては、前半で4人ほどのグループに分かれ、各グループ内において、授業における学生の実態、教員が各授業で工夫していること、授業への思い等を共有した。後半では各グループの代表者がその内容について全体にプレゼンテーションを行い、参加者全員で共有する機会を得た。
   第2回FD研究会は2020年3月14日(土)(教育学研究科委員会終了後約60分間、1号館会議室1・2)に行われた。テーマは、大学院における研究指導についてであった。論文指導を中心に博士課程前期課程、博士課程後期課程の大学院生への研究指導(他大学の大学院での研究指導を含む)について、泉惠美子教授、栗山誠教授、渡邉伸樹教授による講演が行われ、講演終了後に全体で討論することができた。
   第1回、第2回ともに教育学研究科にとって、今後の教育を考えるうえで有意義な内容であった。
 

国際学研究科

 国際学研究科のFD活動としては、学部と合同での①FD研修会、②教員相互授業参観、③学生インタビュー、を行っている。院生は学生インタビューに全員参加のため言いにくい点もあったかもしれないが、率直な意見を聴取できた。少人数(しばしば1対1)の授業が多いので、教員のフレキシブルな対応に対する評価が高かった。またカリキュラム・履修に関しては、履修登録期間が短いこと、履修しなければいけない科目の領域が広すぎるためより専門性を深めたいという要求があったため、カリキュラムについての検討を行いたい。国連外交コースに関して、課題が多いこと、教員の体験談についてどのように活かすのか難しい、担当教員のサポートの水準にバラツキがあるといった指摘があった。昨年に引き続き、設備面(WiFiの接続の悪さ)への不満を聞き取ったので改善を図りたい。修士学位論文の中間報告会には昨年同様、指導教員以外も多く参加し活発な質疑が行われた。学生数が少ないため不開講科目が多く研究科全体でのFD活動は行いにくいが、その分、院生の論文指導は指導教員任せでなく、研究科全体で行っていくという姿勢は研究科の伝統としていきたい。
 

司法研究科

 司法研究科長を含む4名の教員からなる「自己評価・FD委員会」を原則毎月1回開催。以下のFD活動を実施した。
(1)授業評価:学生による授業評価アンケート及び授業担当者の自己評価アンケートを各学期終了間際に実施した。アンケート結果及び分析結果の報告書を作成し、全体概要を研究科HP上にて公開、科目ごとの詳細データを教職員・学生に公開した。
(2)授業参観:各学期中に複数授業を指定して参観を実施した。参観後、参観教員と受講生との間で懇談を行った(授業担当教員は退出)。その後、参観教員と授業担当教員との間で意見交換を行い、授業方法等の改善を図った。
(3)中間アンケート:授業第6週目時点で学生アンケートを実施した。これは授業評価とは違い、後半の授業運営に向けて即時的な改善を狙った取組である。
(4)学生との個別面談の実施:各学期成績発表後、学生が自己の学修状況の確認や悩みについて相談する機会として、担当教員と学生(原則全員)との個別面談を実施した。
(5)FD研修会:研究科の教育力向上を目的として、全教員を対象に年2回のFD研修会を実施した。各科目の担当教員が講師となり、各自の授業内容や指導方法、成績評価の仕方を紹介し、その後教員間で意見交換や情報共有を実施した。
(6)法科大学院認証評価:2018年度に(公財)日弁連法務研究財団による認証評価を受審して以降初めてとなる年次報告書を同財団に提出した。
(7)『FDニュース』発行:1年間のFD活動に関する『FDニュース』を作成し、教員及び学生に配布した。
 

経営戦略研究科

 専門職大学院である本研究科は、設立当初より、研究者教員及び実務家教員に共通するFDのあり方を模索しつつ、所属教員の高い参画意識をもってFD活動を実施してきた。近年では、多くの教員の多忙によってスケジュールの調整が困難を極めた2018年度等を例外に、年3回のFD研修会を維持、開催している。
   2019年度においても、第1回FD研修会(2019年9月25日)で、内部質保証委員会コンビーナによる授業評価アンケート分析結果の報告とその活用の提言およびFD委員の専門的意見を踏まえた所属教員による活溌な意見交換・討議を行ったほか、第2回FD研修会(2020年1月15日)では、「シラバスの厳格化」をテーマに副研究科長ならびに内部質保証委員会コンビーナによる記載要領の解説・指導を実施して、研究科としてのシラバスの向上を図った。2月12日には、第3回研修会として、前年に引き続き、研究推進社会連携機構推薦講師を招聘してのコンプライアンス研修を開催した。
   本研究科としては、2020年度からFD活動を一層活発化させる方針である。なお、研修会の開催頻度としては、年間5~6回を予定している。
 

国連・外交統括センター

  国連・外交統括センターでは、2019年度に以下のFD活動を実施した。
(1)大学院「国連・外交コース」内容改善のための学生ヒアリングおよびアンケート実施
12月に国連・外交コース学生に対する座談会形式でのヒアリングを昨年度に引き続き実施した。授業やカリキュラムの内容、教員の指導、インターンシップ派遣、募集方法などについて、履修生の感想や意見をセンター職員との懇談を通じて聞き取り、結果をセンターで共有して改善策を協議した。また、学生アンケートも年2回(春学期7月、秋学期2月)実施し、集計結果は改善リポートにまとめ、次学期の授業シラバス作成時に反映している。
(2)シラバス検討ミーティングの実施
大学院副専攻「国連・外交コース」および大学MS「国連・外交プログラム」の2019年度開講科目について、10月1日と1月28日にシラバス検討コアミーティングを実施した。全授業代表教員が出席し、前学期の学生アンケートの回答やヒアリング結果も参考に、新規科目も含めた全科目の内容充実のアイデアや改善点を共有して、シラバスに反映した。
 

神学部

 神学部では、神学部教員を対象に次の研修会を開催した。(いずれも神学研究科と同様)
第1回(2019年6月6日)テーマ「カリキュラム・ポリシーと科目の関連性と授業運営に関する事例紹介」
 カリキュラム・ポリシーと科目の関連性についてカリキュラムマップを用いて再確認。それらを踏まえつつ、複数の授業運営の事例を紹介し、学生自身の能動的学修を促す方法について活発な意見交換を行った。
 第2回(2019年11月6日)テーマ「学部課程における知識の定着と大学院教育の連続性」
 これまで課題となっていた神学の基礎学力・知識の定着化を目的とした「神学基礎テスト」(進級試験)の実施について意見交換を行った。単位修得後のフォローアップの役割を担うことで、基礎学力・知識の向上を図る。また学部教育と大学院教育の関連性についても意見があり、それぞれのカリキュラム体系の改編を見据えた議論があった。一方、留年者の急増、学生のモチベーション維持等、懸念点や現状の課題を共有するなどした。
 

文学部

 文学部では、2019年10月9日(水)16:30からFD研修会を行った。テーマは「LUNAの活用について」とし、事前に文学部所属教員全員を対象に配布・回収したアンケートをもとに、高等教育推進センターの協力を得て、主に時任隼平先生による講演と質疑応答という形式を取った。質疑応答の時間には、高等教育推進センターの職員数名にも協力を頂き、尋ねたいことのある文学部所属教員に一人ずつ付き添って解説・指導を行った。LUNAに関しては、システムの導入以降、徐々に利用者も増え、また各種の機能についても認知が広がりつつある一方、これまであまり使わない教員も多かったが、例えば授業で配布する資料をLUNAを使えば事前に簡単に配布できることなど、基本的な機能から活用することを勧めた。また、2021年度の大学スケジュールの変更を見据え、成績評価のあり方も多様化する傾向にあり、レポートの提出・採点・結果開示や小テストの実施などで、今後LUNAの活用範囲が拡大することも見込まれる。文学部FD研修会では、今後もLUNAの活動推進を行い、学部全体の教育能力改善を図っていきたい。
 

社会学部

 社会学部ではカリキュラム検討委員会およびFD部会が中心となり、FD活動への取り組みをおこなっている。今年度は、月例のカリキュラム検討委員会に加えて、2回のFD研修会を開催し、学部の抱えている教務課題について教員間で情報共有すると共に、課題解決に向けた検討・研修をおこなった。7月10日の第一回FD研修会では、パンフレット『研究費の不正使用防止、研究活動上の不正行為防止への取り組み』等を活用した研修を実施し、知識を共有した。12月11日の第二回FD研修会では、「ICT推進のためのQualtricsの活用方法について」と題して研修を実施し、web調査プラットフォームを利用して教育効果を高める技法を共有した。2月8日のカリキュラム検討委員会では、初年次教育・語学教育・方法論教育を所管するそれぞれの部会から年度の振り返り報告をおこない、課題を共有した。3月3日に計画していた学部懇談会では、履修データや入学時調査データ等を活用して2016年度にスタートした現行カリキュラムがその策定意図に沿って機能しているか検討する予定であったが、社会情勢を鑑みて中止となった。

法学部

 当該年度においては、法学部カリキュラムにおける「コース再編」に主眼をおいてFD活動を行った。ほとんどの法学部所属教員が参加するFD研究会において、まず第一回目(2019年7月10日)には、前年度にまとめられたカリキュラムの検証結果を踏まえつつ、現行コースの問題点および再編案に関する報告がなされ、それに対する質疑応答が行われた。とりわけ、「法学部生が卒業までに備えるべき能力・到達目標に応じたコースの再編」および「司法特修コースの拡充・再編」についての課題と方向性が中心テーマとなった。続く第二回目のFD研究会(2019年12月4日)では、コース再編後の新カリキュラムにおけるコース配置科目と履修モデルおよび2年次演習科目の位置づけと実質化について報告と質疑応答がなされた。いずれも参加教員から活発な質問がなされ、2021年度からのコース再編に向けた具体的な取り組み方法を確認することができたと考える。
 

経済学部

1.研修会の実施
(1)2019年7月10日に教授会前の時間を利用し経済学部教員を対象とした反転授業に関するFD研修会(講師:高等教育推進センター准教授 時任隼平氏)を開催した。
(2)2019年9月17日に専門基礎科目担当者会を学部FD委員会が開催し、1年生配当の必修、選択必修科目の担当者で、授業実施方法やその改善についてデータで共有した。
2.シラバスの点検
以下の要領で行った。
(1)点検する科目は専門教育科目(研究演習を除く)。
(2)専門教育科目のうち、基礎科目・入門科目(地域政策入門A・Bを除く)は、基礎教育委員会が点検。
(3)上記以外の専門教育科目のうち各授業担当教員グループに配置されている科目は、グループごとで点検。それら以外の科目については学部長室委員会メンバーが担当。
(4)基礎教育委員会と各授業担当教員グループ、副学部長(教務担当)は学部FD委員会に点検の結果を報告し、整備が必要な科目については、学部FD委員会がシラバス入力担当者に検討を依頼。
(5)点検・整備においては、シラバス作成要領に従う。
以上を実施するための体制の検討を、学部全体で1月~2月に実施した。
3.2020年1月15日に基礎教育改革検討委員会と専門教育改革検討委員会が2021年度以降の新カリキュラムに関する最終答申を教授会に提出し、概要が承認された。新カリキュラムの詳細については、今後、経済学部内の所管委員会にて継続して議論することにしている。
 

商学部

 2019年度の商学部におけるFD活動としては、以下の二回の研究会を開催した。
 第一回目は、2019年4月24日(水)に、商学部第一会議室において開催された。株式会社リクルートマーケティングパートナーズ・まなび事業統括本部/教育機関広報統括部から、金谷勝浩氏、森田翔之介氏を講師としてお迎えして、「商学部に関する分析ご報告~今後の改革へ向けて~」をテーマとして講演がなされた。他大学におけるカリキュラム改革状況や入試状況、関学商学部の他大学と比較しての状況について、各種のデータを用いた解説、および教員との意見交換がなされた。今後の商学部におけるカリキュラムのあり方を考えるうえで参考になった。
 第二回目は、2019年10月9日(水)に、商学部第一会議室において開催された。研究推進社会連携機構事務部より講師をお迎えして、「個人研究費などにおける適正な支出とその留意点」をテーマとして講演・質疑応答がなされた。過去に発生した研究不正事例の紹介や特に注意すべき研究費支出の上での留意点について解説、および教員との意見交換がなされた。
 

理工学部

 理工学部FD委員会では、カリキュラムワーキンググループや理工学研究科FD委員会と連携し、組織的に教育環境向上と教員の教育能力向上を目指した取り組みを推進している。2019年度は、主に、1)FD講演会、2)シラバス質向上に向けた取り組み、を実施した。FD講演会では、2019年11月20日に北村泰彦教授(高大接続センター長)から、「2021年度入試改革への関学の取り組み」と題して、入試改革に対して関学はどのように取り組んでいるのかを説明いただき、入試改革に伴う学生の変容について議論した。71名の聴講者があり、講演後には質疑応答が活発になされた。また、当日聴講できなかった教員のために、講演を録画し、関学の教員用のサイトで閲覧できるようにした。現時点で20名が視聴している。シラバス向上に向けた取り組みでは、既に作成されているシラバス作成ガイドラインに従い、品質の向上と保証にむけた表記方法について検討した。本年度は特に、シラバス中の授業計画、授業目的、到達目標の記載を重点課題として検討を行った。
 

総合政策学部

 総合政策学部は、以前よりFD・カリキュラム検討委員会のもとで、FD活動とカリキュラムの検討を一体的に推進しており、共通の「FD・カリキュラム検討委員会」が担当している。2019年度においては、2019年3月に理事会にて決定された2021年度の学部再編に向け、現行カリキュラムの問題点を検討すべく、全13回の委員会が開催された。その主な論点は以下の6点である。
(1)研究演習の在り方について
(2)都市政策学科の在り方について
(3)データサイエンス教育について
(4)アカデミックアドバイザー制度について
(5)履修単位数制限緩和制度について
(6)KSC学部横断プログラムについて
 なお、こうした学部再編に合わせた議論と並行して、通常のFDも実施した。春学期においては例年通り、各教員の専門分野や研究内容、あるいはわかりやすい授業方法の紹介を目的として、新任教員及び海外留学から帰国した専任教員の研究発表会を実施し、情報交換を行った。また、学部長室委員会にてDP、CP、APの内容見直しの検討と内部質保証のあり方の検討を行い、今年度は「学部再編に向け、建築士関連の文言を今後は削除すべき」との指摘があった。
 

人間福祉学部

 2019年度は、4年前から継続している初年次教育改善の取り組みとして、基礎演習の全クラスで本学部独自に作成した「スタディガイド」を、研究演習Ⅱの全クラスで「卒業研究ガイド」を配布した。また、2017年度より学部専任教員が自由に他の教員の研究演習Ⅱに所属している学生の卒業研究を閲覧できる閲覧期間を設けており、2019年度も2020年1月上旬に実施し、今後の卒業研究に対する自らの教育方法の改善にいかすように努めた。
 FD研修会としては、11月13日に「研究費の不正使用防止、研究活動上の不正行為防止に関する取り組み」をテーマとして開催した。また、9月18日に学部FD委員会主催の学部ワークショップを開催し、2020年度からの新カリキュラムで実施する「基礎演習」の概要を説明し内容案を検討し、その後2月28日に基礎演習の共通カリキュラムの具体的な内容をテーマにした研修会を開催した。このほか、2月に学部・研究科提供科目のシラバスチェックを実施するために、1月15日には人間福祉学部FD委員会を開催し、シラバスチェックに関する確認内容及び要点について話し合った。
 

教育学部

 今年度は、春学期1回、秋学期1回の合計2回の学部FD研究会を計画した。第1回学部FD研究会では大学院との合同開催とし、「授業のあり方」をテーマにした(6月26日(水)17:00~18:30、西宮聖和キャンパス1号館会議室1・2)。研究会では、1.授業における学生の実態、2.教員が各授業で工夫していること、3.授業への思い、の3点を共有し、これからの授業のあり方について確認した。100名以上の学生を対象とする授業の難しさや、話し合いやディスカッションといった教員が願う授業展開と教室の形状の不具合等について話し合われた。第2回学部FD研究会では、「卒業論文のあり方」をテーマにした(2月27日(水)16:00~17:30、同会議室)。卒業論文の作成をめぐって、各教員が現時点で抱えている課題や思い、教育学部として目指すべき卒論指導のあり方等を議論した。
 現時点では、授業や卒業論文をめぐる各教員の思いを共有した段階である。今後も継続して検討していくことで、教育学部の教育のあり方をより具体化する必要がある。
 

国際学部

 国際学部のFD活動は、①FD研修会(国際学研究科との合同を含む(以下、院合同))、②教員相互授業参観(院合同)、③学生インタビュー調査(院合同)の3つで構成されている。2019年度FD研修会は、第1回「演習型授業における評価のあり方 -国際学部の基礎演習を事例として-」(5月22日実施・院合同)、第2回「進路に関するキャリアセンターからの情報提供」(6月19日実施・院合同)、第3回「高等教育推進センターFD講演会『3つのポリシーに基づく教学マネジメントとは何か?~学部レベルでの質保証の実践~』」(12月11日実施・院合同)」をテーマとした。
 第1回は、高等教育推進センターに講師を依頼し、GPAの評価細分化に伴い、質的評価が必要な科目における成績評価の厳密化について、ルーブリックなどを応用した評価方法についての取り組み方についての知識を深める機会を持った。第2回FD研修会では、キャリアセンター職員による2018年度卒業生の進路状況等の報告および最新の動向についての説明を受けて質疑応答がなされ、緊密な情報共有の重要性を確認した。第3回は、高等教育推進センターFD講演会への参加を呼びかけ、関西学院大学全体の教学マネジメント構造の理解と、九州大学における3つのポリシーに基づく教学マネジメントの実践事例についての理解を深める機会を持った。
 

言語教育研究センター

 (英語)全学英語教育FD部会を計2回開催した。入門英語の成果検証に関してアンケート調査を実施し、全学TOEICの受験率向上の施策について懇談した。(仏語)フランス語担当教員によるFD部会を開催し、前年度よりインテンシブクラスに導入した教科書ならびに教授法について、また、フランス語教育法の最新動向について意見交換を行った。(中国語)共通教科書や定期試験内容について意見交換を行い、改善すべき点を検討した。(スペイン語)12月15日にスペイン語教授法研究会を開き、17名が参加して、動詞活用の学習向けに開発されたデジタルツールの使い方を学んだ。また年度を通じて全教員の補足教材を互いに閲覧して意見・情報交換を行った。(朝鮮語)①授業運営全般(教科書、担当者のコマ割り、出欠処理など)についての改善策について考えた。②Mobile educationについての基礎的学習を行った。センター全体としては、成果検証、授業運営方法の改善、教授法・教材開発に取り組み、一定の成果を得た。
 

教職教育研究センター

 本年度は3回のFD研修会を行った。第1回は7月2日に「本年度の教育実習の課題と今後の改善と充実」というテーマで、教育実習の現状の課題について意見交換と情報共有を行った。特に話題となったのは教育実習中のトラブルへの対応であり、学部との密な連携の重要性を確認した。第2回は11月16日に「教職実践演習の改善と充実」というテーマで、2013年度から導入されている「教職実践演習」の実施上の課題について意見交換を行った。同科目は多様な授業内容を複数の授業形態を組み合わせて実施するが、特に今年度は履修者全員が集まる全体講義が台風で休講となったこともあり、授業の開講形態や急なトラブルへの対処が話題となった。第3回は12月13日に「『教育原論』の実践報告及び本学の教職課程の現状」というテーマで行った。これは非常勤講師や教務担当副学部長の参加も得て行った。教育原論の授業の実践報告を受け、教職基礎科目のあり方について理解を深めることができた。なお、以上の研修会のほかにも、センター連絡会の機会を利用し、専任教員を対象に、研究倫理教育・コンプライアンス教育およびシラバス改善について情報共有と懇談を行った。
 

共通教育センター

 当センターは2010年4月の設置以来、FDに関する主たる取り組みとして、全学科目体系の整備、初年次教育科目「スタディスキルセミナー」の提供、ラーニング・アシスタント(L.A.)制度の運用を推進してきている。
 2019年度は、今後の社会でますます必要とされるAI活用人材(AIやデータサイエンス関連の知識を持ち、それらを活用して現実の諸問題を解決できる能力を有する人材)の育成を目的としたAI活用人材育成プログラムを新規開講した。開講初年度であったため、授業中の受講生の反応をみながら必要に応じて適宜内容を見直す等、教職協働で授業改善に取り組んだ。
 また昨年度に続き、シラバスの高度化・実質化に関する取り組みを継続し、高等教育推進センターと共同で作成した『授業シラバス執筆の手引き』を基に、センターが提供する全科目のシラバスについて、センター長、センター副長、情報科学科目コーディネータ教員、関係教員でチェックを行った。
 

ハンズオン・ラーニングセンター

 ハンズオン・ラーニングセンター(HoLC)はSGU構想の中核をなすダブルチャレンジの履修を促進するため、「ハンズオン・ラーニング・プログラム(HoLP)」の更なる開発・充実に取り組んできた。現状に満足せず、プログラム終了後には毎回振り返りを実施して、教職員間で課題を共有しながら、円滑な授業運営と更なるカリキュラム充実に向け検討を進めてきた。また、各プログラムの関係性や位置づけを考えていく上で「ハンズオン」という言葉が持つ意味や定義に関する議論を行ってきた。
 その一環として、2019年度に開設3年目を迎え、過去2年間の活動を振り返り、HoLPの今後を展望する機会とするため、HoLC主催のシンポジウムを5月11日(土)に開催し、高校、大学教育関係者やHoLPに興味を持つ地域、行政、企業から約200名の来場があった。シンポジウムの第一部では、コーネル大学ジョンソン経営大学院マネージングディレクターの唐川氏をゲストに招聘し、HoLC木本教授とのトークセッションを通して、海外の事例を踏まえながら「ハンズオン・ラーニングとは何か」を改めて考える機会となった。また、第二部では、担当教員による事例紹介を実施した後、参加者同士の意見交換や質疑応答を実施した。
 キャリアゼミBでは、これまでの議論を踏まえて2019年度より内容をリニューアルし、学生と卒業生が混成チームを組み、企業から出された課題に挑むスタイルに変更したことで、社会人が学生に一方的に何かを教えるのではなく、学生も卒業生も課題提供企業が互いに「学び合う」関係となり、キャンパスを出て社会に「触れる」ことで学ぶハンズオン・ラーニングを体現したキャリア教育プログラムとなった。
 また、社会探究実習(瀬戸内海・豊島環境FW)では、これまでフィールドワークを通して学んだことを、現地での報告会という形で実習の最終日に住民の方々に発表してきたが、2019年度より現地住民の方々との意見交換会を実施し、住民の方々と議論をすることにより、学生の更なる学びに繋げるとともに現地住民の方々にとっても意味のあ
る授業へと改善した。
 その他、2019年度はセンター開講科目40科目・93クラス、計2,707名の履修者を確保しSGU構想の中核をなすダブルチャレンジの履修を促進してきた。2020年度はダブルチャレンジの履修者をさらに拡充するため「ハンズオン・プラクティス」「PBL特別演習008【福島で学ぶ復興と原発問題】」「PBL特別演習009【三木市・旧市街地FW】」の3科目を新たに開講し、カリキュラムの充実を図る。
 以上のように、当センターでは今後の「ハンズオン」科目の在り方や、既存カリキュラムの在り方を常に確認・検討しながら、カリキュラムの充実を図ることを通じて、今後も教育の質の向上及びダブルチャレンンジの推進に寄与していきたいと考えている。
 

スポーツ科学・健康科学教育プログラム室

(1)関西五私大体育研修会への参加
2019年10月28日(月)龍谷大学 深草キャンパスで開催された関西五私大体育研修会に佐藤博信准教授(スポ健室長)溝畑潤教授(スポ健副室長)、神谷信孝(教務機構事務部スポ健担当)の3名が参加した。本研修会は関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学、龍谷大学の五私大で構成された研修会であり、年に一度互いの保健体育教育に関する情報を共有し合うことで、よりよい教育・研究を目指すことを目的に開催されている。
(2)スノーボード研究会への参加
2020年1月21日(火)~24日(金)まで北海道ルスツで実施されたスノーボード研究会に、河鰭一彦教授、佐藤博信准教授の2名が参加した。スノーボード初心者、初級者、中級者、上級者各々に対する指導上必要な技術に関する実技研修を受けた。また、昨今問題になっている、ゲレンデ内外での事故に対する防止策、対応法に関しても専門家による講義、実技指導がおこなわれ、参加者全員による情報交換もおこなわれた。
 

人権教育研究室

 人権教育研究室は、人権教育における全学的なFDの推進のために、室長室会が主体となって人権関連の諸活動を実施している。教職員研修プログラムの提供、公開研究会・シンポジウムの開催、啓発キャンペーンの実施など、教職員が自主的、多角的に参画できる人権理解の場の創出に努め、また各学部の教員が人権教育科目の授業の運営に当たることにより、人権教育についての理解を深める取り組みを行っている。今年度の主な活動は以下のとおりである。
 第一に、4月に新任教員および在職教職員の希望者を対象に、人権研修プログラムを実施し、本学の人権についての基本的な考え方と実践例についての講演の後、大阪人権博物館を見学した。第二に、春季に1回、秋季に2回の人権問題講演会を上ヶ原、三田、聖和の各キャンパスで開催した。講演会のテーマは、フルインクルージョン、原発事故避難者、障碍と社会システムについてであり、様々な人権に関して学びまた理解を深める機会となった。さらに性の多様性への啓発として、第7回レインボーウィーク「「私らしさ・あなたらしさ」を大切にできるキャンパスをつくりたい!!」を開催し、教職員も学生も共に問題を検討し学ぶ機会を提供した。また全学的な難民問題への取り組みの一環として、学生有志のプロジェクトMeal for Refugees(M4R)活動を後援し、さらにUNHCR難民映画フェスティバルを主催し、映画「イージー・レッスン-児童婚を逃れて」を上映した。第三に、人権教育研究室が提供する人権教育科目については、各学部からの教員が運営委員となり、科目代表者と共に科目の運営を担うことにより、多くの教員が本学の人権教育について理解を深めることができた。
 2019年度の活動をさらに精査し、今後の本学における多様性尊重の人権文化の醸成とそれに基づく人権教育を促すFDの取り組みへとつなげていきたい。
 

国際教育・協力センター

 国際教育・協力センターでは、2014年度に本学への交換学生を主な対象として開講する日本・東アジア研究プログラムの再編に関する検討ワーキンググループを設置した。そして、授業調査および実際に協定校から来学している交換留学生を対象にアンケートを実施することで、それぞれの学生の留学目的に合った科目を体系的に提供できる科目群の再構築に取り組んできた。その後、2015年度にプログラム名を「現代日本プログラム」と改め、英語のみでプログラムを修了できるコースを拡充。開設4年目となる2018年度は、2017年度に実施したアンケート結果に基づき、英語で開講する専門科目の拡充を図るべく、各学部に働きかけ、英語で専門科目が提供される体制を整えた。2019年度は、世界中の協定校や交換留学生のニーズをさらに把握・分析した上で、求められる科目の拡充および授業内容に踏み込んで各教員へアドバイスする等、教員の相互指摘を通じた授業の質の向上も実施した。
 

日本語教育センター

 日本語教育センターは、正規外国人留学生、交換留学生、短期外国人留学生、正規日本人学生を対象とするプログラムを開講している。全学による授業評価と併せて、本センター独自の質問票による授業アンケートを行っているが、2016年度よりアンケートをマークシート化したことで、分析結果を学期末講師会議で共有し次年度の検討に生かしている。本センターの留学生を対象としたプログラムはすべてティームティーチングによって指導しているため、教員間の連絡や情報共有が欠かせない。従って本センターに所属する教員は常にクラスの状況や学生一人一人の勉学上の問題点、お互いの教授方法や進度などの情報を共有するために、学期前と後に開催する講師会(非常勤講師を含む授業担当者全員)や毎月の講師室会(専任、特別契約、常勤講師のみでの連絡会)を開催している。また、本年度2回実施した関学日本語教育研究会では、1回目はセンターの教員による研究・実践報告を行い、2回目は、高等教育推進センターの時任隼平准教授に「大学教育におけるアクティブラーニング型授業の実際-主体的・対話的で深い学びを目指した授業の設計-」というテーマでご講演をいただき、日本語教育センターでのアクティブラーニング型授業の設計と実践にとって非常に参考になる知見と大きな示唆を得た。
 

大学宗教主事会

 大学宗教主事会では今年度は計三回のFD研修会を実施したが、2021年度以降の「各学期1350分の授業時間確保」に伴い、授業時間帯(各回の授業時間と授業回数)の改定が学内で大きな議論になったこともあり、特にチャペルアワーの時間設定とあり方が重要な主題となった。まず第一回研修会(7/5)では、チャペルアワーの時間帯に関して様々な可能性を踏まえつつ協議・懇談し、一時限と二時限の間に設定されることの意義について改めて確認した。第二回研修会(10/4)では、法学部の大宮宗教主事よりキリスト教学の授業及びチャペルアワーの現状について報告していただいた。第三回研修会は2/21に実施し、再来年度からチャペルアワーが現行より10分間短縮されることを踏まえ、どのようにしてこの時間の不足分を補い、充実したプログラムを提供できるかについて協議し、さらに、学長より検討を依頼されていた、各学部でチャペルを実施していない曜日のチャペルアワーの持ち方について検討を始めた。この点については来年度も継続して議論を重ね、来年度中に何らかの結論を出す予定である。