2024.10.14.
【実施報告】第4回能登半島地震現地ボランティア(10/11~13)

現地での活動内容

活動は、石川県七尾市中島地区の仮設住宅と、新町会館(自治会の集会所)、中島地区コミュニティーセンター豊川分館で行いました。
今回も、これまで同様に認定NPO法人日本災害救援ボランティアネットワーク(NVNAD)にコーディネートしていただき、また「のと復興人足隊」と連動することで活動が実現しました。

1日目は授業後に夜の出発だったこともあり移動のみのプログラムでしたが、移動中の電車内では交流イベントで行うハロウィン装飾づくりのために折り紙を練習したり、参加メンバー同士で話して親睦を深めたりと、学生メンバーが自主的に色々な準備を進めていました。

2日目は、会館での交流イベントのお知らせを兼ねて、仮設住宅と新町地域で戸別訪問を行いました。学生たちは支援物資のお水を配布するとともに、住民のみなさんの日常のお困りごとなどに耳を傾けました。
その中で、地震で床を張り替えたので、タンスを運んでほしいとの要望をいただき、学生たちが協力して移動させることで喜んでいただくことができました。
また、「集会所の建設が10月末から12月にかけて、12月末に完成予定なの。ようやくだね。」「このところ気候が変わりやすいし、慣れない環境なので体調を崩した。」「足が悪いので、イベントに参加するのは難しいの。でも、来てくれてありがとう。」などのお話を聞きました。
午後には新町会館で交流イベントを行い、30名近くの方にお越しいただきました。「関学の皆さんが来るっていうから、楽しみにしていたよ!」と声をかけていただくなど、活動を継続しているからこその関係性ができていることを感じました。子どもたちも沢山来てくれて、縄跳びやしゃぼん玉などで学生たちと一緒に楽しく遊びました。

 

また、この日は初めての試みとして、七尾市豊川地区の皆さんとの交流会を行いました。交流会前にはまず豊川地域協議会 分館長の井田さんのご案内で豊川地域のバスツアーを行い、地域の状況について知ることができました。また、交流会は豊川地域協議会との連携で実現ができた会で、「今だから考えるべき将来の起こりうる災害に備えて」をテーマに、学生と住民の方々が4つのグループに分かれて話し合いました。住民の方々からは地震の日どのように過ごしていたか、どこに避難をしたか、避難生活がどのようなものだったかなどのお話があり、学生たちは熱心に耳を傾けていました。また話し合いを通じて地域コミュニティがあったからこそ有事に支え合うことができることを実感し、平時にどのように近くに住む人とコミュニティや関係性を作っていくか、等を考えていました。次回以降も交流の機会を持ち、災害の教訓をより発信する方法や、豊川地区で学生たちとできることなどを考えていきたいという意見もあったので、引き続き豊川の皆さんとのつながりを大切にしたいと思います。

 

そして、この日の活動の振り返りでは、翌日の活動に向けて、『○○のために(私たちは)□□する』というテーマで、グループごとに目標を考えました。以下のような目標があげられ、具体的なアクションまで考えて翌日に臨むことになりました。
①交流会に来てよかったと思ってもらうために、一人一人と向き合って信頼関係を構築する
②被災地の人々の今後のコミュニケーション形成のために、私たちが架け橋になる
③明日もその次も長期的に繋がりを持ちつづけるために、一人一人と向き合って「対」の会話を大事にしたい!
④全力で楽しんでもらうために、素直になる

 

最終日の3日目は、午前にハロウィン装飾づくり、午後にハロウィンビンゴ大会を行いました。装飾づくりではかぼちゃやおばけの飾りを折り紙などで作ったほか、チェキで思い出を写真に残して学生がメッセージを書いてお渡しするなど交流を行いました。また並行して、体調や都合によりイベントには来られない方々にも水をお届けするなどして、交流をしました。ビンゴ大会は学生が司会進行を務めて盛り上げながら、約30名の住民の方々と学生たちが一緒に混ざって楽しむことができました。最後には、学生から「皆さんが温かく迎えてくださったことが私にとってもとても大きな経験になりました。自分たちにできることはあるのかと緊張していましたが、皆さんが笑顔で楽しんでいただいて嬉しいです。ありがとうございました!」などの感想を伝えて、交流イベントを締めくくりました。

今回お世話になった新町自治会の皆さん、中島町第1団地の皆さん、豊川地域協議会ならびに老人会・女性会・民生委員の皆さん、同行いただいたNVNAD・西宮市社会福祉協議会の皆さん、ありがとうございました。
関西学院大学では2025年2月に第5回の現地ボランティアを予定しています。今後も継続して学生の皆さんとできることを考えていきます。

 
 

活動を終えて(参加者の感想)

西本 和芳さん(人間福祉学部2年生)
私がこの活動に参加するのは前回に引き続き2回目でしたが、多くの新たな学びを得ることができました。
私は前回、主に現地の子供たちと交流することが多かったのですが、今回は新町会館での活動のほとんどがお年寄りの皆さんと交流でした。
なかでも私は将棋部に所属しているので、現地の方々と将棋を通してたくさんコミュニケーションをとることができました。
「昔はよく将棋を指したけど最近はほとんど指さない。」という方とも、最初は雑談しながらだったのがだんだん真剣になり、対局後には笑顔でお互いを称えあったのは楽しい思い出です。
また仮設住宅に入居してから知り合ったという男性3人組と、将棋の指し手に対してあーでもないこーでもないと議論したのもまた楽しかったです。
その男性のうち1人は「囲碁が好きだが周りに打てる人がおらず、あるボランティアの方が仮設住宅を一軒一軒を回って探してくれたが見つからなかった。」とおっしゃっていて、次に参加する際には囲碁を覚えていこうと思いました。他にも、仮設住宅を訪問するなかである入居者の男性と1時間以上音楽の話で盛り上がったりするなど、趣味が合うとお互いの距離がすぐ縮まって、被災者の方も個人的な困りごとを話して易くなりそうなどと考えました。

「信頼とは予測可能性であり、コミュニケーションとはお互いが共有するものをつくること。」とは引率の関先生のお言葉ですが、現地の方々との関わりの難しさはこの言葉を思い出させます。というのも、新町会館での交流イベントに来てくださった方は私の話によく応じてくれる方が多いのですが、私が前回できなかった仮設住宅の訪問活動ではそうではありませんでした。
もちろんそれぞれのお家にその時の事情があるとは思いますが、遠慮がちな方が多かったです。私たちはよそ者ですから警戒されて当然です。だからこそ継続的な活動が重要だと2回目の参加にして改めて感じました。

今回もとても貴重な経験をさせてもらいました。私は現在人間福祉学部の2回生であり、来年度から始まるゼミでは、前回のボランティアで引率してくださった白波瀬先生の元で災害支援を勉強したいと思っています。前回と今回の活動で学んだことを、今後の勉強で活かしていきたいです。

西村 実柚(国際学部1年生)
今回の被災地ボランティアは、物理的な支援ではなく、精神的な支援を行うためのものでした。最初は正直、現地の人と交流するなどの精神的なボランティアに何の意味があるのか、これでどのように被災者の方々を助けることができるのか、と悩みました。
しかし、実際ボランティアに行ってみると、交流することの重要性に気づくことができました。私たちが七尾市の人々を集めてみんなで交流会を開くということは、七尾市の人々を繋辛く架け橋となることができ、また地域でのコミュニティ形成に繋がるということです。被災地域でのコミュニティ形成は、また地震が起こった時に、協力しあう方ができる、また被災した同士として、分かり合える、困ったことがあれば助け合えるので、非常に重要なことです。そのため地域の人々の関係形成の架け橋となる役割を少しでも果たせたと感じることができました。

また、今回の精神的なボランティアによって、実際に被災した人々と交流することで、本当の実情を知ることができ、被災していない人々に伝えていく必要があると感じました。おそらく被災していない人々にとって、能登での被災は他人事であり、重く捉えることもないかもしれませんが、私たちが生活している間でも、被災地では苦しみが続いています。そのような実情を自分の目で見て、聞いて、伝える必要があると感じました。

被災地ボランティアという活動は、一度だけ行えばいいのではなく、現地の方々と信頼関係を築きながら、繰り返し行わなければならないことです。なので、また参加して、関西学院の被災地ボランティアの活動を紡いでいくために貢献したいです。

活動概要

日程:10月11日(金)~13日(日)
場所:石川県七尾市
    中島地区第1団地(仮設住宅)
    新町会館(自治会の集会所)
    中島地区コミュニティーセンター豊川分館
宿泊先:国立能登青少年交流の家
参加者数:学生15名(応募者数19名)
内容:仮設住宅への戸別訪問
   新町会館(集会所)での交流イベント:ハロウィン装飾づくり、ビンゴ大会など
        豊川地区の方々との交流会「今だから考えるべき将来の起こりうる災害に備えて」
目的:
(1)被災された方々に元気を届ける
(2)参加者自身の学びを深める
   ① 被災地での経験を学問的に深める
   ② 色々な学部・学年の参加者との出会いから多様な視点で学ぶ
   ③ 日常とは違う場面に飛び込み、現在の生活が当たり前でないことに気付く
(3)被災地への関心を広げる
連携:NPO法人日本災害救援ボランティアネットワーク
      西宮市社会福祉協議会ボランティアセンター
      のと復興人足隊
協力:株式会社 高山堂