2024.08.09.
【実施報告】第3回能登半島地震現地ボランティア(8/6~8)
現地での活動内容
活動は、石川県七尾市中島地区の仮設住宅と、新町会館(自治会の集会所)、中島小学校(学童保育)で行いました。
今回も、第1回・第2回同様に認定NPO法人日本災害救援ボランティアネットワークにコーディネートしていただき、また「のと復興人足隊」と連動することで活動が実現しました。
1日目は、2日目に行う会館でのイベントのお知らせを兼ねて、仮設住宅と新町地域で戸別訪問を行いました。学生たちは水や塩分タブレットをお届けするとともに、住民のみなさんの日常のお困りごとなどに耳を傾けました。
玄関先でお話するだけでなく、「ぜひあがってください」と声をかけていただき、じっくりお話を聞かせていただいたお宅もありました。
「水道水はたまに濁っているような気がして、料理や飲み水としては使っていないから、届けてもらえて助かる。」「1/1から1/10くらいまで中島小学校に避難していた。・隣近所の付き合いがある為みんなで助け合っている。」「周りの方がいい人ばっかりで、自宅の修理がもうすぐ終わるけど、帰りたくないと思う。」などのお話を聞きました。
この日の活動の振り返りでは、翌日に向けて『イベントに来てくれた方とどのような関係を築きたいか』というテーマで皆で考えました。対等な関係、気軽にコミュニケーションをとれる関係など思いを巡らせたうえで、そのために自分からの行動を意識する・自分のことも話す、一緒に楽しむ、など具体的な行動をイメージして明日に臨もうと話し合いました。
2日目・3日目は、新町会館での交流イベント(そうめん流し、写真たてづくり、昔懐かしい遊び、茶話会、子ども遊びなど)を行いました。
一緒に食べたり、作ったり共同作業をしながら、七尾市のことや暮らしについて、またこれまで住んできた地域のことなど色々なお話をお聞きすることができました。子どもたちも沢山訪れてくれて、暑さに負けずボール遊びやなわとび等様々な遊具を使って大学生と元気に遊んでいました。
また、中島小学校で行われている学童保育の活動にも大学生が入れ替わりで参加をしました。こちらでも大学生は大人気で、ドッヂボールやお絵描き、水鉄砲など一緒に色々な遊びをすることで思い出に残る時間となっていたようでした。
また、今回は輪島市内を視察し、火災があった輪島朝市の現場などをまわりました。被害の様子や道の凸凹などを見て、より被害の大きさを感じるとともに自分たちができることは何だろうかと改めて考える時間になりました。
3日間の活動を終え、学生たちからは「震災は一区切りついたものというのではなく、実際はこれからが始まりなのではないかと感じた。がれきの撤去や、ある程度の道路の補修作業、被災地における生活など、人間が生活をすることが出来る環境は整備されたとは思うが、現在も「とりあえず」状態が続き、それがいつまで続くのかわからないという不安感があると感じた。だからこそ、私たちが関心を持ち続けることは大切だと思った。」「できればもう一度、ボランティアに参加したい。今回思ったよりできたこともあったが、想像よりもできなかったこと(お宅訪問の際の声掛けや子供との距離の縮め方など)が圧倒的に多かった。また新町会館で仲良くなった小学生もいるので、また会いに行きたい。」などの感想が話されました。
ヒューマン・サービス支援室では10月に第4回の現地ボランティアを予定しています。今後も継続して学生たちとできることを考えていきます。
活動を終えて(参加者の感想)
藤原ななみ(人間福祉学部4年生)
第2回の活動にも参加しましたが、今回(第3回)は三日間能登に滞在できたので、前回参加した時よりさまざまなことや人、新たな土地に触れることができました。三日間能登の皆さんと過ごすなかで、たくさんの思い出ができましたが、特に印象に残っていることが二点あります。まず一つ目は、新町会館にいらっしゃった方のご自宅にお邪魔したことです。十月に自宅の取り壊しが決定していると仰っていたので、甚大な被害を受けたのだろうと考えながら訪問しましたが、想像とは打って変わって地震による影響が目視では一切わからない綺麗な状態でした。外観も内装もそのまま生活できるのではないかと思うほど整ったままだったので、日頃から見た目で判断せず、どのような場合においてもしっかりと防災に取り組むことの重要性を感じました。二つ目に印象に残ったことは輪島の現状についてです。地震発生直後のマスメディアの報道で一番目にする機会が多かった分、現地の復興の遅さにショックを受けました。能登の現状について報道を行う機関が減少していますが、現地にお住まいの方々の生活は未だ一月一日から進んでいない部分も多いのではないかという印象を受けました。離れた地域に住む一学生が何を出来るのか、今後どのような活動を行うべきなのか、今一度考え取り組み続けたいと思います。
大西 夏葵(神学部3年生)
初めて参加しましたが、第1回・第2回の成果がしっかりと出ていると感じました。訪れる人々に「のと復興人足隊のメンバーとして来た、関西学院大学の学生です。」と名乗ると、覚えてくださっている方が多く、快くお話をしていただくことができました。住宅訪問をするまでとても緊張していたのですが、みなさん温かく迎えてくださったので、安心しました。二日目の新町会館では、当時の震災状況の話をしてくださる方もいて、当たり前のことではありますが、「被災者」とひとくくりで見るのではなく、その人一人一人をしっかりとみて、対話を重ねることで、より人柄などを知ることが大切だと改めて実感しました。被災者というカテゴリで最初はどうしても捉えがちな部分がありましたが、二日三日と経つうちに、少し遠い親戚の方々と話しているように軽く錯覚するぐらいには、距離を縮めることができたのでよかったです。私たちのような外部の者が、七尾市の人たちにとってどれくらい関わることができているのかはつかみかねる部分もありましたが、新しい人として関わり話すことで、その人自身も知らなかった思いや考えを整理できるきっかけになれたらいいなと感じました。今回訪問したことで、私自身、身を引き締めてもらえたので、本当に良い経験をさせてもらったと感じています。目に見えない部分に関わり、良い方向に持って行こうとすることは簡単なことではないですが、こうやって少しずつ関係構築をすることが大切だと感じました。
活動概要
日程:8月6日(火)~8日(木)
場所:石川県七尾市
中島地区第1団地(仮設住宅)
新町会館(自治会の集会所)
中島小学校(学童保育)
石川県輪島市
宿泊先:国立能登青少年交流の家
参加者数:学生14名(応募者数27名)
内容:仮設住宅への戸別訪問
新町会館(集会所)での交流イベント:流しそうめん、写真たてづくり、昔懐かしい遊びなど
輪島市内の視察など
目的:
(1)被災された方々に元気を届ける
(2)参加者自身の学びを深める
① 被災地での経験を学問的に深める
② 色々な学部・学年の参加者との出会いから多様な視点で学ぶ
③ 日常とは違う場面に飛び込み、現在の生活が当たり前でないことに気付く
(3)被災地への関心を広げる
連携:
NPO法人日本災害救援ボランティアネットワーク
のと復興人足隊
協力:
西宮市社会福祉協議会ボランティアセンター
株式会社 高山堂