2023.09.06.
長田典子研究室の村上柚香さんがMVE研究会で「MVE賞」を受賞

村上柚香さん(理工学部 人間システム工学科・感性価値創造インスティテュート 4年生 長田典子研究室 2022年度卒業)が1月26日~27日に奈良先端科学技術大学院大学で開催された電子情報通信学会メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎(MVE)研究会において「MVE賞」を受賞しました。

村上柚香さんの発表は、人が香りをどのように捉えているかを知ることは科学的にも産業的にも重要ですが、そのためには汎用的な感性指標が必要です。本研究では、天然香料と合成香料の感性指標を構築することを目的として、まず香りの専門家により代表的な香料と評価語を選定し、さらに香料特性・感覚知覚・印象・感情の4つの尺度を作成しています。また、選定した香料と評価語を用いて非専門家による評価を行い、感性指標の背景因子を明らかにし、香りと個人が感じる好ましさの相関を数種類に類型化しています。全体として、本研究は目的が明確で極めて網羅的な調査がなされており、有用性の高い知見が得られています。当日の発表も明快で活発な質疑が行われました。完成度が高く、今後のさらなる発展も期待できると評価され、MVE賞に推薦されました。

発表した概要は以下の通りです。

【タイトル】
天然・合成香料のための感性指標の構築と好ましさとの関係性に基づく個人の類型化
【概要】
本研究の目的は天然・合成香料のための香りの感性指標を開発することである.専門家から香りを評価する言葉を香料特性(L1),感覚知覚(L2),印象(L3),感情(L4)の 4 つのレベル収集した. 次に言葉を使って非専門家を対象に香りの評価を行ってもらった.因子分析の結果,香料特性(L1)では10因子,感覚知覚(L2)では5因子,印象(L3)では6因子,感情(L4)では5因子の尺度にまとめられた.さらにこれらの尺度と嗜好性(好き嫌い,L5)の相関についてクラスタ分析を行うと,香料特性(L1)と感情(L4)は3つに類型化(タイプ分類)され,感覚知覚(L2)と印象(L3)は4つに類型化された.この感性指標により,個々のユーザの好きな香りを推定できるなどの応用が可能となる.
【著者】
村上柚香・都賀美有紀・長田典子(関西学院大)・綿村 豪・三瓶和也(ノルコーポレーション)・寺本圭吾(アスカクリエート)