[ 工学部 ]学部長メッセージ

藤原 明比古 (ふじわら あきひこ) 教授

PROFILE
東北大学工学部応用物理学科卒業、同大学院工学研究科応用物理学専攻博士前期課程・博士後期課程修了。博士(工学)。東京大学助手、北陸先端科学技術大学院大学助教授・准教授、高輝度光科学研究センター主席研究員、関西学院大学理工学部教授などを経て現職。
専門は電子物性を中心とした材料科学。最近は、持続可能なエネルギー社会のための材料・デバイス開発に注力。

「自らの力で持続可能な社会に貢献しよう」

現代社会は、グローバル化や情報化、技術革新などの急速な発展が複雑に絡み合い、多様で複雑なものとなっています。この状態をVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとってVUCAとよび、変化が激しく、先行きが不透明で、将来の予測が困難である状態を表しています。このような社会で、私たち自身が、日本が、そして、世界が、豊かで幸せに過ごせる社会を持続させるためには何が必要でしょうか。

変化が小さく先行きが見通させる社会においては、これまでの知識をそのまま応用することで社会貢献できたかもしれません。しかし、VUCA社会では、今までは考えられなかった課題の解決や、新しい局面での新技術の投入を求められるようになります。

工学部での学びにおいては、狭い意味での知識の蓄積にとどまらないでほしいと願っています。多くの知識を蓄積することはもちろん大切です。その豊富な知識のもとで、自ら判断し、思考して、自ら結論を出す力を身につけることが大切です。自ら興味を持って選んだ専門分野を深掘りして根本から理解し、実践に応用する力を身につけていただきたいと思います。それによって、未知の課題に直面しても結論を出すことができるようになります。

工学部は自然科学や数学の基礎科学を基盤に科学技術の側面から社会貢献する力を修得する場です。自らの専門分野を深掘りして探求することを大切にし、複雑に絡み合う社会においてその専門性を活かすために、広い視野を持って物事の関連性を理解することも大切です。

ものごとを根本から理解して社会の一員として行動することは、関西学院のスクールモットーである”Mastery for Service”、「奉仕のための練達」の体現であると考えています。また、それによって、社会に対して自らの力を発信する皆さんは、工学部の聖句「あなたがたは世の光である」そのものなのです。4年間の学びにおいて、毎日の学びでは、授業や授業外学修、課外活動など目の前のことに精一杯取り組まれることと思いますが、たまに、一呼吸おいて、周りを見渡し、スクールモットーや学部の聖句を思い起こして、広い視野で充実した学生生活を送っていただくことを期待しています。