工学部ビジョン 設置準備委員長より

石浦 菜岐佐 (いしうら なぎさ) 教授

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博士(工学)。京都大学工学部情報工学科卒業、同大学院工学研究科修士課程情報工学専攻修了。
University of California, Berkeley客員研究員、大阪大学工学部助教授などを経て現職。
専門は、IoTのハードウェア・ソフトウェアの設計技術、システムプログラムの開発と検証。

未来の発展に貢献する「新しい工学」を追究

技術の変化を受けて新しい時代の工学を

新設される本学の工学部は、現在そして未来に求められる工学を追究する点に大きな意義があると思います。皆さんもご存じのように、AI(人工知能)の発展によって自動車の自動運転が研究され、その一部が実用化されたり、ロボットが製造業だけでなく、介護現場や接客、保安・警備の分野に使われたりするようになりました。また、省エネルギーを目的に、今までとは異なる新しい物質が多種多様な製造業のさまざまな製品に用いられるケースも増えています。このほか太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの発展、さらには人工光合成のように自らエネルギーを創出するシステムの開発なども進んでいます。石油や天然ガス、石炭などをエネルギー源とした工学、機械や電気・電子などの伝統的な工学も、私たちの社会に貢献する存在であることはいうまでもありません。しかし、そのような伝統的な工学の研究や教育を行う大学は多数あります。そこで私たち関西学院大学工学部は、これまでの工学研究・教育にはない、新しいエネルギー、新しい産業にかかわる、「現在と未来の発展に寄与する」工学を追究します。

 

幅広い専門性を持った人材を育成

今の自動車はあらゆる部品に搭載されたコンピュータが制御を行っています。つまり自動車をつくるにはメカ(機械)だけでなく、情報の知識が必要です。このように工学の各領域で他領域の知識が必要な時代になっています。このような状況を踏まえ、他領域科目の履修を必修化。情報学科の学生が生命科学の科目を学ぶなど、他分野の知識を身につけられるようにしました。さらにこれを発展させ、学部・大学院を通して2つの専門を学べるマルチプルメジャーも導入。自らの専門に加え、隣接する学問領域・興味ある学問領域を深く学ぶものです。これによって、情報工学を学んだ学生が知能機械の研究を進め、ロボットの研究者になるなど、幅広い専門性を持った人材の育成を図ります。このような分野融合の学びは新しい工学部の大きな特徴です。新しい工学部は課程制を採用し、低学年から分野融合型カリキュラムによって他分野のことも学べ、学生の将来の選択肢を広げています。このほか国内外の企業との共同研究によるPBL(Problem-based Learning)も積極的に展開。さらに研究に欠かせない英語力向上に向けた語学教育にも力を注ぎます。

 

重要なのは社会に寄与する人間になること

高校生の皆さんに伝えたいことは、今勉強していること、特に数学や物理、化学、英語などの科目は大学で研究を行う基盤になるものです。これらの科目の勉強に力を注いでください。それから、これはほかの学問領域にも共通することかもしれませんが、工学全般に対してぜひ興味を持ってください。研究で壁にぶつかったとき、工学の他分野のことが参考になることがあります。また、技術の発展に伴い自分の専門分野にほかの専門分野の知識が必要になることもあるでしょう。さらに就職した際、自分の研究テーマとはまったく違うことに取り組むケースも少なくありません。実験の進め方、現象への向き合い方などは工学全般に共通するため、研究テーマが異なっても対応はできますが、もし工学全般の知識があれば、よりスムーズに仕事に取り組むことができるでしょう。進学したい大学に向けて勉強をしている時期には、「大学合格」が目標になっているかもしれません。しかし、「合格すればゴール」ではないのです。肝心なのは大学で充実した学びを経験し、世の中に求められる人材になること。自分の将来を見つめて進路を決めて欲しいと思います。