[ 編集者:産業研究所   2023年10月4日 更新 ]

2023年度 EUフィールド・スタディー

日時: 2023年8月21日(月)~9月2日(土)
訪問先:ドイツ(ライプツィヒ、デッサウ、デュッセルドルフ)、ベルギー(ブリュッセル)、オランダ(ロッテルダム、デルフト、アムステルダム)
テーマ:持続可能な開発とカーボン・ニュートラル、グリーン成長に向かって進むヨーロッパの経済・産業​​​​​​
引率・コーディネーター:ホルガ―・ブングシェ 国際学部教授
参加者数: 17名


訪問目的:
2023年度EUフィールド・スタディーは持続可能な開発、カーボン・ニュートラル、循環型経済、再生可能エネルギー、グリーン成長といったトピックに焦点を当てて実施しました。

プログラム内の視察訪問はどれも未来の人類の生活と生物多様性の条件を維持するための経済的・生態学的・社会的な持続可能な発展、そして今世紀半ばまでのネットゼロ目標の達成を目指すうえで、ヨーロッパとその他の地域の経済と産業がどのように変わり、再編成されなければならないかという、多くの面で不明確な状況において、一片の貢献となることを目的としました。この訪問の目的と目標は、気候変動にうまく取り組むために必要な画期的な変化に対して、卒業後どのような職業に就くかにかかわらず、自分たちがどのように貢献しなければならないか、また、これらの変化によって私生活が将来どのような影響を受けるかを、学生たちに認識してもらうことでした。  

プログラム概要と目的との関係:
水素の生産目的および産業用・自家用燃料消費としての利用に関する将来展望に関しては、(a)ライプツィヒのBMW生産工場(b)ビッターフェルト・ウォルフェンケミカルパークを訪問したうえで、HYPOS Hydrogen Network Initiative East Germanyの代表からプレゼンテーションを受けました。 再生可能エネルギーに関しては、ザクセン=アンハルト州の3つの地域におけるドイツのエネルギー転換を達成するための地域における重要なイニシアチブであるEnergy Avantgarde Saxony-Anhaltの代表からプレゼンテーションをいただきました。また、グレーフェンハイニヒェン近郊にある1920年代当時世界最大規模を誇ったツショルネヴィッツ蒸気発電所と北ゴルパ褐炭採掘場(フェロポリス)のふたつの歴史的産業遺跡(ヨーロッパ産業遺産の道)もご案内いただきました。 カーボン・ニュートラルへの移行がもたらす社会的・文化的影響と、EU委員会の「欧州バウハウス」構想に関連して、デッサウにあるバウハウス美術館を訪問しました。 ブリュッセルではEU委員会を訪問し、(a)EU委員会の仕事について、(b)欧州グリーン・ディールについての講義を聞きました。さらに、欧州議会と地域委員会を訪問し、EUの民主主義と欧州グリーン・ディールの地域への影響について説明を受けました。 サーキュラー・エコノミー関連では、デュッセルドルフのGlobal Entrepreneur CentreとロッテルダムのBlueCityを訪問しました。 気候変動が海面上昇や海洋環境に与える影響、河川や農地への塩水浸入の問題に関しては、デルフトのDELTARESとロッテルダム港の一部であるFuturelandを訪問し、海上輸送における水素の利用や洋上再生可能エネルギー発電の拡大についても視察しました。 ヨーロッパの古い産業が直面している課題に関しては、デルフトの磁器製造工房兼美術館であるロイヤル・デルフトとブリュッセルのチョコレート博物館を訪問しました。 最後に、ヨーロッパの文化、歴史、社会に関しては、ヴィッテンベルクのルター教会と博物館、ケルン大聖堂、アーヘン大聖堂とドイツの代表的な歴史的な町を、アムステルダムではアンネ・フランクの家とヴァン・ゴッホ美術館を訪問しました。

実施効果:
2023年度のプログラムは、2050年までのカーボン・ニュートラルへの移行に向けた欧州の経済・産業の現状と課題に関する知識を深めるための総合的なアプローチに沿ったものとなりました。これに加えて、伝統的な地域産業にも目を向け、ヨーロッパの文化的特異性や多様性への理解を促進する内容となりました。

学生の反応:
プログラムの全体的な評価は、JMCプロジェクト全体でも最も高い水準のものとなりました。例として3人の学生のアンケート結果を以下の通り掲載します。
学生1:2週間はあっという間でしたが、EUフィールド・スタディーに参加して、大学在学時でしかできない充実した経験をすることができました。
学生2:自分1人では回れないようなところも訪問することができ、楽しかったです。
学生3:とても満足度の高い研修でした。また、引率してくださった教職員の方々のおかげで安心して過ごすことができました。