[ 編集者:産業研究所   2023年8月8日 更新 ]

2023年7月14日~15日 EU合宿2023
フォルクスワーゲングループジャパン(豊橋市)・トヨタ会館(豊田市)​​​​​​訪問

日付: 2023年7月14日(金)~7月15日(土)
訪問先:フォルクスワーゲングループジャパン(豊橋市)、トヨタ会館(豊田市)
引率・コーディネーター:ホルガー・ブングシェ 国際学部教授
参加者数: 14名

訪問目的:
トヨタとフォルクスワーゲンは世界最大の自動車メーカーです。2社で全世界の約20%の車を製造しています。自動車産業が主力技術である内燃機関を廃止しなければならない事実を考えると、フォルクスワーゲングループジャパン(以下VGJ)とトヨタ会館への訪問は、この2社を知るだけでなく、ヨーロッパ(ドイツ)と日本の自動車産業の現状を知る良い機会となります。
 


 

<1日目>フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)訪問
 

概要:
フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)は、フォルクスワーゲングループの4つの乗用車ブランド(フォルクスワーゲン、アウディ、ベントレー、ランボルギーニ)と、ポルシェブランドの独占輸入代理店です。 フォルクスワーゲンが最初に日本に輸入されたのは1953年です。1980年代初頭までは、フォルクスワーゲンとアウディの車は日本の独立した輸入代理店であるヤナセによって輸入されていました。 VGJは1983年7月7日に設立され、フォルクスワーゲンおよびアウディのディーラーネットワークを通じてフォルクスワーゲングループの車ブランドの輸入を強化し、日本に販売しています。1990年に豊橋インポートセンターの用地を取得、1993年に輸入機能を東京から豊橋に移し、車の輸入が始まりました。2010年には100万台(フォルクスワーゲンおよびアウディ車を合算)の車を輸入し、2013年には100万台のフォルクスワーゲン車の輸入を報告しています。 現在、VGJの従業員は140名で、その他、技術サービスセンター(TSC)ではサブコントラクターが159名、部品保管施設では160名が働いています。 JAIA(日本自動車輸入組合)のデータによると、2022年のフォルクスワーゲングループ車の総輸入台数は約6万台で、ブランド別の輸入台数は以下の通りです。 アウディ:20,750台(輸入車の6.7%のシェア) ベントレー:651台(同0.2%) ランボルギーニ:571台(同0.2%) フォルクスワーゲン:32,229台(同10.4%) ポルシェ:7,193台(同2.3%) フォルクスワーゲンは世界中に約130の生産拠点がありますが、日本への輸入はヨーロッパ(ドイツとスペイン)の2つの港とメキシコ、南アフリカからのみ行われています。

内容:
約2時間で、港から車を降ろす段階からフォルクスワーゲンディーラーへの納品までの、全工程を見学することができました。 1.港周辺の荷おろしエリア 2.技術サービスセンター(TSC) 3.予備部品センター 4.トレーニングセンター (1) 車は前述の4つの港から船で到着します。フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの車は保護カバーで覆われ、プレミアム車はより厳重に保護され木製コンテナに入れられています。通常1隻の船には2000台の車が積まれ、3日間をかけて港におろします。VGJ豊橋では一度に約6000台の車を保管することができます。 (2) 技術サービスセンターでは、ディーラーへの配送前に、すべての車が受ける必要のある最終チェックとテストを見学しました。チェックはブランドごとに4つのラインで実施されます。 (3) 部品保管施設では、予備部品の到着、保管、周回頻度に基づき部品がどのように処理されるか説明を受けました。 (4) トレーニングセンターでは、COVIDがトレーニングセンターの活動に与えた影響について説明を受けました。セールス担当者のトレーニングはCOVID後も主にオンライン実施なのに対し、ディーラーのメンテナンスおよび修理スタッフのトレーニングは主に対面にてVGJ豊橋で実施されているということでした。 最終プログラムは、ドイツ人の上級管理職3名による異文化間マネジメントについてのパネルディスカッションでした。日本とは異なる文化を持つドイツでの視点が、学生たちにとっては非常に興味深いものだったようです。


 

<2日目>トヨタ会館訪問
 

概要:
トヨタは20年前にトヨタ会館を設立しました。コンセプトは、伝統的な博物館とは少し異なり、歴史的な車を展示しているわけではなく、トヨタの発展に関連したことが紹介されています。例えば、トヨタの生産方法である「トヨタ方式」や、自動車の安全性、未来の推進技術、自動車の環境への影響を軽減し、自動車産業の持続可能性を確保する取り組み、さらには自然災害の後に電力インフラを安定させる手段としての車など、です。これらのトピックやコンセプトの多くは長い時間をかけて開発され、過去のモーターショー、特に東京モーターショーで展示されてきました。

内容:
自動車産業が直面している課題については、新しい移動手段(Mobility Companyとしてのトヨタ)、未来の推進技術、特に水素エンジン、および自動車の安全性(事故ゼロ)に関するものが特に興味深いものです。 展示では、未来のエンジン技術、特に水素エンジン(燃料電池)に重点が置かれていました。驚くべきことに、新しいコンセプトカーとしての未来のプリウス以外には、ハイブリッドやプラグインハイブリッドエンジンの発展はほとんど見られませんでした。これは、他の自動車メーカーが近未来の解決策として水素に焦点を当てていないため、注目に値します。 未来モビリティやウーブン・シティ構想についてのトヨタのビジョンについて新しいものは示されていませんでしたが、地球温暖化の解決策について、内燃機関を電動モーターに置き換えることだけでなく、将来の自動車移動をより新しく、より賢明な方法で整備・実現することを考えている唯一の企業であるという強い印象を持ちました。 ただし、最後の部屋に展示されているトヨタの現行モデルラインを見ると、新しい移動手段への移行は顧客主導によるものになるのか、それとも規制によって前進させる必要があるのか、という点において疑問が残ることとなりました。
 


学生のコメント

学生の感想をいくつか紹介します。ある学生は、フォルクスワーゲングループジャパンの納車前の丁寧な準備に尊敬の念を覚えたということでした。別の学生は、トヨタ会館のドライブシミュレーターを体験し、安全機能が作動する様子を直接体験し、教室で学ぶより価値を感じた、自動ブレーキの技術メカニズムについてもっと学びたい、ということでした。

まとめ

フォルクスワーゲングループジャパンとトヨタ会館への訪問は、参加学生に非常にとって有益な経験となりました。今後も同様のイベントを企画し、より多くの学生にグローバルな自動車産業に関する実践的知識と洞察力を提供する機会として与えたいと考えています。

ポスター 2023年7月14日-15日 EU合宿2023PDFファイル