[ 編集者:産業研究所   2021年7月28日 更新 ]

2021年6月10日  関西学院高等部でEUについての授業を実施

講義タイトル:「ヨーロッパ統合の基本:単一市場、単一通貨、移動の自由化」
日時:2021年6月10日(木) 13:00~14:30
場所: 関西学院高等部
講師: ホルガー・ブングシェ教授
参加者数:8名

目的:
この授業の目的は、単一の通貨を使っているEUの単一経済圏では、4つの移動の自由(モノ、資本、サービス、人)が、経済と共通通貨が機能するためには不可欠であることを高校生に理解してもらうことです。


内容:
日本ではあらゆる年齢層において、労働移民に関して非常に懐疑的です。このことが、多くの人々がイギリスのEU離脱に共感している理由でもあります。また、日本でも広く知られているように、EUで人の移動の自由が権利として認められていることがイギリスでの移民労働者の増加につながり、それが賃金の低下や国内労働者の失業を招いていると言われてきました。国内労働者の失業問題に関係しているだけではなく、労働移民は、時に受け入れ国の社会保障制度の不正請求や、犯罪率の増加、さらにはテロにまで明らかに関係しています。
まず、欧州統合は、ビジネスや貿易のためだけでなく、欧州の人々の交流を促進するために国境を取り払うプロセスであり、その代表的な例であるエラスムス・プログラムについて説明しました。次に、単一市場では、モノや資本だけでなく、人の移動に大きく依存する労働力やサービスも自由でなければならないと説明しました。むしろ、ユーロのような単一通貨を円滑に機能させ、最適な通貨圏とするためには、参加国間である程度の人の移動が必要です。
休憩をはさみ、労働の移動や労働移住は、受け入れ国にとっても、労働者の出身国にとっても、概ね肯定的なものであることを事例をあげて解説しました。イギリスの最近の貿易や生産データを紹介しながら、特に外国人労働者の大幅な減少(例えば農業や園芸業)など、EU離脱がイギリス経済へどのような悪影響を与えたか説明しました。


授業の感想:
参加学生のコメント「外国人労働者は、地域の労働者の雇用を奪っていると思っていましたが、移民労働者はその国の全体的な経済発展に貢献していて、その地域の人により多くの雇用機会を生み出していることを今日学びました。