[ 編集者:産業研究所 2021年2月1日 更新 ]
2020年12月9日 駐日欧州連合代表部「オンライン訪問」
実施日:2020年12月9日(水)
コーディネーター:ホルガー・ブングシェ(関西学院大学国際学部教授)
参加者:23名
テーマ " Current Issues and Challenges in the EU - EUの現状と課題"
プレゼンテーション1「EUと日本 新型コロナウイルスからの復興」
講師: ヤツェク・コザーク氏(駐日欧州連合代表部 通商部)
プレゼンテーション2「日本人学生の大学院教育におけるエラスムス+奨学金の機会」
講師: リチャード・ケルナー氏(駐日欧州連合代表部 広報部)
通商部のヤツェク・コザーク氏による1つ目のプレゼンテーションは、4部構成でした。
第1部は、主要な経済データに基づいて、EUの経済規模やEUが企業や市民や提供している利益についての概要の説明でした。EUが直面している現在の課題は、EU単一市場が生み出す利益を増大させること、EUの国際競争力を強化することであり、この2つを実現するためには、強力なイノベーション・エコシステムの構築、若い世代へのスキル・ノウハウ・教育の提供、健全な財政的・制度的基盤の確立、特に重要である、と締めくくられました。第2部は、戦略的パートナーシップ協定と経済連携協定が発効3年目に入った後の日・EU関係の発展に着目したものでした。日本とEUの関係は、単に双方の経済的利益だけではなく、民主主義、自由、人権という点においても共通の価値観を共有していることが強調されました。
第3部は、日本とEUの新型コロナウイルス危機への取り組みについての共通点についてでした。特に、EU加盟国の国内レベルでの対策を支援するためにEUレベルで取られた対策や、例えば労働者の移動(モビリティ)といった欧州統合の成果を有事の際にどう維持するのかといった課題について、焦点を当てたものでした。
最後は、EUと日本が共通して今後直面するポストコロナの展望についてでした。今後数十年にわたり、EUと日本の将来の発展に決定的な影響を与える2つの重要な課題として「緑の革命」と「デジタル革命」があり、これは「デジタル・フォー・グリーン」とも呼ばれるものですが、コザック氏はさまざまな興味深いデータに基づいて、グリーン政策とデジタル化は表裏一体であり、これらを組み合わせて行うことでのみ、真に持続可能な経済・社会・環境の発展が実現できることを示されました。
プレゼンテーションの後には、参加した学生から多くの質問が寄せられました。
2つ目のプレゼンテーションでは、広報部のリチャード・ケルナー学術協力担当官より、EUが提供している日本人向けの欧州留学制度について紹介いただきました。「エラスムス」プログラムについての簡単な説明のほか、自分にあったEU留学プログラムの探し方や申請方法などについて、実践的なアドバイスがありました。