2025.12.08
長田典子・工学部教授の研究室が慶應義塾大学との共同研究成果をEXPO2025大阪・関西万博「わたしとみらい、つながるサイエンス展」で展示しました
長田典子・工学部教授の研究室は、2025年8月に開催されたEXPO2025 大阪・関西万博の「わたしとみらい、つながるサイエンス展(文部科学省主催)」に、慶應義塾大学との共同研究の成果を展示しました。
【出展内容】 周囲とつながる「体験価値からインクルーシブを考える〜リサイクル材料からできたインクルーシブ遊具〜」
本研究は、JST COI-NEXTの「リスペクトでつながる『共生アップサイクル社会』共創拠点(代表機関:慶應義塾大学)」の一環として実施されました。関西学院大学が担当するのは研究開発課題4(「アップサイクル製品の文化的・感性的な設計・評価手法の開発」)です。この研究は、使い終わったものをゴミではなく資源としてアップサイクルすることで人と環境の共生を目指す活動と、それを持続的に展開するうえで重要な概念となる「インクルーシブ」とは何かを解き明かし、その活動に取り入れるようとする試みを組み合わせたものです。今回の出展は、慶應義塾大学がリサイクル材料から開発したインクルーシブ遊具を、来場者が自由に体験して、インクルーシブとは何かを考えるというものでした。
【AIによる感性価値の分析】
長田研究室が担当したのは、遊具を体験した人々が遊具のインクルーシブさをどのように感じたかを集約し、その評価に関わる要因を客観的に解明することでした。これは、AIインタビューの実施、評価構造図の作成と分析、感性価値の解明の3段階で行いました。
・AIインタビューの実施: 来場者に遊具のインクルーシブさに対する評価と理由をAIインタビューによって尋ねました。
・評価構造図の作成と分析: 回答に基づき、それぞれの来場者に対して、感覚の原因と結果の関係を可視化する評価構造図を自動作成しました。また、その結果は会場のディスプレイに表示されている「みんなの評価構造図」にリアルタイムで統合されるようにしました。この図は、そうやって多くの人の言葉がつながることで成長していきます。
・感性価値の解明: これらのデータ分析を通じて、「楽しさ」や「つながり」といった体験がもたらす感性価値がどのように生まれるかを科学的に解明し、インクルーシブな環境が人々の心の距離を縮める様子を考察しました。それらは、この研究でこれまでに発見・提唱されたインクルーシブデザイン(ID)5原則に通じるものでした。
1週間の会期中、ブースには約2,000名が来場し、そのうち303名がAIインタビューに参加してくれました。海外からの来訪も多く、中国、ミャンマー、フィリピン、アメリカ、イギリスなど多様な地域の方々と交流することができました。研究室メンバーは、自作の“インクルーシブ・ミャクミャクTシャツ”を着用し、来場者とのコミュニケーションを楽しみました。EXPO2025という国際的な場で、AIと感性工学を組み合わせた研究の実験・検証を行えたことは、学生・教員ともに大きな経験となりました。
【出展情報】
イベント名:EXPO2025 大阪・関西万博「わたしとみらい、つながるサイエンス展」(文部科学省主催)
会期:2025年8月14日(木)~19日(火)
会場:大阪・関西万博会場(夢洲) EXPO メッセ「WASSE」North
出展者:関西学院大学 感性工学研究室(長田典子研究室)(慶應義塾大学との共同研究)
イベント名:EXPO2025 大阪・関西万博「わたしとみらい、つながるサイエンス展」(文部科学省主催)
会期:2025年8月14日(木)~19日(火)
会場:大阪・関西万博会場(夢洲) EXPO メッセ「WASSE」North
出展者:関西学院大学 感性工学研究室(長田典子研究室)(慶應義塾大学との共同研究)