長田典子・工学部教授の研究グループが、仲間とのキャンプ体験によってポジティブな感情や印象が高まる可能性を示しました
2022年度から2023年度に、大学共同研究として「Camping体験がキャンパスの学びにもたらす効果の分析」を実施しました。
関西学院大学は、Camping Campus® をキーワードに様々な取り組みを行ってきました。この中で長田典子・工学部教授らの研究グループではこれまでにも「テント内で作業すると創造性が高まる可能性」などの研究成果を報告してきました。
本研究では,関西学院大学と株式会社スノーピークが神戸三田キャンパス(KSC)で開催した日帰りキャンプ体験プログラム「1Day Camp」において調査を実施しました。調査は、好悪や良し悪しなどの評価に加え、「わくわくする」「癒やされる」「不安な」などの感情、「閉鎖的な―開放的な」や「軽い―重い」「つめたい―あたたかい」などの印象も尋ねるもので、キャンプ体験の前と後の2回実施しました。また、テントを自分たちで設営するグループと、既に設置されたテントを利用するグループで回答の傾向を比較しました。
その結果、キャンプを体験する前より後のほうがポジティブな評価が高まることがわかり、テントを自分たちで設営したグループではさらに効果が高まる傾向も確認されました。たとえば、評価(ここでは好き・魅力的・よいなど)の平均点は体験の前より後、また既に設置されたテントを利用したグループ(利用群)よりテントを設営したグループ(設営群)で高いことが統計的に明らかとなりました(図1)。この傾向は感情や印象でも確認されており、たとえば感情のうちの覚醒(たのしい、興奮する、わくわくする)は体験後と設営群で高く(図2a)、これは印象のうちの開放性(開放的な、明るい、自然な、軽いなど)も同じでした(図3a)。これに対して、感情のうちの不安(不安な、緊張した、さみしいなど)は体験後に低くなりました(図2b)。これらのことは、キャンプ体験が開放的な印象を与えることや、覚醒が高まる一方で不安が低下すること、そして全体的な評価が高まることを示しています。
以上のことは、これまで経験的に知られてきたキャンプの効果を科学的に裏付けるもので、今後のCamping Campus®の取り組みだけでなく、様々なイベントを実施する際のヒントとなることが期待されます。
この成果は、2026年3月に実施される電子情報通信学会総合大会で発表される予定です。