ニッケル/フォトレドックス触媒による臭化アリールのベンジル化反応を開発 ―LC-MSを活用した反応機構解析―
理工学研究科の倉橋拓也教授ならびに博士課程後期課程学生の林婷氏による研究成果が、2026年5月18日にアメリカ化学会の学術誌 Organic Letters に掲載されました(DOI: 10.1021/acs.orglett.6c01669)。本研究は、2023年度研究装置・設備購入制度により導入した島津製作所製LC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析装置)を用いて実施されました。LC-MSを活用することにより、反応中に微量生成する反応性中間体の同定が可能となり、反応機構の解明に重要な知見が得られました。
論文タイトル:マロン酸誘導体の二重脱炭酸を経由する臭化アリールのニッケル/フォトレドックス触媒的ベンジル化反応
原題: Nickel/Photoredox-Catalyzed Benzylation of Aryl Bromides via Double Decarboxylation of Malonic Acid Derivatives
要旨:本研究では、可視光照射下、アリール置換マロン酸誘導体を用いる臭化アリールのニッケル触媒的脱炭酸型ベンジル化反応を開発しました。本反応により、あらかじめ有機金属試薬を調製することなく、温和な条件下でC(sp2)–C(sp3)結合を効率的に形成することができます。光照射により、これらのマロン酸誘導体前駆体から二重脱炭酸を経てベンジルラジカルが生成し、電子豊富な臭化アリールと選択的に反応します。本手法は、フォトレドックス触媒とニッケル触媒を組み合わせた二重触媒系のもと、臭化アリールのベンジル化を簡便かつ実用的に達成する方法を提供するものです。